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報告書19「トータス、少人数の零細企業は辛い件について」
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それからも上野駅の中央改札口近くのびゅうの中でチトセからこの駅の構造についてレクチャーを受けたが何の進展もなかった。
「シノバズグチがアメヨコに行くのに便利なのは分かったが、そのアメヨコってのはなんなんだ?」
「今はそんなの何だっていいでしょ!」
<<とにかく2人ともそこを出るのじゃ!マップに目的地を設置するのでそこに向かうのじゃ!>>
「さすがイクノ!ほらオノボリサン先に走って!」
「誰がオノボリサンだ!」
俺はチトセに抗議をしつつびゅうだった一角から飛び出したが、それでここから目的地シノバズグチ改札には左右どちらを行けば近道なんだ?なんて考えていたら、そこまで来ていたトータスの激しい爆撃と機銃掃射を受けてしまった。
「どわああ!」
「止まらないの!出て右よ!」
チトセが援護射撃で奴の気を逸らしてくれたので、その隙に言われた通り右手の通路に転がり込んだ。全く目的地まで一直線と言うわけでは無いのが迷う原因だ。途中の階段も駆け上がり謎のフロア、中2階へと到達した。振り返ると、トータスは文字通り亀の歩みながら搭載した武器を猛連射しながらこちらに向かってきている。
「ここの改札を通った先が例の場所よ、準備は?」
「あぁ!いつでもいいぞ!」
<<ダメじゃ!2人とも今までの被弾で機動鎧甲の耐久値が底をついておる!次被弾したらもうもたんぞ!>>
言われて見てみると、確かに所々から火花が出てるし、スキャナーからも損傷警告が出ている。どうやら機動鎧甲の自己修復機能も全く追いついていないようだ。
<<ここは一旦、引き揚げるのじゃ!>>
「ダメよ!もう納期までに時間が無いんだから、今撤退したら任務失敗になっちゃう!」
<<しかし……>>
「それじゃあ後は私1人でやるわ!」
「なっ……バカ言うな!お前1人であいつが手に負えるか!」
<<そうじゃ!1人で死ぬ気かチトセ!>>
「あーはいはい、私も舐められたものね。それじゃあ最後の追い込みといくわよ!」
全く、相変わらず無茶苦茶言いやがるこのシャチョーは。不忍改札口を乗り越えた場所は、チトセの言う通り先程までいた中央改札口とは打って変わって、天井も低く、太い柱が立ち並ぶ狭い通路だった。ここなら奴の死角にも近付けるはずだ。
「来るなら来なさい、でっかいのをお見舞いしてやるんだから」
そう言いながらクニクズシの発射手順に入るチトセの横で、俺は柱に張り付きながら鞘に入った刀の柄を握りしめる。そしてそのまま、大きな足音に駆動音を響かせながらトータスが向かってくるのを、スキャナーの熱源反応を見ながら柱に身を潜めてジッと待った。そうだ、そのままこっちに来い。あと三歩……二歩……一歩……
「くっらえー!」
チトセが飛び出しトータスに向けてロケット弾を発射、見事頭部に命中させたのはいいが、閉所での発射のため激しいバックブラストに、おまけに近距離で撃ったために爆風にまで巻き込まれてしまった。普段なら機動鎧甲があるので気にもならないが、機能が損傷してる今、衝撃でチトセも尻餅をついてしまった。
「限界ね……後は頼むわよ……」
そう言うとそのまま倒れ込んでしまった。あの馬鹿、無理しやがって!チトセのためにもとにかく今はあの亀を止めなくては!見るとトータスの頭はチトセのロケット弾の直撃を受けボロボロだ。こいつの甲羅の貫通は無理でも、この状態の頭なら……!
「気爆噴射片手突きーー」
柱から飛び出しトータスの目前まで疾走、刀身を掴んでいた右手を離すことで無理矢理抑え込まれていた力を解放。そして刀が突き出される瞬間に叫ぶ。
「ーー鬼雨っ!」
勢いよく義手のロケットを噴射、一気に刀を根元まで突き刺す。が、頭に大穴が空いた状況にもかかわらず、奴の後部砲塔がこちらに向け旋回を始めやがった。
「しぶとい野郎だ!」
ヒトマルを握る義手に力が入る。突きで仕留めきれなくても、そこからの連続技で仕留めれば!
「気爆噴射横薙ぎーー鬼洗い!」
義手のロケットを再び噴射、その勢いで無理矢理横へなぎ払う。
「こんのおおおお!」
激しいロケット噴射で暴れ狂う義手をなんとか制御しつつ振り切る刃は、音を立てながらトータスの頭部の内部機構を破壊しつつ、真っ二つにした。突きからのなぎ払い、なるほど先人が言っていたとおり隙がない。
全身から鳴り響いていた駆動音が無くなり、砲塔が下向きに垂れ下がり、ようやく動きを止めるトータス。本当に危なかった。トータスがもう完全に動かなくなったのを確認してから刀を鞘に納め、チトセの下へ駆け寄ると、ぐったりと力無く柱にもたれかかっているではないか。
「おい、大丈夫か!?しっかりしろ!」
「やったのね……大丈夫よこれくらい。ヨロイの緊急修復中でパワーアシストが効かなくて動けないだけだから」
なんだ、驚かせやがって。目立った外傷も無く、思ってより元気そうな姿に安堵する。
<<全く2人とも無理しおって……納期は守れても命が守れなきゃ意味ないじゃろが!そもそもヒーラー無しでトータスから資源を回収しようと言うのが無茶なんじゃ!おまけに新機能を得たからって調子に乗り過ぎじゃ!>>
「は~い……」
「すんません……」
通信機の向こうのイクノさんに2人して謝る。まぁ怒るのも当然だ。こんなギリギリの戦いを任務の度にしてたらな。
「やっぱりこのランクの任務だと、社員3人じゃ無理があるわね……そうだ!」
反省したのかと思いきや、チトセはまた何か企み事をしているようだ。全く懲りないシャチョーだ。
「シノバズグチがアメヨコに行くのに便利なのは分かったが、そのアメヨコってのはなんなんだ?」
「今はそんなの何だっていいでしょ!」
<<とにかく2人ともそこを出るのじゃ!マップに目的地を設置するのでそこに向かうのじゃ!>>
「さすがイクノ!ほらオノボリサン先に走って!」
「誰がオノボリサンだ!」
俺はチトセに抗議をしつつびゅうだった一角から飛び出したが、それでここから目的地シノバズグチ改札には左右どちらを行けば近道なんだ?なんて考えていたら、そこまで来ていたトータスの激しい爆撃と機銃掃射を受けてしまった。
「どわああ!」
「止まらないの!出て右よ!」
チトセが援護射撃で奴の気を逸らしてくれたので、その隙に言われた通り右手の通路に転がり込んだ。全く目的地まで一直線と言うわけでは無いのが迷う原因だ。途中の階段も駆け上がり謎のフロア、中2階へと到達した。振り返ると、トータスは文字通り亀の歩みながら搭載した武器を猛連射しながらこちらに向かってきている。
「ここの改札を通った先が例の場所よ、準備は?」
「あぁ!いつでもいいぞ!」
<<ダメじゃ!2人とも今までの被弾で機動鎧甲の耐久値が底をついておる!次被弾したらもうもたんぞ!>>
言われて見てみると、確かに所々から火花が出てるし、スキャナーからも損傷警告が出ている。どうやら機動鎧甲の自己修復機能も全く追いついていないようだ。
<<ここは一旦、引き揚げるのじゃ!>>
「ダメよ!もう納期までに時間が無いんだから、今撤退したら任務失敗になっちゃう!」
<<しかし……>>
「それじゃあ後は私1人でやるわ!」
「なっ……バカ言うな!お前1人であいつが手に負えるか!」
<<そうじゃ!1人で死ぬ気かチトセ!>>
「あーはいはい、私も舐められたものね。それじゃあ最後の追い込みといくわよ!」
全く、相変わらず無茶苦茶言いやがるこのシャチョーは。不忍改札口を乗り越えた場所は、チトセの言う通り先程までいた中央改札口とは打って変わって、天井も低く、太い柱が立ち並ぶ狭い通路だった。ここなら奴の死角にも近付けるはずだ。
「来るなら来なさい、でっかいのをお見舞いしてやるんだから」
そう言いながらクニクズシの発射手順に入るチトセの横で、俺は柱に張り付きながら鞘に入った刀の柄を握りしめる。そしてそのまま、大きな足音に駆動音を響かせながらトータスが向かってくるのを、スキャナーの熱源反応を見ながら柱に身を潜めてジッと待った。そうだ、そのままこっちに来い。あと三歩……二歩……一歩……
「くっらえー!」
チトセが飛び出しトータスに向けてロケット弾を発射、見事頭部に命中させたのはいいが、閉所での発射のため激しいバックブラストに、おまけに近距離で撃ったために爆風にまで巻き込まれてしまった。普段なら機動鎧甲があるので気にもならないが、機能が損傷してる今、衝撃でチトセも尻餅をついてしまった。
「限界ね……後は頼むわよ……」
そう言うとそのまま倒れ込んでしまった。あの馬鹿、無理しやがって!チトセのためにもとにかく今はあの亀を止めなくては!見るとトータスの頭はチトセのロケット弾の直撃を受けボロボロだ。こいつの甲羅の貫通は無理でも、この状態の頭なら……!
「気爆噴射片手突きーー」
柱から飛び出しトータスの目前まで疾走、刀身を掴んでいた右手を離すことで無理矢理抑え込まれていた力を解放。そして刀が突き出される瞬間に叫ぶ。
「ーー鬼雨っ!」
勢いよく義手のロケットを噴射、一気に刀を根元まで突き刺す。が、頭に大穴が空いた状況にもかかわらず、奴の後部砲塔がこちらに向け旋回を始めやがった。
「しぶとい野郎だ!」
ヒトマルを握る義手に力が入る。突きで仕留めきれなくても、そこからの連続技で仕留めれば!
「気爆噴射横薙ぎーー鬼洗い!」
義手のロケットを再び噴射、その勢いで無理矢理横へなぎ払う。
「こんのおおおお!」
激しいロケット噴射で暴れ狂う義手をなんとか制御しつつ振り切る刃は、音を立てながらトータスの頭部の内部機構を破壊しつつ、真っ二つにした。突きからのなぎ払い、なるほど先人が言っていたとおり隙がない。
全身から鳴り響いていた駆動音が無くなり、砲塔が下向きに垂れ下がり、ようやく動きを止めるトータス。本当に危なかった。トータスがもう完全に動かなくなったのを確認してから刀を鞘に納め、チトセの下へ駆け寄ると、ぐったりと力無く柱にもたれかかっているではないか。
「おい、大丈夫か!?しっかりしろ!」
「やったのね……大丈夫よこれくらい。ヨロイの緊急修復中でパワーアシストが効かなくて動けないだけだから」
なんだ、驚かせやがって。目立った外傷も無く、思ってより元気そうな姿に安堵する。
<<全く2人とも無理しおって……納期は守れても命が守れなきゃ意味ないじゃろが!そもそもヒーラー無しでトータスから資源を回収しようと言うのが無茶なんじゃ!おまけに新機能を得たからって調子に乗り過ぎじゃ!>>
「は~い……」
「すんません……」
通信機の向こうのイクノさんに2人して謝る。まぁ怒るのも当然だ。こんなギリギリの戦いを任務の度にしてたらな。
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