11 / 51
10:助けてくれる人達
今日も遅刻ギリギリで走って事務室に向かうと、何故か事務室の前でデイビッドが仁王立ちして待ち構えていた。
急がないと朝礼に間に合わないのだが、デイビッドがつかつかと近寄ってきたかと思えば、無言でリードの手を握り、そのままカウンター内に入って事務長の机へと向かった。
「事務長。今日はリードは休みということで!」
「いいよ」
「はいっ!? ちょっ、デイビッド!?」
「リード君」
「あ、はい。事務長」
「しっかり休んでおいで」
「え?」
「リード。帰るぞ。俺の家に」
「なんで!?」
「自分の家に帰っても休めないだろ。俺も二徹明けだから帰って寝る」
「いやでも仕事……」
「最近鏡見たか? 本気で酷いぞ。顔が」
「…………」
リードはデイビッドに手を引かれて事務室から出た。
そのまま一度だけ行ったことがあるデイビッドの家へと向かって歩き始めた。
仕事自体は別にリードが休んでもなんとでもなる。でも、休むと来月貰える給料が少し減る。それは避けたい。それに定時になったらちびっ子達を迎えに行かなきゃいけないし、休んでいる場合ではない。
ちゃんとそれをデイビッドに伝えて仕事をしなくてはいけないのに、睡眠不足と溜まった疲労のせいで頭がぼんやりして口に出せない。
ただ、デイビッドのゴツい手は温かいな……とぼんやり思っていると、デイビッドの家に着いた。
マリアンナが出迎えてくれたが、リードの顔を見るなり驚いたように声を上げた。
「まぁまぁ! 大変! リード君。ご飯は食べてるの?」
「あ、えっと、今日はまだ……」
「すぐに消化のいいものを作るわね。ちょっとだけ待っていて。食べたらすぐに寝ること! デイビッドもよ!」
「うん。ばあちゃん。ありがと」
「え、あ、ありがとうございます?」
「二人ともとりあえず温かいミルクを飲んでなさい!」
マリアンナがバタバタと家の奥へ向かっていった。
リードはデイビッドに手を握られたまま、ソファーに座った。
困惑してすぐ隣のデイビッドを見れば、デイビッドが眉間に深い皺を寄せ、ぶすっとした顔をしていた。
「ちびっ子達の迎えの時間まで寝てろ。どんだけまともに寝てないんだよ。研究が忙しくて、ちょっと顔見てない間にめちゃくちゃ窶れてるし。すげぇ顔色悪いし」
「……妹の世話で寝れなくて……」
「うん」
「生まれて一か月経つのにミアも赤ちゃん返りしたまんまだし」
「うん」
「おばあちゃんも疲れてるから、家のこともしなきゃいけないし」
「うん」
「僕が働かないと弟の結婚のためのお金も用意できないし」
「うん。リード」
「なに?」
「今は何も考えずに寝ろ。ひたすら寝ろ。昼飯の時間になったら起こしてもらうから、昼飯食った後も寝ろ」
「……でも……」
「リード」
「な、なに……」
「食ったら寝ろ」
「…………うん」
何故か額に青筋を浮かべているデイビッドの笑顔の妙な圧に負けた。
マリアンナが温かいミルクを持ってきてくれたので、お礼を言ってマグカップを受け取った。
蜂蜜入りの甘いミルクを飲むと、なんだかほっとした。
当然ながら赤ちゃんの泣き声は聞こえない。隣で無言でミルクを飲んでいるデイビッドをちらっと見てから、ちびちびと甘いミルクを飲んだ。
卵と鶏肉が入った美味しい雑穀粥を食べると、一気に眠くなってきた。
ここ最近食欲が落ちていて一日食べない日もあったりしたから、雑穀粥はすごく美味しかったのに半分も食べられなかった。
残した分はデイビッドが食べてくれた。
食べ終えるとデイビッドに手を握られて、デイビッドのものだという部屋に移動した。
ベッドに寝転がらされたかと思えば、デイビッドが隣に寝転がり、夏物の薄いブランケットを二人の身体にかけた。
リードは久しぶりに満腹になり、何も考えられなくてそのまますとんと寝落ちた。
優しく肩を揺さぶられて、はっと目覚めた。
見慣れない部屋にここはどこなのかと一瞬混乱したが、デイビッドの家だと思い出した。
頭がぼんやりする。まだ寝ていたい。
「リード。昼飯。食ったらまた寝る。ちびっ子達の迎えの時間ギリギリまで寝るぞ」
「……うん」
デイビッドに手を引かれて居間に行けば、テーブルの上に美味しそうな匂いがしているシチューがあった。ほわほわと湯気が立つパンもある。
マリアンナが心配そうな顔でリードの額にやんわりと触れた。
マリアンナの手はかさついていたが温かい。
「熱はないわね。食べられるだけ食べて、しっかり寝なさい」
「は、はい。……あの……ありがとうございます」
「いいのよ。今は何も考えないこと! さぁ、冷めないうちに食べましょう」
「はい」
魚と旬の野菜のシチューは柔らかい味わいで、素直に美味しかった。パンもふわふわで美味しい。『珈琲はまた今度ね』と言って差し出してくれた温かいミルクもまた蜂蜜が入っていて甘くて美味しい。
半分食べると、眠たくて仕方がなくなった。
「リード。あとちょっとだけ頑張れ。すぐに食い切る」
「……うん」
デイビッドが、リードが残した分まで食べきると、また手を引かれて部屋に移動してベッドに上がった。
もう夏のはじめ頃で、デイビッドとくっついているとちょっと暑いのだが、デイビッドの体温が妙に落ち着く。
温かいな……と思いながら、リードはまたすとんと寝落ちた。
次に起こされた時には、随分と頭がスッキリしていた。睡眠不足と疲労でずっと重かった身体が、心なしか軽くなっている気がする。
デイビッドに手を引かれて居間に行けば、マリアンナが蜂蜜入りの甘いミルクとジャムクッキーを用意してくれていた。
頭が少しスッキリすると、自分はものすごく厚かましいことをしてしまったんじゃないかと思い始めた。
人様の家で食事をご馳走になるだけでなく、爆睡してしまうだなんて。
申し訳なくて、恥ずかしくて、リードがおずおずと謝罪すると、マリアンナには笑顔でやんわり頬を摘まれて優しく引っ張られ、デイビッドにはやんわりデコピンされた。
「リード君。大変なのは想像がつくけれど、助けてもらいたい時はちゃんと『助けて』って言わなきゃ駄目よ。お家の手伝いはできないけれど、こうしてあなたを少しでも寝かせてあげることくらいはできるんだから」
「そういうこと。ここ二年がかりでやってた研究が落ち着いたから暫くは余裕があるし、明日から昼休憩は一緒に食って昼寝するぞ。リードの分まで弁当用意するから」
「えっ!? そんな、厚かましいよ!」
「いいんだよ。俺がしたくてするんだから。で、週に一回は出勤するフリして休め。そんでうちで寝ろ」
「週に一回も休めないよ!?」
「事務長には話をつけてある。『繁忙期じゃないから少なくとも二か月くらいはそれでいいよ』って言ってた」
「いやでも! 今は稼がなきゃいけない時期だし!」
「おぉん? リード。このまま本格的に身体を壊して身動きとれなくなるのと、適度に休んで今の生活続けるの、どっちがマシだ?」
「うっ……でも……」
「リードは頑張りすぎの背負いすぎなんだよ。しれっと休んでもバチは当たらないんだからな!」
「なんで……」
「ん?」
「なんで、ここまでしてくれるの」
「そりゃあ、『好敵手』と書いて『とも』と呼ぶし。俺だけじゃなくて、事務室の人達も心配してんだよ。人の厚意は素直に受け取れ。申し訳ないと思うなら、心配してくれてる人が困ってる時に手助けしてやったらいいだけだろ」
「…………うん」
何故だか、ぽたっと涙が零れ落ちた。
ぽたぽたと落ちていく涙を手の甲で乱暴に拭うと、デイビッドが『目を擦るなー』と言って、ハンカチで優しくそっとリードの目元を拭った。
助けを求められる人なんていないと思いこんでいたが、助けてくれる温かい人達がいっぱいいた。
胸がぎゅーっとなって、涙がとまらない。リードは幼い子どものように泣きじゃくった。
急がないと朝礼に間に合わないのだが、デイビッドがつかつかと近寄ってきたかと思えば、無言でリードの手を握り、そのままカウンター内に入って事務長の机へと向かった。
「事務長。今日はリードは休みということで!」
「いいよ」
「はいっ!? ちょっ、デイビッド!?」
「リード君」
「あ、はい。事務長」
「しっかり休んでおいで」
「え?」
「リード。帰るぞ。俺の家に」
「なんで!?」
「自分の家に帰っても休めないだろ。俺も二徹明けだから帰って寝る」
「いやでも仕事……」
「最近鏡見たか? 本気で酷いぞ。顔が」
「…………」
リードはデイビッドに手を引かれて事務室から出た。
そのまま一度だけ行ったことがあるデイビッドの家へと向かって歩き始めた。
仕事自体は別にリードが休んでもなんとでもなる。でも、休むと来月貰える給料が少し減る。それは避けたい。それに定時になったらちびっ子達を迎えに行かなきゃいけないし、休んでいる場合ではない。
ちゃんとそれをデイビッドに伝えて仕事をしなくてはいけないのに、睡眠不足と溜まった疲労のせいで頭がぼんやりして口に出せない。
ただ、デイビッドのゴツい手は温かいな……とぼんやり思っていると、デイビッドの家に着いた。
マリアンナが出迎えてくれたが、リードの顔を見るなり驚いたように声を上げた。
「まぁまぁ! 大変! リード君。ご飯は食べてるの?」
「あ、えっと、今日はまだ……」
「すぐに消化のいいものを作るわね。ちょっとだけ待っていて。食べたらすぐに寝ること! デイビッドもよ!」
「うん。ばあちゃん。ありがと」
「え、あ、ありがとうございます?」
「二人ともとりあえず温かいミルクを飲んでなさい!」
マリアンナがバタバタと家の奥へ向かっていった。
リードはデイビッドに手を握られたまま、ソファーに座った。
困惑してすぐ隣のデイビッドを見れば、デイビッドが眉間に深い皺を寄せ、ぶすっとした顔をしていた。
「ちびっ子達の迎えの時間まで寝てろ。どんだけまともに寝てないんだよ。研究が忙しくて、ちょっと顔見てない間にめちゃくちゃ窶れてるし。すげぇ顔色悪いし」
「……妹の世話で寝れなくて……」
「うん」
「生まれて一か月経つのにミアも赤ちゃん返りしたまんまだし」
「うん」
「おばあちゃんも疲れてるから、家のこともしなきゃいけないし」
「うん」
「僕が働かないと弟の結婚のためのお金も用意できないし」
「うん。リード」
「なに?」
「今は何も考えずに寝ろ。ひたすら寝ろ。昼飯の時間になったら起こしてもらうから、昼飯食った後も寝ろ」
「……でも……」
「リード」
「な、なに……」
「食ったら寝ろ」
「…………うん」
何故か額に青筋を浮かべているデイビッドの笑顔の妙な圧に負けた。
マリアンナが温かいミルクを持ってきてくれたので、お礼を言ってマグカップを受け取った。
蜂蜜入りの甘いミルクを飲むと、なんだかほっとした。
当然ながら赤ちゃんの泣き声は聞こえない。隣で無言でミルクを飲んでいるデイビッドをちらっと見てから、ちびちびと甘いミルクを飲んだ。
卵と鶏肉が入った美味しい雑穀粥を食べると、一気に眠くなってきた。
ここ最近食欲が落ちていて一日食べない日もあったりしたから、雑穀粥はすごく美味しかったのに半分も食べられなかった。
残した分はデイビッドが食べてくれた。
食べ終えるとデイビッドに手を握られて、デイビッドのものだという部屋に移動した。
ベッドに寝転がらされたかと思えば、デイビッドが隣に寝転がり、夏物の薄いブランケットを二人の身体にかけた。
リードは久しぶりに満腹になり、何も考えられなくてそのまますとんと寝落ちた。
優しく肩を揺さぶられて、はっと目覚めた。
見慣れない部屋にここはどこなのかと一瞬混乱したが、デイビッドの家だと思い出した。
頭がぼんやりする。まだ寝ていたい。
「リード。昼飯。食ったらまた寝る。ちびっ子達の迎えの時間ギリギリまで寝るぞ」
「……うん」
デイビッドに手を引かれて居間に行けば、テーブルの上に美味しそうな匂いがしているシチューがあった。ほわほわと湯気が立つパンもある。
マリアンナが心配そうな顔でリードの額にやんわりと触れた。
マリアンナの手はかさついていたが温かい。
「熱はないわね。食べられるだけ食べて、しっかり寝なさい」
「は、はい。……あの……ありがとうございます」
「いいのよ。今は何も考えないこと! さぁ、冷めないうちに食べましょう」
「はい」
魚と旬の野菜のシチューは柔らかい味わいで、素直に美味しかった。パンもふわふわで美味しい。『珈琲はまた今度ね』と言って差し出してくれた温かいミルクもまた蜂蜜が入っていて甘くて美味しい。
半分食べると、眠たくて仕方がなくなった。
「リード。あとちょっとだけ頑張れ。すぐに食い切る」
「……うん」
デイビッドが、リードが残した分まで食べきると、また手を引かれて部屋に移動してベッドに上がった。
もう夏のはじめ頃で、デイビッドとくっついているとちょっと暑いのだが、デイビッドの体温が妙に落ち着く。
温かいな……と思いながら、リードはまたすとんと寝落ちた。
次に起こされた時には、随分と頭がスッキリしていた。睡眠不足と疲労でずっと重かった身体が、心なしか軽くなっている気がする。
デイビッドに手を引かれて居間に行けば、マリアンナが蜂蜜入りの甘いミルクとジャムクッキーを用意してくれていた。
頭が少しスッキリすると、自分はものすごく厚かましいことをしてしまったんじゃないかと思い始めた。
人様の家で食事をご馳走になるだけでなく、爆睡してしまうだなんて。
申し訳なくて、恥ずかしくて、リードがおずおずと謝罪すると、マリアンナには笑顔でやんわり頬を摘まれて優しく引っ張られ、デイビッドにはやんわりデコピンされた。
「リード君。大変なのは想像がつくけれど、助けてもらいたい時はちゃんと『助けて』って言わなきゃ駄目よ。お家の手伝いはできないけれど、こうしてあなたを少しでも寝かせてあげることくらいはできるんだから」
「そういうこと。ここ二年がかりでやってた研究が落ち着いたから暫くは余裕があるし、明日から昼休憩は一緒に食って昼寝するぞ。リードの分まで弁当用意するから」
「えっ!? そんな、厚かましいよ!」
「いいんだよ。俺がしたくてするんだから。で、週に一回は出勤するフリして休め。そんでうちで寝ろ」
「週に一回も休めないよ!?」
「事務長には話をつけてある。『繁忙期じゃないから少なくとも二か月くらいはそれでいいよ』って言ってた」
「いやでも! 今は稼がなきゃいけない時期だし!」
「おぉん? リード。このまま本格的に身体を壊して身動きとれなくなるのと、適度に休んで今の生活続けるの、どっちがマシだ?」
「うっ……でも……」
「リードは頑張りすぎの背負いすぎなんだよ。しれっと休んでもバチは当たらないんだからな!」
「なんで……」
「ん?」
「なんで、ここまでしてくれるの」
「そりゃあ、『好敵手』と書いて『とも』と呼ぶし。俺だけじゃなくて、事務室の人達も心配してんだよ。人の厚意は素直に受け取れ。申し訳ないと思うなら、心配してくれてる人が困ってる時に手助けしてやったらいいだけだろ」
「…………うん」
何故だか、ぽたっと涙が零れ落ちた。
ぽたぽたと落ちていく涙を手の甲で乱暴に拭うと、デイビッドが『目を擦るなー』と言って、ハンカチで優しくそっとリードの目元を拭った。
助けを求められる人なんていないと思いこんでいたが、助けてくれる温かい人達がいっぱいいた。
胸がぎゅーっとなって、涙がとまらない。リードは幼い子どものように泣きじゃくった。
あなたにおすすめの小説
嫌われ魔術師の俺は元夫への恋心を消去する
SKYTRICK
BL
旧題:恋愛感情抹消魔法で元夫への恋を消去する
☆11/28完結しました。
☆第11回BL小説大賞奨励賞受賞しました。ありがとうございます!
冷酷大元帥×元娼夫の忘れられた夫
——「また俺を好きになるって言ったのに、嘘つき」
元娼夫で現魔術師であるエディことサラは五年ぶりに祖国・ファルンに帰国した。しかし暫しの帰郷を味わう間も無く、直後、ファルン王国軍の大元帥であるロイ・オークランスの使者が元帥命令を掲げてサラの元へやってくる。
ロイ・オークランスの名を知らぬ者は世界でもそうそういない。魔族の血を引くロイは人間から畏怖を大いに集めながらも、大将として国防戦争に打ち勝ち、たった二十九歳で大元帥として全軍のトップに立っている。
その元帥命令の内容というのは、五年前に最愛の妻を亡くしたロイを、魔族への本能的な恐怖を感じないサラが慰めろというものだった。
ロイは妻であるリネ・オークランスを亡くし、悲しみに苛まれている。あまりの辛さで『奥様』に関する記憶すら忘却してしまったらしい。半ば強引にロイの元へ連れていかれるサラは、彼に己を『サラ』と名乗る。だが、
——「失せろ。お前のような娼夫など必要としていない」
噂通り冷酷なロイの口からは罵詈雑言が放たれた。ロイは穢らわしい娼夫を睨みつけ去ってしまう。使者らは最愛の妻を亡くしたロイを憐れむばかりで、まるでサラの様子を気にしていない。
誰も、サラこそが五年前に亡くなった『奥様』であり、最愛のその人であるとは気付いていないようだった。
しかし、最大の問題は元夫に存在を忘れられていることではない。
サラが未だにロイを愛しているという事実だ。
仕方なく、『恋愛感情抹消魔法』を己にかけることにするサラだが——……
☆お読みくださりありがとうございます。良ければ感想などいただけるとパワーになります!
『病弱な幼馴染を優先してください』と言った妻が消えた翌日、夫は領地の会計書類が全て白紙になっていることに気づいた
歩人
ファンタジー
侯爵家に嫁いで五年。ルチアは夫エミルの領地会計・社交・使用人管理を全て一人で担ってきた。だがエミルはいつも幼馴染のアリーチェを優先する。「アリーチェは体が弱いんだ、お前とは違う」——その言葉を百回聞いた日、ルチアは微笑んで離縁届に署名した。「ええ、私は丈夫ですから。どうぞ幼馴染様をお大事に」。翌朝、エミルが目にしたのは——税務報告の締切、領民からの陳情の山、そして紅茶の淹れ方すら知らない自分。三ヶ月後、かつて「地味な妻」と呼ばれたルチアは、辺境伯の財務顧問として辣腕を振るっていた。
年下で可愛い旦那様は、実は独占欲強めでした
由香
恋愛
政略結婚で嫁いだ相手は――
年下で、可愛くて、なぜか距離が近すぎる旦那様でした。
「ねえ、奥さん。もうちょっと近く来て?」
人懐っこく甘えてくるくせに、他の男が話しかけただけで不機嫌になる彼。
最初は“かわいい弟みたい”と思っていたのに――
「俺、もう子供じゃないよ。……ちゃんと男として見て」
不意に見せる大人の顔と、独占欲に心が揺れていく。
これは、年下旦那様にじわじわ包囲されて、気づいたら溺愛されていた話。
繋ぎの婚約を契約通り解消しようとしたら、王宮に溺愛軟禁されました
こたま
BL
エレンは子爵家のオメガ令息として産まれた。年上のアルファの王子殿下と年齢が釣り合うオメガ令息が少なく、他国との縁組も纏まらないため家格は低いが繋ぎとして一応婚約をしている。王子のことは兄のように慕っており、初恋の人ではあるけれど、契約終了時期か王子に想い人が現れた時には解消されるものと考えていた。ところが婚約解消時期の直前に王子宮に軟禁された。結婚を承諾するまでここから出さないと王子から溢れるほどの愛を与えられる。ハッピーエンドオメガバースBLです。
王太子に「戦友としか思えない」と言われたので、婚約を解消しました
明衣令央
恋愛
婚約者である王太子ヘンリーから「君のことは戦友としか思えない」と告げられた、公爵令嬢アリスティア。
十年以上の王妃教育を積んできた彼女は、静かに婚約解消を受け入れる。
一年後、幸せな結婚を迎えた彼女にとって、ヘンリーのその後は――もうどうでもいいことだった。
禁書庫の管理人は次期宰相様のお気に入り
結衣可
BL
オルフェリス王国の王立図書館で、禁書庫を預かる司書カミル・ローレンは、過去の傷を抱え、静かな孤独の中で生きていた。
そこへ次期宰相と目される若き貴族、セドリック・ヴァレンティスが訪れ、知識を求める名目で彼のもとに通い始める。
冷静で無表情なカミルに興味を惹かれたセドリックは、やがて彼の心の奥にある痛みに気づいていく。
愛されることへの恐れに縛られていたカミルは、彼の真っ直ぐな想いに少しずつ心を開き、初めて“痛みではない愛”を知る。
禁書庫という静寂の中で、カミルの孤独を、過去を癒し、共に歩む未来を誓う。
愛してやまなかった婚約者は俺に興味がない
了承
BL
卒業パーティー。
皇子は婚約者に破棄を告げ、左腕には新しい恋人を抱いていた。
青年はただ微笑み、一枚の紙を手渡す。
皇子が目を向けた、その瞬間——。
「この瞬間だと思った。」
すべてを愛で終わらせた、沈黙の恋の物語。
IFストーリーあり
誤字あれば報告お願いします!