おっさん寮母爆誕!〜鬼の騎士団長からお茶目で可愛い寮母になります!〜

丸井まー(旧:まー)

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17:冬のデート

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 魔物討伐が無事に終わり、事後処理をして寮へ帰れば、食堂でルーカスが待ち構えていた。腹を減らしている若い騎士達を先に行かせ、最後にルーカスの元へ行くと、ルーカスがまじまじとレオを見てきた。


「怪我は」

「ありません。何人か重傷者がでましたが、怪我が治れば全員復帰できます」

「そうか。お疲れ。身体が冷えているだろう。しっかり食って風呂で温まってからしっかり寝ろ」

「はい。湯たんぽしにお邪魔しますね」

「来るな」

「とりあえず食べてきます」

「あ、おいっ!」


 レオはルーカスからお盆を受け取ると、いそいそとテーブルへ向かった。
 今日は一際寒い。一緒に寝た方が温かくてぐっすり眠れるだろう。という言い訳をしているが、ただ単にルーカスと一緒に寝たいだけである。 
 本格的な冬になって、毎晩ではないがルーカスと一緒に寝るようになった。レオの存在をルーカスに馴染ませ、しれっとレオなしじゃ眠れないようにしてやりたい。
 レオは温かいシチューをメインにがっつり食べると、先に残っている書類仕事を終わらせるべく、団長室に向かった。

 書類仕事を終え、共用風呂でしっかり温まると、レオは枕と酒の瓶を持ってルーカスの部屋を訪ねた。
 渋い顔で部屋に入れてくれたルーカスが可愛い。ちょっとずつだが、絆されてきてくれているように思える。
 ルーカスと一緒にぽつぽつ喋りながら寝酒を飲んで、身体の内側から温かいうちにベッドに上がって布団に潜り込む。

 ルーカスの身体をやんわりと抱きしめると、無意識なのか、ルーカスが微かに気の抜けた顔をした。もぞもぞ身動ぎをしてぴったりくっついてくるルーカスが半端なく可愛い。キスがしたいが、まだ恋人になれていないから今はおあずけだ。

 今回の魔物討伐には三日程かかった。それなりに疲れていて、温かいルーカスの身体を抱きしめているだけで眠気が襲ってくる。
 レオは寝落ちる前にデートの約束をとりつけようと、眠いのを堪えてルーカスに声をかけた。


「明後日は休みですよね。シチューのパイ包み焼きが絶品のお店に行きませんか? それと陶器作り体験教室をやってるらしいんです。ご一緒にどうです?」

「んー。行く」

「では、明後日はデートということで」

「んー」


 眠そうな返事をするルーカスがとてつもなく可愛い。無事にデートの約束ができたし、明日までに残っている書類仕事を全部終わらせて、明後日は一日デートだ。
 レオは今からうきうきしながら、ルーカスの身体をぎゅっと抱きしめ、ルーカスの頭に頬擦りをしてから、はふぅと幸せな溜め息を吐いて眠りに落ちた。

 二日後の朝。レオは鳩尾の激痛で目覚めた。またルーカスがレオの鳩尾に肘を打ち込んだようだ。めちゃくちゃ痛いが、あんまり素直じゃないルーカスの照れ隠しな気がして、満更でもない。
 レオは鳩尾あたりを擦りながら起き上がり、放送室へと向かうルーカスと一緒に部屋を出た。

 自室で熱いシャワーを浴びてから、温かいが洒落た服に着替える。急ぎの書類仕事は昨日のうちに全部終わらせた。今日は気兼ねなくルーカスとデートができる。
 レオは軽やかな足取りでルーカスの部屋へと向かった。

 ルーカスと共に寮を出れば、雪がちらついていた。傘を持ってきていたので、ルーカスと相合傘で歩き始める。大きめの傘を買っておいてよかった。寒いからか、いつもよりちょっと距離感が近いのもぐっとくる。
 レオはうきうきと軽やかな足取りでルーカスと喋りながら歩き、まずは朝食を食べに部下から聞いた最近評判がいい喫茶店へと向かい始めた。

 落ち着いた雰囲気の喫茶店に入ると、ルーカスがマフラーと取って、ふぅと小さく息を吐いた。鼻先が微かに赤くなっているのが可愛い。冷えた身体を早く温めてやりたくて、レオはルーカスをエスコートして二人がけのテーブル席に座った。


「ここはサンドイッチも美味いらしいんですけど、野菜とベーコンのミルクスープが絶品らしいです」

「どっちも。あと珈琲」

「はい。サンドイッチは二種類頼んで半分こしましょうよ」

「あぁ」


 レオは近くにいた店員に注文を伝えると、ルーカスへ煙草の箱と着火具を渡した。軽くお礼を言ってから、ルーカスが煙草を取り出し、火をつけた。
 レオも煙草を吸い始めながら、じっとルーカスを見つめた。煙草を吸うルーカスは、渋い大人の色気があって最高にそそる。ルーカスが煙草を吸う姿を見たいがために、いつも煙草を吸っても大丈夫な店を選んでいる。
 朝から眼福だなぁとうっとりしながら、レオはルーカスと他愛のないお喋りを楽しんだ。

 サンドイッチもスープもルーカスにとても好評だった。珈琲も美味しいし、いい店を教えてくれた部下には今度酒でも贈ろう。
 暫し食後の珈琲と煙草を楽しんでから喫茶店を出て、今度は陶器工房へと向かう。体験教室の予約はしてある。ルーカスと一緒にマグカップを作る。お互いに相手のものを作ったら素敵なんじゃないかと思いついた。レオは思いつくままにルーカスに提案してみた。


「ルーカス様。せっかくですし、俺がルーカス様のマグカップを作って、ルーカス様が俺のマグカップを作りません?」

「……別に構わんが」

「ありがとうございます。楽しみましょうね!」

「はしゃぐな。おっさん」

「おっさんでも楽しいとはしゃぎますよ」

「あっそ」


 つれない返事だが、了承をもらえたのでよしとする。
 レオは工房に着くと、ルーカスと共に初めてのマグカップ作りを心底楽しんだ。
 マグカップ作りは存外楽しかった。ルーカスも楽しそうにしていたし、数日後の受け取りがとても楽しみだ。レオはルーカスのマグカップに猫っぽい何かを描いた。可愛らしい猫を目指していた筈なのだが、猫っぽい何かにしかならなかった。
 ルーカスはひよこを描いていた。やたら絵が上手く、とても可愛らしいマグカップになりそうである。ひよこを描くルーカスが可愛いと内心身悶えた。

 相合傘でお目当ての飲食店に向かい、賑やかな店内の隅っこにあるテーブル席に座った。シチューのパイ包み焼きが絶品だと聞いている。
 二人ともそれを頼み、他にも温野菜サラダや酒に合うもつ煮込みなどを頼んだ。
 ワインを飲みつつお喋りをしていると、注文した料理が運ばれてきた。
 どれも美味しいし、ルーカスが目を輝かせて美味しそうに食べる姿を眺めるだけで幸せいっぱいである。腹の中も胸の中もぽかぽかと温かくなる。


「美味しいですねぇ」

「あぁ。こういう手のこんだものは寮の食堂では無理だな」

「そうですね。がっつり食べて堪能しましょう」

「あぁ。……マグカップを作るのも割と楽しかった」

「それはよかったです。俺もすごく楽しかったです。完成品を受け取るのが楽しみですね」

「あぁ。寝酒を飲むのに使う」

「いいですねぇ。俺もそうします。ルーカス様の部屋に置いておいていいですか? 冬の間は湯たんぽしに行きますから」

「……普通の湯たんぽでいいんだが」

「俺だと全身ぬっくぬくですよ」

「それはそうだが……」


 ルーカスがちょっと渋い顔をした。本気で嫌がっている感じではない。あと一押しな気がする。


「温かいとよく眠れるので、急な出撃でも気力体力が万全な状態で挑めるんですよね」

「…………仕方がないな」

「ふふっ。ありがとうございます」


 ルーカスが渋い顔で頷いてくれた。今夜からは毎晩ルーカスと一緒に寝よう。ゆっくりルーカスとの仲を深めていきたいのだが、まずは身体から落としていくのも一つの手だ。湯たんぽ的な意味で。ルーカスがレオの温もりに完全に慣れて、レオなしじゃ眠れないようになるのが理想である。

 しれっとキスができたら嬉しいなぁと思いつつ、焦ることはないと自分に言い聞かせた。
 レオはルーカスとの冬のデートを心底楽しんだ。

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