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第3章 魔獣の巣窟
#31 王立生物学研究所⑰
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ルビイに片目を潰され、ケルベロスが甲高い悲鳴を上げた。
振り落とされる前に、間髪を入れず、残った眼も潰してやった。
のたうつ首を離して、自らジャンプし、地面に着地する。
見上げると、左の首をマグナが両腕で締め上げ、大地に引き下ろそうとしているところだった。
右の首には背中側からよじ登ったアニムスとアニマがとりつき、ルビイに習って短剣を両目に突き立てている。
その時、背後から声がした。
「みなさん、離れてください!」
振り向くと、すぐそこにエリスが立っていた。
ドレスが半分脱げかけ、裸の肩と片脚をさらしているのは、後ろからサトがぴったりと寄り添い、その胸元と股間に手を入れているからだ。
魔力を強化するために、またしてもエリスの性感帯に刺激を与えているに違いない。
その証拠に、エリスの瞳は欲情に燃えるかのように、狂おしく輝いている。
「後はエリスに任せましょう。魔獣の戦闘能力はかなり落ちている。みんな、よくやったわ」
「OK」
「はあい」
「了解した」
ルビイが飛び退ると、残りの3人も戻ってきた。
仲間たちの前に立ち、エリスが口の中で呪文を唱え始める。
そして、やおら魔獣に向かって両手を突き出すと、その気弱そうな顔には不似合いな、裂帛の気合を放った。
「地獄に堕ちろ! このクズめ!」
次の瞬間、空間自体が変質したかのようだった。
魔獣の周囲の空間がふいに飴のようにぐにゃりとねじ曲がったかと思うと、ものすごい力でその巨体を押し潰しにかかったのだ。
断末魔の悲鳴に混じって、肉の爆ぜる音、骨の折れる音があたりに響き渡った。
血しぶきを上げて、ケルベロスの巨体が目に見えない手によって押し潰されていく。
やがて残ったのは、手のひらに収まるほどのサイコロみたいな物体だった。
エリスがすたすたと進み出た。
その物体を拾い上げ、可愛らしく口を開けると、いきなりぱくりと飲み込んだ。
「エリス、お、おまえ、な、なにしてんだよ?」
仰天するアニムスのほうを振り返って、エリスがにっこり笑う。
「やりましたよ、アニムス。わたくし、ついに召喚獣を一体、ゲットしちゃいました!」
振り落とされる前に、間髪を入れず、残った眼も潰してやった。
のたうつ首を離して、自らジャンプし、地面に着地する。
見上げると、左の首をマグナが両腕で締め上げ、大地に引き下ろそうとしているところだった。
右の首には背中側からよじ登ったアニムスとアニマがとりつき、ルビイに習って短剣を両目に突き立てている。
その時、背後から声がした。
「みなさん、離れてください!」
振り向くと、すぐそこにエリスが立っていた。
ドレスが半分脱げかけ、裸の肩と片脚をさらしているのは、後ろからサトがぴったりと寄り添い、その胸元と股間に手を入れているからだ。
魔力を強化するために、またしてもエリスの性感帯に刺激を与えているに違いない。
その証拠に、エリスの瞳は欲情に燃えるかのように、狂おしく輝いている。
「後はエリスに任せましょう。魔獣の戦闘能力はかなり落ちている。みんな、よくやったわ」
「OK」
「はあい」
「了解した」
ルビイが飛び退ると、残りの3人も戻ってきた。
仲間たちの前に立ち、エリスが口の中で呪文を唱え始める。
そして、やおら魔獣に向かって両手を突き出すと、その気弱そうな顔には不似合いな、裂帛の気合を放った。
「地獄に堕ちろ! このクズめ!」
次の瞬間、空間自体が変質したかのようだった。
魔獣の周囲の空間がふいに飴のようにぐにゃりとねじ曲がったかと思うと、ものすごい力でその巨体を押し潰しにかかったのだ。
断末魔の悲鳴に混じって、肉の爆ぜる音、骨の折れる音があたりに響き渡った。
血しぶきを上げて、ケルベロスの巨体が目に見えない手によって押し潰されていく。
やがて残ったのは、手のひらに収まるほどのサイコロみたいな物体だった。
エリスがすたすたと進み出た。
その物体を拾い上げ、可愛らしく口を開けると、いきなりぱくりと飲み込んだ。
「エリス、お、おまえ、な、なにしてんだよ?」
仰天するアニムスのほうを振り返って、エリスがにっこり笑う。
「やりましたよ、アニムス。わたくし、ついに召喚獣を一体、ゲットしちゃいました!」
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