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第2章 地獄の底を這いまわれ

#55 脱出⑭

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「裏切り者に、制裁を」

 弟が手を離した。

 重力に引かれ、ルビイは落ちた。

 狙いすましたように、硬直した肉棒がルビイの秘所に突き刺さる。

 激痛が股間から脳天を突き抜けた。

 まるで身体の中心に銛をぶちこまれたかのような、凄まじい衝撃だった。

 ルビイをペニスで貫いたまま、兄が腰を前に突き出した。

 そして、そのままの格好で、部屋の中を歩き始めた。

「うう…。さすが魔王に身を売っただけのことはある。この女、すばらしい締まり具合だ」

「お見事です。兄上」

 弟が拍手する。

 狂ってる…。

 男が歩を進めるたびに、肉棒が子宮の入口を打つ。

 その振動で気が狂いそうになりながら、ルビイは思った。

 この世界の人間は…。

 みんな、みんな…狂ってる…。
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