異世界転生して謎のリングをアソコに装着したらエロ魔導士になりましたとさ

戸影絵麻

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#73 美尻の逆襲

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 それは、ちょっとした見ものだった。

 まさしく、これぞ召喚魔法、といった感じなのだ。

 まるでハイスペックなゲーム機で、美麗なムービーシーンを鑑賞しているような、そんなゴージャスさである。

 まず、空に、稲妻が走った。

 縦横無尽に閃く稲妻で、空気がビリビリ帯電し始めるのがわかった。
 
 次に、雲が沸き上がった。

 コップに墨汁を流したみたいな、真っ黒な雲塊である。

 もくもくと黒雲が垂れ込め、稲妻のはためく空間を球状に囲んでいく。

 ハレーションを起こしたように、大気それ自体が明減し始めたかと思うと、突如として空間が鏡になった。

 そして。

 バリン。

 それを向こう側から長い脚で蹴り破って、光り輝く召喚獣が現れた。

 砕けたガラスの破片のようなものが四散しー。

 その後に出現したのは、身長10メートルはありそうな、全裸の女だった。

 長くしなやかな髪をなびかせて宙を漂い、瞳孔のない金色の瞳で、じっと下界を睥睨している。

 超ド級のロケットおっぱい。

 芸術的ともいえる、くびれた腰から張り出した尻へと流れる体のライン。

 サイズは途方もないが、よく見ると、どこかで見た体つき、顔つきをしていた。

 てか、なにあれ。

 あの召喚獣って、私じゃん。

 つまり、この召喚魔法。

 巨大化した私の分身を呼び出す魔法だったというわけか。

 巨大な女体が登場した瞬間、てっきりシヴァかカーリーだと思ってワクワクしたのだけど、まさか自分だったとは。

 なんとなく拍子抜けした気分だったが、それでも気を持ち直して観察してみると、身長10メートルの私はそれなりに美しく、しかも強そうで、そこそこサマになっているようだった。

 何よりも、私の代わりに戦ってくれるというのが、最大の強みである。

「行け! 私! やっておしまい!」

 両手でメガホンをつくり、私は”私”に声援を送った。

 声が届いたのか、空中に浮かんだまま、重重しくうなずくもうひとりの私。

 何する気だろう?

 興味津々で見ていると、いきなり両足をVの字に上げて、その足首を両手でつかんだ。

 見事なV字開脚。

 落下寸前の核弾頭みたいに、つややかで巨大な美尻を下につき出している。

 うは、ちょっと。

 そんな恰好したら、大事なとこが見えちゃうじゃん!

 召喚獣が、何かひと声叫んだようだった。

 声にならぬ雄叫びが耳をつんざきー。

 下界でうごめくゾンビの群れの真っ只中に、”私”は尻から落下した。

 膨大な質量を持つ肌色の尻が、ぐんぐん接近してくる。

 完ぺきなフォルムを誇る、ほれぼれするような美尻である。

 衝撃波が大地を凪いだ。

 密林が揺れた。

 グエエエエエッ!

 ゾンビのいたあたりで、阿鼻叫喚、断末魔の悲鳴が爆発する。

「やりィ!」

 私は右手を天に向かってつき上げた。 

 逃げる暇も与えず、巨大な尻がゾンビどもを一気に押しつぶしたのだ。

 落下の瞬間生まれた激烈な衝撃波で、離れたところにいたやつまでぐちゃぐちゃになっている。

 ふと気がつくと、私は懸命に拍手していた。

 まさに美尻ボンバー。
 
 私だって、やればできるじゃない!

 尻に付着したゾンビの残骸を払って立ち上がると、召喚獣が私に向かって優雅に一礼した。

 私そのものの外見だけど、瞳が金色なので、その分女神チックに神々しい。

 そびえ立つナイスバディが徐々に透明になっていき、そしてそのまま、音もなく消えていく。

「な、なんだ? 今のは?」

 頭上からラルクの声がした。

「もしかして、新魔法なのか? なんか、でかい女神が出てきた気がしたんだが」

「召喚魔法よ」

 ほぼ全滅したゾンビどものなれの果てを眺めながら、私は答えた。

「名付けて”美尻ボンバー”。ふふっ、どうやら私ってば、これで無敵になったみたいだね」

 
 
  

 

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