異世界転生して謎のリングをアソコに装着したらエロ魔導士になりましたとさ

#190 初子と怪獣大戦争⑰

　というわけで、約1分後、私＝初子は、沈みゆく夕日を背中にして、その大猿と向かい合っていた。
　画面には、ご丁寧にも、女神が手書きで書いた丸文字で、

　重火器禁止

　周辺住民の迷惑になるため、おっぱいロケット、乳首ミサイル等の使用は禁止とさせていただきます

　なんてテロップが、右から左へとスクロールしている始末。

　仕方がない。
　ここはまず、格闘技で相手をけん制しておくか。
　昔テレビで見た変身巨大ヒーローのポーズを思い出し、初子に真似させてみた。
　でも、へっぴり腰の下着姿の女子高生みたいで、あんまり恰好よくはない。
　ほれほれ。
　ジャブを放つマネをしてみたら、
「がおおおお！」
　大猿、えーっと、名前はなんだっけ？
　キング権太？　
　じゃなくて、キングゴロー？
　がひと声吠えて、牙をむき出し、上体を大きく反らして、どんどこどんどこ胸板を叩き始めた。
　お。出た出た。
　ゴリラのお家芸、ドラミングじゃん。
　うう、近くで見ると、すごい迫力。
　戦闘開始の合図ってことかな？
　それともあいさつ？
　戦国時代の武将みたいに、名乗りを上げてから戦おうってか？
　でも、初子にそのマネをしろってのは、ちょい勘弁してほしい。
　だって、大事なおっぱいが潰れちゃったら、あんた、どう責任とってくれるのよ？
　などといらぬことを考えてたら、
　馬鹿に長い腕が、ぐわっと伸びてきて私＝初子の右手首をつかんできやがった。
　－ほら、いわんこっちゃない。やくたいもないこと、いつまでも考えてるからですよー
　女神の叱咤の声が飛んできた。
　－だいたい翔子はインドア派すぎるんです。悪く言えばオタクっぽいっていうか。もっと考えるより先に、行動しないと。下手な考え、休むに似たり、っていいますでしょ？ー
　むう。　
　余計なお世話だ。
　私は子供の頃から慎重な性格なのだ。
　確かにスポーツや旅行より、読書や漫画や映画鑑賞のほうが好きだけど、それがどうした？
　私だって、少しはその内向的な性格を改善しようと、にわか釣りガールになったのに、そしたらその結果、どうなったと思う？
　尿意を催して、草むらで座りションしてるとこに某国のミサイル攻撃でしょ？
　でもって、異世界転生させられて、変てこなリング恥ずかしい所に嵌められて、そんでもってエロ魔導士になって、よくわからない冒険に巻き込まれて、で、結果、巨大女子高生ロボットに乗って体長50メートルもあるゴリラとご対面なんだよ！
　つまりそれって、慣れないことはやるなってことじゃん！
　などと考えていると、今度は羽交い絞めにされた。
　まずい。
　このゴリラ、やっぱりオスか。
　なんだか後ろから、初子のおっぱい、もみもみしてるんですけど。
　－あーあ、また余分なこと考えてるからー
　呆れたように女神が言った。
　－もう少し真剣にやらないと！　ほっんと、いいかげんにしてくださいね！　翔子、あなた、この貴重なマザーファッカー初号機を、このいやらしい怪獣にみすみす犯させるつもりですか？－