私の王様

ポルテクト

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始まりの日2

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「教室に着くと最初に机の花瓶をどかし、
画鋲を取り意味もなく殴られる。
殴られるのは痛いし怖いし、
先生やほかのみんなは助けてくれないし
助けたら私以外がいじめられるなら
私が我慢すればいいだけ、
なんでそこまで我慢しなくちゃ
いけないんだろう。
どこで間違えたんだろうなぁ。
可笑しいな、いつもならもう終わってるのに
怖くて閉じた目を開けると冬秋が目の前に
立っていた。
「誰だよテメェは、 邪魔してんなよ。
躾なんだからヨ。」
慶次は手を振り解く、
「僕は冬秋志季だよ。」

「ふふふ、今更、教室に戻ってきたの?」
「ねえ、休んでればよかったのに」
「ヒーロー気取ってんなよ」
「かっこいいのに残念、これから」
色んな声が冬秋の耳に入っていく
優しい顔をした死仕草士郎は
花夏を殴る
「ダメじゃないか、誰かに助けを求めたら
躾が足りなかったようだね。
暦くんに僕が怒られるんだよ。」

「彼は関係ないから、彼には何も」
「関係者だから」冬秋は間髪入れずに

「今なら、許してやるよ。
土下座をしろ。なあ、みんな。」
40人ほどが土下座コールをするが
気にする様子など見せない冬秋
「なあ、黙ってみてるのかよ、花夏、
てえめもやれよ」
慶次はキレながら花夏に強要させる。
「それはできないです。」
消えいる声で抵抗する。
「やっぱり土下座すればいじめを
花夏にこれからもしてやるよ。
土下座をしなければターゲットが
自分になるんだからな。
不登校だった君に耐えられるかな。」

「花夏には一切、手を出さないか?」
「うん、手は出さない」
「私なら心配ないから私が耐えれば」
近くの女子に口を塞がれる
’分かっている、分かっていたから
信じる事を諦めるのが簡単だって思っていた
彼に会うまでは全てを諦めていた。
でもこればっかりは出来るわけない、
結局、私の人生は幸せになる事なんて
なかったんだ。少しの間、嬉しかった'
「土下座するのかしないのか」
死仕草士郎の問いに
「しないよ。
それはできないから諦めなよ。
僕は自分がやりたいように生きてるだけだ
悲しいね、自分の存在をいじめでしか
証明できないなんてさ。
クスクス笑ってる奴らもどうしようもない」
冬秋が死仕草士郎の返事を返したら
至る所で冬秋の悪口が広がっていく
「この教室はぼくたちが支配している」

「雑音なんて気にならない。
怖いよな、いじめられるのは怖いよな
助けたら自分がいじめられるかもって
影を薄くして願うんだよな。 
それは仕方ないよな。誰も責めれない
ほかの誰かにして自分以外にしてと、
でも春川さんは怖さを我慢して、
ぼくを庇ってるんだよ。
その勇気はすごいよな。
それに比べたら大した事ないよな。
ここにいる奴らより僕のが上だから、
全てに置いて負ける気はないな。」

死仕草士郎は冬秋の方ではなく
花夏の方へ行く腹を蹴り倒れ込んだ後、
髪を引っ張る
「ははは、やめるわけないだろう」
「僕が間違えていた。」
死仕草士郎の手首を握り締め骨が折れる音が
鈍くなる
「痛い痛い」
冬秋の目は哀れな目で死仕草士郎を見る










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