臓物少女

戸影絵麻

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#80 四天王その二&その三⑪

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 性欲が、霧が晴れるように引いていくのがわかった。
 薄目を開けた明の視界に、紺色のスクール水着のシルエットが飛び込んできた。
 肉感的なまでにムチムチに張り詰めた姿態を窮屈なハイレグスク水に包んだその姿こそ、天津紗英のものだったのである。
「さ、さえちゃん、ど、どうして…?」
 勃起チンポを膣ノイドの口でおフェラされるという、世にも無様な体勢のまま、明は訊いた。
 紗英は明のことを蛇蝎のごとく忌み嫌っている。
 明が紗英に何度となく欲情したことを、知ってしまったからである。
 その紗英が、なぜここに…?
「わからない…あたしにも」
 苦悩するように、かぶりを振る紗英。
 その愛くるしい顔は眉間に深刻そうな縦じわを刻み、黒目がちな瞳は苦渋の色をたたえている。
「でも、どっちにしろ、あたしはそいつらを倒さずにはいられない。それはあたしに唯一優しくしてくれた大神博士との約束でもあるし、あたし自身の出生の秘密へのおとしまえでもあるから」
「ひゃーははは、何をごちゃごちゃ言ってんだい?」
 明の粗チンをペッと吐き出し、膣ノイドが大笑いした。
「やっと姿を現したね。バイオノイド零式。でもおまえ、こんな衆人環視の場で、自分の醜い正体を明かす覚悟はあるのかい? あたいたち培養人間が束でかかってもかなわないその醜さを」
 怪人のいう通りだ、と明は思った。
 いつのまにか、周囲には人だかりだけでなく、テレビ番組のクルーや警官隊の姿も見えている。
 奇声を上げてスマホを掲げるチャラそうな若者たちは、たぶんユーチューバーかその同類だろう。
 これまで、変身の過程を隠しながら戦ってきた紗英である。
 こんな、さえぎるもの一つない場所で、どうやって怪人を倒すつもりなのか。
「余計なお世話だよ、このおまん〇くさいビラビラの化け物めが」
 ロケットおっぱいを突き出したまま、紗英が歩き出す。
「な、なにいっ?」
 紗英の罵詈雑言に、膣型怪人が真っ赤になって怒りのあまりぶるぶる震え出した。
 図星といえば図星。
 差別的発言といえばその通り。
 どちらにせよ、放送禁止用語であることにはかわりない。
「あたしはね、もう、覚悟を決めたんだ」
 紗英が言い、スクール水着の深く切れ込んだ胸元に手をかけた。
 水着の前は陰部まで続くファスナーになっている。
 そのタグを指でつまむと、一気に引き下げたからたまらない。
「うおおおおおおっ!」
 どよめく”観客”たち。
 がー。
 数秒後、そのどよめきは、悲鳴の大合唱へと、変貌するのだったー。

 
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