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#111 浮遊都市ポラリスの秘密⑪
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店から一歩外に出ると、通路にあふれていた買い物客たちが、一斉に引いていくのが分かった。
誰もが私から一定の距離を取り、ありえないものを見たといった表情をその顔に浮かべている。
それも無理はない。
胸を強調した真紅の革のビスチェ。
その下は、これも赤のシースルーTバックショーツ。
白昼堂々と外を歩ける衣装ではないのだ。
「みんなドン引きしてるんだけど」
私は恨めしげに傍らのソフィアに耳打ちした。
ソフィア自身は下着を替えただけで外見は女戦士の戦闘服姿だから、恥ずかしさを感じないで済んでいるのだ。
「しょうがないでしょ。勇者とはそういうものよ」
よくわからない理屈をソフィアがこねる。
「前の服より防御力は確実に上がってるし、いかにも魔導士っぽくてあたしは好き」
確かにセーラー服よりこのビスチェのほうが硬そうだが、下半身は逆に弱体化してる気がする。
このショーツよりは、ブルマのほうがまだましだったぞ。
でも、考えてみればこのコスチューム、ビスチェの胸カバーを外すだけでで乳首ミサイルを発射できるし、ショーツも薄いから、中に手を入れなくても、上からクリちゃんボタンを押せる点はいい。
だから、確かにソフィアの言うように、エロ魔導士的といえないこともない。
「あ、そうだ。服に合わせて髪型も変えてみない? ストレートヘアもいいけどさ、茶色に染めてブローしてクルリンってカールさせるともっと女王様っぽくていいと思う」
なるほど。
ちょうど今から一平たちと床屋で合流するわけだから、私もやってもらおうかな。
そんなことを考えながら、ソフィアを腕にまといつかせて通路を歩く。
歩き方は必然的にモンローウォークである。
体型が大幅に変わり、身長が伸びてお尻がでかくなったため、自然にこうなってしまうのだ。
通路の反対側に床屋はあった。
一平たちはすでに散髪を済ませて外で待っていたのだが、私を見るなり、
「げ」
まず一平が鼻を押さえてうずくまった。
見ると手のひらの間からだらだら鼻血を垂れ流している。
「うひょひょひょーい!」
キテレツな声を発して突進してきたのは、幽霊のコボちゃんである。
胸に触ろうという腹らしいが、そこは肉体を持たぬ者の悲しさ、すうっと私の体を通り抜けてしまった。
「あのさ、あたしたちもちょっと髪の毛調えてもらうから、男性陣はもう少し時間潰してて」
ソフィアが言うと、
「それはいいが、俺たちの使命を忘れるな」
ラルクが渋い顔をしてみせた。
「曲がりなりにもこれは、魔王を倒す旅の途中だぞ。買い物だの美容だのに時間を費やしていていいはずがない」
「しょうがないじゃん。あたしたち、年頃の女の子なんだから」
文明の虚飾に眼がくらんだのか、ソフィアのわがまま度が増している。
「ま、固いこといいっこなし。おいらたちはさ、その間ゲームコーナーで、魔王退治の練習してようぜ」
一平がソフィアの肩を持つ。
まったくもって、のんびりしたパーティである。
「しょうがないな。じゃ、1時間後にまたここに戻ってくるから、それまでに済ませておいてくれ」
遠ざかるラルクと一平の背中を見送ると、にこにこしながらソフィアが言った。
「この町、いいよね。楽しくて。あたし、魔王退治なんかやめて、なんだかここに住みたくなってきちゃった」
誰もが私から一定の距離を取り、ありえないものを見たといった表情をその顔に浮かべている。
それも無理はない。
胸を強調した真紅の革のビスチェ。
その下は、これも赤のシースルーTバックショーツ。
白昼堂々と外を歩ける衣装ではないのだ。
「みんなドン引きしてるんだけど」
私は恨めしげに傍らのソフィアに耳打ちした。
ソフィア自身は下着を替えただけで外見は女戦士の戦闘服姿だから、恥ずかしさを感じないで済んでいるのだ。
「しょうがないでしょ。勇者とはそういうものよ」
よくわからない理屈をソフィアがこねる。
「前の服より防御力は確実に上がってるし、いかにも魔導士っぽくてあたしは好き」
確かにセーラー服よりこのビスチェのほうが硬そうだが、下半身は逆に弱体化してる気がする。
このショーツよりは、ブルマのほうがまだましだったぞ。
でも、考えてみればこのコスチューム、ビスチェの胸カバーを外すだけでで乳首ミサイルを発射できるし、ショーツも薄いから、中に手を入れなくても、上からクリちゃんボタンを押せる点はいい。
だから、確かにソフィアの言うように、エロ魔導士的といえないこともない。
「あ、そうだ。服に合わせて髪型も変えてみない? ストレートヘアもいいけどさ、茶色に染めてブローしてクルリンってカールさせるともっと女王様っぽくていいと思う」
なるほど。
ちょうど今から一平たちと床屋で合流するわけだから、私もやってもらおうかな。
そんなことを考えながら、ソフィアを腕にまといつかせて通路を歩く。
歩き方は必然的にモンローウォークである。
体型が大幅に変わり、身長が伸びてお尻がでかくなったため、自然にこうなってしまうのだ。
通路の反対側に床屋はあった。
一平たちはすでに散髪を済ませて外で待っていたのだが、私を見るなり、
「げ」
まず一平が鼻を押さえてうずくまった。
見ると手のひらの間からだらだら鼻血を垂れ流している。
「うひょひょひょーい!」
キテレツな声を発して突進してきたのは、幽霊のコボちゃんである。
胸に触ろうという腹らしいが、そこは肉体を持たぬ者の悲しさ、すうっと私の体を通り抜けてしまった。
「あのさ、あたしたちもちょっと髪の毛調えてもらうから、男性陣はもう少し時間潰してて」
ソフィアが言うと、
「それはいいが、俺たちの使命を忘れるな」
ラルクが渋い顔をしてみせた。
「曲がりなりにもこれは、魔王を倒す旅の途中だぞ。買い物だの美容だのに時間を費やしていていいはずがない」
「しょうがないじゃん。あたしたち、年頃の女の子なんだから」
文明の虚飾に眼がくらんだのか、ソフィアのわがまま度が増している。
「ま、固いこといいっこなし。おいらたちはさ、その間ゲームコーナーで、魔王退治の練習してようぜ」
一平がソフィアの肩を持つ。
まったくもって、のんびりしたパーティである。
「しょうがないな。じゃ、1時間後にまたここに戻ってくるから、それまでに済ませておいてくれ」
遠ざかるラルクと一平の背中を見送ると、にこにこしながらソフィアが言った。
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