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第6章 アンアン魔界行
#123 アンアン、地獄をめくる⑲
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でもって、牛頭魔王が打ち明けたのは、
”涅槃エレベーター”
なるものの存在だった。
「何それ? 初耳なんだけど」
柳眉を逆立てて、オカマ四天王に詰め寄る阿修羅。
が、生涯の伴侶をゲットしたオカマほど強いものはない。
「そりゃそうでしょ。この涅槃エレベーターは、お釈迦さま専用のシークレット仕様なんだからさ」
「お釈迦さま?」
「そう。涅槃エレベーターは、釈迦がね、1億年に1回、地獄を視察するのに使う特別製の移動手段なの。だから、ほとんどの者はその存在すら、忘れてるわ」
1億年に1回とは、また悠長な話である。
それではお釈迦様も、地獄界に起きた異変に気づくはずがない。
「でも、そんな有難いエレベーター、勝手に使っちゃったら、それこそお釈迦様の逆鱗に触れて、地獄に落とされるんじゃないですかあ?」
玉がしごくもっともな疑問を口にした。
「それは大丈夫。お釈迦さまはね、とっても忙しいの。なんせ、平行世界を全部見て回らなきゃなんないから。今度この世界に帰ってくるのは、あたしの計算では、7200万年先のことよ。国事行為っていうのかしらね。偉くなればなるほど、仏様もお仕事が大変になるってわけなのよ」
牛頭魔王が、宮内庁の長官みたいな顔で言う。
「よし、決めた。それを使おう」
アンアンがバサッと翼を広げ、決意も新たにそう言った。
「そのエレベーターに乗れば、一気に最下層まで行ける。そういうことなんだろう?」
「そのはずよ。実際、乗ったことはないけれど、たぶん30分もかかんないんじゃないかしら」
最下層の無間地獄まで、たったの30分?
もっと早く教えてほしかった、と思ったのは、おそらく僕だけではあるまい。
「それで、どこにあるの? そのエレベーター?」
阿修羅の問いに、
「ここから2万由旬北の、須弥山の火口の中だけど」
2万由旬?
また出た。
あの謎の単位である。
しかも、須弥山って。
それって、仙人とかが住んでるメチャ高い山なんじゃなかったっけ?
「そんなことだろうと思った」
アンアンは準備運動のように、翼をゆっくり羽ばたかせている。
「今度は空から行こう。元気はあたしが、玉は阿修羅が運べばいい。ナイアルラホテップは自力で飛べるだろうし、いやしくも四天王の端くれなら、おまえにも何か飛行手段くらいあるだろう。それで蚊トンボを運んでやってくれ」
最後のは、牛頭魔王に向けての台詞である。
「お安いご用よ。あたしには紅豚があるもの」
こともなげに牛頭のオカマが答えたけど、何なんだよ、その紅豚って。
”涅槃エレベーター”
なるものの存在だった。
「何それ? 初耳なんだけど」
柳眉を逆立てて、オカマ四天王に詰め寄る阿修羅。
が、生涯の伴侶をゲットしたオカマほど強いものはない。
「そりゃそうでしょ。この涅槃エレベーターは、お釈迦さま専用のシークレット仕様なんだからさ」
「お釈迦さま?」
「そう。涅槃エレベーターは、釈迦がね、1億年に1回、地獄を視察するのに使う特別製の移動手段なの。だから、ほとんどの者はその存在すら、忘れてるわ」
1億年に1回とは、また悠長な話である。
それではお釈迦様も、地獄界に起きた異変に気づくはずがない。
「でも、そんな有難いエレベーター、勝手に使っちゃったら、それこそお釈迦様の逆鱗に触れて、地獄に落とされるんじゃないですかあ?」
玉がしごくもっともな疑問を口にした。
「それは大丈夫。お釈迦さまはね、とっても忙しいの。なんせ、平行世界を全部見て回らなきゃなんないから。今度この世界に帰ってくるのは、あたしの計算では、7200万年先のことよ。国事行為っていうのかしらね。偉くなればなるほど、仏様もお仕事が大変になるってわけなのよ」
牛頭魔王が、宮内庁の長官みたいな顔で言う。
「よし、決めた。それを使おう」
アンアンがバサッと翼を広げ、決意も新たにそう言った。
「そのエレベーターに乗れば、一気に最下層まで行ける。そういうことなんだろう?」
「そのはずよ。実際、乗ったことはないけれど、たぶん30分もかかんないんじゃないかしら」
最下層の無間地獄まで、たったの30分?
もっと早く教えてほしかった、と思ったのは、おそらく僕だけではあるまい。
「それで、どこにあるの? そのエレベーター?」
阿修羅の問いに、
「ここから2万由旬北の、須弥山の火口の中だけど」
2万由旬?
また出た。
あの謎の単位である。
しかも、須弥山って。
それって、仙人とかが住んでるメチャ高い山なんじゃなかったっけ?
「そんなことだろうと思った」
アンアンは準備運動のように、翼をゆっくり羽ばたかせている。
「今度は空から行こう。元気はあたしが、玉は阿修羅が運べばいい。ナイアルラホテップは自力で飛べるだろうし、いやしくも四天王の端くれなら、おまえにも何か飛行手段くらいあるだろう。それで蚊トンボを運んでやってくれ」
最後のは、牛頭魔王に向けての台詞である。
「お安いご用よ。あたしには紅豚があるもの」
こともなげに牛頭のオカマが答えたけど、何なんだよ、その紅豚って。
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