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第3章 阿修羅王
#24 アンアン、激怒する
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「か、かっこいい…」
一ノ瀬が放心したようにつぶやいた。
確かにその通りだった。
ランプの明かりの中にすっくと立った阿修羅は、振るいつきたくなるくらい、さまになっていた。
超ミニのスカートからすらりと伸びた長い脚。
炎のように波打つ髪。
きりっと引き締まった美少女顔。
「お、おのれは、阿修羅王…?」
サマエルの声が裏返った。
この助っ人は、よほど想定外だったらしい。
「第5候補のおまえが、こんなところに何の用だ? なぜ私の婚活の邪魔をする?」
「おまえなんかに、アンアンを渡すわけにはいかないんだよ!」
阿修羅は、両手に金色の短い棒のようなものを構えている。
僕の記憶によれば、あれは独鈷。
インドの神々が持つ武器だ。
煩悩を消滅させる効力があるとかで、日本の仏像がよく手にしている仏具のひとつである。
「卑怯だぞ。おまえは次の次の番だろう? おとなしく順番が来るのを待ってろ。それが筋ってもんだろう?」
「魔界に筋も仁義もないんだよ。それはおまえがいちばんよく知ってるはずだ」
「くそ。あくまで邪魔するつもりなら、まずおまえから片づけてやる!」
サマエルの舌がアンアンを離れ、一斉に阿修羅めがけて襲いかかった。
「来ると思った!」
高らかに笑う阿修羅。
その手が独鈷を風車のように回し始める。
サマエルの舌が扇風機に突っ込んだ幼児の指みたいに、次々にちぎれて飛んだ。
「くうっ!」
6枚の翼を羽ばたかせ、ふわりと宙に舞い上がる。
が、その隙を阿修羅は見逃さなかった。
「もらった!」
いきなり、そのたおやかな手から独鈷が伸びた。
如意棒みたいにギューンと伸びたかと思うと、
ドスッ。
空中でサマエルを串刺しにした。
そのままするする伸び切って、天井にはりつけにしてしまう。
「おのれ! やりおったな!」
針で止められたトンボみたいにサマエルがもがく。
「ええい! 出でよ! アンタレス! 地獄のサソリよ!」
ガシャガシャガシャ。
奥の闇が動いた。
のっそりと、黒光りする頭が現れた。
アンアンに媚薬の毒針をぶちこんだあいつである。
その時だった。
「うわああああっ!」
大地を揺るがすような怒声が響き渡り、ブチブチブチと縄のはじける音がした。
十字架をひきずり倒して、アンアンが立ち上がったのだ。
ようやく、媚薬の効果が切れたに違いない。
迫ってくるサソリに向き直ると、そのしっぽの毒針をかわしながら、
「地獄に堕ちやがれ!」
低い姿勢から、怪物の喉を半回転後ろ蹴りで豪快に蹴り上げた。
頭部をもがれ、サソリの前進が停まる。
その時には、アンアンはすでにその背中に馬乗りになっている。
「これでもくらえ!」
ベキベキベキッ!
渾身のサバ折りで、サソリの身体がエビみたいに背中側にへし折れていった。
毬のような乳房をぶるんと揺らし、アンアンが死んだサソリから飛び降りてくる。
「てめえ、サマエル」
天井を見上げて、怒り狂った獣よろしく大声で吠えた。
「許さない。きさまなんか、細切れに刻んで、ミンチにしてやる!」
一ノ瀬が放心したようにつぶやいた。
確かにその通りだった。
ランプの明かりの中にすっくと立った阿修羅は、振るいつきたくなるくらい、さまになっていた。
超ミニのスカートからすらりと伸びた長い脚。
炎のように波打つ髪。
きりっと引き締まった美少女顔。
「お、おのれは、阿修羅王…?」
サマエルの声が裏返った。
この助っ人は、よほど想定外だったらしい。
「第5候補のおまえが、こんなところに何の用だ? なぜ私の婚活の邪魔をする?」
「おまえなんかに、アンアンを渡すわけにはいかないんだよ!」
阿修羅は、両手に金色の短い棒のようなものを構えている。
僕の記憶によれば、あれは独鈷。
インドの神々が持つ武器だ。
煩悩を消滅させる効力があるとかで、日本の仏像がよく手にしている仏具のひとつである。
「卑怯だぞ。おまえは次の次の番だろう? おとなしく順番が来るのを待ってろ。それが筋ってもんだろう?」
「魔界に筋も仁義もないんだよ。それはおまえがいちばんよく知ってるはずだ」
「くそ。あくまで邪魔するつもりなら、まずおまえから片づけてやる!」
サマエルの舌がアンアンを離れ、一斉に阿修羅めがけて襲いかかった。
「来ると思った!」
高らかに笑う阿修羅。
その手が独鈷を風車のように回し始める。
サマエルの舌が扇風機に突っ込んだ幼児の指みたいに、次々にちぎれて飛んだ。
「くうっ!」
6枚の翼を羽ばたかせ、ふわりと宙に舞い上がる。
が、その隙を阿修羅は見逃さなかった。
「もらった!」
いきなり、そのたおやかな手から独鈷が伸びた。
如意棒みたいにギューンと伸びたかと思うと、
ドスッ。
空中でサマエルを串刺しにした。
そのままするする伸び切って、天井にはりつけにしてしまう。
「おのれ! やりおったな!」
針で止められたトンボみたいにサマエルがもがく。
「ええい! 出でよ! アンタレス! 地獄のサソリよ!」
ガシャガシャガシャ。
奥の闇が動いた。
のっそりと、黒光りする頭が現れた。
アンアンに媚薬の毒針をぶちこんだあいつである。
その時だった。
「うわああああっ!」
大地を揺るがすような怒声が響き渡り、ブチブチブチと縄のはじける音がした。
十字架をひきずり倒して、アンアンが立ち上がったのだ。
ようやく、媚薬の効果が切れたに違いない。
迫ってくるサソリに向き直ると、そのしっぽの毒針をかわしながら、
「地獄に堕ちやがれ!」
低い姿勢から、怪物の喉を半回転後ろ蹴りで豪快に蹴り上げた。
頭部をもがれ、サソリの前進が停まる。
その時には、アンアンはすでにその背中に馬乗りになっている。
「これでもくらえ!」
ベキベキベキッ!
渾身のサバ折りで、サソリの身体がエビみたいに背中側にへし折れていった。
毬のような乳房をぶるんと揺らし、アンアンが死んだサソリから飛び降りてくる。
「てめえ、サマエル」
天井を見上げて、怒り狂った獣よろしく大声で吠えた。
「許さない。きさまなんか、細切れに刻んで、ミンチにしてやる!」
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