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11:のんびり日向ぼっこ
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宿の裏庭の隅っこにあるベンチに座り、ジョルジュとシーリーンは日向ぼっこをしていた。今日はよく晴れており、すぐ近くでキャラウィルが洗濯物を干している。昨日着ていたジョルジュの狐の着ぐるみパジャマが風で揺れている。
朝食を食べた後、シーリーンとキャラウィルと一緒に洗濯をした。キャラウィルが干してくれると言うので、今は休憩中である。ラコタとホセは朝稽古と称して、裏庭のど真ん中で組手をしている。2人とも手練だから、中々に迫力があり、実に見応えがある。シーリーンも2人の組手をじっと見ている。しっかりとジョルジュの手を握っているが、震えてはいない。
ジョルジュは、真面目な顔をして、でも楽しそうに組手をしているラコタを眺めながら、シーリーンに声をかけた。
「すげぇ格好いいだろー。2人とも強いんだぜー」
「うん。アンタもあれくらいできんの?」
「できる訳ねぇじゃん」
「できねーのかよ」
「ラコタさんは今でも隊内で一番強いし。ホセ先輩もすげぇ強いし。俺は普通だもん。普通」
「ふーん。ウィルは?」
「キャラウィルも強いよー。短槍すげぇし。それに、体術はこれからガンガン伸びるってラコタさんが言ってた」
「へぇー」
シーリーンはキャラウィルのことを『ウィル』と呼んでいる。キャラウィルが『ウィル』でいいとシーリーンに言ったからだ。家族からは『ウィル』と呼ばれているらしい。キャラウィルは三人兄弟の真ん中だと聞いたことがある。確か、下の妹とは5、6歳離れていた筈だ。キャラウィルも下の妹とシーリーンの歳が近いからか、シーリーンのことをかなり気にかけている
洗濯物を干し終えたキャラウィルが、シーリーンとは反対側のジョルジュの隣に座った。ズボンのポケットから包み紙に包まれた飴を取り出し、ジョルジュとシーリーンに差し出した。
「どうぞ。ナナトル味です」
「あざーっす!」
「……ありがと」
シーリーンがおずおずと手を伸ばして、キャラウィルの掌から飴を1つ取った。初対面の時に比べたら、格段に進歩している。キャラウィルが小さく笑った。ジョルジュも飴を貰い、包み紙を開いて飴を口に放り込んだ。ナナトルの実の甘い香りがして美味しい。飴を口に入れたシーリーンが目を輝かせた。
「んまい」
「んまいなー。これ」
「ホセ班長が買ってきてくれたんです。分けっこして食べなさいと。まだいっぱいあるので、少しずつ食べましょう」
「うぃーっす」
「うん」
キャラウィルも飴を口に放り込み、美味しそうに顔をゆるめた。キャラウィルは本当に美味しそうに食べる。ジョルジュは手を伸ばして、キャラウィルの短く整えてある髪をわしゃわしゃと撫でながら、ラコタ達の方へと目を向けた。
ラコタがホセの身体を担ぎ上げ、思いっきりぶん投げた。投げられたホセが猫のように空中でくるりと回り、すたっと危なげなく着地して、すぐにラコタへ向かっていった。思わず3人で拍手をしていると、若い女の声が聞こえてきた。
声がした方を見れば、10代後半から20代前半くらいの女が数人、裏庭の入り口辺りでラコタ達を見ながら、小声できゃーきゃー騒いでいた。『あのおじさん達かっこいー!』『ねー!あたし黒髪のおじさんがいいわ。すっごい素敵ー!』『あたしは金髪のおじさんがいいわ!』というような話し声が聞こえてくる。問答無用で美形な渋くて格好いいラコタもだが、ホセも人気のようである。ホセは顔立ちそのものは普通だが、お洒落さんで、蜂蜜色の髪をお洒落な感じに整えており、口髭もいつも丁寧に手入れをしている。理知的な深い青い瞳は、今は闘志に溢れて鋭く輝いている。確かに、ホセはホセで格好いい。
組手を中断したラコタとホセが、こちらに近づいてきた。2人とも汗びっしょりである。ジョルジュはポケットからハンカチを取り出し、側に来たラコタに差し出した。ラコタが小さく笑って、ハンカチを受け取った。
自分のズボンのポケットに入れていたハンカチで顔の汗を拭きながら、ホセがキャラウィルに話しかけた。
「キャラウィル。お前も少しやるか?」
「いいんですか!?あ、でも……」
「ジョルジュ達の側には俺がいる。シーリーン。ジョルジュの隣に座ってもいいか?」
「…………どーぞ」
「ありがとう」
「……じゃあ、お願いします!」
「あぁ」
ホセが穏やかに笑って頷いた。嬉しそうにキャラウィルが椅子から立ち上がり、ホセと一緒に裏庭の中央に移動した。キャラウィルが座っていた所にラコタが腰掛ける。ジョルジュの手を握っているシーリーンの手に少し力が入るが、ジョルジュが繋いだ手をにぎにぎすれば、シーリーンの手から少しだけ力が抜けた。
早速組手を始めた2人を眺める。警邏隊に入るまでは短槍ばかりで体術とは縁がなかったキャラウィルだが、真面目に訓練に参加し、自主的に鍛錬もしており、特にここ半年程でメキメキと伸びてきている。元々、身体がそれなりに出来上がっており、運動神経と動体視力が優れているから、そう遠くないうちに体術も隊内で上位の腕になるだろう。馬術は入隊した頃から優れていたし、警棒術も中々のものだ。一番好きで使い慣れているのは短槍なので、いつも短槍と同じ長さの棒を使っているが、ちゃんと警棒も使いこなせる。
シーリーンがジョルジュの手をにぎにぎしながら、話しかけてきた。目は組手をする2人に向けたままである。
「ウィルってマジで強い?オッサンに負けてねぇじゃん」
「強いぞー」
「キャラウィルは既に強いし、特に体術に関しては、まだまだ伸びる」
「もっと強くなんの?」
「あぁ。キャラウィルは努力家だし、身体能力もいい。何より勘がいい。相手の動きをよく見た上で、相手の動きを予測し、動くことができている。速さがあるから先の先をとれるし、相手の動きをよく見ているから後の先をとるのも上手い。これから場数を踏んでいき、経験を積めば、もっともっと強くなるだろう」
「へぇー。すげー。ちびっ子は?」
「ん?ジョルジュは普通だ。真面目に訓練に取り組んでいるし、家で俺と組手をしたりしているが、すごく普通だ。弱くも強くもない。頑張っているが普通だ」
「へぇー」
「世の中には、頑張って伸びる奴と伸びない奴がいるのよ……」
「腕っぷしは普通だが、ジョルジュは現場での勘と判断力が優れているから、仕事はものすごく出来るぞ。検挙率は隊内で常に上位だ」
「そうなの?」
「あぁ。こちらの指示の意図を正確に把握して動いてくれるから、非常に使える部下だな」
「えへっ。やだぁ!ラコタさーん!てーれーるー!」
「ふーん。ちびっ子もすげぇんだな」
話していると、ホセがキャラウィルの身体をぶん投げた。キャラウィルが華麗に着地して、再びホセに向かっていく。『きゃーー!』と黄色い声が聞こえてきた。若いイケメンにテンションが上がった女達が、実に楽しそうに声援を送っている。
ジョルジュも女の子にきゃーきゃー言われてみたい。ちょっと羨ましい。髭が似合わないのは既に実証済みなので、髪型を今度変えてみようか。ホセみたいな髪型はどうだろう。ホセは前髪と頭頂部の毛が長めで、側頭部と後頭部は短く刈り上げている。長めの前髪は整髪剤を使って、ぬるく自然な感じに上げており、お洒落感がすごい。
ジョルジュはラコタの大きな手を握って、ラコタを見上げた。
「ラコタさーん」
「ん?」
「ホセ先輩みたいな髪型って、俺に似合うと思う?」
「……悪くはないんじゃないか?多分」
「よし。王都に戻ったら床屋に行ってくるっす」
「ホセの真似っこか?」
「俺も女の子にきゃーきゃー言われたいんすもん」
「浮気か」
「ちげぇっす。『きゃー!ジョルジュさん格好いいーー!』とか、黄色い声援を浴びたいだけっす」
「……声援を送ってくれる女がいるといいな……」
「え、ちょ、その生温い目はやめて?いるからね?絶対きゃーきゃー言ってくれる女の子いるからね?」
「うんうん。そうだな。……髪型を変えたいのなら、伸ばしたらどうだ。昔みたいに」
「うちの家族にはクッソ不評だったんすけど」
「俺は似合うと思うんだが」
「髪長い方がいいっすか?」
「短くてもいいが、長いとお揃いっぽくて少し嬉しい」
「俺、髪伸ばすわ」
「ん」
ジョルジュは髪を伸ばすと決意した。ラコタが嬉しそうに、はにかんで笑った。
ラコタとお揃いとか最高ではないか。髪の結い合いっことかしたら楽しそうだ。ラコタはすごく手先が不器用だけど、髪を結うことはできる。
ジョルジュはラコタと髪を弄り合うことを妄想して、だらしなく笑った。絶対楽しい。
ニマニマするジョルジュを見下ろして、シーリーンが呆れた顔をした。
「イチャイチャすんな。オッサン達」
「微笑ましいだろー」
「全然」
ジョルジュはシーリーンとラコタとポツポツ話しながら、上機嫌にぷらぷらと足を揺らした。
朝食を食べた後、シーリーンとキャラウィルと一緒に洗濯をした。キャラウィルが干してくれると言うので、今は休憩中である。ラコタとホセは朝稽古と称して、裏庭のど真ん中で組手をしている。2人とも手練だから、中々に迫力があり、実に見応えがある。シーリーンも2人の組手をじっと見ている。しっかりとジョルジュの手を握っているが、震えてはいない。
ジョルジュは、真面目な顔をして、でも楽しそうに組手をしているラコタを眺めながら、シーリーンに声をかけた。
「すげぇ格好いいだろー。2人とも強いんだぜー」
「うん。アンタもあれくらいできんの?」
「できる訳ねぇじゃん」
「できねーのかよ」
「ラコタさんは今でも隊内で一番強いし。ホセ先輩もすげぇ強いし。俺は普通だもん。普通」
「ふーん。ウィルは?」
「キャラウィルも強いよー。短槍すげぇし。それに、体術はこれからガンガン伸びるってラコタさんが言ってた」
「へぇー」
シーリーンはキャラウィルのことを『ウィル』と呼んでいる。キャラウィルが『ウィル』でいいとシーリーンに言ったからだ。家族からは『ウィル』と呼ばれているらしい。キャラウィルは三人兄弟の真ん中だと聞いたことがある。確か、下の妹とは5、6歳離れていた筈だ。キャラウィルも下の妹とシーリーンの歳が近いからか、シーリーンのことをかなり気にかけている
洗濯物を干し終えたキャラウィルが、シーリーンとは反対側のジョルジュの隣に座った。ズボンのポケットから包み紙に包まれた飴を取り出し、ジョルジュとシーリーンに差し出した。
「どうぞ。ナナトル味です」
「あざーっす!」
「……ありがと」
シーリーンがおずおずと手を伸ばして、キャラウィルの掌から飴を1つ取った。初対面の時に比べたら、格段に進歩している。キャラウィルが小さく笑った。ジョルジュも飴を貰い、包み紙を開いて飴を口に放り込んだ。ナナトルの実の甘い香りがして美味しい。飴を口に入れたシーリーンが目を輝かせた。
「んまい」
「んまいなー。これ」
「ホセ班長が買ってきてくれたんです。分けっこして食べなさいと。まだいっぱいあるので、少しずつ食べましょう」
「うぃーっす」
「うん」
キャラウィルも飴を口に放り込み、美味しそうに顔をゆるめた。キャラウィルは本当に美味しそうに食べる。ジョルジュは手を伸ばして、キャラウィルの短く整えてある髪をわしゃわしゃと撫でながら、ラコタ達の方へと目を向けた。
ラコタがホセの身体を担ぎ上げ、思いっきりぶん投げた。投げられたホセが猫のように空中でくるりと回り、すたっと危なげなく着地して、すぐにラコタへ向かっていった。思わず3人で拍手をしていると、若い女の声が聞こえてきた。
声がした方を見れば、10代後半から20代前半くらいの女が数人、裏庭の入り口辺りでラコタ達を見ながら、小声できゃーきゃー騒いでいた。『あのおじさん達かっこいー!』『ねー!あたし黒髪のおじさんがいいわ。すっごい素敵ー!』『あたしは金髪のおじさんがいいわ!』というような話し声が聞こえてくる。問答無用で美形な渋くて格好いいラコタもだが、ホセも人気のようである。ホセは顔立ちそのものは普通だが、お洒落さんで、蜂蜜色の髪をお洒落な感じに整えており、口髭もいつも丁寧に手入れをしている。理知的な深い青い瞳は、今は闘志に溢れて鋭く輝いている。確かに、ホセはホセで格好いい。
組手を中断したラコタとホセが、こちらに近づいてきた。2人とも汗びっしょりである。ジョルジュはポケットからハンカチを取り出し、側に来たラコタに差し出した。ラコタが小さく笑って、ハンカチを受け取った。
自分のズボンのポケットに入れていたハンカチで顔の汗を拭きながら、ホセがキャラウィルに話しかけた。
「キャラウィル。お前も少しやるか?」
「いいんですか!?あ、でも……」
「ジョルジュ達の側には俺がいる。シーリーン。ジョルジュの隣に座ってもいいか?」
「…………どーぞ」
「ありがとう」
「……じゃあ、お願いします!」
「あぁ」
ホセが穏やかに笑って頷いた。嬉しそうにキャラウィルが椅子から立ち上がり、ホセと一緒に裏庭の中央に移動した。キャラウィルが座っていた所にラコタが腰掛ける。ジョルジュの手を握っているシーリーンの手に少し力が入るが、ジョルジュが繋いだ手をにぎにぎすれば、シーリーンの手から少しだけ力が抜けた。
早速組手を始めた2人を眺める。警邏隊に入るまでは短槍ばかりで体術とは縁がなかったキャラウィルだが、真面目に訓練に参加し、自主的に鍛錬もしており、特にここ半年程でメキメキと伸びてきている。元々、身体がそれなりに出来上がっており、運動神経と動体視力が優れているから、そう遠くないうちに体術も隊内で上位の腕になるだろう。馬術は入隊した頃から優れていたし、警棒術も中々のものだ。一番好きで使い慣れているのは短槍なので、いつも短槍と同じ長さの棒を使っているが、ちゃんと警棒も使いこなせる。
シーリーンがジョルジュの手をにぎにぎしながら、話しかけてきた。目は組手をする2人に向けたままである。
「ウィルってマジで強い?オッサンに負けてねぇじゃん」
「強いぞー」
「キャラウィルは既に強いし、特に体術に関しては、まだまだ伸びる」
「もっと強くなんの?」
「あぁ。キャラウィルは努力家だし、身体能力もいい。何より勘がいい。相手の動きをよく見た上で、相手の動きを予測し、動くことができている。速さがあるから先の先をとれるし、相手の動きをよく見ているから後の先をとるのも上手い。これから場数を踏んでいき、経験を積めば、もっともっと強くなるだろう」
「へぇー。すげー。ちびっ子は?」
「ん?ジョルジュは普通だ。真面目に訓練に取り組んでいるし、家で俺と組手をしたりしているが、すごく普通だ。弱くも強くもない。頑張っているが普通だ」
「へぇー」
「世の中には、頑張って伸びる奴と伸びない奴がいるのよ……」
「腕っぷしは普通だが、ジョルジュは現場での勘と判断力が優れているから、仕事はものすごく出来るぞ。検挙率は隊内で常に上位だ」
「そうなの?」
「あぁ。こちらの指示の意図を正確に把握して動いてくれるから、非常に使える部下だな」
「えへっ。やだぁ!ラコタさーん!てーれーるー!」
「ふーん。ちびっ子もすげぇんだな」
話していると、ホセがキャラウィルの身体をぶん投げた。キャラウィルが華麗に着地して、再びホセに向かっていく。『きゃーー!』と黄色い声が聞こえてきた。若いイケメンにテンションが上がった女達が、実に楽しそうに声援を送っている。
ジョルジュも女の子にきゃーきゃー言われてみたい。ちょっと羨ましい。髭が似合わないのは既に実証済みなので、髪型を今度変えてみようか。ホセみたいな髪型はどうだろう。ホセは前髪と頭頂部の毛が長めで、側頭部と後頭部は短く刈り上げている。長めの前髪は整髪剤を使って、ぬるく自然な感じに上げており、お洒落感がすごい。
ジョルジュはラコタの大きな手を握って、ラコタを見上げた。
「ラコタさーん」
「ん?」
「ホセ先輩みたいな髪型って、俺に似合うと思う?」
「……悪くはないんじゃないか?多分」
「よし。王都に戻ったら床屋に行ってくるっす」
「ホセの真似っこか?」
「俺も女の子にきゃーきゃー言われたいんすもん」
「浮気か」
「ちげぇっす。『きゃー!ジョルジュさん格好いいーー!』とか、黄色い声援を浴びたいだけっす」
「……声援を送ってくれる女がいるといいな……」
「え、ちょ、その生温い目はやめて?いるからね?絶対きゃーきゃー言ってくれる女の子いるからね?」
「うんうん。そうだな。……髪型を変えたいのなら、伸ばしたらどうだ。昔みたいに」
「うちの家族にはクッソ不評だったんすけど」
「俺は似合うと思うんだが」
「髪長い方がいいっすか?」
「短くてもいいが、長いとお揃いっぽくて少し嬉しい」
「俺、髪伸ばすわ」
「ん」
ジョルジュは髪を伸ばすと決意した。ラコタが嬉しそうに、はにかんで笑った。
ラコタとお揃いとか最高ではないか。髪の結い合いっことかしたら楽しそうだ。ラコタはすごく手先が不器用だけど、髪を結うことはできる。
ジョルジュはラコタと髪を弄り合うことを妄想して、だらしなく笑った。絶対楽しい。
ニマニマするジョルジュを見下ろして、シーリーンが呆れた顔をした。
「イチャイチャすんな。オッサン達」
「微笑ましいだろー」
「全然」
ジョルジュはシーリーンとラコタとポツポツ話しながら、上機嫌にぷらぷらと足を揺らした。
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