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36:決断と覚悟
毎日バタバタ忙しく仕事をこなしていたら、あっという間に一か月半が過ぎていった。
夕食と風呂を終えた後。ペーターはシグルドがトイレに行っている隙に、自分の金玉にかけた避妊魔法を『みて』みた。避妊魔法は効果が切れている。暫く忙しくてご無沙汰だったし、明日は久しぶりの休みだから、確実に今夜はセックスをする。激痛の避妊魔法をこっそりかけるか否か。
シグルドとの子供のことは、まだ答えが出ていない。子供ができたら素直に嬉しいと思う。でも、シグルドのことが心配でならない。一か月以上ずっと悩んでいたが、いよいよ決断しなくてはいけない。
今、激痛の避妊魔法をかけたら、間違いなく脂汗びっしょりになるので、シグルドには確実にバレる。怒られるかもしれないが、避妊魔法をかけるべきか。
シグルドがペーターとの子供を欲しいと思ってくれたのは嬉しい。でもシグルドを危険な目に合わせるのは心底嫌だ。
どうしよう、どうしようと迷っていると、シグルドがトイレから出てきた。
シグルドがベッドの側で下着を脱ぎ、全裸でベッドに上がってきた。
「ヤるぞー」
「……あ、あのっ!」
「あ?」
「……避妊魔法、効果が切れちゃってます……」
「問題ねぇな」
「子供……できちゃうかも……」
「そん時は産むだけだ」
「でも! シグルドさんが危険な状態になるかもしれないし!」
シグルドがじっとペーターを見つめて、溜め息を吐いてからガシガシと頭を掻いた。
「腹ぁ括れ。俺はもう腹を括った。お前との子供が欲しい。家族が増えたら嬉しい」
「う……そりゃあ、僕も家族が増えたら素直に嬉しいですけど……」
「俺はとにかく頑丈で体力もある。家のお抱えの医者も腕がいい。何がそんなに不安なんだよ」
「……妊娠中も出産もシグルドさんの身体にとても負担をかけます。子供を産んで落ち着くまで、ずっと生命の危険がある状態になるんです。……それが、僕は嫌です。どんなにシグルドさんが頑丈でも、どんなに腕がいいお医者さんがいても、シグルドさんが生命をかけることになるのに変わりはありません。僕は……僕は……シグルドさんにもしものことがあったら、きっと一生後悔する。シグルドさんがいない生活なんて、きっと僕には耐えられない。確かに子供は欲しいけど、まだできていない子供よりもシグルドさんの方がずっと大事です」
ペーターが呟くような小さな声で本音を言うと、シグルドが真剣な顔でペーターを見つめてから、小さく溜め息を吐き、何故か拳骨をかましてきた。
「いぎゃっ!? なんで拳骨!?」
「ごちゃごちゃうるせぇ。後ろ向きに考えすぎなんだよ。ばーか。いいか? 耳をかっぽじってよーく聞け。俺はお前との子供が欲しい。本当に妊娠できるかは分からねぇが、お前と子供がいれば、俺はきっと今よりも幸せになれる。幸せになる努力を続けられる。俺の心身の頑丈さを舐めるんじゃねぇ。腹を括ったって言っただろう。お前の子供を確実に産む。そんで、俺もしっかり健康体でいる。……子供を産まなくても、歳の差があるから、何事もなければ確実にお前を置いて俺は先に逝くんだ。今から情けねぇこと言ってんじゃねぇよ。もう一度言う。腹ぁ括れ。2人の子供を一緒に育てて、幸せになるための努力をしやがれ」
「シグルドさん…………うーー……わっかりましたぁ! 腹を括りますぅ! 別れの時まで、ずっと、ずっと、シグルドさんと一緒に幸せになるための努力を頑張りますっ!」
「よーし。言質とったからな。ごちゃごちゃ情けねぇこと抜かすんじゃねぇぞ」
「むぅ……これ以上はもう言いません。僕ができる最大限のことをやっていきます。子供ができて、生まれてきてくれたら、全力で愛します。シグルドさんと一緒に」
「それでいい。お前ならいい父親になる」
「そうですかね?」
「あぁ。お前は俺にとっての、俺達の家族にとっての、幸せを運んできてくれる小鳥だからな」
「幸せを運んできてくれる小鳥?」
「まぁ気にすんな。じゃあ、ヤりまくるぞー」
「あ、はぁい」
正直に言うと、シグルドを見送ることなんか考えたくない。けれど、子供のことがなくても、年齢的に何事もなければシグルドが先に逝ってしまうのは事実だ。
ペーターは、ぱぁんと両手で自分の頬を叩いた。実際に子供を産むシグルドが腹を括ったのなら、ペーターだって腹を括って、子供をつくって父親になる覚悟をしなければいけない。ペーターができることは、なんでもやる。ペーターにできることなんて、本当に少しのものだが、それでも前を向いて頑張っていかなくてはいけない。
ペーターは真っ直ぐにシグルドを見つめた。
「僕、頑張ります。だから……だから、よぼよぼのお爺ちゃんになるまで、ずっと一緒に頑張ってください」
「おぅ。任せておけ」
シグルドが嬉しそうにふっと笑って、わしゃわしゃとペーターの頭を撫で回した。
ペーターはシグルドのゴツくて大きな温かい手を握って、シグルドの唇に触れるだけのキスをした。
初めて、避妊魔法をかけていない状態でシグルドの中に射精した。後ろ向きな自分は頭の中でボッコボコにして、ただ、シグルドと熱を分け合うことに集中した。まだいない新しい家族に出会える日を夢想しながら、ペーターはシグルドに抱きしめられて眠りに落ちた。
翌朝。ペーターが目覚めると、シグルドに抱きしめられたままだった。腹の上にのっているシグルドの太くて逞しい腕が重いが、そんなに気にならない。こちらを向いて豪快な鼾をかいているシグルドの寝顔をじっと見つめて、ペーターはなんとなく、定着しているシグルドの眉間の皺をうりうりと指先で伸ばした。
シグルドの伴侶として、シグルドの覚悟はしっかりと受け止めるべきだ。もう腹は括った。シグルドのことも、まだ見ぬ子供のことも、精一杯大事にする。
ペーターは眠るシグルドの唇に触れるだけのキスをして、やんわりとシグルドの下腹部を撫でた。
二度寝して目覚めた時には、昼前の時間になっていた。昨夜は頑張ったので、腰が地味に痛い。シグルドも怠そうにしているので、風呂と食事を済ませたら、再びベッドに戻った。
シグルドが自分の下腹部を撫でながら、穏やかな顔で笑った。
「早くできるといいな。頑張れよ。若造」
「はぁい。ちょー頑張ります。あ、今からもっかい頑張ります?」
「今はいい。腰がいてぇし、まんこがじんじんする。つーか、あんだけ出しといてまだ勃つのかよ」
「若いんで!!」
「若いってこわぁ。ペーター。腰揉め」
「はぁい。あ、なんなら、マッサージの専門家さんに来てもらいます? 最近、忙しかったから、マッサージしてもらう暇もなかったですし」
「あー? 今日はお前でいいわ。肩と背中と腰よろしく」
「はぁい。ごりっごり揉みますね!」
「おー」
ペーターは俯せに寝転がったシグルドの肩から揉み始めた。ガッチガチに凝っている。書類仕事が続いていたからだろう。シグルドが気持ちよさそうな気の抜けた声を上げた。
シグルドの肩をごりっごり指圧しながら、ペーターはぼんやりとなんかいいなぁと思った。
シグルドがこうして無防備なところを見せてくれるのも、ペーターに甘えてくれるのも、子供を欲しがってくれるのも、シグルドからの言葉にしない愛のような気がして、嬉しくて、でもちょっと照れくさい。
ペーターはちょっと照れくさいのを誤魔化すように、シグルドの肩をぐりぐりしまくった。
夕食と風呂を終えた後。ペーターはシグルドがトイレに行っている隙に、自分の金玉にかけた避妊魔法を『みて』みた。避妊魔法は効果が切れている。暫く忙しくてご無沙汰だったし、明日は久しぶりの休みだから、確実に今夜はセックスをする。激痛の避妊魔法をこっそりかけるか否か。
シグルドとの子供のことは、まだ答えが出ていない。子供ができたら素直に嬉しいと思う。でも、シグルドのことが心配でならない。一か月以上ずっと悩んでいたが、いよいよ決断しなくてはいけない。
今、激痛の避妊魔法をかけたら、間違いなく脂汗びっしょりになるので、シグルドには確実にバレる。怒られるかもしれないが、避妊魔法をかけるべきか。
シグルドがペーターとの子供を欲しいと思ってくれたのは嬉しい。でもシグルドを危険な目に合わせるのは心底嫌だ。
どうしよう、どうしようと迷っていると、シグルドがトイレから出てきた。
シグルドがベッドの側で下着を脱ぎ、全裸でベッドに上がってきた。
「ヤるぞー」
「……あ、あのっ!」
「あ?」
「……避妊魔法、効果が切れちゃってます……」
「問題ねぇな」
「子供……できちゃうかも……」
「そん時は産むだけだ」
「でも! シグルドさんが危険な状態になるかもしれないし!」
シグルドがじっとペーターを見つめて、溜め息を吐いてからガシガシと頭を掻いた。
「腹ぁ括れ。俺はもう腹を括った。お前との子供が欲しい。家族が増えたら嬉しい」
「う……そりゃあ、僕も家族が増えたら素直に嬉しいですけど……」
「俺はとにかく頑丈で体力もある。家のお抱えの医者も腕がいい。何がそんなに不安なんだよ」
「……妊娠中も出産もシグルドさんの身体にとても負担をかけます。子供を産んで落ち着くまで、ずっと生命の危険がある状態になるんです。……それが、僕は嫌です。どんなにシグルドさんが頑丈でも、どんなに腕がいいお医者さんがいても、シグルドさんが生命をかけることになるのに変わりはありません。僕は……僕は……シグルドさんにもしものことがあったら、きっと一生後悔する。シグルドさんがいない生活なんて、きっと僕には耐えられない。確かに子供は欲しいけど、まだできていない子供よりもシグルドさんの方がずっと大事です」
ペーターが呟くような小さな声で本音を言うと、シグルドが真剣な顔でペーターを見つめてから、小さく溜め息を吐き、何故か拳骨をかましてきた。
「いぎゃっ!? なんで拳骨!?」
「ごちゃごちゃうるせぇ。後ろ向きに考えすぎなんだよ。ばーか。いいか? 耳をかっぽじってよーく聞け。俺はお前との子供が欲しい。本当に妊娠できるかは分からねぇが、お前と子供がいれば、俺はきっと今よりも幸せになれる。幸せになる努力を続けられる。俺の心身の頑丈さを舐めるんじゃねぇ。腹を括ったって言っただろう。お前の子供を確実に産む。そんで、俺もしっかり健康体でいる。……子供を産まなくても、歳の差があるから、何事もなければ確実にお前を置いて俺は先に逝くんだ。今から情けねぇこと言ってんじゃねぇよ。もう一度言う。腹ぁ括れ。2人の子供を一緒に育てて、幸せになるための努力をしやがれ」
「シグルドさん…………うーー……わっかりましたぁ! 腹を括りますぅ! 別れの時まで、ずっと、ずっと、シグルドさんと一緒に幸せになるための努力を頑張りますっ!」
「よーし。言質とったからな。ごちゃごちゃ情けねぇこと抜かすんじゃねぇぞ」
「むぅ……これ以上はもう言いません。僕ができる最大限のことをやっていきます。子供ができて、生まれてきてくれたら、全力で愛します。シグルドさんと一緒に」
「それでいい。お前ならいい父親になる」
「そうですかね?」
「あぁ。お前は俺にとっての、俺達の家族にとっての、幸せを運んできてくれる小鳥だからな」
「幸せを運んできてくれる小鳥?」
「まぁ気にすんな。じゃあ、ヤりまくるぞー」
「あ、はぁい」
正直に言うと、シグルドを見送ることなんか考えたくない。けれど、子供のことがなくても、年齢的に何事もなければシグルドが先に逝ってしまうのは事実だ。
ペーターは、ぱぁんと両手で自分の頬を叩いた。実際に子供を産むシグルドが腹を括ったのなら、ペーターだって腹を括って、子供をつくって父親になる覚悟をしなければいけない。ペーターができることは、なんでもやる。ペーターにできることなんて、本当に少しのものだが、それでも前を向いて頑張っていかなくてはいけない。
ペーターは真っ直ぐにシグルドを見つめた。
「僕、頑張ります。だから……だから、よぼよぼのお爺ちゃんになるまで、ずっと一緒に頑張ってください」
「おぅ。任せておけ」
シグルドが嬉しそうにふっと笑って、わしゃわしゃとペーターの頭を撫で回した。
ペーターはシグルドのゴツくて大きな温かい手を握って、シグルドの唇に触れるだけのキスをした。
初めて、避妊魔法をかけていない状態でシグルドの中に射精した。後ろ向きな自分は頭の中でボッコボコにして、ただ、シグルドと熱を分け合うことに集中した。まだいない新しい家族に出会える日を夢想しながら、ペーターはシグルドに抱きしめられて眠りに落ちた。
翌朝。ペーターが目覚めると、シグルドに抱きしめられたままだった。腹の上にのっているシグルドの太くて逞しい腕が重いが、そんなに気にならない。こちらを向いて豪快な鼾をかいているシグルドの寝顔をじっと見つめて、ペーターはなんとなく、定着しているシグルドの眉間の皺をうりうりと指先で伸ばした。
シグルドの伴侶として、シグルドの覚悟はしっかりと受け止めるべきだ。もう腹は括った。シグルドのことも、まだ見ぬ子供のことも、精一杯大事にする。
ペーターは眠るシグルドの唇に触れるだけのキスをして、やんわりとシグルドの下腹部を撫でた。
二度寝して目覚めた時には、昼前の時間になっていた。昨夜は頑張ったので、腰が地味に痛い。シグルドも怠そうにしているので、風呂と食事を済ませたら、再びベッドに戻った。
シグルドが自分の下腹部を撫でながら、穏やかな顔で笑った。
「早くできるといいな。頑張れよ。若造」
「はぁい。ちょー頑張ります。あ、今からもっかい頑張ります?」
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「若いんで!!」
「若いってこわぁ。ペーター。腰揉め」
「はぁい。あ、なんなら、マッサージの専門家さんに来てもらいます? 最近、忙しかったから、マッサージしてもらう暇もなかったですし」
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「はぁい。ごりっごり揉みますね!」
「おー」
ペーターは俯せに寝転がったシグルドの肩から揉み始めた。ガッチガチに凝っている。書類仕事が続いていたからだろう。シグルドが気持ちよさそうな気の抜けた声を上げた。
シグルドの肩をごりっごり指圧しながら、ペーターはぼんやりとなんかいいなぁと思った。
シグルドがこうして無防備なところを見せてくれるのも、ペーターに甘えてくれるのも、子供を欲しがってくれるのも、シグルドからの言葉にしない愛のような気がして、嬉しくて、でもちょっと照れくさい。
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