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報告書70「復讐、誰が為に刀を振るうのかについて」
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発射される炸裂弾。着弾、炸裂、破壊されたサーバーから飛び散る火花。そう、アシオが撃った先に俺はいなかったのだ。
「バカな!?確かに映像に……」
「今じゃチトセ!奴はそこから10時の方向、中二階手すり側におるぞ!」
「りょーかい!くらいなさい!」
火を吹くチトセのブラスターピストル。だがその射撃は正確とは言えず、指定された地点一帯をとにかく滅茶苦茶に撃っていた。
「くそっ、下手糞め!」
「逃げたわ!後は頼んだわよ!」
それを聞きゆっくりと階段を使い中二階へ登る。辺りを見回すと、手すり際でうつ伏せ射撃姿勢を取るアシオの姿が。どうやらまだ自分の姿は見えていないつもりらしい。全く愚かで醜い裸の王様だ。機動鎧甲を低熱源モードにし、足音を殺してゆっくりと近づく。油断か慢心か、もう真後ろまで来ているのに全く気がついていない。
奴の右手を掴み、ひっくり返した所に小太刀ヒトマルを突き立てた。その瞬間、全身を包んでいた光学迷彩が解け、驚愕と苦痛に歪んだ顔が露わになった。
「ぎゃあぁああ!痛い!痛いぃい!なんで貴様は撃たれたのに生きていて、なっ、なんで俺の場所が分かったんだぁ!?」
「貴様が撃ったのはウチの天才技術者が混入させた偽の監視カメラの画像だったという訳だ。それに引っ掛かり、射撃ポイントにノコノコと出てきた貴様のおおよその位置を攻撃したのさ。なぜ今は正確な位置が分かったのかは、自分の身体をよく見てみるんだな」
自らの身体を必死に見渡すアシオ。その身体一面はペイント弾により色とりどり、カラフルな模様となっていた。
「たっ、助けてくれ!お前にパワハラをしていたのは俺の意思じゃないんだ!そっ、そうだ会社の命令で……」
キ影一閃、口では命乞いをしながらも背中のブラスターピストルを抜こうとしていた右手を切り落とす。
「うぎゃぁぁあ!」
「手を斬り落とされる気持ちはどうだ?それにしてもお前は無能だな。最新の装備に頼り、環境に頼り、安全な場所から一方的な攻撃をする戦い方しかできない」
「うっ、うるさいうるさい!」
今度は逃げようとでもいうのか、立ち上がろうとするのでキ影を右足に突き立てる。再び上がる絶叫。こんな情けない奴が俺を追い詰め、一度殺したのかと思うとただただ腹が立つばかりだ。
「その癖、無能の分際でいかにも自分は有能で優れているかのように振る舞う。全く憎んでも憎みきれないな。だが安心しろ、すぐには殺しはしない。無能は無能に相応しい無様な死というのを賜ってやるからな」
「あんた一体何やってるのよ!」
そこへ駆けつけてきたのは、チトセとイクノさんだった。俺の行いを見て、驚愕というような顔をしている。
「止めるなチトセ。俺は……俺は、こいつに復讐を、恨みを晴らす!そのために今日まで生きてきたんだ!」
「はぁ!?あんた何バカな事言ってんのよ!あんたはそんな小さな事の為に生きてきた訳じゃないし、私もあんたにそんな馬鹿げた事をさせるためにその命を救った訳じゃないのよ!?」
「だけど……俺は……!」
「ならその復讐とやらとササヤさんら特別チームを助ける事、資源庁とBH社の陰謀をぶっ潰す事、私達MM社でこれからも稼ぐ事、どっちが大事なの!?」
「それは……」
チトセの言葉に我に返る。そうだ、こいつへの復讐なんて、そんな小さな事のために俺は刀を振るってきた訳じゃない。俺はMM社という小さいながらも自分の居場所を見つけたんだ……だから自分のためじゃない、そのために刀を振るべきなんだ!キ影と小太刀ヒトマルを鞘に納める。俺は自分が恥ずかしい……
「すまないチトセ……俺が間違ってた……」
「ようやく分かったのね。まっ、道を誤るなんて誰にでもあるわ。私達は機械じゃなくて人間なんだもの」
「そうじゃそうじゃ。こいつはひっ捕らえて自衛軍に引き渡し、BH社の悪事の証人にするのじゃ」
全てチトセとイクノさんの言う通りだ。それなら片腕を切り落とすんじゃなかったな、手錠が掛けられねぇ。そう思いつつ、奴を見ると、なんと残った左手に持った複数の破片手榴弾のピンを口で引き抜いた所だった……!
「へへへっ、やはり貴様はグズだな……!」
「くそっ!」
イクノさんを抱き上げ、左義手でチトセの手を引き加速装置を全開、中二階から飛び降りたと同時に大爆発が巻き起こった。
「大丈夫か2人とも!?」
「いったぁーい!何なのよ、もう!自爆なんてあいつ頭おかしいんじゃない!?」
「な、なんとか大丈夫じゃ……一瞬永久機関の設計図が見えた気がしたがの……」
外傷も無く、無事な2人を見て心底安堵する。もしチトセの言葉に耳を貸さなかったら……自分を見直してなかったら……復讐に凝り固まり、目が曇っていた俺は奴の自爆を見落としていたかもしれない。自分の為に刀を振るうものは刀に死す……言い伝えどおりの死に様になる所だったか。
「バカな!?確かに映像に……」
「今じゃチトセ!奴はそこから10時の方向、中二階手すり側におるぞ!」
「りょーかい!くらいなさい!」
火を吹くチトセのブラスターピストル。だがその射撃は正確とは言えず、指定された地点一帯をとにかく滅茶苦茶に撃っていた。
「くそっ、下手糞め!」
「逃げたわ!後は頼んだわよ!」
それを聞きゆっくりと階段を使い中二階へ登る。辺りを見回すと、手すり際でうつ伏せ射撃姿勢を取るアシオの姿が。どうやらまだ自分の姿は見えていないつもりらしい。全く愚かで醜い裸の王様だ。機動鎧甲を低熱源モードにし、足音を殺してゆっくりと近づく。油断か慢心か、もう真後ろまで来ているのに全く気がついていない。
奴の右手を掴み、ひっくり返した所に小太刀ヒトマルを突き立てた。その瞬間、全身を包んでいた光学迷彩が解け、驚愕と苦痛に歪んだ顔が露わになった。
「ぎゃあぁああ!痛い!痛いぃい!なんで貴様は撃たれたのに生きていて、なっ、なんで俺の場所が分かったんだぁ!?」
「貴様が撃ったのはウチの天才技術者が混入させた偽の監視カメラの画像だったという訳だ。それに引っ掛かり、射撃ポイントにノコノコと出てきた貴様のおおよその位置を攻撃したのさ。なぜ今は正確な位置が分かったのかは、自分の身体をよく見てみるんだな」
自らの身体を必死に見渡すアシオ。その身体一面はペイント弾により色とりどり、カラフルな模様となっていた。
「たっ、助けてくれ!お前にパワハラをしていたのは俺の意思じゃないんだ!そっ、そうだ会社の命令で……」
キ影一閃、口では命乞いをしながらも背中のブラスターピストルを抜こうとしていた右手を切り落とす。
「うぎゃぁぁあ!」
「手を斬り落とされる気持ちはどうだ?それにしてもお前は無能だな。最新の装備に頼り、環境に頼り、安全な場所から一方的な攻撃をする戦い方しかできない」
「うっ、うるさいうるさい!」
今度は逃げようとでもいうのか、立ち上がろうとするのでキ影を右足に突き立てる。再び上がる絶叫。こんな情けない奴が俺を追い詰め、一度殺したのかと思うとただただ腹が立つばかりだ。
「その癖、無能の分際でいかにも自分は有能で優れているかのように振る舞う。全く憎んでも憎みきれないな。だが安心しろ、すぐには殺しはしない。無能は無能に相応しい無様な死というのを賜ってやるからな」
「あんた一体何やってるのよ!」
そこへ駆けつけてきたのは、チトセとイクノさんだった。俺の行いを見て、驚愕というような顔をしている。
「止めるなチトセ。俺は……俺は、こいつに復讐を、恨みを晴らす!そのために今日まで生きてきたんだ!」
「はぁ!?あんた何バカな事言ってんのよ!あんたはそんな小さな事の為に生きてきた訳じゃないし、私もあんたにそんな馬鹿げた事をさせるためにその命を救った訳じゃないのよ!?」
「だけど……俺は……!」
「ならその復讐とやらとササヤさんら特別チームを助ける事、資源庁とBH社の陰謀をぶっ潰す事、私達MM社でこれからも稼ぐ事、どっちが大事なの!?」
「それは……」
チトセの言葉に我に返る。そうだ、こいつへの復讐なんて、そんな小さな事のために俺は刀を振るってきた訳じゃない。俺はMM社という小さいながらも自分の居場所を見つけたんだ……だから自分のためじゃない、そのために刀を振るべきなんだ!キ影と小太刀ヒトマルを鞘に納める。俺は自分が恥ずかしい……
「すまないチトセ……俺が間違ってた……」
「ようやく分かったのね。まっ、道を誤るなんて誰にでもあるわ。私達は機械じゃなくて人間なんだもの」
「そうじゃそうじゃ。こいつはひっ捕らえて自衛軍に引き渡し、BH社の悪事の証人にするのじゃ」
全てチトセとイクノさんの言う通りだ。それなら片腕を切り落とすんじゃなかったな、手錠が掛けられねぇ。そう思いつつ、奴を見ると、なんと残った左手に持った複数の破片手榴弾のピンを口で引き抜いた所だった……!
「へへへっ、やはり貴様はグズだな……!」
「くそっ!」
イクノさんを抱き上げ、左義手でチトセの手を引き加速装置を全開、中二階から飛び降りたと同時に大爆発が巻き起こった。
「大丈夫か2人とも!?」
「いったぁーい!何なのよ、もう!自爆なんてあいつ頭おかしいんじゃない!?」
「な、なんとか大丈夫じゃ……一瞬永久機関の設計図が見えた気がしたがの……」
外傷も無く、無事な2人を見て心底安堵する。もしチトセの言葉に耳を貸さなかったら……自分を見直してなかったら……復讐に凝り固まり、目が曇っていた俺は奴の自爆を見落としていたかもしれない。自分の為に刀を振るうものは刀に死す……言い伝えどおりの死に様になる所だったか。
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