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報告書29「飛び級、規格外なのはその能力よりも良い子さについて」
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上野駅ダンジョンでの激闘から数日が経った。結局あの後、キメラは術を発動するその瞬間に山羊頭を破壊された事で、行き場を失ったエネルギーが暴発して大ダメージ。そこをチトセがすかさず多目的ロケットランチャーでトドメを刺す事で、無事撃破に成功したのだった。だったのだが、比較的若い個体とはいえ、俺達たった3人で伝説種のリソーサーを撃破、資源の回収に成功した事よりも、ササヤさんのあの能力の方が驚きも大きく、正直言って今でもまるであの戦いが夢だったのでは無いかと思うぐらいだ。
「あの報告書を読んでも、多分誰も信じないだろうなぁ……」
デスクに足を乗せ、椅子に深くもたれかかりながらコーヒーを飲みつつそんな事ばかりを考えていると、突然扉がバンッと勢いよく開かれた。
「こらっ!行儀悪いわよ!」
「なっ!?て、どわぁぁぁあちぇぇ!」
と同時に、入ってくるなりチトセが大声を出すので、驚いた俺は椅子から転げ落ちてしまい淹れたて熱々のコーヒーをかぶってしまった。
「何1人で騒いでるのよ、全く」
「誰のせいだと思ってるんだ!それより布巾布巾!って腰いてて……」
あぁもう携帯端末にもコーヒーが……くそぅもし壊れたら修理代を請求してやる。
「ところでササヤさんは……まだ来てないようね」
「勤務時間までまだあるからな。いつもならもうそろそろ来る頃だけど」
デスクを布巾で拭きながら答えるが、チトセはなんだかご機嫌のようだ。鼻歌歌いながらコーヒーを淹れるなんて、特別報酬が出た時くらいだからな。
「なんだ、随分ウキウキ気分のようだが何かあったのか?」
「ん?分かる?」
「そりゃな。まぉ大方キメラから出た資源が高く売れたとかなんだろうけど」
「半分当たりね。若い個体でもさすがは伝説種、貴重な資源が山程取れて、結構な儲けになったのよ!」
そう言ってチトセが見せてきた携帯端末に映し出された報酬画面には、かなりの額が記載されていた。あの変異個体のハウンドから資源を回収した時のを大分上回ってるじゃないか。
「すごいな……苦労した甲斐があったもんだと言うところだけど、もう半分は?」
「ササヤさんよ!なんとあの子、今回の働きが認められて一気に準二級スペキュレイターへと昇格したのよ!」
「ほっ、本当か!?凄いじゃないか!」
初戦で昇格、それも五級から一気に三段階飛び級なんて前代未聞なんじゃないか?
「いやぁ、信じられないな……と言っても特殊能力を持った変異人種なら当然か」
「本当ね。まさかササヤさんにあんな力があるなんて驚きだったわ」
「はっ?えっ?いや何言ってるんだ、だから採用したってお前……」
「何事もまず自分を信じる事から始まるのよ。例え嘘でもその一助になればと思ったんだけど……さすがにあそこまで都合良くドンピシャな特殊能力発動するとは思わなかったわ」
「なっ……!スキャナーもパワーアシストも機能停止してる状況でロッドも捨てさせて、能力が無かったらどうする気だったんだ!?」
「別に?どうもしないわよ?いやぁ、やっぱり私の人を見る目は確かだったってわけね~、さすが私」
「……」
なんて向こう見ずで無鉄砲な奴なんだ……いや知ってたけど……知ってたけど!それにしても豪胆なアホすぎる!
「おはようございます!」
そんな話をしていると、当の主役であるササヤさんのご出勤だ。
「あぁササヤさん……!我らが命の恩人よ!」
「えっ!?いや、どうしたんですか先輩?」
「ササヤさん!飛び級昇格おめでとう!今日は金曜日、仕事なんて早めに切り上げて外で祝宴よ!」
「え?えぇ~!?」
………
……
…
そしてチトセは格納庫にいたイクノさんも無理矢理引っ張っり、ササヤさんの昇格祝いという名の飲み歩きに出発。何軒もハシゴした挙句、チトセ本人が酔い潰れてしまったので俺が背負って連れ帰る羽目になってしまった。それにしても背中のチトセの息がこれまた……
「ぐぅぅ酒臭い……どんだけ飲んだんだこの女……」
「大丈夫ですか先輩?」
そう言うササヤさんは顔色一つ変えずに、辛うじて意識はあるもののさっきから泣き言ばかり言っているイクノさんに肩を貸してる状況だ。
「正直言って俺もこいつに散々飲まされたんであんま大丈夫じゃない……それにしてもササヤさんお酒強いのね……」
「はいっ、初めて飲んだんですが、自分でも驚いてます」
うーむ……何から何まで規格外だ。
「それにしても、これからの身の振り方はどうするんだ?」
「えっと……と言いますと?」
「準二級スペキュレイターなんて、他の企業からも引く手数多だろう?ウチみたいな零細企業なんて辞めて、好きな所に行く事もできるって事よ」
正直、待遇がとてもじゃないが良いとは言えないウチだ、他の大企業に行った方がササヤさんのためになる気は大いにする。
「……確かにお誘いのメールはいっぱい貰いましたけど、全部お断りしました」
「え?なんで?」
「私、このMM社が好きなんです。私なんかを信じてくれたチトセシャチョー、私なんかのために一生懸命整備をしてくれたイクノさん、そしてこんな私なんかに付きっきりで訓練をしてくれたイワミさんが好きなんです。私が頑張れるのも、この場所があるからなんです」
なんて良い子なんだ……いや良い子なのは知ってたけど……
「だからこれからもよろしくお願いします先輩!」
「おっ、おう!こちらこそよろしくお願いします」
それを聞いてか、心なしか背中で寝るチトセの顔にも笑みが溢れているようだった。
「あの報告書を読んでも、多分誰も信じないだろうなぁ……」
デスクに足を乗せ、椅子に深くもたれかかりながらコーヒーを飲みつつそんな事ばかりを考えていると、突然扉がバンッと勢いよく開かれた。
「こらっ!行儀悪いわよ!」
「なっ!?て、どわぁぁぁあちぇぇ!」
と同時に、入ってくるなりチトセが大声を出すので、驚いた俺は椅子から転げ落ちてしまい淹れたて熱々のコーヒーをかぶってしまった。
「何1人で騒いでるのよ、全く」
「誰のせいだと思ってるんだ!それより布巾布巾!って腰いてて……」
あぁもう携帯端末にもコーヒーが……くそぅもし壊れたら修理代を請求してやる。
「ところでササヤさんは……まだ来てないようね」
「勤務時間までまだあるからな。いつもならもうそろそろ来る頃だけど」
デスクを布巾で拭きながら答えるが、チトセはなんだかご機嫌のようだ。鼻歌歌いながらコーヒーを淹れるなんて、特別報酬が出た時くらいだからな。
「なんだ、随分ウキウキ気分のようだが何かあったのか?」
「ん?分かる?」
「そりゃな。まぉ大方キメラから出た資源が高く売れたとかなんだろうけど」
「半分当たりね。若い個体でもさすがは伝説種、貴重な資源が山程取れて、結構な儲けになったのよ!」
そう言ってチトセが見せてきた携帯端末に映し出された報酬画面には、かなりの額が記載されていた。あの変異個体のハウンドから資源を回収した時のを大分上回ってるじゃないか。
「すごいな……苦労した甲斐があったもんだと言うところだけど、もう半分は?」
「ササヤさんよ!なんとあの子、今回の働きが認められて一気に準二級スペキュレイターへと昇格したのよ!」
「ほっ、本当か!?凄いじゃないか!」
初戦で昇格、それも五級から一気に三段階飛び級なんて前代未聞なんじゃないか?
「いやぁ、信じられないな……と言っても特殊能力を持った変異人種なら当然か」
「本当ね。まさかササヤさんにあんな力があるなんて驚きだったわ」
「はっ?えっ?いや何言ってるんだ、だから採用したってお前……」
「何事もまず自分を信じる事から始まるのよ。例え嘘でもその一助になればと思ったんだけど……さすがにあそこまで都合良くドンピシャな特殊能力発動するとは思わなかったわ」
「なっ……!スキャナーもパワーアシストも機能停止してる状況でロッドも捨てさせて、能力が無かったらどうする気だったんだ!?」
「別に?どうもしないわよ?いやぁ、やっぱり私の人を見る目は確かだったってわけね~、さすが私」
「……」
なんて向こう見ずで無鉄砲な奴なんだ……いや知ってたけど……知ってたけど!それにしても豪胆なアホすぎる!
「おはようございます!」
そんな話をしていると、当の主役であるササヤさんのご出勤だ。
「あぁササヤさん……!我らが命の恩人よ!」
「えっ!?いや、どうしたんですか先輩?」
「ササヤさん!飛び級昇格おめでとう!今日は金曜日、仕事なんて早めに切り上げて外で祝宴よ!」
「え?えぇ~!?」
………
……
…
そしてチトセは格納庫にいたイクノさんも無理矢理引っ張っり、ササヤさんの昇格祝いという名の飲み歩きに出発。何軒もハシゴした挙句、チトセ本人が酔い潰れてしまったので俺が背負って連れ帰る羽目になってしまった。それにしても背中のチトセの息がこれまた……
「ぐぅぅ酒臭い……どんだけ飲んだんだこの女……」
「大丈夫ですか先輩?」
そう言うササヤさんは顔色一つ変えずに、辛うじて意識はあるもののさっきから泣き言ばかり言っているイクノさんに肩を貸してる状況だ。
「正直言って俺もこいつに散々飲まされたんであんま大丈夫じゃない……それにしてもササヤさんお酒強いのね……」
「はいっ、初めて飲んだんですが、自分でも驚いてます」
うーむ……何から何まで規格外だ。
「それにしても、これからの身の振り方はどうするんだ?」
「えっと……と言いますと?」
「準二級スペキュレイターなんて、他の企業からも引く手数多だろう?ウチみたいな零細企業なんて辞めて、好きな所に行く事もできるって事よ」
正直、待遇がとてもじゃないが良いとは言えないウチだ、他の大企業に行った方がササヤさんのためになる気は大いにする。
「……確かにお誘いのメールはいっぱい貰いましたけど、全部お断りしました」
「え?なんで?」
「私、このMM社が好きなんです。私なんかを信じてくれたチトセシャチョー、私なんかのために一生懸命整備をしてくれたイクノさん、そしてこんな私なんかに付きっきりで訓練をしてくれたイワミさんが好きなんです。私が頑張れるのも、この場所があるからなんです」
なんて良い子なんだ……いや良い子なのは知ってたけど……
「だからこれからもよろしくお願いします先輩!」
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それを聞いてか、心なしか背中で寝るチトセの顔にも笑みが溢れているようだった。
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