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ハビナ国編

再びハビナ城へ

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「手掛かりが何もないな。
ボタンはこの家にいていいのか?
仮にも王女になったんだろう。」

「うん、ここが安心するの。
元々はカムロ兄さんヤナギ兄さんの
隠れ家だから、
守られてる気がするの
ヤナギ兄さんは決してここには、
私がいる時はきてなかったな。
でも気持ちが追いつかないの。
許したい気持ちと許せない気持ちが
葛藤しているの。
それに城は壊れてるから。」

「そうか」

「健一さん、城の崩れ方を見て
よく助かったと思いました。
地下へ行く事が出来てたすかったのですね
それ以外は考えられないです。」

「地下?」健一はよくわからないという顔に
「本当ですか?
それじゃあ地下は一回カムロ兄さんが
父に隠れて連れてもらった事があります。
そこにもしかしたら、
神の七つ道具に関する本かわかりませんが
紙があった気がします。
よろしければ城に案内します。」

ロタは
「いいけども、城は潰れてどうしようも
ないんでしょう。」

「それなら安心して下さい。
国の皆さんと一緒に新しく城を一から
作るために瓦礫をどかしたのです。
皆さんが一生懸命でやってくれたおかげで
瓦礫はほとんどなくなりました。」

「行くか。」
健一達はボタンの後についていき、
城の地下へ案内された。
「こんな隠し扉があるなんて、
すごいのです。
わぁ、とてもすごい場所なのです。」
地下には花火の絵が鮮明にえがかれている
「綺麗ね。これは何なの?」

「見た事があるな。ボヤッとするけどな。」

「私も久々に見ましたが、
いい絵ですね。
おかしいな。本が一つしかありません。」
紙のタイトルは[神の七つ道具の導き]

ロタはそれを読み上げる
「神の七つ道具を持つ者は、
他の神の七つ道具を見つけやすなる。
白か黒の紋章の者が念じると
導かれるように小さく振動動いて行く。
微小の動きなので、しっかり見ればいい。
神の七つ道具で願いを叶えるのは、
大きな犠牲があるらしい、
神の七つ道具に導かれし者なら
神の七つ道具が導くだろう。
紋章使いがいれば、
あの宝箱が開くだろう。」
名前のところは破れて見えない

「大きな犠牲とはなんのことでしょう。」
ハロメアは心配になり、健一を見るが
「そんな事は俺がさせない。」

「宝箱ありました。」
ボタンは落ちている小さな宝箱を拾う
健一は紋章の力を使い宝箱を開ける
中に入っている本をボタンに渡す
「随分ボロいですが、何を書いているか
わかりませんね。

「読めるようになった
[白と黒の紋章]
白は願いを叶えし者。
黒は願いを壊し者。
白は創造、黒は破壊
この白、黒の紋章を持っている人物を
英雄サタンと魔王リンネ
最初の紋章使いの二人、
そして願いを叶えし者
そして呪われた人物」
紋章の力を使い読めたのは最初の1ページ
その後の文字は見えない。

「呪われた?」ロタが首を傾げる
「サタンは三百年前の人物なのです。」

「そういえばハロメアの村では、
勇者サタンと言われたな。
ここでは英雄サタン。
年代が違いすぎるからな。」

「名前が一緒なだけよ。
七百年も生きるなんて無理なのよ」
ロタは否定をする
「七百年も生きるなんてあり得ないですね」

「気にしても仕方ねえ。
とりあえず出るか」
四人は地下から地上へ戻る

「一ついいですか?」
ボタンは健一に聞く
「神の七つ道具を集めてる理由は?」

「俺が元の世界に戻るために」

「異世界の人なんですね。
初めて見ました。ほんとうですか?」
ボタンは健一の周りを歩きチェックをする
「何もわかんねえぞ。
周りを見てもよ。」

「そうですね。
その本を貰ってください。」
健一はお礼を言って本をカバンの中にしまう
「その代わりですが、もう一度、
この国に来てもらえないでしょうか?」
ボタンはもじもじする
「また、来るのです。
健一もロタも一緒なのです。」

「ええ、もちろん行くわよ。
ボタンは私たちの仲間だから、
困ったら私たちを頼ってね。」
ロタとハロメアはボタンに抱きつく

「私も駆けつけます。
この国の恩人なんですからね。」

健一は三人が話している最中に
神の七つ道具の弓に紋章の力をこめると
小さく動いた。







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