ブレードステーション

カレサワ

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報告書62「執念、欲深きものは謀り易けれどその力絶大であることについて」

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 バスタ新宿の建物から飛び出し駆け出す俺とチトセの後ろを、猛スピードで追うドレイク。翼と一体化した前脚を使い、恐ろしい雄叫びを上げながら四つ足で迫るその様は、まるで地を這う炎に脚と翼が生えたかのようだった。

「くそっ!追いつかれるぞ!」

「はいはい!それじゃあ目ぇ瞑って!」

 そう言うとチトセは次々と手榴弾のピンを引き抜き、ぽいぽいと後ろに放り投げ始めた。そして巻き起こった激しい爆音・閃光・白煙は辺り一面を包みこみ、その突然の出来事、衝撃にドレイクですら一瞬怯んだほどだった。

 その隙に俺は道路の脇にあった瓦礫の陰に隠れ、機動鎧甲を低熱源モードに切り替えた。こうする事で出力は下がるが放出される熱量も同時に下がるため、奴の赤い目も誤魔化せるはずだ。

 さて……問題はここからだ。爆煙に紛れて見失ったとは言え、この付近に俺達が潜んでいるのは、ドレイクにとっても百も承知のはず。一度見つけた獲物は仕留めるまでどこまでも追い詰める。そんな執念深さは蛇以上の奴が次にとる行動は……

 熱い。周辺に高温の空気が勢いよく流れ込むのが感じられる。この熱気流の中心にいるのはやはり……空中へと飛翔するためまさに浮かび上がらんとするドレイクだった!

「今だチトセ!熱源を追え!」

「オッケー!まっかせなさい!」

 道路を挟んで反対側の瓦礫の山頂に立ち登るチトセ。その肩には、先程受け取った携帯型対空"熱探知式"誘導弾カセンが。ロックオンに成功した事を示す甲高い電子音を鳴り響かせた後、勢いよく発射された火を噴く太矢は、今や空中へと浮かび上がり、その口中に溢れんばかりの獄炎を湛えしドレイクへと一直線に走り、その背中に突き刺さった。

「よっしゃあ!さっすがはチトセだぜ!」

 背中にミサイルが着弾大爆発、バランスを崩し地に叩きつけられるドレイクを見て思わず喝采を浴びせる。空中ではどういった原理で飛行してるのかは分からないが、少なくともその場での急上昇は、圧縮された熱気をジェット噴射する方法も併用するようだ。そのため普段はできない熱探知が、このタイミングこの瞬間のみ可能になる……思ったとおりだ!地表をちょろちょろ逃げ回る俺達を、上空から火炎放射で一掃しようとしたのが裏目に出たな!これも自衛軍の情報とチトセの腕前のお陰、さすがは爆弾女、爆発はお手のものだぜ!」

「ちょっと、最後の声に出てるんだけど。そんな事より、ドレイク!早くなんとかしないと、どの道私達黒コゲよ!」

「任せとけ!こっからはアタッカーの仕事だ!」

 キ影を鞘に納め、バッテリー出力のリミッターを解除、急速充電を開始する。ササヤさんの支援が無い以上、過充電をしようものならバッテリーなんてあっという間に空になって、すぐに動けなくなるだろう。だが、そんな事には構っていられない。どの道生きるも死ぬも、この一振りで決まるのだから。

 キ影を納めた鞘口から、青い雷が漏れ出し始めた。どうやら過充電状態に入ったようだ。狙いを定めるため前を見遣ると、姿勢を立て直しつつあるドレイクの口内に、再び炎が満たされつつあった。上等だ、獄炎をも斬り裂く神の意志ってのを見せてやる!真っ直ぐドレイク目掛けて駆け出し、そして……

「生か死か、天より雷をくだしてその答を示せ……気爆噴射過充電居合斬りーー神立!」

 キ影が蓄えられる量の限界を超えて過充電されたその瞬間、刀身が納まった鞘を素早く左腰から右腰に付け替え普段とは逆の手ーーロケット噴射を伴う左義手による高速居合斬りを放った。

 鞘から超高速で抜き放たれた刀身は、目の前にあったドレイクの左翼を斬り裂き、続く長大な光の刃と化した雷光が翼の後ろの胴体までをも引き裂いた。膨大な熱量により表皮の一部は気化するように消滅し、その奥をも深く大きくかち割り無数の部品を弾き飛ばした。

「けっ!どんなもん……」

 確かな手応えを感じ、地に平伏し動きを止めたであろう姿を一目見てやろうと全体が見える距離まで足を戻すと、そこには上半身の左片身大部分を失い、地に這いつくばる形となっても未だ目には赤光、口内には赤熱を湛えた奴の姿が……

「だ……」

 逃げようにもバッテリーは底をつきレッドアラート中、もう立っていることも出来ず思わず尻餅をつく。まさか神立をまともに受けて未だ動けるなんて……ちくしょう、ちっくしょうっ!……さすがは伝説種として名の知れたドレイクだぜ……せめてチトセだけでも逃げて、生き延びてくれ。そしてこのくそったれな世界を……見返してくれよ……

 目の前が真っ赤に染まり、焼きつくかのような熱気が辺りを包むと同時に凄まじい衝撃が俺の身体を宙へと舞い上げ、そこで意識を途切れさせてしまった。
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