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25:町までおつかい
ペーターが素朴だが温かくて美味しい雑穀粥をもりもり食べていると、ダグラスに声をかけられた。
「ペーター」
「んー? なにー? 父ちゃん」
「今日はシグルドさんと一緒に町におつかいに行って来てくれよ。鍛冶屋に行って、鎌と鍬を研いでもらってきてくれ。箒で飛んで行くなら早いだろ」
「あっ! ついでに包丁もお願い! 鍛冶屋さんで研いでもらった方が切れ味よくなるのよねぇ」
「いいよー。シグルドさん、いいですか?」
「あぁ。町にまだ行ったことがないしな」
「お小遣いあげるから、2人で町で美味いもん食ってこいよー」
「お小遣いは別にいらないよー」
「まぁそう言うな。毎日朝から晩まで頑張ってくれてるからな。ちょっとしたご褒美だ」
「んー。そういうことなら、ありがたく貰うかなぁ」
「『野兎亭』って店が、飯が美味くて昼間から酒出してるぞ。観光するような所はねぇけど、まぁのんびりしてこいよ」
「はぁい」
今日は町に行くことになった。町に行くのは、かなり久々である。多分、ペーターが子供の頃とそう変わってはいないだろうが、鍛冶屋がどこにあるのか、かなりうろ覚えだ。
朝食の後片付けが終わった後、ペーターは鍛冶屋の場所をダグラスに地図を描いてもらってから、箒に研いでもらう鍬などを上手い具合に括り付け、後ろにシグルドを乗せて、低めの高さで町に向けて飛び始めた。
重い荷物を箒に吊るしているので、いつもより慎重にふよふよ飛んで、町に到着した。町は長閑な雰囲気で、人通りもそんなに多くない。ペーターは箒に乗ったまま、鍛冶屋を目指した。
鍛冶屋に無事に到着して、研いでもらう鍬などを預けると、ペーターは箒を片手にシグルドを見上げた。
「シグルドさん。全部研ぎ終わるの、午後のお茶の時間くらいらしいんですけど、何します?」
「んー。とりあえず町を見て歩くか」
「特に見るものないですよ?」
「ゆっくり散歩すればいいだろ。昼飯は父ちゃんが言ってた店に行くから、店も探しとかねぇと」
「あ、そっか。町でご飯食べたことないから、お店の場所知らないです」
「見学できるなら、蒸留酒作ってるとこを見てみてぇな。ついでに土産に買って帰る」
「見学できるといいですねー」
どことなくご機嫌なシグルドと一緒に、まずは蒸留酒を作っている所を探しに歩き始めた。
小さな町だから、ダグラスが美味しいと言っていた『野兎亭』も蒸留酒を作っている所もすぐに見つかった。残念ながら蒸留酒を作っているところの見学はできなかったが、蒸留酒の試飲をさせてもらって、シグルドは楽しそうだった。ダグラスと飲む分と自分の寝酒用に五本の蒸留酒を買い、シグルドが楽しそうに笑った。
「中々いい味の蒸留酒だ。父上用の土産にもよさそうだ。帰る前に、また買いに来るぞ」
「はぁい。お口に合って何よりでーす。多分、『野兎亭』でも出してると思いますけど、飲み過ぎないでくださいよー。箒なんで」
「分かってらぁ。家に帰ってからのんびり父ちゃんと飲む」
「そうしてくださーい」
シグルドは実家に帰ってきてから、ちょこちょこダグラスと一緒に酒を楽しんでいる。ペーターは酒に弱いし、離れの屋敷では殆どシグルド1人で飲んでいるようなものなので、シグルドも一緒に飲める相手がいて嬉しいらしい。
ペーターはシグルドと他愛のないお喋りをしながらのんびり歩いて、昼食には少し早めだが、『野兎亭』に入った。
『野兎亭』の名物料理だという兎のパイや、この地域でよく食べられている豚肉料理をいくつかと町特産の蒸留酒、ペーター用の香草茶を注文して、ペーターは、メニュー表を眺めているシグルドを見た。
実家に里帰りしてから、シグルドが毎日楽しそうで、なんだか嬉しい。多分、シグルドは身体を動かす方が好きだからだろう。毎日の農作業や家事も本当に楽しそうにやっている。
いっそ実家に住みたいなぁとぼんやり思うが、シグルドは辺境伯家の次男だし、領民のために働くのが義務でもある。分家になるとはいえ、お貴族様の家のお婿さんになっちゃったのだから、ペーターも一日でも早くお貴族様生活に慣れて、シグルドを支えていかなくてはいけない。夫婦になっちゃっているのだし、シグルドと助け合って色々頑張るのが筋というものだろう。
実家にいられるのも、あと半月だ。楽しい日々はあっという間に過ぎ去るものである。ペーターは、残りの半月をとことん楽しもうと、運ばれてきた料理をもりもり食べ始めた。
満腹になって『野兎亭』を出ると、ご機嫌なシグルドがペーターの頭をわしゃわしゃと撫で回してきた。
「もー。なんですかー。急にー。髪がぐちゃぐちゃになるじゃないですかー」
「あ? 特に意味はねぇよ。それより、手芸屋があったよな。母ちゃんへの土産に布でも買って帰るぞ」
「あ、いいですねー。喜びますよ」
「母ちゃん用の服にできそうな色合いの布を探すぞ」
「はぁい。今着てる服も古いですもんねぇ。母ちゃん、自分の服より子供の服を優先して作るから」
「いっそ服を買って帰った方が早いか。おい。母ちゃんの服のサイズは分かるか?」
「分かりませんね!」
「だと思った。俺も女物の服のサイズなんぞ分からんな。まぁ、ちょっと大きめっぽいサイズの服を買っとけば、母ちゃんが自分で調節してくれるだろ」
「来年の夏くらいには結婚式もあるし、どうせなら華やかワンピースでも買います?」
「採用。夏用のワンピースが売ってるといいな」
「今なければ、注文してお金を払っといて、夏に兄ちゃん達に引き取りに来てもらえばいいですよー」
「それもそうだな。よし。服屋に行くぞ」
「はぁい」
シグルドが、ペーターの両親を気遣ってくれるのが本当に嬉しい。
町には服屋があるが、村には服屋がないし、既製品の服を買うよりも布を買って自分で作った方が安上がりなので、ペーターの実家では、主にベルナが家族の服を作っている。毎日、朝から晩まで働くベルナに、ちょっとした贈り物がしたい。
ペーターはシグルドと一緒に服屋に入ると、真剣にベルナに似合いそうな華やかなワンピースを探し始めた。
夏用のワンピースは売っていなかったが、次の夏までに作ってくれるとのことだったので、ベルナの大体の体格を店員に伝えて、希望するワンピースのイメージも伝えておいた。少し多めに金を払って、素敵なワンピースを作って欲しいとお願いした。冬用の華やかなワンピースも買えたので、ペーターは、ベルナがビックリして喜ぶ顔を想像して、にひっと笑った。
下の子供達用に文房具やお菓子も買うと、荷物がそこそこ多くなった。帰りの箒を操るのが若干不安になる量だが、まぁなんとかなるだろう。
研ぎに出した鍬などが仕上がるまであと少し時間があるので、喫茶店に入った。
香りのいい香草茶を一口飲み、シグルドがふっと笑って口を開いた。
「この香草茶も買って帰るぞ。これは自分達用の土産」
「いいですよー。気に入りました?」
「あぁ。家で飲んでるものは、町で買ってきてるのか?」
「いえ。毎年、母ちゃんが庭で育てた香草で作ってます」
「母ちゃんの香草茶を持って帰りたいが、それはやめとくか。皆が飲む分が減る。町でも売ってるんだろ? 蒸留酒買いに来る時に一緒に買うわ」
「はぁい。んー。離れの屋敷の庭で香草を育てていいんなら、僕も多分作れますよー。子供の頃に手伝いで一緒に作ってたんで」
「おっ。じゃあ、香草の種を買って帰るか。庭師に育てさせよう」
「香草くらいなら僕が世話しますよー。水やりと草むしりくらいですし。気分転換になりそうです!」
「んー。じゃあ、俺も一緒にやる。母上に知られたらいい顔しないだろうが、まぁ別にいいだろ」
穏やかな顔で楽しそうに笑うシグルドを見ていると、なんだかじわぁっと胸の奥が温かくなってくる気がする。これは一体なんなのか。ペーターは内心首を傾げながら、シグルドとのんびり香草茶を楽しんで、鍛冶屋に預けていたものを引き取りに行ってから、シグルドを箒の後ろに乗せて、ふよふよとのんびり飛んで家に帰った。
「ペーター」
「んー? なにー? 父ちゃん」
「今日はシグルドさんと一緒に町におつかいに行って来てくれよ。鍛冶屋に行って、鎌と鍬を研いでもらってきてくれ。箒で飛んで行くなら早いだろ」
「あっ! ついでに包丁もお願い! 鍛冶屋さんで研いでもらった方が切れ味よくなるのよねぇ」
「いいよー。シグルドさん、いいですか?」
「あぁ。町にまだ行ったことがないしな」
「お小遣いあげるから、2人で町で美味いもん食ってこいよー」
「お小遣いは別にいらないよー」
「まぁそう言うな。毎日朝から晩まで頑張ってくれてるからな。ちょっとしたご褒美だ」
「んー。そういうことなら、ありがたく貰うかなぁ」
「『野兎亭』って店が、飯が美味くて昼間から酒出してるぞ。観光するような所はねぇけど、まぁのんびりしてこいよ」
「はぁい」
今日は町に行くことになった。町に行くのは、かなり久々である。多分、ペーターが子供の頃とそう変わってはいないだろうが、鍛冶屋がどこにあるのか、かなりうろ覚えだ。
朝食の後片付けが終わった後、ペーターは鍛冶屋の場所をダグラスに地図を描いてもらってから、箒に研いでもらう鍬などを上手い具合に括り付け、後ろにシグルドを乗せて、低めの高さで町に向けて飛び始めた。
重い荷物を箒に吊るしているので、いつもより慎重にふよふよ飛んで、町に到着した。町は長閑な雰囲気で、人通りもそんなに多くない。ペーターは箒に乗ったまま、鍛冶屋を目指した。
鍛冶屋に無事に到着して、研いでもらう鍬などを預けると、ペーターは箒を片手にシグルドを見上げた。
「シグルドさん。全部研ぎ終わるの、午後のお茶の時間くらいらしいんですけど、何します?」
「んー。とりあえず町を見て歩くか」
「特に見るものないですよ?」
「ゆっくり散歩すればいいだろ。昼飯は父ちゃんが言ってた店に行くから、店も探しとかねぇと」
「あ、そっか。町でご飯食べたことないから、お店の場所知らないです」
「見学できるなら、蒸留酒作ってるとこを見てみてぇな。ついでに土産に買って帰る」
「見学できるといいですねー」
どことなくご機嫌なシグルドと一緒に、まずは蒸留酒を作っている所を探しに歩き始めた。
小さな町だから、ダグラスが美味しいと言っていた『野兎亭』も蒸留酒を作っている所もすぐに見つかった。残念ながら蒸留酒を作っているところの見学はできなかったが、蒸留酒の試飲をさせてもらって、シグルドは楽しそうだった。ダグラスと飲む分と自分の寝酒用に五本の蒸留酒を買い、シグルドが楽しそうに笑った。
「中々いい味の蒸留酒だ。父上用の土産にもよさそうだ。帰る前に、また買いに来るぞ」
「はぁい。お口に合って何よりでーす。多分、『野兎亭』でも出してると思いますけど、飲み過ぎないでくださいよー。箒なんで」
「分かってらぁ。家に帰ってからのんびり父ちゃんと飲む」
「そうしてくださーい」
シグルドは実家に帰ってきてから、ちょこちょこダグラスと一緒に酒を楽しんでいる。ペーターは酒に弱いし、離れの屋敷では殆どシグルド1人で飲んでいるようなものなので、シグルドも一緒に飲める相手がいて嬉しいらしい。
ペーターはシグルドと他愛のないお喋りをしながらのんびり歩いて、昼食には少し早めだが、『野兎亭』に入った。
『野兎亭』の名物料理だという兎のパイや、この地域でよく食べられている豚肉料理をいくつかと町特産の蒸留酒、ペーター用の香草茶を注文して、ペーターは、メニュー表を眺めているシグルドを見た。
実家に里帰りしてから、シグルドが毎日楽しそうで、なんだか嬉しい。多分、シグルドは身体を動かす方が好きだからだろう。毎日の農作業や家事も本当に楽しそうにやっている。
いっそ実家に住みたいなぁとぼんやり思うが、シグルドは辺境伯家の次男だし、領民のために働くのが義務でもある。分家になるとはいえ、お貴族様の家のお婿さんになっちゃったのだから、ペーターも一日でも早くお貴族様生活に慣れて、シグルドを支えていかなくてはいけない。夫婦になっちゃっているのだし、シグルドと助け合って色々頑張るのが筋というものだろう。
実家にいられるのも、あと半月だ。楽しい日々はあっという間に過ぎ去るものである。ペーターは、残りの半月をとことん楽しもうと、運ばれてきた料理をもりもり食べ始めた。
満腹になって『野兎亭』を出ると、ご機嫌なシグルドがペーターの頭をわしゃわしゃと撫で回してきた。
「もー。なんですかー。急にー。髪がぐちゃぐちゃになるじゃないですかー」
「あ? 特に意味はねぇよ。それより、手芸屋があったよな。母ちゃんへの土産に布でも買って帰るぞ」
「あ、いいですねー。喜びますよ」
「母ちゃん用の服にできそうな色合いの布を探すぞ」
「はぁい。今着てる服も古いですもんねぇ。母ちゃん、自分の服より子供の服を優先して作るから」
「いっそ服を買って帰った方が早いか。おい。母ちゃんの服のサイズは分かるか?」
「分かりませんね!」
「だと思った。俺も女物の服のサイズなんぞ分からんな。まぁ、ちょっと大きめっぽいサイズの服を買っとけば、母ちゃんが自分で調節してくれるだろ」
「来年の夏くらいには結婚式もあるし、どうせなら華やかワンピースでも買います?」
「採用。夏用のワンピースが売ってるといいな」
「今なければ、注文してお金を払っといて、夏に兄ちゃん達に引き取りに来てもらえばいいですよー」
「それもそうだな。よし。服屋に行くぞ」
「はぁい」
シグルドが、ペーターの両親を気遣ってくれるのが本当に嬉しい。
町には服屋があるが、村には服屋がないし、既製品の服を買うよりも布を買って自分で作った方が安上がりなので、ペーターの実家では、主にベルナが家族の服を作っている。毎日、朝から晩まで働くベルナに、ちょっとした贈り物がしたい。
ペーターはシグルドと一緒に服屋に入ると、真剣にベルナに似合いそうな華やかなワンピースを探し始めた。
夏用のワンピースは売っていなかったが、次の夏までに作ってくれるとのことだったので、ベルナの大体の体格を店員に伝えて、希望するワンピースのイメージも伝えておいた。少し多めに金を払って、素敵なワンピースを作って欲しいとお願いした。冬用の華やかなワンピースも買えたので、ペーターは、ベルナがビックリして喜ぶ顔を想像して、にひっと笑った。
下の子供達用に文房具やお菓子も買うと、荷物がそこそこ多くなった。帰りの箒を操るのが若干不安になる量だが、まぁなんとかなるだろう。
研ぎに出した鍬などが仕上がるまであと少し時間があるので、喫茶店に入った。
香りのいい香草茶を一口飲み、シグルドがふっと笑って口を開いた。
「この香草茶も買って帰るぞ。これは自分達用の土産」
「いいですよー。気に入りました?」
「あぁ。家で飲んでるものは、町で買ってきてるのか?」
「いえ。毎年、母ちゃんが庭で育てた香草で作ってます」
「母ちゃんの香草茶を持って帰りたいが、それはやめとくか。皆が飲む分が減る。町でも売ってるんだろ? 蒸留酒買いに来る時に一緒に買うわ」
「はぁい。んー。離れの屋敷の庭で香草を育てていいんなら、僕も多分作れますよー。子供の頃に手伝いで一緒に作ってたんで」
「おっ。じゃあ、香草の種を買って帰るか。庭師に育てさせよう」
「香草くらいなら僕が世話しますよー。水やりと草むしりくらいですし。気分転換になりそうです!」
「んー。じゃあ、俺も一緒にやる。母上に知られたらいい顔しないだろうが、まぁ別にいいだろ」
穏やかな顔で楽しそうに笑うシグルドを見ていると、なんだかじわぁっと胸の奥が温かくなってくる気がする。これは一体なんなのか。ペーターは内心首を傾げながら、シグルドとのんびり香草茶を楽しんで、鍛冶屋に預けていたものを引き取りに行ってから、シグルドを箒の後ろに乗せて、ふよふよとのんびり飛んで家に帰った。
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