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19.語り継がれる伝説【完】

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ある朝、ハオルドは眠るように亡くなった。
手紙の通り20年、約100歳まで生きた。
息子の背はリリーナをゆうに越し、かつてのハオルドを彷彿させる体格のいい逞しい男に育っていた。
ハオルドの面影が残る息子が、泣き崩れるリリーナをしっかりと抱き寄せ支えている。
リリーナと息子はハオルドの墓に話しかけた。

「約束を守ってくれてありがとう。生まれ変わってもちゃんと私を見つけて。私たちはずっと一緒だから」

「父さんの事を心から誇りに思うよ。父さんと過ごした20年はかけがえのない宝物だ。父さんみたいな強くて優しい、賢い男になるよ。…母さんのことは任せてくれ。安心してゆっくり休んでください……」

ハオルドの没後、村を救った英雄としてリリーナの故郷で大きく輝く銅像が建てられた。
村では子孫繁栄の象徴として神のように祀られている。
村人たちは笑いながら建てていたが、みな心から感謝をしていた。
奇跡の薬草で人々を救ったハオルドの存在はとても有名になり、息子もそれに負けじと青い目と不老の血筋のことや、薬草について勉学に励んでいた。

ハオルドは約束通り20年間、リリーナと息子に十分すぎるほどの愛情を注ぎ続け、80年培ってきた知恵を愛する息子に授けた。
リリーナは再婚することなく、ハオルドの妻として生涯を終えた。
ハオルドの英雄伝説は200年後の現在も語り継がれている。

---終---
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