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#133 乱交パーティへの誘い①
「仁美さん…どうして?」
喉に痰が絡んだような声で、かろうじて琴子は訊き返した。
『ふふ、待ってますよ。必ず正一さんも連れてきてくださいね』
含み笑いの余韻を残し、通話は切れた。
「誰からだ?」
床にうずくまった正一が、顏を上げて訊いてきた。
「お隣の、仁美さん…。和夫を預かってるって」
「仁美が?」
正一の声が、1オクターブ跳ね上がるのを、琴子は聞き逃さなかった。
しかも、なぜ呼び捨て?
胸の底にしまっていた疑惑が再燃する。
正一のパソコンに保存されていたあの猥褻動画。
動画では尻と背中しか見えなかったが、あの女はやはり、仁美ではなかったのか。
だが、そのことは、今となってはどうでもよかった。
不気味なのは、仁美が今この部屋で起こっていることを知っているらしいことだ。
監視カメラ?
あるいは、盗聴器?
琴子は気味悪げにダイニングの中を見回した。
さすがにカメラらしきものが隠してある様子はない。
だが、盗聴器なら?
今はネット通販で簡単に手に入るし、小型のものならコンセントの内部に仕込むことも可能らしい。
「和夫が、仁美、いや、朝比奈さんの所に? ったく、あいつは何を考えてるんだ」
怒りをぶつけるように、正一がつぶやいた。
「話はそれだけじゃないの」
切れたスマホの画面に目を戻して、琴子は言った。
「仁美さん、今からふたりで、うちに来ないかって」
「ふたりって…俺と、おまえで、か?」
正一が信じられないといったふうに、目を見開く。
「そう…。どういうつもりかわからないけれど、仁美さん、仲直りのためのパーティを開くとか言ってるの…」
「あいつ…」
正一が、苦々しげにぼそりと小声でひとりごちるのが、意外にはっきりと琴子の耳に届いてきた。
やっぱり…。
琴子の中で、疑惑が確信に変わった瞬間だった。
私はふたりに騙されていたのだ。
仁美の心臓が弱いというのも嘘なら、地下鉄の入口で正一が偶然仁美を介抱したというのもおそらく嘘だろう。
正一の浮気など、もはやどうでもいい。
それは確かだ。
でも、裏切られたり騙されたりするのは、いい気分じゃない。
「それで…琴子、おまえ…どうする気だ?」
おずおずと正一がたずねてきた。
「行くわ」
心を決めて、琴子は答えた。
「せっかくのお誘いだもの。和夫のことも心配だし。迷うこと、ないでしょう? あなたも一緒に行きましょう」
「し、しかし…」
正一の顔に、どす黒い染みのように、ある感情が広がった。
それは、まぎれもなく、深い絶望だった。
喉に痰が絡んだような声で、かろうじて琴子は訊き返した。
『ふふ、待ってますよ。必ず正一さんも連れてきてくださいね』
含み笑いの余韻を残し、通話は切れた。
「誰からだ?」
床にうずくまった正一が、顏を上げて訊いてきた。
「お隣の、仁美さん…。和夫を預かってるって」
「仁美が?」
正一の声が、1オクターブ跳ね上がるのを、琴子は聞き逃さなかった。
しかも、なぜ呼び捨て?
胸の底にしまっていた疑惑が再燃する。
正一のパソコンに保存されていたあの猥褻動画。
動画では尻と背中しか見えなかったが、あの女はやはり、仁美ではなかったのか。
だが、そのことは、今となってはどうでもよかった。
不気味なのは、仁美が今この部屋で起こっていることを知っているらしいことだ。
監視カメラ?
あるいは、盗聴器?
琴子は気味悪げにダイニングの中を見回した。
さすがにカメラらしきものが隠してある様子はない。
だが、盗聴器なら?
今はネット通販で簡単に手に入るし、小型のものならコンセントの内部に仕込むことも可能らしい。
「和夫が、仁美、いや、朝比奈さんの所に? ったく、あいつは何を考えてるんだ」
怒りをぶつけるように、正一がつぶやいた。
「話はそれだけじゃないの」
切れたスマホの画面に目を戻して、琴子は言った。
「仁美さん、今からふたりで、うちに来ないかって」
「ふたりって…俺と、おまえで、か?」
正一が信じられないといったふうに、目を見開く。
「そう…。どういうつもりかわからないけれど、仁美さん、仲直りのためのパーティを開くとか言ってるの…」
「あいつ…」
正一が、苦々しげにぼそりと小声でひとりごちるのが、意外にはっきりと琴子の耳に届いてきた。
やっぱり…。
琴子の中で、疑惑が確信に変わった瞬間だった。
私はふたりに騙されていたのだ。
仁美の心臓が弱いというのも嘘なら、地下鉄の入口で正一が偶然仁美を介抱したというのもおそらく嘘だろう。
正一の浮気など、もはやどうでもいい。
それは確かだ。
でも、裏切られたり騙されたりするのは、いい気分じゃない。
「それで…琴子、おまえ…どうする気だ?」
おずおずと正一がたずねてきた。
「行くわ」
心を決めて、琴子は答えた。
「せっかくのお誘いだもの。和夫のことも心配だし。迷うこと、ないでしょう? あなたも一緒に行きましょう」
「し、しかし…」
正一の顔に、どす黒い染みのように、ある感情が広がった。
それは、まぎれもなく、深い絶望だった。
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