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「何なの? 話って?」
どうせ大したことじゃないだろう。
そう高をくくってたずねたのが、間違いだった。
「旧墓地の近くに、小梅街道ってあるでしょ?」
誰も聞いていないのを確かめるように、周囲を見回すと、五郎君が耳打ちしてきた。
「やだ、もしかして、怖い話系?」
私は怪談の類いが苦手である。
ナメクジや虫も苦手だけど、心霊現象はもっとやだ。
とはいっても、根が鈍感なのか、これまで幽霊とか、一度も見たことがないんだけど。
「あの道、近くに新道ができてからは、めったに車、通らないんすけどね。でも、やむを得ない事情で、1台のタクシーがそこを通ったと思ってください」
五郎君は、かまわず話を進めていく。
「そんなこと思いたくないんだけどなあ。どうせ深夜なんでしょ」
「そうっす。で、トンネルにさしかかった」
旧墓地というのは、さっき私と翔ちゃんが近くまで行った里山とは、町を挟んだ反対側にある。
こちらもこんもりとした山になっていて、そのふもとを旧道にあたる小梅街道が取り巻いている。
小梅街道にはトンネルがいくつかあり、昔からその手の怪談話のメッカになっていた。
「そうしてタクシーが、トンネルの半ばに差し掛かった時のことっす。ふと運転手がバックミラーを見ると、そこに…」
「長い髪で顔を隠した、白装束の女が乗っていた? どうせそう言いたいんでしょ?」
「それが、違うんっす」
五郎君が、突然ぐいと歯茎を剥き出した。
「口、だったんす。バックミラーに映ってたの。こういうふうに、歯茎を剥き出した、口」
「な、何よ、それ」
私はビビった。
ビビるあまり、作りかけのほいほいをぐしゃりと潰してしまった。
「出たんっすよ。カミコが」
「カミコ?」
「知らないんっすか? 今、ネットで話題の都市伝説。呪った相手を噛み殺す化け物、”噛み子”っすよ」
どうせ大したことじゃないだろう。
そう高をくくってたずねたのが、間違いだった。
「旧墓地の近くに、小梅街道ってあるでしょ?」
誰も聞いていないのを確かめるように、周囲を見回すと、五郎君が耳打ちしてきた。
「やだ、もしかして、怖い話系?」
私は怪談の類いが苦手である。
ナメクジや虫も苦手だけど、心霊現象はもっとやだ。
とはいっても、根が鈍感なのか、これまで幽霊とか、一度も見たことがないんだけど。
「あの道、近くに新道ができてからは、めったに車、通らないんすけどね。でも、やむを得ない事情で、1台のタクシーがそこを通ったと思ってください」
五郎君は、かまわず話を進めていく。
「そんなこと思いたくないんだけどなあ。どうせ深夜なんでしょ」
「そうっす。で、トンネルにさしかかった」
旧墓地というのは、さっき私と翔ちゃんが近くまで行った里山とは、町を挟んだ反対側にある。
こちらもこんもりとした山になっていて、そのふもとを旧道にあたる小梅街道が取り巻いている。
小梅街道にはトンネルがいくつかあり、昔からその手の怪談話のメッカになっていた。
「そうしてタクシーが、トンネルの半ばに差し掛かった時のことっす。ふと運転手がバックミラーを見ると、そこに…」
「長い髪で顔を隠した、白装束の女が乗っていた? どうせそう言いたいんでしょ?」
「それが、違うんっす」
五郎君が、突然ぐいと歯茎を剥き出した。
「口、だったんす。バックミラーに映ってたの。こういうふうに、歯茎を剥き出した、口」
「な、何よ、それ」
私はビビった。
ビビるあまり、作りかけのほいほいをぐしゃりと潰してしまった。
「出たんっすよ。カミコが」
「カミコ?」
「知らないんっすか? 今、ネットで話題の都市伝説。呪った相手を噛み殺す化け物、”噛み子”っすよ」
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