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#13 イオン・ラビリンス②
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「う、腕が・・・」
眼を飛び出さんばかりに見開いた僕に、
「よく見て」
叱るようにあずみが言った。
「それは人形。こいつら、みんな」
「に、人形?」
「危ない! お兄ちゃんは下がってて!」
唸りを上げて、霧の中から今度は金属の棒が飛び出してきた。
それを左手の上腕部で受け、あずみが黒い影に向かって右のストレートを叩き込む。
何かが折れるような音がして、ボールみたいなものが放物線を描いて吹っ飛んだ。
間髪を入れず左右から襲いかかる影めがけて、あずみの長くしなやかな両足が続けざまに蹴りを放つ。
あずみがキックを見舞うたび、短いスカートが翻り、太腿のつけ根あたりまでがあらわになる。
倒れ込んできた何者かのうなじに踵落としを食らわせると、すかさず跳躍して霧の向こうに飛び込んでいく。
衣ずれの音と格闘の音が響き、霧が次第に薄らいできた。
バラバラになったおびただしい人体のパーツが見えてきた。
動くもののないだだっ広い空間に、こぶしを握りしめ、両足を肩の広さほどに開いてあずみが立っている。
あずみの周りに散らばっているのは、よく見るとみんなマネキン人形の身体の一部だった。
信じられなかった。
僕らに襲いかかってきたのは、さまざまな得物を手にした動くマネキンの大群だったのだ。
霧が晴れると、ようやく周囲の様子がはっきり見えてきた。
コンクリート打ちっ放しの壁に囲まれた、倉庫のような場所である。
中央に木箱が積まれ、黄色に塗られたフォークリフトが一台、巨大な昆虫の死骸みたいにうずくまっている。
その向こうに両開きの鉄の扉が見える。
なんだ。
僕は安堵の吐息をついた。
異世界にでも迷いこんだかと錯覚したけど、改めて見回すと、ここはただの倉庫である。
「お兄ちゃん、大丈夫? 怪我、なかった?」
僕のそばに戻ってくると、手の甲で額の汗を拭ってあずみが訊いてきた。
たわわな胸が規則正しく上下しているほかは、特に息を切らしている様子もない。
「そういうおまえこそ」
「僕の視線に、あずみがまず腕、そして次にスカートをめくって脚をさらけ出してみせた。
さすがマルデックの戦士の末裔。
そのすべすべした肌には、擦り傷ひとつ、ついていない。
「なんか色々ヤバそうだね」
周りを見回して、あずみがつぶやいた。
「究極少女隊だったっけ。どうもただのアイドルグループじゃないみたい。ちょっと調べてみる必要があるかも」
眼を飛び出さんばかりに見開いた僕に、
「よく見て」
叱るようにあずみが言った。
「それは人形。こいつら、みんな」
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それを左手の上腕部で受け、あずみが黒い影に向かって右のストレートを叩き込む。
何かが折れるような音がして、ボールみたいなものが放物線を描いて吹っ飛んだ。
間髪を入れず左右から襲いかかる影めがけて、あずみの長くしなやかな両足が続けざまに蹴りを放つ。
あずみがキックを見舞うたび、短いスカートが翻り、太腿のつけ根あたりまでがあらわになる。
倒れ込んできた何者かのうなじに踵落としを食らわせると、すかさず跳躍して霧の向こうに飛び込んでいく。
衣ずれの音と格闘の音が響き、霧が次第に薄らいできた。
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動くもののないだだっ広い空間に、こぶしを握りしめ、両足を肩の広さほどに開いてあずみが立っている。
あずみの周りに散らばっているのは、よく見るとみんなマネキン人形の身体の一部だった。
信じられなかった。
僕らに襲いかかってきたのは、さまざまな得物を手にした動くマネキンの大群だったのだ。
霧が晴れると、ようやく周囲の様子がはっきり見えてきた。
コンクリート打ちっ放しの壁に囲まれた、倉庫のような場所である。
中央に木箱が積まれ、黄色に塗られたフォークリフトが一台、巨大な昆虫の死骸みたいにうずくまっている。
その向こうに両開きの鉄の扉が見える。
なんだ。
僕は安堵の吐息をついた。
異世界にでも迷いこんだかと錯覚したけど、改めて見回すと、ここはただの倉庫である。
「お兄ちゃん、大丈夫? 怪我、なかった?」
僕のそばに戻ってくると、手の甲で額の汗を拭ってあずみが訊いてきた。
たわわな胸が規則正しく上下しているほかは、特に息を切らしている様子もない。
「そういうおまえこそ」
「僕の視線に、あずみがまず腕、そして次にスカートをめくって脚をさらけ出してみせた。
さすがマルデックの戦士の末裔。
そのすべすべした肌には、擦り傷ひとつ、ついていない。
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