199 / 246
#197 怪獣島を脱出せよ!④
しおりを挟む
女神の”声”に視線を転じると、あの青いビニールシートが動き始めていた。
ドーム型のシートのへりがめくれ、その下から何かバカでかいものが姿を現そうとしているのだ。
その小さな山ほどある塊に向かって両手を広げているのは、アラクネである。
「出でよ! エロドータス! いよいよおまえの出番だよ!」
アラクネがそう言い終わるか終わらないかのうちだった。
ガオーッ!
いかにも怪獣らしい咆哮とともに、そいつが現れた。
ひと言でいうと、巨大な亀である。
全身黄土色で、奇妙な形をしている。
甲羅も頭も、扁平なひし形なのだ。
真上から見ると、小さい木の葉と大きい木の葉をを2枚縦に連ねたように見えるそいつの異形には、なんとなく見覚えがあった。
元の世界に居た頃、近所の熱帯魚屋さんで売っていた南米産の亀、マタマタである。
マタマタは長い首とひし形の頭を持つ奇妙な亀で、成長すると体長40センチにも達する。
人間に噛みついたりはしないが、厄介なのは生餌しか食べないことだ。
ひし形の頭部に突き出た細長い鼻で獲物の匂いを察知し、水と一緒にぱくりと飲み込んでしまうのである。
告白しよう。
私は亀好きである。
子供の頃から数えてみても、これまで、イシガメ、クサガメ、ミドリガメなどのスタンダードな亀はだいたい飼っている。
ペットとして亀の優れている点は、ずぼらな私でもちゃんと飼育できることだ。
毎日餌をやらなくてもいいし、散歩の必要もない。
旅行で数日家を空けても、帰ってくるとしっかり生きててくれるし、もちろん吠えたり噛みついたりもしない。
そんなわけで私はそいつの正体をひと目でマタマタだと見抜いたのだったけど、だからといって、何か特別にいいことがあるわけではなかった。
なんせ相手が大きすぎるし、アラクネが絡んでいるのだから、どうしたって亀というより怪獣である。
キング・ゴローに続いて、初子の行く手を阻む大怪獣がまたしても出現したというわけだ。
アラクネの叫びから判断するに、どうやら”エロドータス”という不届きな名前らしい。
なぜエロなんだろう?
そう思って初子の視界をズームアップした私は、あることに気づいてぎょっとなった。
エロドータスの口の上から伸びた細長い鼻の形が、どうもオリジナルと違う。
なぜかそこだけ、薄気味の悪い男性器の形をしているのである。
いやな予感がした。
とてつもなく嫌な予感だ。
アラクネは身軽に飛び上がると、エロドータスの身体を駆け上り、長い首をたどって後頭部に到達した。
首の近くに透明な丸い風防があり、どうやらそこに乗りこんで怪獣を操作する気らしい。
操縦席に落ち着いたアラクネが、私を見上げた。
「覚悟おし! このエロ魔導士め! 今度こそ、このエロドータスでめちゃくちゃにしてやるからな!」
スピーカーでも仕込んであるのか、亀怪獣の口からアラクネの声が飛び出してきた。
分割画面には、巨大マタマタと対峙するエロチックなメイド服姿の初子が映っている。
「仕方ない。やりますか」
私はため息をついた。
幸い、ゴロー戦の時と違い、すでに敵に見つかってしまっているのだから、使用するエロ魔法を選ぶ必要はない。
こうなったら、総攻撃をしかけて強力なエロ魔法の連射で一気に亀ごとアラクネを葬り去るだけだ。
「じゃあ、まずはこれから」
私=初子は、むき出しの両腕を天につき上げて叫んだ。
「行け! 召喚魔法、美尻ボンバー!」
ドーム型のシートのへりがめくれ、その下から何かバカでかいものが姿を現そうとしているのだ。
その小さな山ほどある塊に向かって両手を広げているのは、アラクネである。
「出でよ! エロドータス! いよいよおまえの出番だよ!」
アラクネがそう言い終わるか終わらないかのうちだった。
ガオーッ!
いかにも怪獣らしい咆哮とともに、そいつが現れた。
ひと言でいうと、巨大な亀である。
全身黄土色で、奇妙な形をしている。
甲羅も頭も、扁平なひし形なのだ。
真上から見ると、小さい木の葉と大きい木の葉をを2枚縦に連ねたように見えるそいつの異形には、なんとなく見覚えがあった。
元の世界に居た頃、近所の熱帯魚屋さんで売っていた南米産の亀、マタマタである。
マタマタは長い首とひし形の頭を持つ奇妙な亀で、成長すると体長40センチにも達する。
人間に噛みついたりはしないが、厄介なのは生餌しか食べないことだ。
ひし形の頭部に突き出た細長い鼻で獲物の匂いを察知し、水と一緒にぱくりと飲み込んでしまうのである。
告白しよう。
私は亀好きである。
子供の頃から数えてみても、これまで、イシガメ、クサガメ、ミドリガメなどのスタンダードな亀はだいたい飼っている。
ペットとして亀の優れている点は、ずぼらな私でもちゃんと飼育できることだ。
毎日餌をやらなくてもいいし、散歩の必要もない。
旅行で数日家を空けても、帰ってくるとしっかり生きててくれるし、もちろん吠えたり噛みついたりもしない。
そんなわけで私はそいつの正体をひと目でマタマタだと見抜いたのだったけど、だからといって、何か特別にいいことがあるわけではなかった。
なんせ相手が大きすぎるし、アラクネが絡んでいるのだから、どうしたって亀というより怪獣である。
キング・ゴローに続いて、初子の行く手を阻む大怪獣がまたしても出現したというわけだ。
アラクネの叫びから判断するに、どうやら”エロドータス”という不届きな名前らしい。
なぜエロなんだろう?
そう思って初子の視界をズームアップした私は、あることに気づいてぎょっとなった。
エロドータスの口の上から伸びた細長い鼻の形が、どうもオリジナルと違う。
なぜかそこだけ、薄気味の悪い男性器の形をしているのである。
いやな予感がした。
とてつもなく嫌な予感だ。
アラクネは身軽に飛び上がると、エロドータスの身体を駆け上り、長い首をたどって後頭部に到達した。
首の近くに透明な丸い風防があり、どうやらそこに乗りこんで怪獣を操作する気らしい。
操縦席に落ち着いたアラクネが、私を見上げた。
「覚悟おし! このエロ魔導士め! 今度こそ、このエロドータスでめちゃくちゃにしてやるからな!」
スピーカーでも仕込んであるのか、亀怪獣の口からアラクネの声が飛び出してきた。
分割画面には、巨大マタマタと対峙するエロチックなメイド服姿の初子が映っている。
「仕方ない。やりますか」
私はため息をついた。
幸い、ゴロー戦の時と違い、すでに敵に見つかってしまっているのだから、使用するエロ魔法を選ぶ必要はない。
こうなったら、総攻撃をしかけて強力なエロ魔法の連射で一気に亀ごとアラクネを葬り去るだけだ。
「じゃあ、まずはこれから」
私=初子は、むき出しの両腕を天につき上げて叫んだ。
「行け! 召喚魔法、美尻ボンバー!」
0
あなたにおすすめの小説
ママと中学生の僕
キムラエス
大衆娯楽
「ママと僕」は、中学生編、高校生編、大学生編の3部作で、本編は中学生編になります。ママは子供の時に両親を事故で亡くしており、結婚後に夫を病気で失い、身内として残された僕に精神的に依存をするようになる。幼少期の「僕」はそのママの依存が嬉しく、素敵なママに甘える閉鎖的な生活を当たり前のことと考える。成長し、性に目覚め始めた中学生の「僕」は自分の性もママとの日常の中で処理すべきものと疑わず、ママも戸惑いながらもママに甘える「僕」に満足する。ママも僕もそうした行為が少なからず社会規範に反していることは理解しているが、ママとの甘美な繋がりは解消できずに戸惑いながらも続く「ママと中学生の僕」の営みを描いてみました。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる