上 下
69 / 125
ハビナ国編

カムロの巻物

しおりを挟む
「俺は」
ガタッと健一も白の紋章が消えて、
ロタとハロメアの声が
脳内で響き渡る。

-5日後-
目を開くとボタンの家に大勢の人間が
集まっている。
「狭いな。」と起き上がると
ハビナ国のみんなが、お礼を言って、
握手をしたり抱きしめたり
もみくちゃになる。
そして、ハビナ国のみんなはボタンの家を
後にする。

「健一、ぐったりとしているのです。」
「ハロメア、無事で良かった」

「全く自分の心配しなさいよ。
5日も寝てたんだからさ。」
ロタは健一に飲み物を渡す。
それを一気に飲み干した健一は
「俺は5日も寝ていたのか。」

「健一さん、感謝します。
私だけではどうにもなりませんでした。
ありがとうございます。」
頬にキスをすると、
ハロメアが頬を膨らまし、
「健一、なんかいやらしいのです。」
ロタは
「な、何してんのボタン」赤面し慌てる。

ボタンは微笑んで
「私、好きみたい。」
ハロメアはボタンに頬を膨らましながら
「ボタンさん、健一は
渡さないのです。」
ボタンは笑いながらハロメア、ロタに
抱きつく。
「健一も好きだけど
ハロメア、ロタ私はあなた達も、好き。
本当にありがとうね。
この国の人たちが笑ったりしてる姿を
見ることが出来て本当によかった。」

「照れるのです。
ボタンの笑顔が見れて嬉しいのです。」

「良かったな。ハロメア仲良くなれて」
健一は痛みでビリッと体が痺れる。
「そうなのです。
ボタンと仲良くなったのです。
健一が寝ている間に話をしたのです。」

「そうよ、心配したのよ。
ハロメアとボタンがね。
慌てて大変だっての」
呆れたようにため息をつく。
「1番慌てたのはロタでしょ。
どうしようって泣いたのは誰でしょうか?」

「ち、違う。
それはボタンでしょう。
ねえハロメアそうでしょう。」
ハロメアの目をしっかり見つめる
「ボタンもロタも泣いていたのです。
三人で泣いたのです。
健一もう起きないかと心配したのです。」

「心配かけたな。」
健一は巻物の事を思い出す。
「巻物がなかったか?
城の中で拾った。」

「ありますよ。
カムロ兄さんと書き残した巻物のようです。
絵が上手くて、よく私が泣いた時に
絵を描いてくれたんですよ。
こんな巻物があるとは、知りませんでした
健一さんが起きるまで待っていたのです。」








しおりを挟む

処理中です...