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報告書41「ドッペルゲンガー、自分自身との戦いについて」
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東京駅ダンジョン京葉線エリアでようやく見つけた今回任務の撃破対象、未確認リソーサー。"影"、"ドッペルゲンガー"などと呼ばれるているそうだが、その大層な体格からは陰属性は感じられない。
「あの……イクノさん。あのリソーサーから感じ取った信号を一部ですが送るんで、解析して貰っていいですか?何だか気になって……」
<<構わんよ。それにしても便利な能力じゃのう>>
電子部品から漏れ出る信号を知覚できるだけじゃなく、それをデータに加工して送信まで出来るとは、いよいよササヤさんの能力がチート染みてきている。
「とにかく、まずはササヤさん強化コードをお願い。後は先手必勝、3人で攻撃しまくって一気にカタを付けちゃいましょう」
「あっ、はい……」
「上手くいくといいんだが」
ササヤさんに各種機能強化を貰い、それぞれ配置に付く。今の俺の武器はこの小太刀ヒトマル、攻撃には少し物足りないが、ガンナーであるチトセの援護にはむしろ打ってつけの武器種、気張っていくか!
「それじゃあ……戦闘開始!」
チトセが号令と同時に多目的ランチャー"クニクズシ"をぶっ放す。まずは先手で大ダメージを狙う作戦だが……
「あっ!」
なんとドッペルゲンガー、すらりと飛翔弾を避けると同時に、真っ直ぐこっちに向かって来たではないか!
強力な一撃を小太刀で受け止める。どうやら向こうも刀身をプラズマで包んで切断力を上げる形式のカタナを使用しているらしく、押し合う2つの刀身が火花を散らし甲高い金切り声を上げる。
「今援護するからもうちょっと耐えなさい!」
「早めに頼む!こいつ、かなりの強さだ!」
ジリジリと押されつつもなんとか踏ん張る。脚力と腕力の機能強化コードを予め貰っていなかったら今ごろやられているのが容易に想像できる。
「装填完了!一旦そいつから離れ……」
「シャチョー!多数のリソーサーの反応!新手です!」
ササヤさんの言葉で、スキャナーを見るとマップに多数の敵反応が。あの団体がまっすぐこちらに向かって来ているのか!?
「なんで奴らにここが……?ヒトガタは視界で索敵しているはずなのに!」
「あの未確認リソーサーから、ヒトガタに向けて信号が出ているのが感じられます……どうやらここへ呼び寄せているようです!」
「ボスだけに取り巻きがいるって事ね……このままじゃ挟み撃ちになるじゃない!」
ドッペルゲンガーのまるで面頬でも付けているかような不気味な顔の、奥底から妖しげな光が漏れている目と睨み合いながら、押し込んでくるカタナを必死に受け止める中、ある考えが思考が走る。
"こいつは俺が倒さなきゃならない"
何故かは分からないが、その考えが命令とも言うべき絶対的な拘束力をもって俺を突き動かす。
「ここは俺がなんとかする!2人はそっちの対応に行ってくれ!」
「はぁ!?あんた1人でそいつをやれるの!?」
「任せとけ!最初の一太刀でこいつの実力は見切った!」
もちろん本当は全く見切れてない。むしろ押されているくらいだ。
「でも先輩……!」
戸惑うササヤさん。全く、本当に優しい後輩だ。
「俺は大丈夫だから行ってくれ!早く!」
「……はい!」
「あぁもう!私達が戻るまでやられるんじゃないわよ!」
「そっちもな!」
そう言い残し、ヒトガタの群れに向かう2人の背中を見送る……と言いたい所だが、鍔迫り合いの最中にそんな余裕は無かった。
「こんのぉ!」
こいつを倒す!倒さなくてはならない!とにかくその一心で力を振り絞り、奴の腕を無理やり上に跳ね上げ、空いた胴に横払いで一撃加える、竜尾返しを繰り出す……が、まるでそんな事初めからお見通しとでも言わんばかりに防がれた。
「なっ……!?」
反撃がくる前に急いで後ろに飛んで間合いを取る。今の動き……こちらに合わせての動きじゃない。まるで俺の考えが読まれていて、先手を取られた……そんな感じの動きだった。
「一体どうなっているんだ……?」
<<なんて事じゃ!こんな事あるんじゃろうか!>>
そこにいきなり響くイクノさんの絶叫。まぁ確かにこいつの強さは古代種、いや下手したら伝説種くらいはあるかもしれないので驚きも理解できるが、いくらなんでも叫び過ぎだろ。耳がキンキンする。
「確かにこいつの強さは普通じゃないけど、そこまで驚かなくても……」
<<そんな事で驚いているのじゃない!奴の正体が分かったのじゃ!>>
「と言うと?」
<<奴は……まさしくお主自身のドッペルゲンガーじゃ!>>
「えーっと……イクノさん?」
<<ササヤさんから送られてきた奴の信号を解析した所、概ね一致するリソーサーがおった!ゴリアテじゃ!>>
ゴリアテってあの、俺を初任務で酷い目に合わせた伝説種!?
「でも見た目が全然違いますよ!奴はもっと大きかったはず!」
リソーサー・ゴリアテはその名の通り、巨人のような大きな体躯が特徴のリソーサーのはず。少し大柄なだけのこのドッペルゲンガーとは幾らなんて差がありすぎる。
<<リソーサーが生物の遺伝子情報や電子部品内の情報を取り込む事で自己進化するのは知っておるじゃろ。それであのゴリアテはとんでもない物を取り込んで、身体を再構築したのじゃ……>>
「とんでもない物って……?」
<<お主の斬り落とされた左腕じゃ!>>
「!!!」
あの日、ヒシカリに落とされた俺の左腕……それを同じく片腕を失ったゴリアテが取り込んだって言うのか!?
<<おまけに左腕と同時に取り込んだ機動鎧甲の断片から、お主の戦闘情報までものにしておる。つまりは、今や奴は正真正銘お主のドッペルゲンガーという訳じゃ!>>
マジかよ……つまり俺は俺の戦闘情報と遺伝子情報を持っていて、そして機械で構成された俺より優れた体躯の敵と戦わなくてはならないってのか……冗談じゃない。だが、それでもだ、何故か逃げる気はしないどころか、今はあいつを倒さなくてはならないという義務感すら感じる。一度俺自身をぶん殴りたかったところだからな!
「あの……イクノさん。あのリソーサーから感じ取った信号を一部ですが送るんで、解析して貰っていいですか?何だか気になって……」
<<構わんよ。それにしても便利な能力じゃのう>>
電子部品から漏れ出る信号を知覚できるだけじゃなく、それをデータに加工して送信まで出来るとは、いよいよササヤさんの能力がチート染みてきている。
「とにかく、まずはササヤさん強化コードをお願い。後は先手必勝、3人で攻撃しまくって一気にカタを付けちゃいましょう」
「あっ、はい……」
「上手くいくといいんだが」
ササヤさんに各種機能強化を貰い、それぞれ配置に付く。今の俺の武器はこの小太刀ヒトマル、攻撃には少し物足りないが、ガンナーであるチトセの援護にはむしろ打ってつけの武器種、気張っていくか!
「それじゃあ……戦闘開始!」
チトセが号令と同時に多目的ランチャー"クニクズシ"をぶっ放す。まずは先手で大ダメージを狙う作戦だが……
「あっ!」
なんとドッペルゲンガー、すらりと飛翔弾を避けると同時に、真っ直ぐこっちに向かって来たではないか!
強力な一撃を小太刀で受け止める。どうやら向こうも刀身をプラズマで包んで切断力を上げる形式のカタナを使用しているらしく、押し合う2つの刀身が火花を散らし甲高い金切り声を上げる。
「今援護するからもうちょっと耐えなさい!」
「早めに頼む!こいつ、かなりの強さだ!」
ジリジリと押されつつもなんとか踏ん張る。脚力と腕力の機能強化コードを予め貰っていなかったら今ごろやられているのが容易に想像できる。
「装填完了!一旦そいつから離れ……」
「シャチョー!多数のリソーサーの反応!新手です!」
ササヤさんの言葉で、スキャナーを見るとマップに多数の敵反応が。あの団体がまっすぐこちらに向かって来ているのか!?
「なんで奴らにここが……?ヒトガタは視界で索敵しているはずなのに!」
「あの未確認リソーサーから、ヒトガタに向けて信号が出ているのが感じられます……どうやらここへ呼び寄せているようです!」
「ボスだけに取り巻きがいるって事ね……このままじゃ挟み撃ちになるじゃない!」
ドッペルゲンガーのまるで面頬でも付けているかような不気味な顔の、奥底から妖しげな光が漏れている目と睨み合いながら、押し込んでくるカタナを必死に受け止める中、ある考えが思考が走る。
"こいつは俺が倒さなきゃならない"
何故かは分からないが、その考えが命令とも言うべき絶対的な拘束力をもって俺を突き動かす。
「ここは俺がなんとかする!2人はそっちの対応に行ってくれ!」
「はぁ!?あんた1人でそいつをやれるの!?」
「任せとけ!最初の一太刀でこいつの実力は見切った!」
もちろん本当は全く見切れてない。むしろ押されているくらいだ。
「でも先輩……!」
戸惑うササヤさん。全く、本当に優しい後輩だ。
「俺は大丈夫だから行ってくれ!早く!」
「……はい!」
「あぁもう!私達が戻るまでやられるんじゃないわよ!」
「そっちもな!」
そう言い残し、ヒトガタの群れに向かう2人の背中を見送る……と言いたい所だが、鍔迫り合いの最中にそんな余裕は無かった。
「こんのぉ!」
こいつを倒す!倒さなくてはならない!とにかくその一心で力を振り絞り、奴の腕を無理やり上に跳ね上げ、空いた胴に横払いで一撃加える、竜尾返しを繰り出す……が、まるでそんな事初めからお見通しとでも言わんばかりに防がれた。
「なっ……!?」
反撃がくる前に急いで後ろに飛んで間合いを取る。今の動き……こちらに合わせての動きじゃない。まるで俺の考えが読まれていて、先手を取られた……そんな感じの動きだった。
「一体どうなっているんだ……?」
<<なんて事じゃ!こんな事あるんじゃろうか!>>
そこにいきなり響くイクノさんの絶叫。まぁ確かにこいつの強さは古代種、いや下手したら伝説種くらいはあるかもしれないので驚きも理解できるが、いくらなんでも叫び過ぎだろ。耳がキンキンする。
「確かにこいつの強さは普通じゃないけど、そこまで驚かなくても……」
<<そんな事で驚いているのじゃない!奴の正体が分かったのじゃ!>>
「と言うと?」
<<奴は……まさしくお主自身のドッペルゲンガーじゃ!>>
「えーっと……イクノさん?」
<<ササヤさんから送られてきた奴の信号を解析した所、概ね一致するリソーサーがおった!ゴリアテじゃ!>>
ゴリアテってあの、俺を初任務で酷い目に合わせた伝説種!?
「でも見た目が全然違いますよ!奴はもっと大きかったはず!」
リソーサー・ゴリアテはその名の通り、巨人のような大きな体躯が特徴のリソーサーのはず。少し大柄なだけのこのドッペルゲンガーとは幾らなんて差がありすぎる。
<<リソーサーが生物の遺伝子情報や電子部品内の情報を取り込む事で自己進化するのは知っておるじゃろ。それであのゴリアテはとんでもない物を取り込んで、身体を再構築したのじゃ……>>
「とんでもない物って……?」
<<お主の斬り落とされた左腕じゃ!>>
「!!!」
あの日、ヒシカリに落とされた俺の左腕……それを同じく片腕を失ったゴリアテが取り込んだって言うのか!?
<<おまけに左腕と同時に取り込んだ機動鎧甲の断片から、お主の戦闘情報までものにしておる。つまりは、今や奴は正真正銘お主のドッペルゲンガーという訳じゃ!>>
マジかよ……つまり俺は俺の戦闘情報と遺伝子情報を持っていて、そして機械で構成された俺より優れた体躯の敵と戦わなくてはならないってのか……冗談じゃない。だが、それでもだ、何故か逃げる気はしないどころか、今はあいつを倒さなくてはならないという義務感すら感じる。一度俺自身をぶん殴りたかったところだからな!
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