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5.お前って言うな
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その晩、熟睡していたリリーナが思わず飛び起きるほどの轟音が鳴り響いた。
「なんだ、この音は?!…ん?…いびき?」
リリーナはハッとした。
これが今夜分かると言っていたものかと。
「あいつ、これを治したくて薬草探してたのか。しかし疫病に比べりゃいびきくらいで…」
ごぉーっと地鳴りのようないびきが再び響き、リリーナの中で点と点が繋がっていく。
村を離れて山奥にいることも、自分を気遣ってどこかで野宿しているであろうことも。
「こりゃ、治したいか。これが毎晩じゃあ、村の人達もたまったもんじゃないだろうな」
一晩中鳴り響くいびきのせいで、ろくに眠れず休まらない体で約束の畑へと向かった。
ハオルドは腕組みをし仁王立ちで、リリーナを待っていた。
「来たか。眠そうだな」
「あぁ、あんたの言ってたことが分かったよ。しかしすごい音だな。いびきの大きさは薬草で治るもんなのか?そもそも不老の方が問題じゃないか?」
「さぁな。自分でも分からないことの方が多い。さぁ、始めるぞ」
そういうとハオルド達は手分けしながら種を植えていく。
とある文献によると、種は何でもよいらしく育て方の条件の一致で例の薬草が咲くらしい。
半信半疑のままではあるが作業を進め、夕方頃に一通り種を植え終えた。
「なぁ、愛し合って間もなそうな男女でも探しにいくか?雪が降るまでまだ一年もかかるんだろ?」
「それもそうだな。あ、お前」
「そのお前ってのやめろ」
「…リ、リリーナ、は、故郷に恋人でもいないのか?」
「はぁ?まさか私に"新鮮な愛"を注がせようとでも言うのか?残念ながら疫病でみんなそれどころじゃないよ。そういう"あんた"はどうなんだ?」
「ハオルドだ」
「ははっ、ハオルドくんでいいかい?坊や」
ハオルドの眉間に皺が寄る。
「俺の方が年上だ」
「じゃあ恋人はおばあちゃんか?」
「………。新鮮な男女、探しに行くぞ」
「なんだかその言い回し、取って食ってしまいそうだな」
「なんだ、この音は?!…ん?…いびき?」
リリーナはハッとした。
これが今夜分かると言っていたものかと。
「あいつ、これを治したくて薬草探してたのか。しかし疫病に比べりゃいびきくらいで…」
ごぉーっと地鳴りのようないびきが再び響き、リリーナの中で点と点が繋がっていく。
村を離れて山奥にいることも、自分を気遣ってどこかで野宿しているであろうことも。
「こりゃ、治したいか。これが毎晩じゃあ、村の人達もたまったもんじゃないだろうな」
一晩中鳴り響くいびきのせいで、ろくに眠れず休まらない体で約束の畑へと向かった。
ハオルドは腕組みをし仁王立ちで、リリーナを待っていた。
「来たか。眠そうだな」
「あぁ、あんたの言ってたことが分かったよ。しかしすごい音だな。いびきの大きさは薬草で治るもんなのか?そもそも不老の方が問題じゃないか?」
「さぁな。自分でも分からないことの方が多い。さぁ、始めるぞ」
そういうとハオルド達は手分けしながら種を植えていく。
とある文献によると、種は何でもよいらしく育て方の条件の一致で例の薬草が咲くらしい。
半信半疑のままではあるが作業を進め、夕方頃に一通り種を植え終えた。
「なぁ、愛し合って間もなそうな男女でも探しにいくか?雪が降るまでまだ一年もかかるんだろ?」
「それもそうだな。あ、お前」
「そのお前ってのやめろ」
「…リ、リリーナ、は、故郷に恋人でもいないのか?」
「はぁ?まさか私に"新鮮な愛"を注がせようとでも言うのか?残念ながら疫病でみんなそれどころじゃないよ。そういう"あんた"はどうなんだ?」
「ハオルドだ」
「ははっ、ハオルドくんでいいかい?坊や」
ハオルドの眉間に皺が寄る。
「俺の方が年上だ」
「じゃあ恋人はおばあちゃんか?」
「………。新鮮な男女、探しに行くぞ」
「なんだかその言い回し、取って食ってしまいそうだな」
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