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エピローグ
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気がつくと、そこは草むらのなかだった。
ぶ~んと間の抜けた羽音を立てて、目の前をハエが1匹、飛び過ぎて行った。
私は、丈高い草の陰にうずくまり、パンツを膝まで下げていた。
なんと、あろうことか、放尿の真っ最中なのだ。
え?
これ、マジ?
記憶がよみがえってきた。
ここは元の世界。
転生する直前、私は池のほとりで野ションの最中だったのである。
近所の池に釣りに来て、1匹も釣れないうちに催してしまったというわけだ。
でも、そうすると・・・。
嫌な予感がした。
キーン。
遠くから金属音が近づいてくる。
今度はハエなどではない。
この音の正体を、私は知っている。
これは・・・間違いない。
あの時落ちてきた、某国の大陸弾道弾ミサイルだ。
「ちょ、ちょっと!」
私はどこかで見ているに違いない運命の女神に向かってわめいた。
「元の世界に戻すって、こんな瞬間に戻してどうしろっていうのよ!」
だが、無駄だった。
次の瞬間、世界が爆発し、またしても私は、あっけなく死んでいた。
「また来ちゃったんですか。性懲りもなく」
目覚めると、うんざりした顔で女神が言った。
煉獄だった。
ここへ来るのは2回めである。
「あんたのせいでしょ? 死ぬ直前に戻っても、また死ぬだけで、そんなの無限ループで意味ないじゃない!」
怒りをぶつけたけど、相手は神なので、私の怒りもどこ吹く風といった表情だ。
「仕方ありませんね。またくじを引いてください。ルールですから」
穴の開いた段ボール箱を渡された。
転生後のジョブを決めるあれである。
「エロ魔導士だけは、もういやだからね」
念には念を入れ、一番奥から三角くじをつかみ出す。
「おめでとうございます。今回は、当たりです」
渡したくじを開くなり、投げやりな口調で女神が言った。
さすがに二度目ともなると、私の相手にも嫌気がさしているのだろう。
おめでとうと言いながら、あまりめでたくなさそうな口ぶりだ。
「では、これが新たなジョブリングです」
手渡されたリングは、3つある。
「何よこれ? こんなのどこにつけろっていうの?」
3つあるから、クリトリスリングでないことだけは確かだろう。
その点ほっとしたけど、でもどうして今度は3つも?
「正確に言うと、それはピアスです。乳首とクリトリスに穴を開けて、ひとつずつ、装着するのです」
「はあ?」
私は仰天した。
いや、むっとしたというほうが、正しいかもしれない。
冗談じゃない。
そんなの、前よりひどいじゃん!
「乳首ピアスとクリピアス? やだ、あり得ない! だいたい、今度のジョブは何なのさ?」
むっとして訊き返すと、想定外の答えが返ってきた。
「当たりだと言ったでしょう? 翔子、喜んで。今度のジョブは、魔王です。エロ大魔王として、魔王なき世界に、あなた自身が君臨するのです」
こうして私は、魔王としての修行を積むべく、異世界に戻った。
もちろん、部下はラルクとソフィア、そして一平の3人である。
そして、思った。
”なべてこの世は事もなし”とは、おそらくこういうことをいうのだろう。
ぶ~んと間の抜けた羽音を立てて、目の前をハエが1匹、飛び過ぎて行った。
私は、丈高い草の陰にうずくまり、パンツを膝まで下げていた。
なんと、あろうことか、放尿の真っ最中なのだ。
え?
これ、マジ?
記憶がよみがえってきた。
ここは元の世界。
転生する直前、私は池のほとりで野ションの最中だったのである。
近所の池に釣りに来て、1匹も釣れないうちに催してしまったというわけだ。
でも、そうすると・・・。
嫌な予感がした。
キーン。
遠くから金属音が近づいてくる。
今度はハエなどではない。
この音の正体を、私は知っている。
これは・・・間違いない。
あの時落ちてきた、某国の大陸弾道弾ミサイルだ。
「ちょ、ちょっと!」
私はどこかで見ているに違いない運命の女神に向かってわめいた。
「元の世界に戻すって、こんな瞬間に戻してどうしろっていうのよ!」
だが、無駄だった。
次の瞬間、世界が爆発し、またしても私は、あっけなく死んでいた。
「また来ちゃったんですか。性懲りもなく」
目覚めると、うんざりした顔で女神が言った。
煉獄だった。
ここへ来るのは2回めである。
「あんたのせいでしょ? 死ぬ直前に戻っても、また死ぬだけで、そんなの無限ループで意味ないじゃない!」
怒りをぶつけたけど、相手は神なので、私の怒りもどこ吹く風といった表情だ。
「仕方ありませんね。またくじを引いてください。ルールですから」
穴の開いた段ボール箱を渡された。
転生後のジョブを決めるあれである。
「エロ魔導士だけは、もういやだからね」
念には念を入れ、一番奥から三角くじをつかみ出す。
「おめでとうございます。今回は、当たりです」
渡したくじを開くなり、投げやりな口調で女神が言った。
さすがに二度目ともなると、私の相手にも嫌気がさしているのだろう。
おめでとうと言いながら、あまりめでたくなさそうな口ぶりだ。
「では、これが新たなジョブリングです」
手渡されたリングは、3つある。
「何よこれ? こんなのどこにつけろっていうの?」
3つあるから、クリトリスリングでないことだけは確かだろう。
その点ほっとしたけど、でもどうして今度は3つも?
「正確に言うと、それはピアスです。乳首とクリトリスに穴を開けて、ひとつずつ、装着するのです」
「はあ?」
私は仰天した。
いや、むっとしたというほうが、正しいかもしれない。
冗談じゃない。
そんなの、前よりひどいじゃん!
「乳首ピアスとクリピアス? やだ、あり得ない! だいたい、今度のジョブは何なのさ?」
むっとして訊き返すと、想定外の答えが返ってきた。
「当たりだと言ったでしょう? 翔子、喜んで。今度のジョブは、魔王です。エロ大魔王として、魔王なき世界に、あなた自身が君臨するのです」
こうして私は、魔王としての修行を積むべく、異世界に戻った。
もちろん、部下はラルクとソフィア、そして一平の3人である。
そして、思った。
”なべてこの世は事もなし”とは、おそらくこういうことをいうのだろう。
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テンポ感よく読みやすくて面白いです
あとこのステータスは…FFですね…笑
そうですね。特に7以降のFFが好きで、けっこうやってました。なので、私のRPGの原点になってます。
クリリンのことかーッ!?
いやいや、道端で自ら下半身露出て……。
装備した途端、全身変身なんだし、『使う』とか『装備する?』とかしたら勝手に脱げて自動装着とか……いや、やはり自分の意思かー……。
きたねえ花火を強いられているんだ!
コメントありがとうございます。
登場人物がヘンタイばかりですみません。