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#21 戦禍の影に蠢くもの⑤
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「なんて書いてあったんですか? その…山田一郎の、手記」
「まあ…大したことは書いてなかったよ。よくある特攻兵の遺言みたいなものさ」
編集長はいつになく歯切れが悪い。
まるで私にその内容を教えたくないみたいだ。
「とにかく、一度、社へ帰ろう。他の仲間も戻ってくるころだ」
「そうですね」
額の汗をぬぐって、空を仰ぐ。
新宿の表通りは、殺人現場の薄暗さが嘘みたいに明るく、活気に満ちている。
こちら側だけ見ると、確かにこの日の本の国は、これから急速に復興し、かつてないほどの発展を遂げるように見えなくもない。
でも、しかし、である。
戦争は、本当に終わったと言っていいのだろうか。
おおかたのA級戦犯が処刑され、それ以外の者たちも公職追放になった今も、何か不穏なモノたちが陰で蠢いている気がしてならないのだ。
たとえば、山田一郎ー。
彼がニューギニアで伏龍となって敵上陸艇に特攻し、それでもまた死ななかったとしたら。
亡霊などではなく、生身のまま、この本土に戻ってきていたのだとしたら…。
その時彼は、いったい何を望むのだろうか?
「まあ…大したことは書いてなかったよ。よくある特攻兵の遺言みたいなものさ」
編集長はいつになく歯切れが悪い。
まるで私にその内容を教えたくないみたいだ。
「とにかく、一度、社へ帰ろう。他の仲間も戻ってくるころだ」
「そうですね」
額の汗をぬぐって、空を仰ぐ。
新宿の表通りは、殺人現場の薄暗さが嘘みたいに明るく、活気に満ちている。
こちら側だけ見ると、確かにこの日の本の国は、これから急速に復興し、かつてないほどの発展を遂げるように見えなくもない。
でも、しかし、である。
戦争は、本当に終わったと言っていいのだろうか。
おおかたのA級戦犯が処刑され、それ以外の者たちも公職追放になった今も、何か不穏なモノたちが陰で蠢いている気がしてならないのだ。
たとえば、山田一郎ー。
彼がニューギニアで伏龍となって敵上陸艇に特攻し、それでもまた死ななかったとしたら。
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その時彼は、いったい何を望むのだろうか?
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