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25:デイビッドが来た!
休日の朝だろうとゆっくり寝ている暇はない。
リードはいつもの時間に目覚めると、一緒に寝ていたちびっ子達を起こさないようにベッドから下りて、階下の洗面台に向かった。
シェンリーの泣き声が聞こえてきたので一回目の洗濯を仕掛けてから居間を覗けば、ハルトがシェンリーを抱っこして居間をぐるぐる歩いていた。
多分、寝ぐずりかうんちがしたいかのどっちかだ。
「おはよう。ハルト。かわるよ」
「おはよ。兄ちゃん。シェンリー、全然泣きやまねぇんだけど。こっちが泣きたくなるわー」
「あー。まぁね。今日の朝ご飯って誰だっけ」
「フローラじゃなかった?」
「おはよーー。眠い。なに? シェンリー、うんち? 寝たい方?」
「あ、おはよう。フローラ」
「おはよ。どっちか分かんない」
「ご飯作ってくる。味は期待しないで」
「大丈夫だよ。フローラのご飯も美味しいよ」
「あ、うんち出たっぽい。おむつ替えるわ」
「うんちだったかー。あ、マーカーとダービーもおはよう」
「おはよ……」
「おはよ……洗濯仕掛けてくれてありがと。兄ちゃん」
双子も起きてきた。リードがいない間に、皆それぞれなんとか自力で起きれるように頑張っていたみたいで、朝っぱらから怒鳴らずに済んでいる。
ハルトと交代して、寝ぐずりで泣いてるっぽいシェンリーを抱っこして、なんとかシェンリーが寝てくれたタイミングで朝食ができたとフローラが知らせに来た。
ちびっ子達を起こして朝食を食べ、仕事に行くハルトを見送ると、ダービーがシェンリーをみている間にフローラと手分けして掃除をする。マーカーは洗濯物を干している。
トイレ掃除が終わったタイミングで玄関の呼び鈴が鳴ったので、パタパタと玄関に向かえば、大荷物のデイビッドが立っていた。
「おはよう! リード! ……そこまで顔色は悪くないな!」
「おはよう。デイビッド。昨日はハルトがシェンリーをみてくれたから寝れたんだ」
「ハルト君は?」
「仕事に行った」
「徹夜明けで仕事かー。まぁ、慣れたら割とイケるけどな!」
「ところで、その大荷物どうしたの」
「ん? あぁ。挽肉のパイを作ろうと思って。昨日のうちにパイ生地は仕込んできた。他にも色々持ってきた! ばあちゃんがジャムクッキーを量産してくれたから、お茶の時間に食おうぜ」
「ありがとう。皆すっごく喜ぶよ」
「台所借りるなー」
「うん。一緒にやるよ」
「うん。その方が俺が楽しい」
デイビッドが嬉しそうに笑った。
一緒に台所へ行くと、ちびっ子達を連れたフローラがやって来た。
「あ、デイビッドさんだ。おはようございます」
「おはよう。フローラちゃん。ちびっ子達もおはよう」
「……おはよう」
「おはよー!」
「おはよーー!」
「朝から元気だなぁ。よき!」
アンナはちょっと人見知りなので、フローラの後ろに隠れている。デイビーとミアはデイビッドに興味津々な様子だ。
「ちびっ子達よ。今日の昼飯は挽肉のパイだー!」
「わぁ! すごいわ! 食べたことない!」
「お肉?」
「おにく?」
「肉だな!」
「「やったーー!」」
「今からリードとパイを量産する! あと野菜たっぷりのスープもな! おやつには俺のばあちゃんが作ったジャムクッキーもあるぞー」
ちびっ子達が嬉しそうな歓声をあげた。
特にミアはまだ危ないので、フローラがちびっ子達を居間へと連れて行った。
デイビッドに教えてもらいながら、一緒に挽肉のパイと野菜スープを作り始める。
「デイビッド。せっかくの休みの日なのに、ほんとによかったの? その、下の子達が喜ぶから僕は嬉しいんだけど」
「んー? リードと一緒に過ごせるから俺としては完全に役得だな! ふふん。俺は今まさに新婚さん気分を味わっている」
「なんでだよ」
「一緒に料理を作るのって新婚さんっぽくないか?」
「そう? あ、挽肉炒め終わったよ」
「お。ありがと。じゃあ、型にパイ生地しいて、挽肉と胡桃を突っ込む。お洒落っぽくパイ生地をのせてーの、卵黄を塗って……よし! 焼き始めるか! 一応、パイは四つできるようにパイ生地作ってきたんだが足りるか?」
「野菜スープもあるし大丈夫じゃないかな?」
「んじゃ、二回目の分の挽肉と玉ねぎ炒めといてくれ。俺はスープをみとく」
「トマトスープってちょっと新鮮かも。トマトはサラダにすることが多いから。洗って切るだけでいいし」
「刻んだベーコンと色んな野菜いっぱい入れると美味いんだよ。ばあちゃん直伝」
「マリアンナさんに弟子入りしたい。おばあちゃんに教えてもらった料理もあるけど、我流なのも多いもんなぁ。僕」
「ははっ! リードの手料理を楽しむのは色々落ち着いてからにするわ。まずはたらふく食わせてリードを太らせる」
「ぶっくぶくに太ったらどうするのさ」
「それはそれで可愛いから問題ないな」
「えぇ……君って物好きだなぁ。ほんとに」
「そうか? この上なく趣味がいいが」
デイビッドが可笑しそうに笑った。
二回目のパイを焼き始めた頃に午前のお茶の時間になったので、人数分の紅茶を淹れて居間に運んだ。
小皿に分けたジャムクッキーを配ると、皆大喜びでデイビッドにお礼を言ってから食べ始めた。
「うまー! おばあちゃんのも美味しいけど、デイビッドさんのおばあちゃんのもうまー!」
「なんか生き返るー」
「おーいしーい! 作り方教えてもらいたいわ!」
「いっぱい持ってきたから、お代わりもあるぞ。あ、でも、昼飯が入るくらいにしとけよー」
「「「「やったーー!」」」」
「あ、紅茶美味い。へぇー。紅茶ってあんま馴染みがないんだが、割と美味いな」
「デイビッドさん。紅茶じゃなかったら何を飲むの?」
「ん? 珈琲か温かいミルクが多いな」
「へぇー。僕、珈琲飲んだことない」
「美味しいの? 兄ちゃんは珈琲飲んだことある?」
「あるよ。デイビッドのお祖母さんが淹れる珈琲はすっごく美味しいんだ」
「「へぇー」」
「晩飯は肉団子を揚げたのでいいか? チーズ入り」
「わぉ! それは絶対に美味しいやつだ!」
「やったー! 楽しみー!」
「お肉! お肉!」
「おにくー!」
「デイビッド。挽肉のパイをハルトの分残しておいていい? ハルトにも食べさせたいんだけど」
「いいぞー。冷めたら魔導冷蔵庫に入れておいて、食べる前に軽く焼いて温めよう」
下の子達がすごく美味しそうにジャムクッキーを食べながら、デイビッドに話しかけている。なにやら興味津々な様子で、デイビッドも笑顔で受け答えしている。
お茶の時間が終わると、シェンリーを双子が、ちびっ子達をフローラがみてくれている間に残りのパイも焼いてしまう。
昼食の時間はそれはもう賑やかだった。
皆、挽肉のパイとトマトスープを美味しそうに食べていた。珍しいことにミアがぐずらず、トマトスープも『おいしいー』と食べていた。
トマトスープの作り方は横で見ていたから多分作れる。トマトがある時期は、いつもの野菜スープと交互に作ろうかと考えながら、リードも満腹になるまでしっかり食べた。
挽肉のパイは予め分けておいたハルトの分以外きれいに食べきった。
デイビッドが『作り甲斐があって楽しいな!』と嬉しそうに笑っていた。
シェンリーの世話をしながら、ちびっ子達に囲まれているデイビッドをちらっと見て、なんだか胸の奥がちょっと擽ったい感じがした。
賑やかな午後のお茶の時間を過ごすと、夕方の家事をする。
デイビッドと一緒にチーズ入りの肉団子を量産しつつ、夕食用のパンを焼き、野菜スープも作る。
肉団子を揚げながら、デイビッドが楽しそうに笑った。
「一人っ子だから家族が多いのってなんか新鮮」
「そう? 今日は本当にありがとう。皆、すごく喜んでる」
「リードは?」
「僕も嬉しい。なんだろうね。なんかほっとする感じ?」
「ふふん。地道にコツコツ頑張って、俺なしじゃ生きられないようにしてやるぜ!」
「物好きめ」
「家デートも楽しいもんだな」
「ん? なにそれ。家デートってなに」
「家で一緒に何かするのもデートらしいぞ。ばあちゃんが言ってた」
「へぇー。色んなデートがあるんだ」
「うん。また来ていいか?」
「僕は大歓迎」
「よっしゃ!」
「……僕って君に依存してる気がする」
「別にいいんじゃないか? 思う存分依存しろ。俺は嬉しい」
「えぇ……ほんと物好きだなぁ」
デイビッドが素早くリードの頬にキスをして、照れくさそうに笑った。
夕食の後片付けまでしっかりしてから、デイビッドは帰って行った。
帰り際、玄関先で鼻先にキスをされた。
全く不快じゃない。むしろ、なんだか落ち着く。
なんだかまだまだ頑張れそうな気がしてきて、リードは家の中に入って、順番に風呂に入っている間にシェンリーの世話をした。
リードはいつもの時間に目覚めると、一緒に寝ていたちびっ子達を起こさないようにベッドから下りて、階下の洗面台に向かった。
シェンリーの泣き声が聞こえてきたので一回目の洗濯を仕掛けてから居間を覗けば、ハルトがシェンリーを抱っこして居間をぐるぐる歩いていた。
多分、寝ぐずりかうんちがしたいかのどっちかだ。
「おはよう。ハルト。かわるよ」
「おはよ。兄ちゃん。シェンリー、全然泣きやまねぇんだけど。こっちが泣きたくなるわー」
「あー。まぁね。今日の朝ご飯って誰だっけ」
「フローラじゃなかった?」
「おはよーー。眠い。なに? シェンリー、うんち? 寝たい方?」
「あ、おはよう。フローラ」
「おはよ。どっちか分かんない」
「ご飯作ってくる。味は期待しないで」
「大丈夫だよ。フローラのご飯も美味しいよ」
「あ、うんち出たっぽい。おむつ替えるわ」
「うんちだったかー。あ、マーカーとダービーもおはよう」
「おはよ……」
「おはよ……洗濯仕掛けてくれてありがと。兄ちゃん」
双子も起きてきた。リードがいない間に、皆それぞれなんとか自力で起きれるように頑張っていたみたいで、朝っぱらから怒鳴らずに済んでいる。
ハルトと交代して、寝ぐずりで泣いてるっぽいシェンリーを抱っこして、なんとかシェンリーが寝てくれたタイミングで朝食ができたとフローラが知らせに来た。
ちびっ子達を起こして朝食を食べ、仕事に行くハルトを見送ると、ダービーがシェンリーをみている間にフローラと手分けして掃除をする。マーカーは洗濯物を干している。
トイレ掃除が終わったタイミングで玄関の呼び鈴が鳴ったので、パタパタと玄関に向かえば、大荷物のデイビッドが立っていた。
「おはよう! リード! ……そこまで顔色は悪くないな!」
「おはよう。デイビッド。昨日はハルトがシェンリーをみてくれたから寝れたんだ」
「ハルト君は?」
「仕事に行った」
「徹夜明けで仕事かー。まぁ、慣れたら割とイケるけどな!」
「ところで、その大荷物どうしたの」
「ん? あぁ。挽肉のパイを作ろうと思って。昨日のうちにパイ生地は仕込んできた。他にも色々持ってきた! ばあちゃんがジャムクッキーを量産してくれたから、お茶の時間に食おうぜ」
「ありがとう。皆すっごく喜ぶよ」
「台所借りるなー」
「うん。一緒にやるよ」
「うん。その方が俺が楽しい」
デイビッドが嬉しそうに笑った。
一緒に台所へ行くと、ちびっ子達を連れたフローラがやって来た。
「あ、デイビッドさんだ。おはようございます」
「おはよう。フローラちゃん。ちびっ子達もおはよう」
「……おはよう」
「おはよー!」
「おはよーー!」
「朝から元気だなぁ。よき!」
アンナはちょっと人見知りなので、フローラの後ろに隠れている。デイビーとミアはデイビッドに興味津々な様子だ。
「ちびっ子達よ。今日の昼飯は挽肉のパイだー!」
「わぁ! すごいわ! 食べたことない!」
「お肉?」
「おにく?」
「肉だな!」
「「やったーー!」」
「今からリードとパイを量産する! あと野菜たっぷりのスープもな! おやつには俺のばあちゃんが作ったジャムクッキーもあるぞー」
ちびっ子達が嬉しそうな歓声をあげた。
特にミアはまだ危ないので、フローラがちびっ子達を居間へと連れて行った。
デイビッドに教えてもらいながら、一緒に挽肉のパイと野菜スープを作り始める。
「デイビッド。せっかくの休みの日なのに、ほんとによかったの? その、下の子達が喜ぶから僕は嬉しいんだけど」
「んー? リードと一緒に過ごせるから俺としては完全に役得だな! ふふん。俺は今まさに新婚さん気分を味わっている」
「なんでだよ」
「一緒に料理を作るのって新婚さんっぽくないか?」
「そう? あ、挽肉炒め終わったよ」
「お。ありがと。じゃあ、型にパイ生地しいて、挽肉と胡桃を突っ込む。お洒落っぽくパイ生地をのせてーの、卵黄を塗って……よし! 焼き始めるか! 一応、パイは四つできるようにパイ生地作ってきたんだが足りるか?」
「野菜スープもあるし大丈夫じゃないかな?」
「んじゃ、二回目の分の挽肉と玉ねぎ炒めといてくれ。俺はスープをみとく」
「トマトスープってちょっと新鮮かも。トマトはサラダにすることが多いから。洗って切るだけでいいし」
「刻んだベーコンと色んな野菜いっぱい入れると美味いんだよ。ばあちゃん直伝」
「マリアンナさんに弟子入りしたい。おばあちゃんに教えてもらった料理もあるけど、我流なのも多いもんなぁ。僕」
「ははっ! リードの手料理を楽しむのは色々落ち着いてからにするわ。まずはたらふく食わせてリードを太らせる」
「ぶっくぶくに太ったらどうするのさ」
「それはそれで可愛いから問題ないな」
「えぇ……君って物好きだなぁ。ほんとに」
「そうか? この上なく趣味がいいが」
デイビッドが可笑しそうに笑った。
二回目のパイを焼き始めた頃に午前のお茶の時間になったので、人数分の紅茶を淹れて居間に運んだ。
小皿に分けたジャムクッキーを配ると、皆大喜びでデイビッドにお礼を言ってから食べ始めた。
「うまー! おばあちゃんのも美味しいけど、デイビッドさんのおばあちゃんのもうまー!」
「なんか生き返るー」
「おーいしーい! 作り方教えてもらいたいわ!」
「いっぱい持ってきたから、お代わりもあるぞ。あ、でも、昼飯が入るくらいにしとけよー」
「「「「やったーー!」」」」
「あ、紅茶美味い。へぇー。紅茶ってあんま馴染みがないんだが、割と美味いな」
「デイビッドさん。紅茶じゃなかったら何を飲むの?」
「ん? 珈琲か温かいミルクが多いな」
「へぇー。僕、珈琲飲んだことない」
「美味しいの? 兄ちゃんは珈琲飲んだことある?」
「あるよ。デイビッドのお祖母さんが淹れる珈琲はすっごく美味しいんだ」
「「へぇー」」
「晩飯は肉団子を揚げたのでいいか? チーズ入り」
「わぉ! それは絶対に美味しいやつだ!」
「やったー! 楽しみー!」
「お肉! お肉!」
「おにくー!」
「デイビッド。挽肉のパイをハルトの分残しておいていい? ハルトにも食べさせたいんだけど」
「いいぞー。冷めたら魔導冷蔵庫に入れておいて、食べる前に軽く焼いて温めよう」
下の子達がすごく美味しそうにジャムクッキーを食べながら、デイビッドに話しかけている。なにやら興味津々な様子で、デイビッドも笑顔で受け答えしている。
お茶の時間が終わると、シェンリーを双子が、ちびっ子達をフローラがみてくれている間に残りのパイも焼いてしまう。
昼食の時間はそれはもう賑やかだった。
皆、挽肉のパイとトマトスープを美味しそうに食べていた。珍しいことにミアがぐずらず、トマトスープも『おいしいー』と食べていた。
トマトスープの作り方は横で見ていたから多分作れる。トマトがある時期は、いつもの野菜スープと交互に作ろうかと考えながら、リードも満腹になるまでしっかり食べた。
挽肉のパイは予め分けておいたハルトの分以外きれいに食べきった。
デイビッドが『作り甲斐があって楽しいな!』と嬉しそうに笑っていた。
シェンリーの世話をしながら、ちびっ子達に囲まれているデイビッドをちらっと見て、なんだか胸の奥がちょっと擽ったい感じがした。
賑やかな午後のお茶の時間を過ごすと、夕方の家事をする。
デイビッドと一緒にチーズ入りの肉団子を量産しつつ、夕食用のパンを焼き、野菜スープも作る。
肉団子を揚げながら、デイビッドが楽しそうに笑った。
「一人っ子だから家族が多いのってなんか新鮮」
「そう? 今日は本当にありがとう。皆、すごく喜んでる」
「リードは?」
「僕も嬉しい。なんだろうね。なんかほっとする感じ?」
「ふふん。地道にコツコツ頑張って、俺なしじゃ生きられないようにしてやるぜ!」
「物好きめ」
「家デートも楽しいもんだな」
「ん? なにそれ。家デートってなに」
「家で一緒に何かするのもデートらしいぞ。ばあちゃんが言ってた」
「へぇー。色んなデートがあるんだ」
「うん。また来ていいか?」
「僕は大歓迎」
「よっしゃ!」
「……僕って君に依存してる気がする」
「別にいいんじゃないか? 思う存分依存しろ。俺は嬉しい」
「えぇ……ほんと物好きだなぁ」
デイビッドが素早くリードの頬にキスをして、照れくさそうに笑った。
夕食の後片付けまでしっかりしてから、デイビッドは帰って行った。
帰り際、玄関先で鼻先にキスをされた。
全く不快じゃない。むしろ、なんだか落ち着く。
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