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薔薇のシオリ
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ー2週間後ー
母親「ユウジロウ! ご飯!」
「おうっ!」
足の骨折から 2週間が経ち
ようやく 自力で
歩けるようになった。
ガラガラ~!
アイリ「おはようございます」
母親「あら、おはよう!
今日は いつもより
早いね~」
骨折した 翌日から
ほぼ 毎日 アイリは
見舞いに来てくれた。
「おはよう!」
アイリ「ユウちゃん、すごい、
1人で 歩けるように
なったんだ?」
「…まあな、
でも、まだ 完治はしてねえ」
アイリ「そうか、がんばってね」
母親「ああ、今日も 出かけるから
アイリちゃん
このバカ いい?」
アイリ「もちろん。」
「バカは おまえに 似たんだよ!」
母親「じゃあ、よろしくねぇ~」
バタン!
お袋は 急いだ感じで
家を飛び出して行った。
「おまえ、仕事は いいのか?」
アイリ「うん、来月からに
してもらった。」
「わるいな、」
アイリ「別に、ユウちゃんが
謝らなくてもイイよ」
「そうか~?」
アイリ「そうだよ。
それに、こうやって、
ママゴト遊び、
懐かしくて 楽しいし」
「ママゴトか?」
アイリ「ご飯作ったり ユウちゃんの
お世話したり 楽しいし、
…ホントの夫婦に
なっちゃう?」
「はあ? 夫婦?」
アイリ「冗談よ、」
「……わ、わかってるよ」
アイリ「じゃあ、私、
洗濯しちゃうね!」
「ああ、たのむ、」
こんな感じで ハタから見れば
夫婦のような事をしていた。
でも、いつも 心のどこかに
ヒカルがいた。
ー駒川総合病院ー
看護師「先生!おはようございます」
受付「おはようございます」
元彼「ああ、おはよう」
ヒカル「おはようございます」
元彼「…ヒカル、ちょっといいか?」
ヒカル「は、ハイ」
ヒカルは 元彼に 言われ
宿直室に入った。
バタン!
ヒカル「……なに?」
元彼「…お母さんの事だけど…」
ヒカル「…お母さん…」
元彼「そう……難病のお母さんを
うちで面倒 見てるんだ
…わかるな?」
ヒカル「…また、その話し?」
元彼「他の病院じゃ
受け入れさえ無理な
難病の ヒカルの母親を
僕が、無理言って
ここに
おいてやってんだぞ!」
ヒカル「……だから、私、
ここの受付 手伝って……」
元彼「手伝う? そんな事で…
おいてやってると、
思うか?」
ヒカル「……違うの?」
元彼「…条件は 僕との 復縁だ」
ヒカル「…そんな…」
元彼「 なんだ、嫌か?
それとも 難病の母親を
家に連れて帰って
見殺しにでもするか?」
ヒカル「……それわ…」
元彼「悪いようにはしない」
ヒカル「……少し考えさせて…?」
元彼「考える?なにを?
そんなの時間の無駄だ!」
ヒカル「……お願いします」
元彼「わかった!夜までだ!」
ヒカル「……はい。。。」
ヒカルは 大星の トラックの
仕事が 大好きだった、
しかし、母親の病気の事で
無理矢理 この病院の
受付業務を 引き受けた。
元彼の罠で……。
アイリ「ユウちゃん、じゃあ、
私 帰るね」
「おお。ありがとな!」
アイリ「うん。また、明日ね」
「…うん」
アイリは 毎日 夕方には
家に戻る
洗濯、昼ご飯、晩飯の準備
全て 終わった後に
自宅に帰る。
(さあて、足も治ってきたし
たまには 散歩でも行くか…)
俺は 久しぶりに 家の外に出た。
(どこに行こう?
……………
………………
……そうだ!
あの 公園で 散歩しよ)
俺は いつもヒカルと 昼ご飯食べた
あの公園まで 車を走らせた……
キィーー!
バタン!
公園に到着した…
「久しぶりだな~」
少し 薄暗い 公園も
ひと味違って
広く 綺麗に見えた。
「さて、リハビリがてら
散歩でもするか。」
俺は ヒカルとの 出来事を
一つ 一つ 思いだしながら
ゆっくり 歩いた。
散歩道は ライトアップされていて
いろんな人が 散歩していた。
(あの 老夫婦 仲良さそうだなぁ~)
(あれ?こんな所に
薔薇の置物があったんだ?)
公園の奥に 小さな
薔薇のオブジェが
飾られていた。
「なんだか、暖かくて、優しい、
それでいて トゲがある
……なんか、ヒカルみたいだな
おまえ!」
俺は 薔薇のオブジェに触れながら
1人 喋っていた……
タッ!
「……私に、似てるって?」
薔薇のオブジェの先に
暗闇に包まれた 人影が見えた
でも 俺は
それが ヒカルである事が
すぐにわかった。
ヒカル「その薔薇が、私?」
「薔薇の方が 綺麗だな」
ヒカル「フフフ……」
「なに、笑ってんだよ?」
ヒカル「ユウジロウ 見てるだけで
笑える……。
………おもしろ過ぎて
涙まで 出てきちゃった」
「……ヒカル」
ヒカルの涙が
俺を 勝手に動かして
ヒカルの手を取り
抱き寄せた。
そんな 俺達 2人を
薔薇のオブジェだけが
優しく 見つめていた。
ヒカル「この薔薇の オブジェ
私の お母さんが
私のために
作ってくれたんだよ」
「おまえの……お母さんが…?」
ヒカル「そう、お母さんが」
「なんでまた、薔薇を?」
ヒカル「 薔薇は美しいけど
トゲがある でしょ…?
私が思うに……きっと、
綺麗に 可愛くしていても
時には、トゲを出す、
……じゃ、ないかなぁ、」
「????????」
ヒカル「だから……
常に 異性に対しては
警戒心を もっていろ
って、事かな、」
「ああ、なるほど!それで おまえ!
気が強いんだ!」
ヒカル「………そうかもね。。。」
「でも、いい お母さんだな!」
ヒカル「うん。……………」
「そういえば、会社では、
一度も見かけなかったけど、
家に いるのか?」
ヒカル「ああ、う、うん…………」
「ん?……どうかした…?」
ヒカル「……ねぇ、ユウジロウ、
お母さん……」
ピピピピピっ!
俺の携帯が鳴った…
「あ、ちょっと ワリイ、」
ヒカル「…うん」
「なんだ、アイリか。
どーした?」
ヒカル (……アイリ…?
この間、病院に
一緒に いた子かなぁ?)
「おお、わかった、 すぐ 帰るよ。」
ピっ
電話を切った。
「で、なんだった?」
ヒカル「………いいの?
………彼女は?」
「彼女?
もしかして、アイリの事?
…あれは、幼馴染み…」
ヒカル「……幼馴染みかあ。」
「ところで、お母さんが なに?」
ヒカル「……実は お母さん…」
「ちょっと待った!まさか、
そんな イイお母さんと 喧嘩
した、なんて
言うんじゃないだろうな~?」
ヒカル「え? 喧嘩……?」
「バーカ! こんな事してくれる
お母さん 中々 いねえぞぉ!
早く帰って、謝って、
母ちゃん 、大事にしてやれよ。」
ヒカル「……そ、そ、そうだね、」
「俺も 病み上がりだし、
そろそろ 家に帰るな」
ヒカル「……うん…」
ヒカルは お母さんの事も
元彼の事も 話せなかった…
それどころか…
ユウジロウの
お母さん 大事にしてやれよ。
…その一言で、
ヒカルは 決心した。
「なあ、ヒカル!
また、ここで 会おーぜ?」
ヒカル「…………ダメ…だよ…」
「ダメ?」
ヒカルは 突然 俺に背を向けた…
ヒカル「……彼氏に …
怒られるから、
もう、逢えない!」
「……彼氏?…まさか
あの、ヤブ医者?」
ヒカル「…ヤブ医者なんて
言わないでよ……」
「ホントか? ホントに彼氏かよ?」
ヒカル「……………」
テーレテレ…♪♪♪♪
ヒカルの 携帯が鳴った。
ピっ!
ヒカル「もしもし、ごめん
…すぐ 戻る……から」
おそらく 彼氏からだろう
でも、明らかに
ヒカルの様子が
おかしかった……
ピっ
ヒカル「 じゃあ、私 帰るね…」
「ヒカル!……………
おまえが 今、どうなっているかは
俺には わかんねー!
けど、あの時 みたいな
ホントに 楽しそうな
おまえの 笑顔が ないんだよ!
……なんて言うか…
その笑顔 絶対俺が、
取り戻してやるから
それまで、
待ってろ!!!!!」
ヒカルは 泣きながら 一生懸命
縦に首を 振っていた。
そして、
ヒカルは ゆっくり 歩きだした。
その 切なげな 後姿に
なに一つ 声もかけれず…
小さな 流星は
ゆっくり 消えていった……
(決めた…………。
もう 一回一から 仕事はじめて
いちにん前の男に なったら
ヒカルを 迎えにいく。
それまで しっかり
踏ん張って 待ってろよ
……ヒカル!」
翌日 ー朝6時ー
ピピピピピピっ!…
「よっしゃ!」
なまけた身体を 鍛えるため
今日から 朝6時 起きにした。
1時間 走って 朝飯 食べて、
朝 8時頃には 家を出て
職業安定所に 向かった。
ブィーン、
職業安定所は 相変わらず
静けさに 包まれていた。
受付「おはようございます」
「おはようございます!」
(あれ?…まえの 女の人と違うなぁ)
受付「検索ですか?」
「はい、」
受付「それでは 8番で
お願いします」
俺は 8番の パソコンの前に
座った。
カチャカチャ………
カチャカチャ!
…裏の席の奴が うるさい!
(さて、とにかく 俺も
仕事探さないとな…)
カチャカチャ…!
カチャカチャ!
(後の奴 マジで うるさい!)
ガタンっ!
後ろの奴は 検索を終えて
立ち上がった…
(くそ、どんな奴だ?)
俺は さり気なく 後ろを
振り向いた……
…目が合った……
「ユウジロウ!」
「……トオル!」
後ろの うるさい奴は
友達の トオルだった。
トオル「……あれ? 検索?」
「おう。 おまえは?」
トオル「おまえ! 大星は……?」
「はあ? 辞めた」
トオル「…辞めた? 大星を?」
「おう。」
トオル「……………」
「で、おまえは?」
トオル「俺? 転職だよ、転職!」
「転職?」
トオル「そう。転職…」
「まあ、頑張れよっ」
トオル「おう。
ユウジロウ、後で
飯、行こ~や?」
「ああ、いいよ」
トオル「じゃあ外で イップク
して待ってるな、」
「おい!」
(さて、やっと うるさいのも
行ったし……
仕事、仕事。」
カチャ…
(ふーん、この会社は 遠い…)
カチャ、
(パートかぁ~)
カチャ、
(おう、ここ イイかも。)
俺が気に入った会社は
トラックでの配達、回収業務。
給料も まあまあ、
時間も 朝は 7時から 夕方4時まで
この会社に 決めた。
早速 職業安定所の人に
面接の日取りを決めてもらい
紹介状とやらをもらって
外に出た。
ビィーン、
トオル「お、早かったな」
「ああ、面接いれてきた、」
トオル「へぇー、」
「飯、どこ行く?」
この日は 久しぶりに トオルと
飯食いに行って
その後、流れで
ナンパに行く事になった。
トオル「よし、今日はJKだ!」
「JK(女子高生)?」
トオル「今 テスト週間で
終わるの 早いだろ?」
「…知らねーよ!」
確かに 街の あちらこちらに
JKが ゴロゴロいた。
トオル「おっ! あれ、行ってくる」
「はいはい、いってらっしゃい!」
トオルは、 1人で 立っている JKに
声をかけていた。
(あいつ またなんで、JKだよ?)
トオルは ニタニタしながら
JKを連れて こちらへ 戻ってきた
トオル「…この子 遊びに行くの
いいんだけど、
友達を待ってるんだって」
「へぇー そうか、」
トオル「へぇー じゃ なくて!」
「なんだよ?」
JK「あっ、来た!…」
トオル「ん? 友達、来たの?」
タッタッタッタッ……
ユキコ「ユリーー!」
ユリ「ユキコ~! こっち!」
トオル「……あれ?
ユウジロウの 妹?」
「………ユキコ……」
ユキコ「あれ、お兄ちゃん!
…トオル君…」
最悪な 状況だった…
よりによって
妹の友達を ナンパしてくるなんて
………
この後
どうなったかは
言うまでもない。
ユキコ「最低~~」
俺は ユキコと 2人で 家に帰った。
トオルは ユキコの友達と
遊びに行った。
ガラガラ~
ユキコ 「ただいま~」
「…お袋~!」
ユキコ「なんだ、母さん 仕事?」
「違う、仕事辞めたから…」
ユキコ「ええ!辞めたの?」
タッタッ…
アイリ「おかえり、ユウちゃん!」
「おう、わりいな、また
飯 作らせちゃって、」
ユキコ「あ? アイリちゃん?」
アイリ「えー! ユキコちゃん?」
アイリ・ユキコ 「久しぶりー!」
「…うるさいな~ おまえら」
ユキコ「アイリちゃん こっちに
いたんだ?」
アイリ「そうだよ」
「ああ、そうだ、アイリ、
明日から しばらく ユキコが
家にいるから、
飯や洗濯は もう いいからな」
アイリ「……う、うん……」
ユキコ「へぇー、
アイリちゃんに
やらせてたんだ?」
アイリ「あああ、違う 違う!
いろいろあってね
それで、たまたま
やってただけ」
ユキコ「そうなんだ…」
「決まってんだろ!
じゃ、 なきゃ アイリに
やってもらう訳 ないだろ!」
アイリ「あ。私、そろそろ 帰るね
久しぶりに
親子水入らずして、
……じゃあ、おやすみ」
バタン!
「なんだよ、あんなに 慌てて…」
ユキコ「うわ~ 美味しそ~」
この日 お袋は 帰ってこなかった
アイリの 作った 飯を
ユキコと 2人で 食べた…
少し 喋って
明日の 面接にそなえ
早めに 就寝。
…ユキコが、彼氏と 電話していた
イチャイチャ……
うるさい… 寝れない……
ガアー
スゥー
ー面接日ー
早朝。
(さあ、行くか)
俺は 着慣れない スーツに着替え
車で 30分の 会社目指し走った。
キィ~、
バタン!
「……ここか、」
見た目は……………だな
生まれて始めて 入社した
会社が 大星だったからなぁ~
…こう見えてしまうのは、
しょうがない。
ガチャン!
「こんにちは!
面接に来ました 石原です!」
職員「はあい? 面接?」
「はい。8時から 面接の石原です」
職員「はあ、ちょっと まってね…」
事務の女性は 奥の部屋に
入っていった。
職員「社長~~~!!!!!!
面接ですよ~~」
社長「ああああ! そうか!」
ガタ、ガタ、ガタ…
奥の方から 作業服を着た
オッサンが 走って来た……
社長「ハアハア…
いや~ ごめんねぇ~」
「あ、よろしくお願いします。」
(この人が、社長か)
社長「じゃあ 早速 面接しよっか」
事務所のスミに 連れていかれ
食堂らしき所に 座った。
社長「ああ、悪いね 食堂で、」
「いえ、大丈夫です」
(と、言うしかないだろ……)
社長「君、なんで うちの会社に?」
「はい。配送の仕事が
好きだからです」
社長「そう。でも……
ハッキリ言って キツイよ!」
「あ、はい 」
社長「君の過去は 問わない、
本当にやる気があれば
うちの会社で
働いてもらいたい」
「はい、是非!
よろしくお願いします。」
社長「一度 やってみるか?」
「はい!」
社長「よし、じゃあ 明日から…」
「……あの、採用でしょうか?」
社長「うん。
キツイか どうか やってみ」
「ありがとうございます。
よろしくお願いします。」
社長「ああ、今日、 もう一人 面接が
あるから、
もしかすれば、明日
2人で 入社かもな…」
「そうなんですか。」
社長「そう。
じゃあ、明日 朝7時に。」
「はい。ありがとうございました」
数分で 面接終了。
キツイ、汚い、危険、………かぁ
とにかく、
ヒカルのために 頑張るか!
自宅に 到着すると 着慣れない
スーツを脱ぎ捨てた。
「あ~ 緊張した」
まだまだ、早い時間帯だったので
昼飯を食いに 街へ くり出した。
(なに食うかな~?)
店を探していると 遠くの方に
お袋を 見つけた。
(なにやってんだ?お袋)
暇だったので バレないように
後を付けた…
カッカッカ……
少し歩き 街の裏通りの店に
お袋は入っていった。
(…なんだ、この店?)
「ラブ キャッチ?……」
店の 前の看板に
ホントの愛を あなたに……
ラブ キャッチ と書いてあった。
(なんの店だよ?)
店に入ると お袋に バレそうなので
外から 小窓を覗いた……
(暗くて 見えねーなー)
カラン、ガタン、
その店に 次々と
男女が 入っていった。
(……違うよな……そういう店?)
気分が 悪くなってきたので、
見なかった事にして 帰った。
結局、飯も食わず 家に帰った。
家に着くと ユキコが 帰っていた、
ユキコ「おかえり」
「おう、」
ユキコ「ねえ、お母さんは?」
「……知らねー」
ユキコ「最近 いつも 家にいないね」
「まあ、昔から 自由人だからな」
ユキコ「…そうだね」
「ああ、俺 明日から 仕事だから
今日は 早めに寝るな」
ユキコ「…! 採用されたんだ!
良かったねぇー」
「まあね。」
夜になっても お袋は帰らなかった。
(お袋… なにしてんだろ?
怪しい……)
ユキコ「お兄ちゃーん!
シンイチ君! 来たよ!」
「シンイチ? なんだろ…」
タッタッタッタッ…
「おお! シンイチ!
どーした?」
シンイチ「……悪いな! 」
明るい性格の シンイチが、
今にも 泣き出しそうな顔で
立っていた。
「なんだよ?」
シンイチ「ちょっと いいか?」
「……おう」
俺は シンイチに 連れられ
シンイチの車に 乗った。
「おい!どこ行くんだよ?」
シンイチ「ユウジロウ、今から
俺の女を、
説得してくれないか?」
「はあ?説得?なにを?」
シンイチ「…チサが 急に……
別れたいって…!
でも、俺、
チサがいないと…」
「だから、俺に
シンイチと別れるなって
言えって事か?」
シンイチ「……たのむよ!」
「そんな事 自分で言えよ」
シンイチ「……今から、
チサの所 行くから
たのむよ!」
「………おまえが そこまで
言うなんて よっぽど
好きなんだな?」
シンイチ「そりゃー 最初は
ナンパした女の1人
だったけど、
……チサほど、
俺の事 考えてくれる奴
いないんだよ!」
「わかった…
でも あんまり 力ないぜ。」
シンイチ「いいんだ、ユウジロウは、
俺が、チサに本気だって事を
言ってくれれば……」
「うん、わかった」
こうして チサちゃんの
アパートに着いた。
ピンポーン、
インターホンごしに チサちゃんが
返事した。
チサ「……はい」
シンイチ「チサ、俺。」
チサ「……帰って!」
シンイチ「話があるんだよ!」
チサ「……今、友達来てるから」
シンイチ「……男か?」
チサ「違うよ。」
シンイチ「俺、……ユウジロウと
一緒だから…」
チサ「友達連れて来たの…?」
シンイチ「ああ、だから 俺が
何もしないって
わかるだろ?」
チサ「……で、話ってなに?」
シンイチ「……会って、顔見て
話し したい。」
チサ「…………ちょっと、まって」
チサちゃんは、中の友達と
話し していた。
チサ「……少しだけだよ…」
シンイチ「うん、わかった」
ガチャ……
ドアを 開け チサちゃんが、
顔を出した。
シンイチ「チサ、俺……」
チサ「ここだと、迷惑になるから
中に入って」
シンイチ「……ああ、ごめん」
チサちゃんは 俺に気づいて
チサ「……どうぞ」
俺も 部屋にいれてくれた。
「おじゃまします。」
ドアの中に入ると
甘い香りに包まれた
綺麗な部屋に いれてくれた。
(あ~ いい匂い)
??????
俺は 自分の目を疑った……
なんで…
ここに…
ヒカルが………
チサちゃんのアパートに きていた
友達は ヒカルだった……
ヒカル「………」
チサ「ごめんね、ヒカル」
ヒカル「……ああ、う、うん」
チサ「どうした?」
ヒカル「……ん? なにが?」
平然を装う ヒカル。
シンイチ「……ごめんね、急に」
シンイチの 言葉より
俺が気になってしょうがない
感じのヒカル。
チサ「え~と、ユウジロウ君?
……テキトーに、座って」
「あ、うん」
ヒカルが 気になる俺。
チサ「で、話は?」
シンイチ「……別れたくない…」
チサ「もう、決めたから……」
シンイチ「勝手に決めんなよ」
チサ「じゃあ、別れるのに
彼氏に相談する人いる?」
シンイチ「……」
チサ「……とにかく、もう……」
シンイチ「…俺のなにが
嫌になったんだよ?」
チサ「………………」
シンイチ「……また、黙る」
俺と ヒカルは お互いを
意識しつつ
2人の会話を 黙って
聞いていた。
チサ「…だって、
何かあっても、私には
全然 相談もしてくれない…」
シンイチ「おまえに 余計な
心配かけたくないから」
チサ「だって、付き合ってんのに
なんで…?」
俺は 思わず 口を挟んでしまった…
「シンイチ! チサちゃんの事
好きなら、
なんで、いろんな事 1人で
抱え込むんだよ」
シンイチ「だから、
心配かけたくないだろ」
「心配?
おまえが 訳もわからず
ショボくれた顔をしてる方が
心配なんだよ」
シンイチ「…………ぅん」
………
ヒカル「好きだから、大切な人、
だからこそ、
心配かけづに
黙ってるんでしょ?」
「黙ってる?
黙るんなら 1人でいる時
黙ってろ!」
ヒカル「一緒にいる時 だから
黙ってんの!」
「そんなに、心配かけたいのか?」
ヒカル「……どうしても、
言えない 悩みだって
あるんだよ!」
「いちいち 2人でいる時に限って
黙られてもなぁ~」
シンイチ「……ちょっと、
ユウジロウ?」
チサ「…ヒカル?」
(やばい、ムキになり過ぎた…)
ヒカル(…なに言ってんだろ私)
全員 無言になり、
静かな時間が流れた。
俺は 無言の中で 少しづつ
冷静さを 取り戻した。
「シンイチ、ごめんな」
シンイチ「おお」
「チサちゃんも ごめんね」
チサ「…うん」
「それから……… ヒカル……」
シンイチ「おまえ、いきなり
呼び捨て!」
「ああああ! ヒカルさんも
ごめんね………」
チサちゃんは 俺と ヒカルを
交互に、 怪しそうに見ていた。
シンイチ「チサ、ごめん!」
チサ「…なに、急に?」
シンイチ「おまえを 思い過ぎて
おまえを
失う とこだった」
チサ「……ぇ?」
シンイチ「これから 何があっても
おまえに 1番に話す
だから…
チサも今までみたいに
俺に何でも言ってくれ」
チサ「………うん」
バッ!
チサちゃんは 泣きながら
シンイチの胸に 飛び込んだ。
俺と ヒカルは 目を合わせて
微笑んだ。
「よかったな、シンイチ!」
ヒカル「チサ、よかったね
本当は
別れたくなかったんでしょ?」
シンイチ「え?そうなの?」
チサ「……うん」
シンイチ「なんだよ、もー
チサあ~」
ちゅ、
ちゅ、
「人前で キス すんな!」
ヒカル「イイじゃん」
笑ってわいても、どこか
寂しそうなヒカル……
俺は ヒカルだけを 見ていた。
あれから 数時間たっても、
シンイチとチサちゃんは
ベタベタしていた。
「シンイチ!
俺 明日から
仕事だから 帰るな」
シンイチ「明日から……?
おまえ、大星は?
辞めたの?」
チサ「大星?
まさか、ヒカルのいえの
会社じゃないよね?」
シンイチ「はあ?
大星総合物産だぜ!」
チサ「え、……ヒカルのいえだ……」
シンイチ「え~~
そうなの?」
ヒカル「………まぁ」
シンイチ「じゃあ、2人は、
お知り合い?」
「バーカ!
あんなに、大きい会社で、
知り合えるかよ!
もし、あんな所で、
知り合えたら
運命だな!」
ヒカル「……運命…」
シンイチ「で、次の会社は?」
「……また、今度 ゆっくり
話してやるよ」
シンイチ「……おん、わかった」
「じゃあな、仲良くやれよ」
シンイチ「ユウジロウ!
ところで おまえ、
どうやって帰るの?」
「…………確かに、車 無いし……」
ヒカル「……チサ、私も
お邪魔だし、帰るね、」
チサ「うん、
ヒカル!、ユウジロウ君
送ってあげれば?」
ヒカル「……うん、そうだね
この人、かわいそうだしね」
ヒカルは俺を 半笑いで 見た。
シンイチ「ああ、じゃあ、俺
送ってや……」
ボゴっ
チサは 俺と ヒカルに見えないように
シンイチの腹を叩いた。
チサ「じゃあ きお付けてね。」
ヒカル「うん、じゃあね」
「じゃあな、シンイチ!」
シンイチ「おう、ありがとな」
バタン!
俺は ヒカルに
送ってもらう事になった。
シンイチ「なんだよ、チサ?」
チサ「ヒカル、帰る時
すっごく 嬉しそうだったね」
シンイチ「はあ?なんで?
早く帰りたかったの?」
チサ「…私は、
騙せないよ、 ヒカル」
シンイチ「なに?なに?」
チサ「も~ 君は 知らなくていーの」
バタンっ
ちゅ
ちゅ。
バタン!
バタン!
俺は ヒカルの車の
助手席に座った。
「まさか、おまえに会うとはな?」
ヒカル「…ねっ、ビックリだね!」
「シンイチの彼女の 友達が、
ヒカルだとわ 思わなかったなぁ」
ヒカル「これは、運命じゃない?」
「………ふっ」
ヒカル「ねえ?仕事決まったの?」
「ああ、明日が、初日」
ヒカル「…頑張ってね」
「おまえに 言われなくても
がんばるよっ!」
ヒカル「あっそう。」
「こんな時間に 出かけて
彼氏、ヤブ医者は 怒らねーの?」
ヒカル「さあ、知らない」
「知らないって?
おまえ、付き合ってんだろ?」
ヒカル「……そうだね、」
ヒカルは 何かを隠している
そう、直感した。
「あ~ 眠て~」
ヒカル「…いいよ、寝ても」
「こんな 狭い所で 寝れるかぁー」
ヒカル「悪かったねぇ!
狭い、車で!」
「もっと 広いベッドで
大きな 風呂があって、
夜景が綺麗に見える 所
行きたいな?」
ヒカル「…………。」
「あ、おい! あそこの
ピンクの看板の所で
俺、降ろしてくれ」
ヒカル「え? あ、あれ
ラブホ だよ。。。」
「…知ってるよ!
いいから、止めてくれ、
俺は、あそこで寝る」
キィ~~!
バタン!
「おう! ありがとな!」
ヒカル「……ホントに 寝るの?」
「ああ、寝るよ、
じゃっ! おやすみ」
バタン!
ヒカル「…………………」
俺は 一度 歩き出したが
再び 車に戻った。
「……おまえも 来るか?」
ヒカル「…………ぅん。」
俺は 運転を代わり
ラブホの駐車場に 車をとめた。
バタン! バタン!
ビィーン、
入口の 自動ドアの 手前で
ヒカルの 手を握って 中に入った。
「……部屋は……
どーせなら、1番 高い部屋
いこ~ぜ?」
ヒカル「………ぅ、ぅん」
部屋を決めて、
ヒカルと チェックインした。
バっタン!
ヒカル「……うわあ~
すご~い。」
「何だよ、おまえ?
初めてでもないのに……」
ヒカル「え、初めてだよ。」
「ふ~ん……初めてか、
初めて?
初めてなの? おまえ?」
ヒカル「…そうだよ、なんで?」
「……いや、別に……」
ヒカル「もう、寝るの?」
「いやっ、先、風呂行って来るな、」
ヒカル「……はい。」
俺は 1人 風呂に入りながら
ドキドキしていた。
(今まで、いろんな女と ホテル
来たけど、
こんなに、ドキドキするの
初めてだなあ)
風呂から上がると
ヒカルは 窓際で 夜景を見ていた。
その、横顔は 可愛くて、綺麗で
見てるだけで 幸せだった。
ヒカル「ふん?」
「ああ、風呂いいぞ……」
ヒカル「………うん」
ヒカルは 照れくさそうに
風呂に行った。
俺は ヒカルが 風呂に入っている間
テレビを見たり、音楽聞いたり、
落ち着かない 時間を過ごした。
ガチャン!
ふと、風呂の方向を見ると
バスタオル姿 一枚の ヒカルが
立っていた……
ヒカル「…見るなよ!」
「なんで、おまえ
そんな、 格好なわけ?」
ヒカル「着替えないし、
もう、寝るだけでしょ?」
「まあ、そうだけどよ…」
すでに、深夜0時を 過ぎていた。
「やべぇ! 俺、明日、仕事だった」
ヒカル「……寝よっか……」
「そうだな…」
ヒカル「……私、ソファーで
寝るね……」
「まて! ソファーは 俺だ!」
ヒカル「え?、
広い所で 寝たいんでしょ?」
「いいから、おまえは こっちで
寝ろ!」
グイっ
俺は ヒカルの腕を ベッド側に
引き寄せた…
キャッ……!
ヨロッ
強く 引き寄せ過ぎて
俺も ヒカルも ベッドに倒れた。
俺の上に ヒカルが
乗っかっていた……
目の前には ヒカルの顔が……
………自然に キスをした。
そのまま、黙って ヒカルを
仰向けにして また キスをした。
胸に手をやると……
ヒカル「………初めてだから…」
「……………………」
俺は その言葉を聞いて
さっきまで、 窓際で夜景を見ていた
可愛くて、綺麗で、
何より 無邪気な
ヒカルを
思い出した。
「……寝よっか?」
俺は ヒカルの おデコに
軽く キスをして、
自分も 仰向けになった
ヒカル「……え?」
「俺は……
おまえを抱く 資格がない…」
ヒカル「………嫌いになった?」
「嫌うどころか、もっと
好きになった!」
ヒカル「……イイよ、しても…」
「今は やめとく。
もっと、大事にしたいんだ
……ヒカルのこと…」
ヒカル「………ありがとう…」
俺は ベッドの上で ヒカルの
手を強く握った。
「一緒に 寝てもイイ?」
ヒカル「……イイよ……」
ピピピピピピピピ………!
……
ヒカル「…全然 寝れなかった…」
「ガア~」 「スー」
ヒカル「……ユウジロウ!
ユウジロウ!
朝だよ!」
「………んんっ…」
ヒカル「もう 5時半だよ」
「……お~ん」
ヒカル「初日から 遅刻?」
「はっ! そうだ、今日から…」
ヒカル「おはよう」
「おう、早いな?」
ヒカル「…うん。」
ヒカルが、コーヒーを
いれてくれた。
「さて、もう少し したら
帰るか…」
ヒカル「そうだね…」
「今日から 頑張らないとな!」
ヒカル「……ねえ、 ユウジロウ、
私の事、
受け入れてくれる?」
「受け入れる?」
ヒカル「うん。………
今から、私が話す事
受け入れられる?」
「…………」
ヒカル「 …………私の お母さん、
駒川病院で 入院してるの」
「は?お母さんが、入院?」
ヒカル「治る見込みのない、難病、
……だから、
どこの 病院も
受け入れを 拒否したの」
「………んんっ」
ヒカル「でも、駒川病院だけが、
受け入れてくれた……
ハヤトが 院長に
お願いしてくれたの」
「……ヤブ医者が…?」
ヒカル「………でも、
それと、引き換えに…」
「…おまえが、欲しい……かぁ?」
ヒカル「…………うん」
「で、おまえ もう 決めたんだろ?」
ヒカル「……どーしても、
断れ無くて…」
「おまえの 気持ちは?」
ヒカル「…それは………、
ユウジロウが、好き、
……でも……」
「でも? なんだよ?
お母さんが って、言うなよ!」
ヒカル「………でも、やっぱり
お母さんは………」
「おまえが 本気で
俺を 好きで いてくれるなら
……おまえの、
お母さんも 俺が、絶対
なんとかしてやる。」
ヒカル「……ホント?」
「ああ、
もう、これ以上
……ヒカルの 笑顔を
奪わせねえ!」
ヒカル「……ユウジロウ」
「俺は、おまえが、好きだ!」
ヒカル「えっ……」
「俺と、付き合ってくれ」
ヒカル「…うん…?ん…ぅん…」
ヒカルは 泣いていた…
俺は ゆっくり ヒカルを
抱き寄せた。
「泣くほど 嬉しい?」
ヒカル「……嬉しい…」
「……俺は おまえの 何百倍も
嬉しいけどな…」
ヒカル「………ふふふ」
「……ずいぶん 遠回りしたな」
ヒカル「…そうだね」
「もう、離れんなよ」
ヒカル「……ユウジロウもね」
「うん」
この後 ホテルを出て
家の近くの コンビニで
俺は 車をおりた。
「じゃあ、また、電話する」
ヒカル「うん、わかった。
仕事 がんばってね、
初日から遅刻すんなよ!」
「……ハイハイ」
ヒカル「じゃ、またね」
ブゥーン
走り出す ヒカルの車に向かって
俺は ヒカルに手を降った。
(さて、仕事行くかっ)
一旦 家に戻り
服を着替えて 会社に向かった。
バタン!
会社に到着すると 一人の男性が
近寄って来た。
「おはようございます!」
先輩「ユウジロウ!」
「あれ? 金井先輩?」
先輩「おまえ、今日から ここで
働くんだろ?」
「はい、先輩 ここにいたんすね?」
先輩「おう、俺も社長に聞いて
ビックリ したんだよ、」
「、でも なんか安心しました」
先輩「ん?なんで?」
「先輩がいてくれて」
先輩「ふっ」
「早く 仕事 教えて下さいよ」
先輩「ああ、
でも、遅いな トオル。」
「……トオル?」
先輩「あれ、
社長に聞いてないのか?」
「はあ、」
先輩「今日は、ユウジロウと
トオルが 入社するんだぜ」
「そういえば、面接のとき、もう一人
面接に来るから、入社のとき
一緒になるかもしれないって
社長が 言ってたような…」
先輩「ハッハッハ…」
「……なんだ、トオルも一緒か」
ダン!
バタン!
タッタッ…
トオル「金井先輩!」
先輩「よお、トオル!
おせーぞ!」
トオル「…すいません」
「トオル!遅いな。」
トオル「あ、ユウジロウ、
本当にいたんだ?」
「はあ?」
トオル「…さあ、頑張ろう」
先輩「よし、ほんじゃ
会社 案内してやるよ」
先輩について 俺と トオルは
会社の中を 案内してもらった。
先輩「……まあ、こんな感じだ」
トオル「はあ~、わかりました」
「本当かよ、おまえ?」
先輩「えーと、ユウジロウは
俺と トラックで 配送、
トオルは、中だったよな?」
トオル「はい、そうです」
先輩「じゃあ、俺達 出るから、
さっき 教えてやった
部屋行って、
工場長に聞いてみ」
トオル「…わかりました」
先輩「よし、ユウジロウ
出発すんぞ!」
「はい!」
ブォーン
先輩の運転で、
会社を出発した。
先輩「結構、キツイぜ」
「そうなんすか?」
先輩「まあ、やってみりゃ
わかるけどな」
「……どこ、行くんすか?」
先輩「ああ、病院回りだな、」
「……病院…?」
先輩「なんだ、 社長
全然説明してないんだな?」
「はあ」
先輩「まあ、病院で 使う
シーツ類の 回収と配達だな」
「あの~?」
先輩「ん?」
「駒川総合病院って………」
先輩「あああ、駒川も行くよ」
「そうっすか!」
先輩「なんだ、嬉しそーだなぁ」
「いえっ。」
先輩「あそこの 看護師とか
受付の女は かわいいぞ」
「………受付?」
先輩「なんだ、知ってんのか?」
「はあ、」
先輩「なんだよ、おまえ!
煮え切らない答えは、」
「ああ、自分の彼女なんすよ」
先輩「……彼女?
あの受付の子?」
「はい」
先輩「あれ? 先生が 受付に
自分の女がいるって
言ってたぜ」
(あの ヤブ医者~!ふざけやがって)
先輩「……違う受付の女かなぁ」
「じゃ、ないっすかね」
キィーー
1番 最初の配達先に到着した。
先輩「よし、やるか!」
病院に到着すると、まず
病院の外の 倉庫から大量の
使用済み シーツや看護着などを
専用の台座に積み込み
トラックに乗せる。
「これ、全部ですか?」
先輩「そう、全部。
しかも、1時間 以内にな」
倉庫の中は ギッシリ大量。
(これ、何百キロあんだよ)
先輩「じゃあ、始めるぞ!」
手際良く 仕事をこなす 先輩
俺も 先輩を真似て 仕事を
手伝った……
先輩「よし、あと、少しだ」
(こりゃ 思ったより
カナリ ハードだな!)
先輩「大丈夫か?」
「ハアハア………」
先輩「少し、休んでろ!」
俺は 先輩に言われた通り
少し 休憩した。
仕事に戻った時には
すでに、終わっていた…
「うわー、終わってる……」
先輩「よし、次、行くぞ」
「え、もう……ですか?」
バタン! バタン!
一件目から こんな感じで始まり
二件、三件、四件、
と ハードに続く仕事
昼休憩は たったの 10分で、
また ハードな仕事に戻る……
「マジ、キツイっすね?」
先輩「そーだろ、
今日は特別 だけどな……」
「え?……」
先輩「ああ、なんでもない、」
次の病院は、駒川総合病院、
先輩のトラックは、
ヒカルが 働く病院に
向かっていた……
先輩「次は、駒川だぜ」
「…はい」
先輩「彼女に イイとこ 見せないとな」
「そうっすね!」
20分ぐらい 走ると
駒川総合病院が 見えてきた。
キィー!
先輩「ついたぞ!」
「はい」
バタン! バタン!
ー駒川総合病院ー
先輩「とりあえず 倉庫の中 片付けるぞ」
「はい」
少しづつ 慣れてきた俺
先輩と 2人で テキパキこなしていた。
バタン ガタン
バタン!
先輩「ふ~、終わった」
「……ハアハア……」
先輩「だいぶ慣れてきたじゃん?」
「……はい」
先輩「じゃ、受付に伝票 出しに いこ~ぜ」
「あ、はい」
一応、 一通りの仕事を終えて
受付に伝票を出しに行った。
先輩「こんにちわ!」
受付「こんにちわ!」
受付の左側に ヒカルが
座っていた。
ヒカルは、すぐに俺に気づいた。
先輩「サイン お願いします」
ヒカル「あああ、は、はい…」
ヒカルは 机の引き出しから
印鑑を取り出し 伝票に押した。
先輩「ありがとうございます」
タッタッタッタッタッタッタッタッ…
元彼「あれ、おまえ!」
「うわ、ヤブ医者、」
元彼「何しに来た?」
「仕事だよ!」
先輩「おい! 先生だぞ!」
「知ってます、」
元彼「この会社は こんな奴 使うんだね?」
「……ああ?」
元彼「おまえ、仕事 失うぞ!」
「やってみろよ!」
先輩「おい! ユウジロウ!
うちの大事な お客さんだぞ」
「……すいません、先輩」
元彼「僕にも 謝ってくれないか?」
「はあ?なんでだよ?」
元彼「君は、どれだけ 僕に
迷惑かけたと 思ってんの」
先輩「…迷惑?
おまえ、先生に何したの?」
「まあ~、いろいろです」
元彼「君、バカだから、
忘れちゃったんじゃない?」
「ああ、忘れた、いやっ 消えた…
てか、おまえなんか、眼中にない!
たかが 病院勤務のセンコーが、
俺の女に近づくなんて 一万年早いんだよ!
ヒカルから全部聞いたぜ、お袋さんの事もな、
俺は あいつが 不安に思う事があるなら
この命にかえても 不安を取り除いてやる、
あいつが 悲しい事があるなら、
その悲しみが消えるまで ずっと一緒に
いるって決めたんだ!
だから、おまえが どんな手を使っても
もう 二度とヒカルから離れねえ!
どうしても ヒカルが 欲しけりゃぁ
おまえも 命かけろよ!!!
ここまで きたら 俺も
何するか わからんぜ!!!
よう、おぼえとけ!!!!!」
元彼「なにー!!お、お、脅しか?
バカで、無職のおまえが、
ちっぽけな 会社 入ったと
思って 勘違いするなよ!
おまえなんか すぐに
クビにしてやる!
バカは 一生 無職で
みじめに 暮らせ」
「…テメぇぇ!」
ドガッ…!!!
元彼は 殴られた……
な、なんと、 殴ったのは 先輩!
「………先輩?」
先輩「……先生!
あんたは、うちの会社の
大事な お客さんだけどよ、
こいつは……
ユウジロウは、俺にとって
大事な奴 だから、
あんまり、小馬鹿にすんなら
俺が、黙ってねえぞ!!」
元彼「……クソっ、不良クズれの…
バカどもがぁー!」
タッタッタッタッタッタッタッタッ
タッタッタッタッ…!
院長「うるさいぞ!!!」
「………………」
先輩「……院長先生……」
元彼「お、お父さん!」
先輩「…悪いな ユウジロウ……
初日から 仕事クビだ。」
「え? マジッすか???」
先輩「そりゃ そうだろ、
こんなとこ、院長に
見られちまったらよ、」
「……すいません」
先輩「謝んなよ!
クビが恐かったら
最初から 殴ってねえよ!」
「じゃあ、先輩、クビ覚悟で?」
先輩「当然だろ、おまえを
あそこまで コケにされて
黙ってられねえだろ、
それに 仕事は探せばあるけど、
俺のかわいい後輩 ユウジロウは
ドコ探したって、 1人しかいないだろ」
「……ホント、すいません」
タッ!
院長「君達は 配送業者だね?」
元彼「そ、そうだよ お父さん、
こいつらとの 取引は
辞めた方がいい!」
院長「……そうだな」
先輩「ご迷惑おかけしました…」
「すいません、俺が 全部
悪いんです、先輩は関係ありません!」
院長「……………ふん」
元彼「は、早く 帰れ!
うちとの 取引は終わりだ!
……ご苦労だったな」
「……ちくしょう…」
院長「うちとの取引を辞めるなら
おまえも、辞めてもらう!」
院長は、厳しい顔で、元彼(むすこ)
を、指差した。
元彼「…ぼ、ぼくが、辞める…?」
院長「……おまえ、ヒカルさんを
苦しめとるな?」
元彼「……ヒカルを?…まさか…」
院長「ワシが、知らんとでも
思ってるのか」
元彼「…………?」
「……ヒカルのお母さんの事か…」
院長「おまえ、少し 勘違い しとるな?」
元彼「……勘違い…」
院長「本物の医者に
なりたかったら、
人の気持ちを もう少し 考えたらどうだ?」
元彼「……人の気持ち…!?」
院長「今すぐ ヒカルさんを
自由にしてやりなさい」
元彼「……ヒカルを…自由に…」
院長「そうだ!
ヒカルさんの お母様は
うちで 面倒みる
……いいな?」
元彼「……は…はい」
院長「それから、君達は、
今後 2人での 立ち入りを禁止する」
先輩「……はい、わかりました」
院長「これからの、配送は、
1人で やる事。 ……いいな?」
先輩「…それじゃあ、取引も…」
院長「もちろんだよ、君達の
先代の社長さんには
どれだけ世話になった事か、
そんな簡単に 切れるような
関係じゃないよ」
先輩「あ、ありがとうございます」
「……ありがとうございます」
元彼「………チッ」
院長「それでは、ワシは
業務に戻らさせてもらうぞ、
…それから ハヤト!
お前の処分は後日 連絡する!
よいな!?」
元彼「しょ、処分?……ハア~
わかりました…」
先輩「どうも、すいませんでした」
「……すいませんでした」
こうして、院長の出現で
全ての事が 解決された。
ヒカルは 自由の身となり
俺とヒカルは 本当の 恋人どうしになった。
ーそれから 三日後ー
澄み切った青空の下
俺とヒカルは あの公園にいた。
「なあ、ヒカル、キスしていい?」
ヒカル「や~~だ よぉ~~」
ガタン
チュっ
「え?」
ヒカル「私から するのはイイの」
「はい、はい、主導権はお前だもんな?」
ヒカル「そういうこと!」
リンリーン
リンリーン
ヒカル「あれ、病院から電話だ」
「…!?」
ヒカル「はい…………はい…………
………わかりました………
今すぐ、行きます」
ピっ…
電話を切った瞬間 ヒカルは 泣き崩れた。
「おいっ、ヒカル!」
ヒカル「……うっうっ……お、お母さん
……お母さんが……」
ヒカルのこの姿を見て 俺はすぐに悟った、
きっと ヒカルのお母さんが旅立ったと……
俺は フラついている ヒカルをなんとか歩かせ
病院まで 連れて来た。
ガラガラー
病室のドアを開けると
ヒカルのお父さん(社長) 、お兄さん(専務)、
そして 優香さんが立っていた。
優しい木漏れ日に照らされ
ベッドで眠る ヒカルのお母さんの姿が
見えた。
トっトっ……
ヒカル「お、、お母さん……」
ヒカルは お母さんの手を 何度も 何度も
握りしめ、ゆすった…
その度、ヒカルの涙が お母さんの手に
こぼれ落ちていた。
ヒカル「お母さん!
ユウジロウに会うんでしょ?」
それまでは 死なないって
約束したじゃん……
ねえ! お母さん! 起きて!
ユウジロウ 連れて来たよ…」
お父さんはヒカルの肩を叩き
首を横に振った…
優香「 おかあさん…」
お兄さんは 拳を握り涙を流していた。
俺は 何もできず ただ立っているだけ…
トッ…
トットッ…
お父さん「ユウジロウ君、ありがとな。
……それから、妻が コレを
ユウジロウ君に渡してほしいと」
「俺に…?」
お父さん「…ああ」
俺は白い封筒を受け取った。
「開けていいですか?」
お父さん「もちろん」
ビリビリビリ
ガサガサ……
封筒の中には 手紙とシオリが入っていた。
俺は手紙を開き
手紙に目を向けた。
初めまして、ヒカルの母の 大星陽子と申します。
本当なら 一度お会いして ご挨拶するべきでしょうが、こんな身体ですので お手紙での挨拶 お許し下さい。
私にとってヒカルは宝物です。そんなヒカルが 毎日のように ユウジロウ様のお話を聞かせてくれました。
そのおかげでユウジロウ様を凄く近くに
感じる事ができました。
カラシ入りのお弁当の件は母親としてヒカルを強く叱りました、本当にごめんなさい。
それから 雷雨の時はヒカルを守ってくれて 本当にありがとうございました。
まだまだ ユウジロウ様の お話はつきませんが、
これぐらいにしておきますね。
失礼を承知で ユウジロウ様にお願いがあります。
万が一、あの子の事 お遊びでしたら 同封したシオリを あの子に渡し あの子から離れてやって下さい
あの子は寂しがりやですので 一緒にいればいるほど 1人が耐えれなくなります。私の最後のワガママだと思って どうか よろしくお願いします。
そして、あの子の事を本気で 愛してくれるのなら
そのシオリはユウジロウ様が預かって下さい。
このシオリはヒカルが5歳の時 作ってくれた、薔薇のシオリ、私の大切なシオリです。
どうぞ ゆっくり考えて 答えを出して下さい。
長々と書いてしまい、すいません。
最後に、これは私の願望です、
ユウジロウ、ヒカルをよろしくね。
ヒカル、幸せにね。
2人の母より
俺は 手紙とシオリを封筒にしまった。
(お母さん このシオリ、
俺が大切に預かっておきます
そして、ヒカルも 俺なりに
絶対 幸せにします)
この手紙を読んだ後の
ヒカルのお母さんの顔は
なんだか 俺には
清々しく 透明で綺麗に見えた。
こうして、ヒカルのお母さんは
天国へと 旅立った。
ヒカルは ベッドから離れず
話せる状態じゃなさそうだな…
「それでは 俺は失礼します」
お父さん「ユウジロウ君、悪かったね、
こんなところに付き合わせて」
「……いいえ、俺こそ何もできずに
すいませんでした」
専務「ユウジロウ君だっけ?
ヒカルの事 これから よろしくね」
「はい」
優香「気おつけて帰ってね」
「それじゃあ、失礼します」
ガラー
俺は部屋を出た。
ヒカル「待って、玄関まで 一緒に行く」
トットットットットット
トットットットットットットッ
「今はまだ 何も考えたくないと思うから
お前が本当に落ち着いたら 連絡してくれ」
バッ
ヒカルは俺の胸に飛び込んで 泣きはじめた…
ただ ただ 泣いていた……
大好きな お母さんが亡くなったんだから
俺には想像もできないぐらい 辛いんだろうな
「俺の胸なら どんだけ使ってもいいから
好きなだけ泣けよ」
ヒカル「…うっ…うっ…うっ……
もっと、うっ…お母さんと…
話し…したかった……」
このまま 夜明けをむかえた。
一年後、
ーオブジェのある公園ー
ヒカル「お母さんが 亡くなって
今日で 一年だよ」
「…そうか、もう そんなに
経つんだな…」
ヒカル「あの時は 立ち直れないと思ってた
でも、ユウジロウがいてくれて
本当に救われたよ…
いつも 一緒にいてくれてありがとね」
「なんだよ、今さら」
ヒカル「私が あの時 院長先生に
相談して いろんな事が解決した、
でも、お母さんがいなくなって
私のしてきた事は何だったんだって
悩んだ時期も 正直あった…
いろんな事があったけど、
1番大事な人に出会えた事が
私の人生を本当に大きく
変えてくれた」
「大事な人?それ俺の事?」
ヒカル「そうだよ!ユウジロウの事だよ」
「ふ~ん、やけに素直だな………
でも、本当に
変えてくれたのは、ヒカルだから、
俺に恋愛の意味を教えてくれて
ありがとな」
ヒカル「……そうだよね、私達は
2人で一緒に成長してたんだね」
「そういう事だな」
俺は 薔薇のオブジェを見つめ
そして 決めた!
「ヒカル!
結婚しよっか?」
ヒカル「え!」
「どーせ おまえは 俺とは
離れられない 運命なんだし
早いか 遅いか だけだろ?」
ヒカル「しょーがない、
結婚してやるか!」
抱き合い 寄り添い合う2人。
オブジェのある公園で
永遠の愛を 誓った。
「あっ!
金井先輩とアイリの 結婚式!」
ヒカル「……11時からだ!」
「やべぇー! 急ぐぞー!」
俺は ヒカルと出会い 本当の愛を
知った…
本当の愛
俺が思うに…
それは とても単純で
考えるより先に 体が勝手に動き出す
そして お互いがお互いを
自然に求め合う
ただ それだけの事。
ー10年後ー
ヒカル「パパ!行くよー!」
「あれ、ユラは?」
ヒカル「ユラは 車で待ってるよ!」
ユラ「 パパー! 早く
バアバの公園 いこーよー!」
「おう!
オブジェのある公園なあ!」
俺の愛は 一つから 二つになった。
ヒカルとユラを
一生涯 愛していきます
この薔薇のシオリに誓って。
オブジェのある公園
完終
母親「ユウジロウ! ご飯!」
「おうっ!」
足の骨折から 2週間が経ち
ようやく 自力で
歩けるようになった。
ガラガラ~!
アイリ「おはようございます」
母親「あら、おはよう!
今日は いつもより
早いね~」
骨折した 翌日から
ほぼ 毎日 アイリは
見舞いに来てくれた。
「おはよう!」
アイリ「ユウちゃん、すごい、
1人で 歩けるように
なったんだ?」
「…まあな、
でも、まだ 完治はしてねえ」
アイリ「そうか、がんばってね」
母親「ああ、今日も 出かけるから
アイリちゃん
このバカ いい?」
アイリ「もちろん。」
「バカは おまえに 似たんだよ!」
母親「じゃあ、よろしくねぇ~」
バタン!
お袋は 急いだ感じで
家を飛び出して行った。
「おまえ、仕事は いいのか?」
アイリ「うん、来月からに
してもらった。」
「わるいな、」
アイリ「別に、ユウちゃんが
謝らなくてもイイよ」
「そうか~?」
アイリ「そうだよ。
それに、こうやって、
ママゴト遊び、
懐かしくて 楽しいし」
「ママゴトか?」
アイリ「ご飯作ったり ユウちゃんの
お世話したり 楽しいし、
…ホントの夫婦に
なっちゃう?」
「はあ? 夫婦?」
アイリ「冗談よ、」
「……わ、わかってるよ」
アイリ「じゃあ、私、
洗濯しちゃうね!」
「ああ、たのむ、」
こんな感じで ハタから見れば
夫婦のような事をしていた。
でも、いつも 心のどこかに
ヒカルがいた。
ー駒川総合病院ー
看護師「先生!おはようございます」
受付「おはようございます」
元彼「ああ、おはよう」
ヒカル「おはようございます」
元彼「…ヒカル、ちょっといいか?」
ヒカル「は、ハイ」
ヒカルは 元彼に 言われ
宿直室に入った。
バタン!
ヒカル「……なに?」
元彼「…お母さんの事だけど…」
ヒカル「…お母さん…」
元彼「そう……難病のお母さんを
うちで面倒 見てるんだ
…わかるな?」
ヒカル「…また、その話し?」
元彼「他の病院じゃ
受け入れさえ無理な
難病の ヒカルの母親を
僕が、無理言って
ここに
おいてやってんだぞ!」
ヒカル「……だから、私、
ここの受付 手伝って……」
元彼「手伝う? そんな事で…
おいてやってると、
思うか?」
ヒカル「……違うの?」
元彼「…条件は 僕との 復縁だ」
ヒカル「…そんな…」
元彼「 なんだ、嫌か?
それとも 難病の母親を
家に連れて帰って
見殺しにでもするか?」
ヒカル「……それわ…」
元彼「悪いようにはしない」
ヒカル「……少し考えさせて…?」
元彼「考える?なにを?
そんなの時間の無駄だ!」
ヒカル「……お願いします」
元彼「わかった!夜までだ!」
ヒカル「……はい。。。」
ヒカルは 大星の トラックの
仕事が 大好きだった、
しかし、母親の病気の事で
無理矢理 この病院の
受付業務を 引き受けた。
元彼の罠で……。
アイリ「ユウちゃん、じゃあ、
私 帰るね」
「おお。ありがとな!」
アイリ「うん。また、明日ね」
「…うん」
アイリは 毎日 夕方には
家に戻る
洗濯、昼ご飯、晩飯の準備
全て 終わった後に
自宅に帰る。
(さあて、足も治ってきたし
たまには 散歩でも行くか…)
俺は 久しぶりに 家の外に出た。
(どこに行こう?
……………
………………
……そうだ!
あの 公園で 散歩しよ)
俺は いつもヒカルと 昼ご飯食べた
あの公園まで 車を走らせた……
キィーー!
バタン!
公園に到着した…
「久しぶりだな~」
少し 薄暗い 公園も
ひと味違って
広く 綺麗に見えた。
「さて、リハビリがてら
散歩でもするか。」
俺は ヒカルとの 出来事を
一つ 一つ 思いだしながら
ゆっくり 歩いた。
散歩道は ライトアップされていて
いろんな人が 散歩していた。
(あの 老夫婦 仲良さそうだなぁ~)
(あれ?こんな所に
薔薇の置物があったんだ?)
公園の奥に 小さな
薔薇のオブジェが
飾られていた。
「なんだか、暖かくて、優しい、
それでいて トゲがある
……なんか、ヒカルみたいだな
おまえ!」
俺は 薔薇のオブジェに触れながら
1人 喋っていた……
タッ!
「……私に、似てるって?」
薔薇のオブジェの先に
暗闇に包まれた 人影が見えた
でも 俺は
それが ヒカルである事が
すぐにわかった。
ヒカル「その薔薇が、私?」
「薔薇の方が 綺麗だな」
ヒカル「フフフ……」
「なに、笑ってんだよ?」
ヒカル「ユウジロウ 見てるだけで
笑える……。
………おもしろ過ぎて
涙まで 出てきちゃった」
「……ヒカル」
ヒカルの涙が
俺を 勝手に動かして
ヒカルの手を取り
抱き寄せた。
そんな 俺達 2人を
薔薇のオブジェだけが
優しく 見つめていた。
ヒカル「この薔薇の オブジェ
私の お母さんが
私のために
作ってくれたんだよ」
「おまえの……お母さんが…?」
ヒカル「そう、お母さんが」
「なんでまた、薔薇を?」
ヒカル「 薔薇は美しいけど
トゲがある でしょ…?
私が思うに……きっと、
綺麗に 可愛くしていても
時には、トゲを出す、
……じゃ、ないかなぁ、」
「????????」
ヒカル「だから……
常に 異性に対しては
警戒心を もっていろ
って、事かな、」
「ああ、なるほど!それで おまえ!
気が強いんだ!」
ヒカル「………そうかもね。。。」
「でも、いい お母さんだな!」
ヒカル「うん。……………」
「そういえば、会社では、
一度も見かけなかったけど、
家に いるのか?」
ヒカル「ああ、う、うん…………」
「ん?……どうかした…?」
ヒカル「……ねぇ、ユウジロウ、
お母さん……」
ピピピピピっ!
俺の携帯が鳴った…
「あ、ちょっと ワリイ、」
ヒカル「…うん」
「なんだ、アイリか。
どーした?」
ヒカル (……アイリ…?
この間、病院に
一緒に いた子かなぁ?)
「おお、わかった、 すぐ 帰るよ。」
ピっ
電話を切った。
「で、なんだった?」
ヒカル「………いいの?
………彼女は?」
「彼女?
もしかして、アイリの事?
…あれは、幼馴染み…」
ヒカル「……幼馴染みかあ。」
「ところで、お母さんが なに?」
ヒカル「……実は お母さん…」
「ちょっと待った!まさか、
そんな イイお母さんと 喧嘩
した、なんて
言うんじゃないだろうな~?」
ヒカル「え? 喧嘩……?」
「バーカ! こんな事してくれる
お母さん 中々 いねえぞぉ!
早く帰って、謝って、
母ちゃん 、大事にしてやれよ。」
ヒカル「……そ、そ、そうだね、」
「俺も 病み上がりだし、
そろそろ 家に帰るな」
ヒカル「……うん…」
ヒカルは お母さんの事も
元彼の事も 話せなかった…
それどころか…
ユウジロウの
お母さん 大事にしてやれよ。
…その一言で、
ヒカルは 決心した。
「なあ、ヒカル!
また、ここで 会おーぜ?」
ヒカル「…………ダメ…だよ…」
「ダメ?」
ヒカルは 突然 俺に背を向けた…
ヒカル「……彼氏に …
怒られるから、
もう、逢えない!」
「……彼氏?…まさか
あの、ヤブ医者?」
ヒカル「…ヤブ医者なんて
言わないでよ……」
「ホントか? ホントに彼氏かよ?」
ヒカル「……………」
テーレテレ…♪♪♪♪
ヒカルの 携帯が鳴った。
ピっ!
ヒカル「もしもし、ごめん
…すぐ 戻る……から」
おそらく 彼氏からだろう
でも、明らかに
ヒカルの様子が
おかしかった……
ピっ
ヒカル「 じゃあ、私 帰るね…」
「ヒカル!……………
おまえが 今、どうなっているかは
俺には わかんねー!
けど、あの時 みたいな
ホントに 楽しそうな
おまえの 笑顔が ないんだよ!
……なんて言うか…
その笑顔 絶対俺が、
取り戻してやるから
それまで、
待ってろ!!!!!」
ヒカルは 泣きながら 一生懸命
縦に首を 振っていた。
そして、
ヒカルは ゆっくり 歩きだした。
その 切なげな 後姿に
なに一つ 声もかけれず…
小さな 流星は
ゆっくり 消えていった……
(決めた…………。
もう 一回一から 仕事はじめて
いちにん前の男に なったら
ヒカルを 迎えにいく。
それまで しっかり
踏ん張って 待ってろよ
……ヒカル!」
翌日 ー朝6時ー
ピピピピピピっ!…
「よっしゃ!」
なまけた身体を 鍛えるため
今日から 朝6時 起きにした。
1時間 走って 朝飯 食べて、
朝 8時頃には 家を出て
職業安定所に 向かった。
ブィーン、
職業安定所は 相変わらず
静けさに 包まれていた。
受付「おはようございます」
「おはようございます!」
(あれ?…まえの 女の人と違うなぁ)
受付「検索ですか?」
「はい、」
受付「それでは 8番で
お願いします」
俺は 8番の パソコンの前に
座った。
カチャカチャ………
カチャカチャ!
…裏の席の奴が うるさい!
(さて、とにかく 俺も
仕事探さないとな…)
カチャカチャ…!
カチャカチャ!
(後の奴 マジで うるさい!)
ガタンっ!
後ろの奴は 検索を終えて
立ち上がった…
(くそ、どんな奴だ?)
俺は さり気なく 後ろを
振り向いた……
…目が合った……
「ユウジロウ!」
「……トオル!」
後ろの うるさい奴は
友達の トオルだった。
トオル「……あれ? 検索?」
「おう。 おまえは?」
トオル「おまえ! 大星は……?」
「はあ? 辞めた」
トオル「…辞めた? 大星を?」
「おう。」
トオル「……………」
「で、おまえは?」
トオル「俺? 転職だよ、転職!」
「転職?」
トオル「そう。転職…」
「まあ、頑張れよっ」
トオル「おう。
ユウジロウ、後で
飯、行こ~や?」
「ああ、いいよ」
トオル「じゃあ外で イップク
して待ってるな、」
「おい!」
(さて、やっと うるさいのも
行ったし……
仕事、仕事。」
カチャ…
(ふーん、この会社は 遠い…)
カチャ、
(パートかぁ~)
カチャ、
(おう、ここ イイかも。)
俺が気に入った会社は
トラックでの配達、回収業務。
給料も まあまあ、
時間も 朝は 7時から 夕方4時まで
この会社に 決めた。
早速 職業安定所の人に
面接の日取りを決めてもらい
紹介状とやらをもらって
外に出た。
ビィーン、
トオル「お、早かったな」
「ああ、面接いれてきた、」
トオル「へぇー、」
「飯、どこ行く?」
この日は 久しぶりに トオルと
飯食いに行って
その後、流れで
ナンパに行く事になった。
トオル「よし、今日はJKだ!」
「JK(女子高生)?」
トオル「今 テスト週間で
終わるの 早いだろ?」
「…知らねーよ!」
確かに 街の あちらこちらに
JKが ゴロゴロいた。
トオル「おっ! あれ、行ってくる」
「はいはい、いってらっしゃい!」
トオルは、 1人で 立っている JKに
声をかけていた。
(あいつ またなんで、JKだよ?)
トオルは ニタニタしながら
JKを連れて こちらへ 戻ってきた
トオル「…この子 遊びに行くの
いいんだけど、
友達を待ってるんだって」
「へぇー そうか、」
トオル「へぇー じゃ なくて!」
「なんだよ?」
JK「あっ、来た!…」
トオル「ん? 友達、来たの?」
タッタッタッタッ……
ユキコ「ユリーー!」
ユリ「ユキコ~! こっち!」
トオル「……あれ?
ユウジロウの 妹?」
「………ユキコ……」
ユキコ「あれ、お兄ちゃん!
…トオル君…」
最悪な 状況だった…
よりによって
妹の友達を ナンパしてくるなんて
………
この後
どうなったかは
言うまでもない。
ユキコ「最低~~」
俺は ユキコと 2人で 家に帰った。
トオルは ユキコの友達と
遊びに行った。
ガラガラ~
ユキコ 「ただいま~」
「…お袋~!」
ユキコ「なんだ、母さん 仕事?」
「違う、仕事辞めたから…」
ユキコ「ええ!辞めたの?」
タッタッ…
アイリ「おかえり、ユウちゃん!」
「おう、わりいな、また
飯 作らせちゃって、」
ユキコ「あ? アイリちゃん?」
アイリ「えー! ユキコちゃん?」
アイリ・ユキコ 「久しぶりー!」
「…うるさいな~ おまえら」
ユキコ「アイリちゃん こっちに
いたんだ?」
アイリ「そうだよ」
「ああ、そうだ、アイリ、
明日から しばらく ユキコが
家にいるから、
飯や洗濯は もう いいからな」
アイリ「……う、うん……」
ユキコ「へぇー、
アイリちゃんに
やらせてたんだ?」
アイリ「あああ、違う 違う!
いろいろあってね
それで、たまたま
やってただけ」
ユキコ「そうなんだ…」
「決まってんだろ!
じゃ、 なきゃ アイリに
やってもらう訳 ないだろ!」
アイリ「あ。私、そろそろ 帰るね
久しぶりに
親子水入らずして、
……じゃあ、おやすみ」
バタン!
「なんだよ、あんなに 慌てて…」
ユキコ「うわ~ 美味しそ~」
この日 お袋は 帰ってこなかった
アイリの 作った 飯を
ユキコと 2人で 食べた…
少し 喋って
明日の 面接にそなえ
早めに 就寝。
…ユキコが、彼氏と 電話していた
イチャイチャ……
うるさい… 寝れない……
ガアー
スゥー
ー面接日ー
早朝。
(さあ、行くか)
俺は 着慣れない スーツに着替え
車で 30分の 会社目指し走った。
キィ~、
バタン!
「……ここか、」
見た目は……………だな
生まれて始めて 入社した
会社が 大星だったからなぁ~
…こう見えてしまうのは、
しょうがない。
ガチャン!
「こんにちは!
面接に来ました 石原です!」
職員「はあい? 面接?」
「はい。8時から 面接の石原です」
職員「はあ、ちょっと まってね…」
事務の女性は 奥の部屋に
入っていった。
職員「社長~~~!!!!!!
面接ですよ~~」
社長「ああああ! そうか!」
ガタ、ガタ、ガタ…
奥の方から 作業服を着た
オッサンが 走って来た……
社長「ハアハア…
いや~ ごめんねぇ~」
「あ、よろしくお願いします。」
(この人が、社長か)
社長「じゃあ 早速 面接しよっか」
事務所のスミに 連れていかれ
食堂らしき所に 座った。
社長「ああ、悪いね 食堂で、」
「いえ、大丈夫です」
(と、言うしかないだろ……)
社長「君、なんで うちの会社に?」
「はい。配送の仕事が
好きだからです」
社長「そう。でも……
ハッキリ言って キツイよ!」
「あ、はい 」
社長「君の過去は 問わない、
本当にやる気があれば
うちの会社で
働いてもらいたい」
「はい、是非!
よろしくお願いします。」
社長「一度 やってみるか?」
「はい!」
社長「よし、じゃあ 明日から…」
「……あの、採用でしょうか?」
社長「うん。
キツイか どうか やってみ」
「ありがとうございます。
よろしくお願いします。」
社長「ああ、今日、 もう一人 面接が
あるから、
もしかすれば、明日
2人で 入社かもな…」
「そうなんですか。」
社長「そう。
じゃあ、明日 朝7時に。」
「はい。ありがとうございました」
数分で 面接終了。
キツイ、汚い、危険、………かぁ
とにかく、
ヒカルのために 頑張るか!
自宅に 到着すると 着慣れない
スーツを脱ぎ捨てた。
「あ~ 緊張した」
まだまだ、早い時間帯だったので
昼飯を食いに 街へ くり出した。
(なに食うかな~?)
店を探していると 遠くの方に
お袋を 見つけた。
(なにやってんだ?お袋)
暇だったので バレないように
後を付けた…
カッカッカ……
少し歩き 街の裏通りの店に
お袋は入っていった。
(…なんだ、この店?)
「ラブ キャッチ?……」
店の 前の看板に
ホントの愛を あなたに……
ラブ キャッチ と書いてあった。
(なんの店だよ?)
店に入ると お袋に バレそうなので
外から 小窓を覗いた……
(暗くて 見えねーなー)
カラン、ガタン、
その店に 次々と
男女が 入っていった。
(……違うよな……そういう店?)
気分が 悪くなってきたので、
見なかった事にして 帰った。
結局、飯も食わず 家に帰った。
家に着くと ユキコが 帰っていた、
ユキコ「おかえり」
「おう、」
ユキコ「ねえ、お母さんは?」
「……知らねー」
ユキコ「最近 いつも 家にいないね」
「まあ、昔から 自由人だからな」
ユキコ「…そうだね」
「ああ、俺 明日から 仕事だから
今日は 早めに寝るな」
ユキコ「…! 採用されたんだ!
良かったねぇー」
「まあね。」
夜になっても お袋は帰らなかった。
(お袋… なにしてんだろ?
怪しい……)
ユキコ「お兄ちゃーん!
シンイチ君! 来たよ!」
「シンイチ? なんだろ…」
タッタッタッタッ…
「おお! シンイチ!
どーした?」
シンイチ「……悪いな! 」
明るい性格の シンイチが、
今にも 泣き出しそうな顔で
立っていた。
「なんだよ?」
シンイチ「ちょっと いいか?」
「……おう」
俺は シンイチに 連れられ
シンイチの車に 乗った。
「おい!どこ行くんだよ?」
シンイチ「ユウジロウ、今から
俺の女を、
説得してくれないか?」
「はあ?説得?なにを?」
シンイチ「…チサが 急に……
別れたいって…!
でも、俺、
チサがいないと…」
「だから、俺に
シンイチと別れるなって
言えって事か?」
シンイチ「……たのむよ!」
「そんな事 自分で言えよ」
シンイチ「……今から、
チサの所 行くから
たのむよ!」
「………おまえが そこまで
言うなんて よっぽど
好きなんだな?」
シンイチ「そりゃー 最初は
ナンパした女の1人
だったけど、
……チサほど、
俺の事 考えてくれる奴
いないんだよ!」
「わかった…
でも あんまり 力ないぜ。」
シンイチ「いいんだ、ユウジロウは、
俺が、チサに本気だって事を
言ってくれれば……」
「うん、わかった」
こうして チサちゃんの
アパートに着いた。
ピンポーン、
インターホンごしに チサちゃんが
返事した。
チサ「……はい」
シンイチ「チサ、俺。」
チサ「……帰って!」
シンイチ「話があるんだよ!」
チサ「……今、友達来てるから」
シンイチ「……男か?」
チサ「違うよ。」
シンイチ「俺、……ユウジロウと
一緒だから…」
チサ「友達連れて来たの…?」
シンイチ「ああ、だから 俺が
何もしないって
わかるだろ?」
チサ「……で、話ってなに?」
シンイチ「……会って、顔見て
話し したい。」
チサ「…………ちょっと、まって」
チサちゃんは、中の友達と
話し していた。
チサ「……少しだけだよ…」
シンイチ「うん、わかった」
ガチャ……
ドアを 開け チサちゃんが、
顔を出した。
シンイチ「チサ、俺……」
チサ「ここだと、迷惑になるから
中に入って」
シンイチ「……ああ、ごめん」
チサちゃんは 俺に気づいて
チサ「……どうぞ」
俺も 部屋にいれてくれた。
「おじゃまします。」
ドアの中に入ると
甘い香りに包まれた
綺麗な部屋に いれてくれた。
(あ~ いい匂い)
??????
俺は 自分の目を疑った……
なんで…
ここに…
ヒカルが………
チサちゃんのアパートに きていた
友達は ヒカルだった……
ヒカル「………」
チサ「ごめんね、ヒカル」
ヒカル「……ああ、う、うん」
チサ「どうした?」
ヒカル「……ん? なにが?」
平然を装う ヒカル。
シンイチ「……ごめんね、急に」
シンイチの 言葉より
俺が気になってしょうがない
感じのヒカル。
チサ「え~と、ユウジロウ君?
……テキトーに、座って」
「あ、うん」
ヒカルが 気になる俺。
チサ「で、話は?」
シンイチ「……別れたくない…」
チサ「もう、決めたから……」
シンイチ「勝手に決めんなよ」
チサ「じゃあ、別れるのに
彼氏に相談する人いる?」
シンイチ「……」
チサ「……とにかく、もう……」
シンイチ「…俺のなにが
嫌になったんだよ?」
チサ「………………」
シンイチ「……また、黙る」
俺と ヒカルは お互いを
意識しつつ
2人の会話を 黙って
聞いていた。
チサ「…だって、
何かあっても、私には
全然 相談もしてくれない…」
シンイチ「おまえに 余計な
心配かけたくないから」
チサ「だって、付き合ってんのに
なんで…?」
俺は 思わず 口を挟んでしまった…
「シンイチ! チサちゃんの事
好きなら、
なんで、いろんな事 1人で
抱え込むんだよ」
シンイチ「だから、
心配かけたくないだろ」
「心配?
おまえが 訳もわからず
ショボくれた顔をしてる方が
心配なんだよ」
シンイチ「…………ぅん」
………
ヒカル「好きだから、大切な人、
だからこそ、
心配かけづに
黙ってるんでしょ?」
「黙ってる?
黙るんなら 1人でいる時
黙ってろ!」
ヒカル「一緒にいる時 だから
黙ってんの!」
「そんなに、心配かけたいのか?」
ヒカル「……どうしても、
言えない 悩みだって
あるんだよ!」
「いちいち 2人でいる時に限って
黙られてもなぁ~」
シンイチ「……ちょっと、
ユウジロウ?」
チサ「…ヒカル?」
(やばい、ムキになり過ぎた…)
ヒカル(…なに言ってんだろ私)
全員 無言になり、
静かな時間が流れた。
俺は 無言の中で 少しづつ
冷静さを 取り戻した。
「シンイチ、ごめんな」
シンイチ「おお」
「チサちゃんも ごめんね」
チサ「…うん」
「それから……… ヒカル……」
シンイチ「おまえ、いきなり
呼び捨て!」
「ああああ! ヒカルさんも
ごめんね………」
チサちゃんは 俺と ヒカルを
交互に、 怪しそうに見ていた。
シンイチ「チサ、ごめん!」
チサ「…なに、急に?」
シンイチ「おまえを 思い過ぎて
おまえを
失う とこだった」
チサ「……ぇ?」
シンイチ「これから 何があっても
おまえに 1番に話す
だから…
チサも今までみたいに
俺に何でも言ってくれ」
チサ「………うん」
バッ!
チサちゃんは 泣きながら
シンイチの胸に 飛び込んだ。
俺と ヒカルは 目を合わせて
微笑んだ。
「よかったな、シンイチ!」
ヒカル「チサ、よかったね
本当は
別れたくなかったんでしょ?」
シンイチ「え?そうなの?」
チサ「……うん」
シンイチ「なんだよ、もー
チサあ~」
ちゅ、
ちゅ、
「人前で キス すんな!」
ヒカル「イイじゃん」
笑ってわいても、どこか
寂しそうなヒカル……
俺は ヒカルだけを 見ていた。
あれから 数時間たっても、
シンイチとチサちゃんは
ベタベタしていた。
「シンイチ!
俺 明日から
仕事だから 帰るな」
シンイチ「明日から……?
おまえ、大星は?
辞めたの?」
チサ「大星?
まさか、ヒカルのいえの
会社じゃないよね?」
シンイチ「はあ?
大星総合物産だぜ!」
チサ「え、……ヒカルのいえだ……」
シンイチ「え~~
そうなの?」
ヒカル「………まぁ」
シンイチ「じゃあ、2人は、
お知り合い?」
「バーカ!
あんなに、大きい会社で、
知り合えるかよ!
もし、あんな所で、
知り合えたら
運命だな!」
ヒカル「……運命…」
シンイチ「で、次の会社は?」
「……また、今度 ゆっくり
話してやるよ」
シンイチ「……おん、わかった」
「じゃあな、仲良くやれよ」
シンイチ「ユウジロウ!
ところで おまえ、
どうやって帰るの?」
「…………確かに、車 無いし……」
ヒカル「……チサ、私も
お邪魔だし、帰るね、」
チサ「うん、
ヒカル!、ユウジロウ君
送ってあげれば?」
ヒカル「……うん、そうだね
この人、かわいそうだしね」
ヒカルは俺を 半笑いで 見た。
シンイチ「ああ、じゃあ、俺
送ってや……」
ボゴっ
チサは 俺と ヒカルに見えないように
シンイチの腹を叩いた。
チサ「じゃあ きお付けてね。」
ヒカル「うん、じゃあね」
「じゃあな、シンイチ!」
シンイチ「おう、ありがとな」
バタン!
俺は ヒカルに
送ってもらう事になった。
シンイチ「なんだよ、チサ?」
チサ「ヒカル、帰る時
すっごく 嬉しそうだったね」
シンイチ「はあ?なんで?
早く帰りたかったの?」
チサ「…私は、
騙せないよ、 ヒカル」
シンイチ「なに?なに?」
チサ「も~ 君は 知らなくていーの」
バタンっ
ちゅ
ちゅ。
バタン!
バタン!
俺は ヒカルの車の
助手席に座った。
「まさか、おまえに会うとはな?」
ヒカル「…ねっ、ビックリだね!」
「シンイチの彼女の 友達が、
ヒカルだとわ 思わなかったなぁ」
ヒカル「これは、運命じゃない?」
「………ふっ」
ヒカル「ねえ?仕事決まったの?」
「ああ、明日が、初日」
ヒカル「…頑張ってね」
「おまえに 言われなくても
がんばるよっ!」
ヒカル「あっそう。」
「こんな時間に 出かけて
彼氏、ヤブ医者は 怒らねーの?」
ヒカル「さあ、知らない」
「知らないって?
おまえ、付き合ってんだろ?」
ヒカル「……そうだね、」
ヒカルは 何かを隠している
そう、直感した。
「あ~ 眠て~」
ヒカル「…いいよ、寝ても」
「こんな 狭い所で 寝れるかぁー」
ヒカル「悪かったねぇ!
狭い、車で!」
「もっと 広いベッドで
大きな 風呂があって、
夜景が綺麗に見える 所
行きたいな?」
ヒカル「…………。」
「あ、おい! あそこの
ピンクの看板の所で
俺、降ろしてくれ」
ヒカル「え? あ、あれ
ラブホ だよ。。。」
「…知ってるよ!
いいから、止めてくれ、
俺は、あそこで寝る」
キィ~~!
バタン!
「おう! ありがとな!」
ヒカル「……ホントに 寝るの?」
「ああ、寝るよ、
じゃっ! おやすみ」
バタン!
ヒカル「…………………」
俺は 一度 歩き出したが
再び 車に戻った。
「……おまえも 来るか?」
ヒカル「…………ぅん。」
俺は 運転を代わり
ラブホの駐車場に 車をとめた。
バタン! バタン!
ビィーン、
入口の 自動ドアの 手前で
ヒカルの 手を握って 中に入った。
「……部屋は……
どーせなら、1番 高い部屋
いこ~ぜ?」
ヒカル「………ぅ、ぅん」
部屋を決めて、
ヒカルと チェックインした。
バっタン!
ヒカル「……うわあ~
すご~い。」
「何だよ、おまえ?
初めてでもないのに……」
ヒカル「え、初めてだよ。」
「ふ~ん……初めてか、
初めて?
初めてなの? おまえ?」
ヒカル「…そうだよ、なんで?」
「……いや、別に……」
ヒカル「もう、寝るの?」
「いやっ、先、風呂行って来るな、」
ヒカル「……はい。」
俺は 1人 風呂に入りながら
ドキドキしていた。
(今まで、いろんな女と ホテル
来たけど、
こんなに、ドキドキするの
初めてだなあ)
風呂から上がると
ヒカルは 窓際で 夜景を見ていた。
その、横顔は 可愛くて、綺麗で
見てるだけで 幸せだった。
ヒカル「ふん?」
「ああ、風呂いいぞ……」
ヒカル「………うん」
ヒカルは 照れくさそうに
風呂に行った。
俺は ヒカルが 風呂に入っている間
テレビを見たり、音楽聞いたり、
落ち着かない 時間を過ごした。
ガチャン!
ふと、風呂の方向を見ると
バスタオル姿 一枚の ヒカルが
立っていた……
ヒカル「…見るなよ!」
「なんで、おまえ
そんな、 格好なわけ?」
ヒカル「着替えないし、
もう、寝るだけでしょ?」
「まあ、そうだけどよ…」
すでに、深夜0時を 過ぎていた。
「やべぇ! 俺、明日、仕事だった」
ヒカル「……寝よっか……」
「そうだな…」
ヒカル「……私、ソファーで
寝るね……」
「まて! ソファーは 俺だ!」
ヒカル「え?、
広い所で 寝たいんでしょ?」
「いいから、おまえは こっちで
寝ろ!」
グイっ
俺は ヒカルの腕を ベッド側に
引き寄せた…
キャッ……!
ヨロッ
強く 引き寄せ過ぎて
俺も ヒカルも ベッドに倒れた。
俺の上に ヒカルが
乗っかっていた……
目の前には ヒカルの顔が……
………自然に キスをした。
そのまま、黙って ヒカルを
仰向けにして また キスをした。
胸に手をやると……
ヒカル「………初めてだから…」
「……………………」
俺は その言葉を聞いて
さっきまで、 窓際で夜景を見ていた
可愛くて、綺麗で、
何より 無邪気な
ヒカルを
思い出した。
「……寝よっか?」
俺は ヒカルの おデコに
軽く キスをして、
自分も 仰向けになった
ヒカル「……え?」
「俺は……
おまえを抱く 資格がない…」
ヒカル「………嫌いになった?」
「嫌うどころか、もっと
好きになった!」
ヒカル「……イイよ、しても…」
「今は やめとく。
もっと、大事にしたいんだ
……ヒカルのこと…」
ヒカル「………ありがとう…」
俺は ベッドの上で ヒカルの
手を強く握った。
「一緒に 寝てもイイ?」
ヒカル「……イイよ……」
ピピピピピピピピ………!
……
ヒカル「…全然 寝れなかった…」
「ガア~」 「スー」
ヒカル「……ユウジロウ!
ユウジロウ!
朝だよ!」
「………んんっ…」
ヒカル「もう 5時半だよ」
「……お~ん」
ヒカル「初日から 遅刻?」
「はっ! そうだ、今日から…」
ヒカル「おはよう」
「おう、早いな?」
ヒカル「…うん。」
ヒカルが、コーヒーを
いれてくれた。
「さて、もう少し したら
帰るか…」
ヒカル「そうだね…」
「今日から 頑張らないとな!」
ヒカル「……ねえ、 ユウジロウ、
私の事、
受け入れてくれる?」
「受け入れる?」
ヒカル「うん。………
今から、私が話す事
受け入れられる?」
「…………」
ヒカル「 …………私の お母さん、
駒川病院で 入院してるの」
「は?お母さんが、入院?」
ヒカル「治る見込みのない、難病、
……だから、
どこの 病院も
受け入れを 拒否したの」
「………んんっ」
ヒカル「でも、駒川病院だけが、
受け入れてくれた……
ハヤトが 院長に
お願いしてくれたの」
「……ヤブ医者が…?」
ヒカル「………でも、
それと、引き換えに…」
「…おまえが、欲しい……かぁ?」
ヒカル「…………うん」
「で、おまえ もう 決めたんだろ?」
ヒカル「……どーしても、
断れ無くて…」
「おまえの 気持ちは?」
ヒカル「…それは………、
ユウジロウが、好き、
……でも……」
「でも? なんだよ?
お母さんが って、言うなよ!」
ヒカル「………でも、やっぱり
お母さんは………」
「おまえが 本気で
俺を 好きで いてくれるなら
……おまえの、
お母さんも 俺が、絶対
なんとかしてやる。」
ヒカル「……ホント?」
「ああ、
もう、これ以上
……ヒカルの 笑顔を
奪わせねえ!」
ヒカル「……ユウジロウ」
「俺は、おまえが、好きだ!」
ヒカル「えっ……」
「俺と、付き合ってくれ」
ヒカル「…うん…?ん…ぅん…」
ヒカルは 泣いていた…
俺は ゆっくり ヒカルを
抱き寄せた。
「泣くほど 嬉しい?」
ヒカル「……嬉しい…」
「……俺は おまえの 何百倍も
嬉しいけどな…」
ヒカル「………ふふふ」
「……ずいぶん 遠回りしたな」
ヒカル「…そうだね」
「もう、離れんなよ」
ヒカル「……ユウジロウもね」
「うん」
この後 ホテルを出て
家の近くの コンビニで
俺は 車をおりた。
「じゃあ、また、電話する」
ヒカル「うん、わかった。
仕事 がんばってね、
初日から遅刻すんなよ!」
「……ハイハイ」
ヒカル「じゃ、またね」
ブゥーン
走り出す ヒカルの車に向かって
俺は ヒカルに手を降った。
(さて、仕事行くかっ)
一旦 家に戻り
服を着替えて 会社に向かった。
バタン!
会社に到着すると 一人の男性が
近寄って来た。
「おはようございます!」
先輩「ユウジロウ!」
「あれ? 金井先輩?」
先輩「おまえ、今日から ここで
働くんだろ?」
「はい、先輩 ここにいたんすね?」
先輩「おう、俺も社長に聞いて
ビックリ したんだよ、」
「、でも なんか安心しました」
先輩「ん?なんで?」
「先輩がいてくれて」
先輩「ふっ」
「早く 仕事 教えて下さいよ」
先輩「ああ、
でも、遅いな トオル。」
「……トオル?」
先輩「あれ、
社長に聞いてないのか?」
「はあ、」
先輩「今日は、ユウジロウと
トオルが 入社するんだぜ」
「そういえば、面接のとき、もう一人
面接に来るから、入社のとき
一緒になるかもしれないって
社長が 言ってたような…」
先輩「ハッハッハ…」
「……なんだ、トオルも一緒か」
ダン!
バタン!
タッタッ…
トオル「金井先輩!」
先輩「よお、トオル!
おせーぞ!」
トオル「…すいません」
「トオル!遅いな。」
トオル「あ、ユウジロウ、
本当にいたんだ?」
「はあ?」
トオル「…さあ、頑張ろう」
先輩「よし、ほんじゃ
会社 案内してやるよ」
先輩について 俺と トオルは
会社の中を 案内してもらった。
先輩「……まあ、こんな感じだ」
トオル「はあ~、わかりました」
「本当かよ、おまえ?」
先輩「えーと、ユウジロウは
俺と トラックで 配送、
トオルは、中だったよな?」
トオル「はい、そうです」
先輩「じゃあ、俺達 出るから、
さっき 教えてやった
部屋行って、
工場長に聞いてみ」
トオル「…わかりました」
先輩「よし、ユウジロウ
出発すんぞ!」
「はい!」
ブォーン
先輩の運転で、
会社を出発した。
先輩「結構、キツイぜ」
「そうなんすか?」
先輩「まあ、やってみりゃ
わかるけどな」
「……どこ、行くんすか?」
先輩「ああ、病院回りだな、」
「……病院…?」
先輩「なんだ、 社長
全然説明してないんだな?」
「はあ」
先輩「まあ、病院で 使う
シーツ類の 回収と配達だな」
「あの~?」
先輩「ん?」
「駒川総合病院って………」
先輩「あああ、駒川も行くよ」
「そうっすか!」
先輩「なんだ、嬉しそーだなぁ」
「いえっ。」
先輩「あそこの 看護師とか
受付の女は かわいいぞ」
「………受付?」
先輩「なんだ、知ってんのか?」
「はあ、」
先輩「なんだよ、おまえ!
煮え切らない答えは、」
「ああ、自分の彼女なんすよ」
先輩「……彼女?
あの受付の子?」
「はい」
先輩「あれ? 先生が 受付に
自分の女がいるって
言ってたぜ」
(あの ヤブ医者~!ふざけやがって)
先輩「……違う受付の女かなぁ」
「じゃ、ないっすかね」
キィーー
1番 最初の配達先に到着した。
先輩「よし、やるか!」
病院に到着すると、まず
病院の外の 倉庫から大量の
使用済み シーツや看護着などを
専用の台座に積み込み
トラックに乗せる。
「これ、全部ですか?」
先輩「そう、全部。
しかも、1時間 以内にな」
倉庫の中は ギッシリ大量。
(これ、何百キロあんだよ)
先輩「じゃあ、始めるぞ!」
手際良く 仕事をこなす 先輩
俺も 先輩を真似て 仕事を
手伝った……
先輩「よし、あと、少しだ」
(こりゃ 思ったより
カナリ ハードだな!)
先輩「大丈夫か?」
「ハアハア………」
先輩「少し、休んでろ!」
俺は 先輩に言われた通り
少し 休憩した。
仕事に戻った時には
すでに、終わっていた…
「うわー、終わってる……」
先輩「よし、次、行くぞ」
「え、もう……ですか?」
バタン! バタン!
一件目から こんな感じで始まり
二件、三件、四件、
と ハードに続く仕事
昼休憩は たったの 10分で、
また ハードな仕事に戻る……
「マジ、キツイっすね?」
先輩「そーだろ、
今日は特別 だけどな……」
「え?……」
先輩「ああ、なんでもない、」
次の病院は、駒川総合病院、
先輩のトラックは、
ヒカルが 働く病院に
向かっていた……
先輩「次は、駒川だぜ」
「…はい」
先輩「彼女に イイとこ 見せないとな」
「そうっすね!」
20分ぐらい 走ると
駒川総合病院が 見えてきた。
キィー!
先輩「ついたぞ!」
「はい」
バタン! バタン!
ー駒川総合病院ー
先輩「とりあえず 倉庫の中 片付けるぞ」
「はい」
少しづつ 慣れてきた俺
先輩と 2人で テキパキこなしていた。
バタン ガタン
バタン!
先輩「ふ~、終わった」
「……ハアハア……」
先輩「だいぶ慣れてきたじゃん?」
「……はい」
先輩「じゃ、受付に伝票 出しに いこ~ぜ」
「あ、はい」
一応、 一通りの仕事を終えて
受付に伝票を出しに行った。
先輩「こんにちわ!」
受付「こんにちわ!」
受付の左側に ヒカルが
座っていた。
ヒカルは、すぐに俺に気づいた。
先輩「サイン お願いします」
ヒカル「あああ、は、はい…」
ヒカルは 机の引き出しから
印鑑を取り出し 伝票に押した。
先輩「ありがとうございます」
タッタッタッタッタッタッタッタッ…
元彼「あれ、おまえ!」
「うわ、ヤブ医者、」
元彼「何しに来た?」
「仕事だよ!」
先輩「おい! 先生だぞ!」
「知ってます、」
元彼「この会社は こんな奴 使うんだね?」
「……ああ?」
元彼「おまえ、仕事 失うぞ!」
「やってみろよ!」
先輩「おい! ユウジロウ!
うちの大事な お客さんだぞ」
「……すいません、先輩」
元彼「僕にも 謝ってくれないか?」
「はあ?なんでだよ?」
元彼「君は、どれだけ 僕に
迷惑かけたと 思ってんの」
先輩「…迷惑?
おまえ、先生に何したの?」
「まあ~、いろいろです」
元彼「君、バカだから、
忘れちゃったんじゃない?」
「ああ、忘れた、いやっ 消えた…
てか、おまえなんか、眼中にない!
たかが 病院勤務のセンコーが、
俺の女に近づくなんて 一万年早いんだよ!
ヒカルから全部聞いたぜ、お袋さんの事もな、
俺は あいつが 不安に思う事があるなら
この命にかえても 不安を取り除いてやる、
あいつが 悲しい事があるなら、
その悲しみが消えるまで ずっと一緒に
いるって決めたんだ!
だから、おまえが どんな手を使っても
もう 二度とヒカルから離れねえ!
どうしても ヒカルが 欲しけりゃぁ
おまえも 命かけろよ!!!
ここまで きたら 俺も
何するか わからんぜ!!!
よう、おぼえとけ!!!!!」
元彼「なにー!!お、お、脅しか?
バカで、無職のおまえが、
ちっぽけな 会社 入ったと
思って 勘違いするなよ!
おまえなんか すぐに
クビにしてやる!
バカは 一生 無職で
みじめに 暮らせ」
「…テメぇぇ!」
ドガッ…!!!
元彼は 殴られた……
な、なんと、 殴ったのは 先輩!
「………先輩?」
先輩「……先生!
あんたは、うちの会社の
大事な お客さんだけどよ、
こいつは……
ユウジロウは、俺にとって
大事な奴 だから、
あんまり、小馬鹿にすんなら
俺が、黙ってねえぞ!!」
元彼「……クソっ、不良クズれの…
バカどもがぁー!」
タッタッタッタッタッタッタッタッ
タッタッタッタッ…!
院長「うるさいぞ!!!」
「………………」
先輩「……院長先生……」
元彼「お、お父さん!」
先輩「…悪いな ユウジロウ……
初日から 仕事クビだ。」
「え? マジッすか???」
先輩「そりゃ そうだろ、
こんなとこ、院長に
見られちまったらよ、」
「……すいません」
先輩「謝んなよ!
クビが恐かったら
最初から 殴ってねえよ!」
「じゃあ、先輩、クビ覚悟で?」
先輩「当然だろ、おまえを
あそこまで コケにされて
黙ってられねえだろ、
それに 仕事は探せばあるけど、
俺のかわいい後輩 ユウジロウは
ドコ探したって、 1人しかいないだろ」
「……ホント、すいません」
タッ!
院長「君達は 配送業者だね?」
元彼「そ、そうだよ お父さん、
こいつらとの 取引は
辞めた方がいい!」
院長「……そうだな」
先輩「ご迷惑おかけしました…」
「すいません、俺が 全部
悪いんです、先輩は関係ありません!」
院長「……………ふん」
元彼「は、早く 帰れ!
うちとの 取引は終わりだ!
……ご苦労だったな」
「……ちくしょう…」
院長「うちとの取引を辞めるなら
おまえも、辞めてもらう!」
院長は、厳しい顔で、元彼(むすこ)
を、指差した。
元彼「…ぼ、ぼくが、辞める…?」
院長「……おまえ、ヒカルさんを
苦しめとるな?」
元彼「……ヒカルを?…まさか…」
院長「ワシが、知らんとでも
思ってるのか」
元彼「…………?」
「……ヒカルのお母さんの事か…」
院長「おまえ、少し 勘違い しとるな?」
元彼「……勘違い…」
院長「本物の医者に
なりたかったら、
人の気持ちを もう少し 考えたらどうだ?」
元彼「……人の気持ち…!?」
院長「今すぐ ヒカルさんを
自由にしてやりなさい」
元彼「……ヒカルを…自由に…」
院長「そうだ!
ヒカルさんの お母様は
うちで 面倒みる
……いいな?」
元彼「……は…はい」
院長「それから、君達は、
今後 2人での 立ち入りを禁止する」
先輩「……はい、わかりました」
院長「これからの、配送は、
1人で やる事。 ……いいな?」
先輩「…それじゃあ、取引も…」
院長「もちろんだよ、君達の
先代の社長さんには
どれだけ世話になった事か、
そんな簡単に 切れるような
関係じゃないよ」
先輩「あ、ありがとうございます」
「……ありがとうございます」
元彼「………チッ」
院長「それでは、ワシは
業務に戻らさせてもらうぞ、
…それから ハヤト!
お前の処分は後日 連絡する!
よいな!?」
元彼「しょ、処分?……ハア~
わかりました…」
先輩「どうも、すいませんでした」
「……すいませんでした」
こうして、院長の出現で
全ての事が 解決された。
ヒカルは 自由の身となり
俺とヒカルは 本当の 恋人どうしになった。
ーそれから 三日後ー
澄み切った青空の下
俺とヒカルは あの公園にいた。
「なあ、ヒカル、キスしていい?」
ヒカル「や~~だ よぉ~~」
ガタン
チュっ
「え?」
ヒカル「私から するのはイイの」
「はい、はい、主導権はお前だもんな?」
ヒカル「そういうこと!」
リンリーン
リンリーン
ヒカル「あれ、病院から電話だ」
「…!?」
ヒカル「はい…………はい…………
………わかりました………
今すぐ、行きます」
ピっ…
電話を切った瞬間 ヒカルは 泣き崩れた。
「おいっ、ヒカル!」
ヒカル「……うっうっ……お、お母さん
……お母さんが……」
ヒカルのこの姿を見て 俺はすぐに悟った、
きっと ヒカルのお母さんが旅立ったと……
俺は フラついている ヒカルをなんとか歩かせ
病院まで 連れて来た。
ガラガラー
病室のドアを開けると
ヒカルのお父さん(社長) 、お兄さん(専務)、
そして 優香さんが立っていた。
優しい木漏れ日に照らされ
ベッドで眠る ヒカルのお母さんの姿が
見えた。
トっトっ……
ヒカル「お、、お母さん……」
ヒカルは お母さんの手を 何度も 何度も
握りしめ、ゆすった…
その度、ヒカルの涙が お母さんの手に
こぼれ落ちていた。
ヒカル「お母さん!
ユウジロウに会うんでしょ?」
それまでは 死なないって
約束したじゃん……
ねえ! お母さん! 起きて!
ユウジロウ 連れて来たよ…」
お父さんはヒカルの肩を叩き
首を横に振った…
優香「 おかあさん…」
お兄さんは 拳を握り涙を流していた。
俺は 何もできず ただ立っているだけ…
トッ…
トットッ…
お父さん「ユウジロウ君、ありがとな。
……それから、妻が コレを
ユウジロウ君に渡してほしいと」
「俺に…?」
お父さん「…ああ」
俺は白い封筒を受け取った。
「開けていいですか?」
お父さん「もちろん」
ビリビリビリ
ガサガサ……
封筒の中には 手紙とシオリが入っていた。
俺は手紙を開き
手紙に目を向けた。
初めまして、ヒカルの母の 大星陽子と申します。
本当なら 一度お会いして ご挨拶するべきでしょうが、こんな身体ですので お手紙での挨拶 お許し下さい。
私にとってヒカルは宝物です。そんなヒカルが 毎日のように ユウジロウ様のお話を聞かせてくれました。
そのおかげでユウジロウ様を凄く近くに
感じる事ができました。
カラシ入りのお弁当の件は母親としてヒカルを強く叱りました、本当にごめんなさい。
それから 雷雨の時はヒカルを守ってくれて 本当にありがとうございました。
まだまだ ユウジロウ様の お話はつきませんが、
これぐらいにしておきますね。
失礼を承知で ユウジロウ様にお願いがあります。
万が一、あの子の事 お遊びでしたら 同封したシオリを あの子に渡し あの子から離れてやって下さい
あの子は寂しがりやですので 一緒にいればいるほど 1人が耐えれなくなります。私の最後のワガママだと思って どうか よろしくお願いします。
そして、あの子の事を本気で 愛してくれるのなら
そのシオリはユウジロウ様が預かって下さい。
このシオリはヒカルが5歳の時 作ってくれた、薔薇のシオリ、私の大切なシオリです。
どうぞ ゆっくり考えて 答えを出して下さい。
長々と書いてしまい、すいません。
最後に、これは私の願望です、
ユウジロウ、ヒカルをよろしくね。
ヒカル、幸せにね。
2人の母より
俺は 手紙とシオリを封筒にしまった。
(お母さん このシオリ、
俺が大切に預かっておきます
そして、ヒカルも 俺なりに
絶対 幸せにします)
この手紙を読んだ後の
ヒカルのお母さんの顔は
なんだか 俺には
清々しく 透明で綺麗に見えた。
こうして、ヒカルのお母さんは
天国へと 旅立った。
ヒカルは ベッドから離れず
話せる状態じゃなさそうだな…
「それでは 俺は失礼します」
お父さん「ユウジロウ君、悪かったね、
こんなところに付き合わせて」
「……いいえ、俺こそ何もできずに
すいませんでした」
専務「ユウジロウ君だっけ?
ヒカルの事 これから よろしくね」
「はい」
優香「気おつけて帰ってね」
「それじゃあ、失礼します」
ガラー
俺は部屋を出た。
ヒカル「待って、玄関まで 一緒に行く」
トットットットットット
トットットットットットットッ
「今はまだ 何も考えたくないと思うから
お前が本当に落ち着いたら 連絡してくれ」
バッ
ヒカルは俺の胸に飛び込んで 泣きはじめた…
ただ ただ 泣いていた……
大好きな お母さんが亡くなったんだから
俺には想像もできないぐらい 辛いんだろうな
「俺の胸なら どんだけ使ってもいいから
好きなだけ泣けよ」
ヒカル「…うっ…うっ…うっ……
もっと、うっ…お母さんと…
話し…したかった……」
このまま 夜明けをむかえた。
一年後、
ーオブジェのある公園ー
ヒカル「お母さんが 亡くなって
今日で 一年だよ」
「…そうか、もう そんなに
経つんだな…」
ヒカル「あの時は 立ち直れないと思ってた
でも、ユウジロウがいてくれて
本当に救われたよ…
いつも 一緒にいてくれてありがとね」
「なんだよ、今さら」
ヒカル「私が あの時 院長先生に
相談して いろんな事が解決した、
でも、お母さんがいなくなって
私のしてきた事は何だったんだって
悩んだ時期も 正直あった…
いろんな事があったけど、
1番大事な人に出会えた事が
私の人生を本当に大きく
変えてくれた」
「大事な人?それ俺の事?」
ヒカル「そうだよ!ユウジロウの事だよ」
「ふ~ん、やけに素直だな………
でも、本当に
変えてくれたのは、ヒカルだから、
俺に恋愛の意味を教えてくれて
ありがとな」
ヒカル「……そうだよね、私達は
2人で一緒に成長してたんだね」
「そういう事だな」
俺は 薔薇のオブジェを見つめ
そして 決めた!
「ヒカル!
結婚しよっか?」
ヒカル「え!」
「どーせ おまえは 俺とは
離れられない 運命なんだし
早いか 遅いか だけだろ?」
ヒカル「しょーがない、
結婚してやるか!」
抱き合い 寄り添い合う2人。
オブジェのある公園で
永遠の愛を 誓った。
「あっ!
金井先輩とアイリの 結婚式!」
ヒカル「……11時からだ!」
「やべぇー! 急ぐぞー!」
俺は ヒカルと出会い 本当の愛を
知った…
本当の愛
俺が思うに…
それは とても単純で
考えるより先に 体が勝手に動き出す
そして お互いがお互いを
自然に求め合う
ただ それだけの事。
ー10年後ー
ヒカル「パパ!行くよー!」
「あれ、ユラは?」
ヒカル「ユラは 車で待ってるよ!」
ユラ「 パパー! 早く
バアバの公園 いこーよー!」
「おう!
オブジェのある公園なあ!」
俺の愛は 一つから 二つになった。
ヒカルとユラを
一生涯 愛していきます
この薔薇のシオリに誓って。
オブジェのある公園
完終
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