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22:まさかの三日目!?

 アルネは寝返りを打とうとして、腰の痛みで覚醒した。
 腰とまんことアナルがクッソ痛い。多分今までのセックスの後で一番クソ痛い。
 思わず唸り声を上げると、隣で身動ぎする気配がした。

 顔を横に向けると、眠そうな半眼のゲオルグと目が合った。


「おはようございます。……喉もいてぇ」

「おはよう。はっちゃけすぎた。身体は?」

「腰とまんことケツがクソいてぇです。あと喉」

「俺も腰が痛い。本当にはっちゃけすぎたな。もう連休最終日だ」

「…………は? 二日目は?」

「昼過ぎまでセックスして、力尽きて寝て、今だ」

「わーお。やっば」

「腹が減ったな。動く」

「あー。俺も腹減りましたー。動く……動くぅ……」

「無理はするな。大人しく寝ていろ」

「嫌です。この程度の痛みで動けないなんて騎士として恥です。ふぅー。よっと! あっだぁ!? お、おぉぉぉぉ……お、俺は我慢できる男!」

「寝てろ。飯を作ってくる」

「絶対やだ。一緒に作ります」

「強情な奴め。先に風呂だな。あー。もう午前のお茶の時間が近いな。寝すぎた」


 のろのろと身体を起こせば、腰とまんことアナルが本気でクッソ痛い。が、この程度の痛みでベッドの住人になるのはプライドが許さない。
 気合でベッドから下りると、痛みで足がちょっとぷるぷるするが、問題ない。問題ないったら問題ない。男は痩せ我慢してなんぼだ。

 ベッドから下りたゲオルグが側に来てアルネの手を握り、アルネの唇に触れるだけのキスをした。
 ゲオルグからの『おはよう』のキスでちょっとテンションが上がる。夫婦っぽいなー! なんかいいなー! と、腰その他の痛みがなければ浮かれてスキップしているくらい嬉しい。

 子どもを産めないのが分かりきっているから結婚なんてできないと十代の頃から思っていたので、今の状況は実は割と嬉しかったりする。
 ずっと一人ぼっちじゃない。子どもがいなくても、寄り添って生きてくれる相手がいてくれることが本当に嬉しい。

 輪姦されたい願望はぶっちゃけまだあるのだが、ゲオルグがいるし、むしろゲオルグ一人の相手をするだけでいっぱいいっぱいだし、前ほど輪姦されて肉便器になりたいとは強く思わなくなっている気がする。

 ゲオルグと手を繋いで階下の風呂場に行き、浴槽にお湯を溜めている間に色んな液体の名残でカピカピしている身体を丁寧に洗った。
 髪はゲオルグにおねだりして洗ってもらった。ゲオルグのゴツい手は意外と優しい。

 ゲオルグに抱っこされる形でお湯に浸かると、じわぁっと疲れが残る身体が解れていく感じがする。
 二人揃って『あーー』と意味のない声を上げ、それが可笑しくて、クックッと笑った。

 風呂から出ると楽な服を着て、台所に向かった。
 コップに水を注いで一息で飲み干せば、ひんやりした水が乾いた身体に染み渡る。二杯目も一気飲みすると、同じく水を飲んでいたゲオルグが口を開いた。


「とりあえず消化のいい雑穀粥でも作るか」

「肉食いてぇです。肉。がっつりステーキ!」

「ステーキなんか食って大丈夫か?」

「大丈夫ですよ。多分。がっつり肉食って、ちょっと休んだら、痛みもおさまります」

「念のため腰に湿布を貼っておけ。俺も貼る。牛肉はあったか? なければ鶏肉のステーキだ」

「鶏肉も好きでーす」

「牛乳に蜂蜜を入れるか。声がガラガラだぞ。お前」

「ゲオルグさん。ガチではっちゃけるのは三日以上の連休の時だけにしましょう。普段はちょこちょこ小出しにしていく感じで」

「そうだな。この歳で新たな性癖に目覚めたせいで歯止めがきかなかった」

「あ、喉をずこずこしてもいいですよ? 喉イキめちゃくちゃ気持ちよかったんで!」

「二日くらいはセックスしなくていい」

「そこで二日ってあたりがゲオルグさんですね。どんだけ絶倫なんですか」

「お前も似たようなもんだぞ。体力お化け」

「ゲオルグさんには言われたくねぇです。スープはベーコンと野菜のでいいですか? 俺、作ります」

「あぁ。じゃあ頼む。ほんとに無理してないだろうな?」

「この程度でへばってたら騎士失格ですよ。鶏肉って多めに買ってましたよね? ステーキは二枚がいいです。あれば三枚で!」

「はいはい。あ、パンがないな。今から仕込むと時間がかかるし……動けるのなら、いっそ昼飯は外で食うか? 馬鹿デカいステーキが食える店がある」

「おー! じゃあ、そこで!」

「とりあえず蜂蜜入りの牛乳だけ飲んでおくか」

「うん。蜂蜜多めがいいです」

「はいはい」


 ゲオルグが手早く作ってくれた蜂蜜入りの温かい牛乳は、本当に蜂蜜たっぷりで甘くて美味しかった。
 なんとなくほっとする味に、ふぃーと気の抜けた声が出る。

 まさかの連休二日目が消えたが、セックスは楽しかったし、ゲオルグが新たな性癖に目覚めてくれたのでよしとする。
 外用の服に着替えてから、財布と家の鍵だけをズボンのポケットに突っ込んで家を出た。

 たらたらと歩いてステーキ専門店に入り、一番デカいサイズのステーキを注文した。
 店員が運んできたステーキは本当に馬鹿デカくて、思わず笑ってしまうくらいだった。
 熱々のうちに食べ始めると、馬鹿デカいだけじゃなくて、ちゃんと美味しい。


「んまー。肉もだけどソースが美味いですね」

「だろ? 馬鹿デカい割に手頃な値段だから若い頃からたまに通ってる」

「へぇー。俺はこの店知りませんでした。そもそもいつも寮の食堂で食ってたからなぁ。外で食うのは飲み会の時くらい?」

「甘いものが好きだったな。卵のタルトが有名な喫茶店が近くにある。腹に入るならデザートに食いに行くか?」

「行きます! 卵のタルトすっげぇ好きです。珈琲も飲みてぇです」

「じゃあ、食い終わったら喫茶店に行くか」

「あ、そういや。洗濯はどうします? あのカピカピのシーツを家政婦のべアーテさんに洗ってもらうのは流石に抵抗があります」

「帰ったら洗濯する。今日明日は雨が降らないだろうから、夜通し干しても大丈夫だろ」

「うん。晩飯は鶏肉の檸檬煮に挑戦してもいいですか?」

「構わん。パンは喫茶店の帰りに買って帰るか」

「胡桃パンがいいです!」

「好きだな」

「好物の一つなんですよ」

「ついでに菓子屋にでも寄るか? 夜も蜂蜜入りの温かい牛乳を作って、そのお供にすればいい」

「やった! 日保ちする焼き菓子を買います。毎晩ちまちま食います」

「ほんとに甘いものが好きなんだな」

「そうですね。台所での料理に慣れたら、料理本に載ってたクッキーから挑戦してみます」

「まぁ、がんばれ」


 ゲオルグがどこか微笑ましいものを見るような目で見てきた。
 ちょっと照れくさいし、なんとなく胸の奥が擽ったい。
 誤魔化すようにがっつり肉を食べると、しっかり腹いっぱいになった。
 甘いものは別腹なので、会計をして出ると今度は喫茶店へと向かって歩き始めた。

 ゲオルグと手を繋いで指を絡めて歩きながら、明日の朝食の話とか所帯染みた会話をするのが存外楽しい。
 経緯はちょっとアレな感じだったが、結婚相手がゲオルグでよかったかも、とふと思った。

 思いっきり甘えられる感じがする反面、ちゃんとアルネを自立した立派な男として見てくれている気がする。
 いや、もう三十路だから自立した立派な男なのだが、歳下だからといって軽んじている感じはしない。
 対等だが甘やかしてくれているみたいな、上手く表現できないけれど、そんな感じがする。

 アルネはなんとなくにへっと笑って、ゲオルグの腕に腕を絡めてくっついて歩いた。

 三連休最終日は、穏やかに、でも楽しく過ぎていった。

感想 3

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