臓物少女

戸影絵麻

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#61 幕間

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 ーまたか。また負けたかー
 めくるめくオーロラの中で揺らぎ、回転しながらモアイ像に似た巨大な顔が言った。
 落ちくぼんだ眼窩の奥に光る金壺眼に宿るのは明らかに怒りの色だ。
 -いったいどうなっている? たかが小娘一匹に、何を手間取っているのだー
「すみません。尻ノイドなら、もう少しやってくれるかと思ったのですが」
 平身低頭して黒子が詫びる。
 -もういい。次は一気に片をつけろ。一体ずつでダメなら、二体三体と畳みかけるのだー
「御意」
 黒子が更に平たく這いつくばった。
「実はわたくしめもそのように思っておりました。幸い、四天王その二とその三は双子の姉妹です。彼女たちのコンビネーションなら、さしものバイオノイド零式もイチコロかと思われます」
 -ええい、なんでもよい。早くしろ。障害物はとっとと取り除くのだ。よいなー
「ははあ!」
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