異邦の13人ーThe 13 of Etranzeー

ロン・インディー

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1章1部 プロローグ編

第十話 記憶

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 するとアウロラは語部優に指示を出した。
「少年殺れ!。」
 語部優は鞘から剣を引き抜き無名達との戦闘が始まった。無名らは語部優を囲むようにして容赦なく湾刀を斬り掛かる。
 しかし無名の攻撃力は語部優の力を遥かに超えていた。
「強い!」
「少年!奴らは身体能力と打撃には注意しろ。」
 するとアウロラが打撃の注意事項を話していると無名は拳の打撃攻撃をしてきた。
 ドォンッ!!
 とてつもない轟音と突風が語部優の左頬をかすれるように拳が通りすぎた。
「っ?!」
 しかし別の後ろ居た無名が語部優の背中を手の平で打撃攻撃をしてきた。
「ぐはぁっ!」
 語部優は無名の強烈な一撃をかけられ脊髄を超え内蔵が全て前へ押し出された感覚とともに激痛と身体中の筋肉全てが剥がれたようだった。そして語部優は洞窟の方へ吹き飛ばされ岩壁に腹から叩きつけられた。
「語部さん!」
 アリババとモルジアナは語部優の名を叫ぶ!。語部優そのまま地へうつ伏せに倒れ全身を地に体を預けてそれ以上語部優は動かなくなった。
「ふっ。死んだか。今までの駒と比べたら大したこと無かったな。」
 ヘリヤは無名らに語部優に指を指しトドメを刺せと合図を出した。無名らはそれを承認し湾刀を片手に語部優の方へ駆けた。
 その頃語部優は過去の記憶が走馬灯ととして光の如く脳裏に駆け巡る。するとある一枠、語部優のたった一つの記憶を思い出していた。それは語部優がまだ小学五年生の過去の記憶だった。
 
 二年前―、語部優は誰人より弱く泣き虫だった。それ故にいつも同級生からいじめを受けていた。いつも放課後になれば近くの公園の公衆トイレに連れられ六人の確定人数で語部優を囲み蹴りや殴りを次から次えと四方八方からの容赦のない暴力が無抵抗の僕を襲う。語部優は頭を手で覆いしゃがみこんで何も出来ず、ただただ泣いていた。
 するとそこへ見知らぬ学ランで前列のボタンを全て外した赤の黒の骸骨絵柄入ったワイシャツを着る中学生の青年が語部優をいじめられている公衆トイレへ入って、いきなり「何やってやがるッ!このクソガキ共ッ!」と怒鳴った後青年は語部優に指を指し「俺の達に何をしていやがるッぶち殺すぞッ!」と叫んだ。
 するといじめっ子たちリーダー格の子が「やべぇ逃げろ!」と言うとみんな公衆トイレから逃げていった。
「あの…ありがとうございます。」
 語部優は中学生の青年にお礼を言った。
 中学生の青年は「どけガキ。小便行きてぇ。」と語部優の礼をスルーし隣を横切った。青年は用を足し始め語部優は公衆トイレから出ようとした時中学生の青年が「ちょっと待ってろガキ。」と語部優を呼び止めた。
 語部優は男子中学生の方を見た。男子中学生はトイレ水を流し語部優の方へ近づくと膝を下ろし語部優の目線に合わせるようにヤンキー座りをして学ランの左ポケットに手を突っ込んで何かを取り出す素振りをした。
 語部優は(もしかして殺される?)と涙を流して心の中で言った。そしてポケットから手を引き抜き語部優は目を瞑り体に力を入れる。
 すると語部優の鼻下に柔らかなフローズンの香りのする布が当たった。
 語部優は目を開けると小さな白いハンカチで語部優の鼻を拭いていた。
 男子中学生は「このまま家に帰ると家族が心配するだろ。鼻血だけ拭いとけ」と言った。
「ありがとうございます。」
 語部優は二度目の礼をする。男子中学生は語部優の目を見て言った。
「礼を言われるまでもない。だけどガキ、なぜ反撃をしなかった?!」
 急な年上に怒られ「えぇ?」とまた泣きそうな顔をする語部優に男子中学生は言った。
「泣くなお前は男だろ?!メソメソ泣くんじゃねガキが!」
「だった…」
「だってじゃねェ。男はタダタダ泣く生き物じゃねぇんだよ!強く生きる、弱い物を助ける生き物だろが![#「!」は縦中横]」
 語部優は男子中学生のその言葉に元気付けられ涙をこらえた。
 その先輩の激励の言葉に強くなれた気がした。
 
 そして語部優の脳内にアウロラの声が聞こえてきた。
「少年、起きろ。己はこれぐらいで息絶えるのか?」
 語部優は脳内で叫んだ。
 『まだだ。』
「己はそこまで弱く、相手にトドメを刺せられるのを待つだけなのか?」
 『僕は弱くない…僕は男だ、弱くタダタダ泣き虫の生き物ではない!』
 すると語部優の手の甲に押された烙印が炎の如く真っ赤に燃え己の再び動き始める鼓動に意識が戻る。
 目を覚ますと正面には今にでもトドメを刺そうと無名が湾刀を片手にこちらへ走って来ていた。そしてその奥にはヘリヤがスーツの内ポケットからハンドガンを取りアリババとモルジアナに銃口を向け今にでも引き金を引こうとする構えをしていた。
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