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#26 あずみ、得意のパンチラで怪異を圧倒する⑧
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門の屋根には、流麗な墨文字で『猫又寺』と書かれた看板が下がっている。
ここは大猫観音商店街だから、猫にこだわるのはわからないでもないけれど、寺の名前に猫又とは。
門をくぐると、50メートルほど先にまた冠木門が建っているのが見えた。
規模としては奥の門のほうが大きく、柱にも年季が入っているようだ。
ふたつめの門は左右に空洞があり、そこに異様なものが屹立していた。
身長10メートルはあろうという、木像である。
「どっかで見たことがあるね。これ」
両側の木の像を見上げて、あずみが言った。
「あれだろ? 東大寺南大門の金剛力士像。ほら、歴史の教科書なんかによく載ってた」
「それそれ。苦虫を噛み潰したみたいな顔といい、そっくりじゃない?」
あずみに言われるまでもなく、僕もその相似に気づいていた。
筋骨隆々とした逆三角形の上半身。
左右対称の像は、鏡に映したように反対側の腕を振り上げたまま、静止している。
ただ、金剛力士像と決定的に異なる点は、この寺の像は振り上げた手にむき身の刀を握っているところである。
しかも、不思議なことに、刀の刃の部分は明らかに金属製で、研がれたばかりのように陽射しを反射している。
「誰もいないね。どうしてかな。ここ、人気ないのかな」
先に二番目の門を通り抜け、境内を眺める位置に立って、あずみが言った。
確かにその通りだった。
森に囲まれた境内には波紋を描く白い砂の海が広がるばかりで、参拝客の姿はかけらもない。
それどころか、白砂には足跡ひとつついていないありさまだった。
右手に平屋建ての建物。
左手に井戸。
正面のやたら屋根の大きい建物が、本堂なのだろう。
それにしても静かだった。
これだけ樹木があれば、時節柄、蝉しぐれぐらい聞こえてもいいはずである。
それが、まったくない。
「あずみ、引き返さないか。俺、なんだか嫌な予感がするんだが」
僕は真夏の太陽の中に立つあずみに向けて、ついそう声をかけていた。
狛犬に引き裂かれたせいで、あずみのスカートは腰のあたりまで派手にスリットが入ってしまっている。
だからただでさえ長い脚が余計に長く見え、きゅっとくびれた腰とその上の巨乳と相まって、まるで地上に降臨した女神のように見えた。
「せっかくだから、本堂をのぞいてみようよ。究極少女隊の劇場って、あれかもよ」
あずみが答えた、その時である。
ふいに背後で何かが軋るような気配がしたかと思うと、バタンと大きな音が響き渡った。
「あれ?」
振り返ったあずみの目が点になる。
「どうなってるの? 門が閉まっちゃったけど」
「な、なんだって?」
つられて後ろを振り向いた僕は、そこであっと息を呑んだ。
ふと、黒い巨大な影が、重々しくその一歩を踏み出すのが見えたのだ。
ここは大猫観音商店街だから、猫にこだわるのはわからないでもないけれど、寺の名前に猫又とは。
門をくぐると、50メートルほど先にまた冠木門が建っているのが見えた。
規模としては奥の門のほうが大きく、柱にも年季が入っているようだ。
ふたつめの門は左右に空洞があり、そこに異様なものが屹立していた。
身長10メートルはあろうという、木像である。
「どっかで見たことがあるね。これ」
両側の木の像を見上げて、あずみが言った。
「あれだろ? 東大寺南大門の金剛力士像。ほら、歴史の教科書なんかによく載ってた」
「それそれ。苦虫を噛み潰したみたいな顔といい、そっくりじゃない?」
あずみに言われるまでもなく、僕もその相似に気づいていた。
筋骨隆々とした逆三角形の上半身。
左右対称の像は、鏡に映したように反対側の腕を振り上げたまま、静止している。
ただ、金剛力士像と決定的に異なる点は、この寺の像は振り上げた手にむき身の刀を握っているところである。
しかも、不思議なことに、刀の刃の部分は明らかに金属製で、研がれたばかりのように陽射しを反射している。
「誰もいないね。どうしてかな。ここ、人気ないのかな」
先に二番目の門を通り抜け、境内を眺める位置に立って、あずみが言った。
確かにその通りだった。
森に囲まれた境内には波紋を描く白い砂の海が広がるばかりで、参拝客の姿はかけらもない。
それどころか、白砂には足跡ひとつついていないありさまだった。
右手に平屋建ての建物。
左手に井戸。
正面のやたら屋根の大きい建物が、本堂なのだろう。
それにしても静かだった。
これだけ樹木があれば、時節柄、蝉しぐれぐらい聞こえてもいいはずである。
それが、まったくない。
「あずみ、引き返さないか。俺、なんだか嫌な予感がするんだが」
僕は真夏の太陽の中に立つあずみに向けて、ついそう声をかけていた。
狛犬に引き裂かれたせいで、あずみのスカートは腰のあたりまで派手にスリットが入ってしまっている。
だからただでさえ長い脚が余計に長く見え、きゅっとくびれた腰とその上の巨乳と相まって、まるで地上に降臨した女神のように見えた。
「せっかくだから、本堂をのぞいてみようよ。究極少女隊の劇場って、あれかもよ」
あずみが答えた、その時である。
ふいに背後で何かが軋るような気配がしたかと思うと、バタンと大きな音が響き渡った。
「あれ?」
振り返ったあずみの目が点になる。
「どうなってるの? 門が閉まっちゃったけど」
「な、なんだって?」
つられて後ろを振り向いた僕は、そこであっと息を呑んだ。
ふと、黒い巨大な影が、重々しくその一歩を踏み出すのが見えたのだ。
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