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第6章 アンアン魔界行
#5 ここほれ、アンアン④
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アンアンは、なんとも珍妙な格好をしていた。
上はブラジャーだけ。
下には何も穿いていない。
下半身丸裸で畳に尻をつけ、足をMの字に開いて、膝を立てている。
その股の間で動く、茶色い毛玉みたいなものは、おそらくラスだろう。
何かを舐めているのか、ラスはしきりにぺちゃぺちゃ音を立てている。
そのたびにアンアンが肩を震わせ、
「あん、いい、いいよお」
喘ぎとも泣き声ともつかない声を漏らす。
「お、おまえ、何やってるんだよ?」
まずいと思いつつ、気づくとついそう声をかけてしまっていた。
「やんっ!」
股間を押さえて飛び上がるアンアン。
振り向いたアンアンの太腿に流れるのは、溶けたバターとハチミツのようだ。
放り出されたラスが、僕に向かって狂ったように吠える。
角はあるけど、一応、仕草は子犬そのものなのだ。
「ま、まさか…」
僕はまじまじとあられのないアンアンの姿を凝視した。
「これがうわさの、バター犬か…」
一部の女性は、人知れず、陰部にバターやハチミツを塗り、犬に舐めさせ、オナニーをする。
そんな都市伝説のような話を聞いたことがある。
ツチノコ、口裂け女、トイレの花子、クネクネ、八尺様、テケテケ、コトリバコ…。
そんな伝説の延長だと思ってた、バター犬が実在しただと?
だからか。
だから、アンアンは、食料品コーナーで、ラスの舐めそうなものばかり買い込んでいたのだ。
その仰天すべき認識にうちのめされた僕に向かって、泣きながらアンアンが言った。
「だって、みんな元気が悪いんだよ! 好きだ好きだって言うくせに、あたしをこんなになるまで放っておくから! 放置プレイはもうたくさんなの! せめてラスになぐさめてもらいたかったの!」
「え?」
僕の目が点になる。
「それって、俺のせいなのか?」
きゃうん!
せがむように鳴きながら、ラスがアンアンの股間めがけて飛び上がる。
「あたしは子どもじゃないんだよ! 婚約者とひとつ屋根の下に住んでるのに、キスしかさせてもらえないなんて、もう耐えられないんだ!」
涙でいっぱいになった目で、アンアンが睨んできた。
「だって、しょうがないじゃないか!」
僕も負けじと怒鳴り返した。
「そんなことしたら、間違いなく、おまえの父ちゃんに殺される。俺、まだ死にたくないんだよ!」
「そんなの、黙ってれば、わかんないじゃん!」
「壁に耳あり障子に目ありだよ! 魔王ともあろうお方が、大事な娘の言動をチェックしてないはずがない!」
そうだ。
たとえば、あのラスが魔王の手先だという可能性だって、十分ありえるのだ。
「そんなに強情張るなら、行くしかないよね」
ふいに声のトーンを落として、アンアンが言った。
「行くって、どこに?」
つられて聞き返したのが、間違いだった。
アンアンはつきつめた口調で、こう言い放ったのだ。
「魔界だよ。うちの親父のところへさ」
上はブラジャーだけ。
下には何も穿いていない。
下半身丸裸で畳に尻をつけ、足をMの字に開いて、膝を立てている。
その股の間で動く、茶色い毛玉みたいなものは、おそらくラスだろう。
何かを舐めているのか、ラスはしきりにぺちゃぺちゃ音を立てている。
そのたびにアンアンが肩を震わせ、
「あん、いい、いいよお」
喘ぎとも泣き声ともつかない声を漏らす。
「お、おまえ、何やってるんだよ?」
まずいと思いつつ、気づくとついそう声をかけてしまっていた。
「やんっ!」
股間を押さえて飛び上がるアンアン。
振り向いたアンアンの太腿に流れるのは、溶けたバターとハチミツのようだ。
放り出されたラスが、僕に向かって狂ったように吠える。
角はあるけど、一応、仕草は子犬そのものなのだ。
「ま、まさか…」
僕はまじまじとあられのないアンアンの姿を凝視した。
「これがうわさの、バター犬か…」
一部の女性は、人知れず、陰部にバターやハチミツを塗り、犬に舐めさせ、オナニーをする。
そんな都市伝説のような話を聞いたことがある。
ツチノコ、口裂け女、トイレの花子、クネクネ、八尺様、テケテケ、コトリバコ…。
そんな伝説の延長だと思ってた、バター犬が実在しただと?
だからか。
だから、アンアンは、食料品コーナーで、ラスの舐めそうなものばかり買い込んでいたのだ。
その仰天すべき認識にうちのめされた僕に向かって、泣きながらアンアンが言った。
「だって、みんな元気が悪いんだよ! 好きだ好きだって言うくせに、あたしをこんなになるまで放っておくから! 放置プレイはもうたくさんなの! せめてラスになぐさめてもらいたかったの!」
「え?」
僕の目が点になる。
「それって、俺のせいなのか?」
きゃうん!
せがむように鳴きながら、ラスがアンアンの股間めがけて飛び上がる。
「あたしは子どもじゃないんだよ! 婚約者とひとつ屋根の下に住んでるのに、キスしかさせてもらえないなんて、もう耐えられないんだ!」
涙でいっぱいになった目で、アンアンが睨んできた。
「だって、しょうがないじゃないか!」
僕も負けじと怒鳴り返した。
「そんなことしたら、間違いなく、おまえの父ちゃんに殺される。俺、まだ死にたくないんだよ!」
「そんなの、黙ってれば、わかんないじゃん!」
「壁に耳あり障子に目ありだよ! 魔王ともあろうお方が、大事な娘の言動をチェックしてないはずがない!」
そうだ。
たとえば、あのラスが魔王の手先だという可能性だって、十分ありえるのだ。
「そんなに強情張るなら、行くしかないよね」
ふいに声のトーンを落として、アンアンが言った。
「行くって、どこに?」
つられて聞き返したのが、間違いだった。
アンアンはつきつめた口調で、こう言い放ったのだ。
「魔界だよ。うちの親父のところへさ」
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