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37:誘いと相談
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アイディーはきょとんとした顔で、顔馴染みの男の顔を見返した。
「ピクニック?」
「そ。うちの坊主達を連れていくんだが、アンタ方もどうだい?」
「何処に行くんだよ」
「郊外に乗り合い馬車で行ける山があるんだよ。ちゃんと整備されてるから、小さな子供でも山の下の方の広場まで登れるようになってるんだ」
「へぇ。返事は旦那様に聞いてからでいいか?」
「あぁ。それは勿論。よかったら旦那様も一緒に来たらいい」
「誘ってくれてありがとな。今日聞いてみるわ」
「ミケーネも一緒だと、うちのチビが喜ぶから」
ミケーネを保育園に連れてきたある日の朝、広場で顔見知りになり、保育園への入園を勧めてきた男から、ピクニックの誘いを受けた。
アイディーは行ってもいいと思うのだが、ロバートに聞かなければいけない。明日には返事をすると男に告げてから、アイディーはミケーネが保育室に入るのを見届け、保育園を出た。
今日はロバートは仕事、ガーディナは中学校、ヨザックも仕事なので、ミケーネのお迎えの時間まで暇である。普段、中々できない場所の掃除をするか、庭の草むしりでもするか。
アイディーはロバートの家に帰ると、早速庭の草むしりを始めた。
もう秋の始めになっている。風は秋のそれだが、今日は天気がいいので日射しが強い。麦わら帽子を被って作業をしていたが、草むしりが終わる頃には、すっかり汗だくになっていた。
抜いた草を一纏めにして、袋に詰める。ごみの日に忘れないように出さなければ。とりあえず家の裏口辺りにパンパンになった袋を置きにいった。
アイディーはぐっと伸びをした。ロバートの弁当を作る時に量を多めに作ったので、今から昼食を作る必要がない。午後からは家の中の掃除をして、ミケーネのおやつにちょっと手が込んだものでも作ろうか。
何はともあれ、まずはシャワーだ。
アイディーが家に入ろうと玄関に向かうと、玄関に人影があった。玄関先に俯きがちに立っている。ハルファである。
アイディーはハルファに声をかけた。
「ちーっす。ハルファ」
「あ、アイディー。こんにちは」
「どうしたんだ?」
「……ちょっと、相談っていうか。うーん、何だろ」
「昼飯食った?」
「まだ」
「じゃあ一緒に食わねぇ?今日は俺1人だし」
「いいの?」
「おう。おかずは弁当の残りだけどな。追加でスープでも作るわ」
「……じゃあ、ご馳走になるよ」
「おーう」
アイディーはハルファと一緒に家の中に入った。
ハルファに断ってから先に手早くシャワーを浴びて着替え、台所に行き、作り置きの冷たいお茶を淹れてハルファがいる食堂へ運ぶ。
ハルファは食堂の椅子に座って、じっとテーブルを見つめていた。アイディーはハルファの前に冷たいお茶を入れたグラスを置いた。
「あ、ありがと」
「ちょっと待っててくれよ。スープ作るし」
「手伝うよ」
「あ?じゃあ頼むわ」
冷たいお茶を一息でグラス半分飲みきり、ハルファが席を立った。2人で台所に移動すると、ハルファがキョロキョロと台所を見回した。
「すごい。キレイにしてるんだね」
「基本的には俺しか使わないしな。坊っちゃんが台所に入る時はおんぶだし、旦那様は立ち入り禁止にしてる。ガーディナはキレイ好きだから、使った後は俺よりキレイに掃除するぜ」
「弟君と一緒に暮らせるようになって、本当によかったね」
「おう。旦那様には返しきれねぇくらいの恩ができちまった。スープは卵スープと、野菜とベーコンのスープ、どっちがいい?」
「じゃあ、野菜とベーコン」
「りょーかい」
アイディーは魔導冷蔵庫から材料を取り出し、ハルファと2人で野菜を刻み始めた。ハルファの包丁捌きは中々のものである。慣れているのが一目で分かるので、安心して任せられる。
「……今日来たのはさ」
「おう」
「話を聞いてもらいたくて……」
「最後までちゃんと聞くから、そこのベーコンも切ってもらっていいか?」
「うん。短冊切り?細切り?」
「短冊切りで」
「うん。……仕事が見つかったんだ。小さな出版社の雑用係。給料は安いけど、1人だったら生活はできるくらいは貰えるんだ」
「お。マジか。よかったな」
「ありがとう。家も、ボロいとこだけど集合住宅で入れそうな所があって、そこに引っ越すつもり」
「手がいる時はいつでも声をかけてくれよ」
「うん。その時は甘えさせてもらうよ。ありがとう」
「おう」
「……あのさ」
「おう」
「……ロバート、最近どう?」
「あ?旦那様か?ガーディナしごきまくってる」
「そのガーディナって子のこと、どう思ってそうな感じ?」
「弟子。弟子をもつの、憧れてたらしいぜ。職場じゃ『新人潰し』って呼ばれて後輩の指導もさせてもらえないんだと。毎日すげぇ楽しそうにガーディナに無茶振りかましてる。ガーディナはひぃひぃ言ってっけど、旦那様にちゃんとついてってるから、すげぇ楽しいみてぇだわ」
「……そう」
ベーコンを切り終えたハルファからベーコンを受け取り、火にかけていた水と固形コンソメを入れた鍋に野菜と一緒に放り込む。
包丁を洗いながら、ハルファが口を開いた。
「……僕、今からものすっごく恥知らずなこと言うよ」
「おう」
「……ロバートがさ、好きなんだ」
「ん?それのどこが恥知らずなんだよ」
「恥知らずでしょ。ロバートからもミケーネからも逃げておいて、今更好きとか言うなんて」
「別に旦那様が嫌いになったから離婚した訳じゃねぇじゃん」
「……そうだけど……君に嫉妬してるんだ。僕。君のお陰でミケーネが元気で笑顔でいてくれるし、ロバートだって生き生きとしてるのに。僕って本当に醜い。君にとっては仕事なのかもしれないけど、君がロバートに抱かれているのも羨ましいというか、妬ましい」
「…………」
「……僕も君に救われてるとこがあるのにね。酷いでしょ」
「別に酷かねぇだろ」
「酷いよ。本当なら君がいる場所に僕がいたのにって思っちゃうんだ。……最低でしょ。僕は僕が嫌いだ」
自嘲するように顔を歪めたハルファに、アイディーを少し首を傾げた。
ハルファは未だにロバートが好きらしい。ミケーネのことだって愛している。本来ならハルファがいたかもしれない立ち位置に、今はアイディーがいるのも事実だ。自分がいたかもしれない場所にいるアイディーを妬ましく思うのは普通のことなのではないだろうか。アイディーだって、高等学校時代の友達のことを未だに妬ましく思う時がある。軍人として、ヨザックと共に働くことを夢みることだってある。
アイディーは手を洗って、俯いたハルファの肩を指先でちょんちょんとつつき、顔を上げたハルファの額にデコピンをした。ビシッと痛そうな音がする。
「いっっったぁぁ!?え?いたい?なに?何でデコピン?いた、本当痛いぃぃ」
「アンタさぁ、ごちゃごちゃ後ろ向きに考えすぎなんじゃね?」
「え……」
「旦那様が好きならよぉ、また旦那様に好きって言えばいいじゃねぇか。今は家事も子育ても、アンタが1人で頑張る必要ねぇし。俺がいるからよぉ」
「で、でも……僕は逃げたんだよ」
「逃げたんじゃねぇ。単なる戦略的撤退だ。自分の心と身体を守る為によ。親がぶっ倒れたら、小せぇ子供はどうしようもねぇじゃん。自分の世話すらできねぇんだぞ。子供を守って育てようと思ったら、まずは親自身を守らなきゃいけねぇだろ。そりゃ子供の為に身を削る親もいるんだろうけどよ。皆が皆そうじゃねぇし」
「で、でも……」
「細けぇことは気にすんなよ」
「……全然細かくないよ?」
「細けぇよ。旦那様が好き。坊っちゃんが大事。旦那様と寝てる俺に焼き餅焼いてる。それならそれでいいじゃねぇか」
「え、いやいやいやいや」
「次の休み、坊っちゃんとガーディナつれてピクニックに行ってくるから、旦那様と話せよ」
「え!?次の休み!?」
「ちゃんと自分の気持ちを伝えて、どうしたいか話し合え」
「で、でも……ロバートはもう僕のことなんか……」
アイディーはまた俯きそうになったハルファの額にデコピンをした。
「いったぁ!?ちょっ、本気で痛い!本気で痛い!」
「そんなに自分を卑下して苛めてやんなよ」
「……でも……」
「『でも』もなしだ。男なら腹くくれ」
「う、はい……」
「当たって砕けたら、そんときゃ慰めてやっからよ。……アンタが俺に言ってくれた言葉のお陰で、俺はヨザックが好きだって認められた。借金返すまで、色恋なんざしたらいけねぇって思ってた」
「…………」
「アンタのお陰で俺は恋ができた。旦那様のお陰でド変態向けの娼館で兄弟共々身体を売らなくてすむようになった。俺は旦那様にもアンタにも恩がある。アンタ方が上手くいって、坊っちゃんも一緒に家族として暮らせる日がくればいいって思ってる」
「アイディー……」
「旦那様は優しいけど、色々アレだろ?アンタが側にいた方がいいんじゃねぇの?俺は家事と坊っちゃんのお世話で精一杯で、旦那様まで手ぇ回んねぇし」
「……もし、もしロバートがまた僕を選んでくれたら、一緒に頑張ってくれる?」
「おう。俺、家政夫兼子守だしな」
「……たまに愚痴ったりしてもいい?」
「風呂掃除しながらでいいなら聞くぜ。愚痴も汚れと一緒にキレイに流しちまえばいいんだよ」
「は、はは……アイディー」
「あ?」
「君って最高にいい男だよね」
「だろ?」
ハルファが泣きそうなくしゃっとした顔で笑った。
「ピクニック?」
「そ。うちの坊主達を連れていくんだが、アンタ方もどうだい?」
「何処に行くんだよ」
「郊外に乗り合い馬車で行ける山があるんだよ。ちゃんと整備されてるから、小さな子供でも山の下の方の広場まで登れるようになってるんだ」
「へぇ。返事は旦那様に聞いてからでいいか?」
「あぁ。それは勿論。よかったら旦那様も一緒に来たらいい」
「誘ってくれてありがとな。今日聞いてみるわ」
「ミケーネも一緒だと、うちのチビが喜ぶから」
ミケーネを保育園に連れてきたある日の朝、広場で顔見知りになり、保育園への入園を勧めてきた男から、ピクニックの誘いを受けた。
アイディーは行ってもいいと思うのだが、ロバートに聞かなければいけない。明日には返事をすると男に告げてから、アイディーはミケーネが保育室に入るのを見届け、保育園を出た。
今日はロバートは仕事、ガーディナは中学校、ヨザックも仕事なので、ミケーネのお迎えの時間まで暇である。普段、中々できない場所の掃除をするか、庭の草むしりでもするか。
アイディーはロバートの家に帰ると、早速庭の草むしりを始めた。
もう秋の始めになっている。風は秋のそれだが、今日は天気がいいので日射しが強い。麦わら帽子を被って作業をしていたが、草むしりが終わる頃には、すっかり汗だくになっていた。
抜いた草を一纏めにして、袋に詰める。ごみの日に忘れないように出さなければ。とりあえず家の裏口辺りにパンパンになった袋を置きにいった。
アイディーはぐっと伸びをした。ロバートの弁当を作る時に量を多めに作ったので、今から昼食を作る必要がない。午後からは家の中の掃除をして、ミケーネのおやつにちょっと手が込んだものでも作ろうか。
何はともあれ、まずはシャワーだ。
アイディーが家に入ろうと玄関に向かうと、玄関に人影があった。玄関先に俯きがちに立っている。ハルファである。
アイディーはハルファに声をかけた。
「ちーっす。ハルファ」
「あ、アイディー。こんにちは」
「どうしたんだ?」
「……ちょっと、相談っていうか。うーん、何だろ」
「昼飯食った?」
「まだ」
「じゃあ一緒に食わねぇ?今日は俺1人だし」
「いいの?」
「おう。おかずは弁当の残りだけどな。追加でスープでも作るわ」
「……じゃあ、ご馳走になるよ」
「おーう」
アイディーはハルファと一緒に家の中に入った。
ハルファに断ってから先に手早くシャワーを浴びて着替え、台所に行き、作り置きの冷たいお茶を淹れてハルファがいる食堂へ運ぶ。
ハルファは食堂の椅子に座って、じっとテーブルを見つめていた。アイディーはハルファの前に冷たいお茶を入れたグラスを置いた。
「あ、ありがと」
「ちょっと待っててくれよ。スープ作るし」
「手伝うよ」
「あ?じゃあ頼むわ」
冷たいお茶を一息でグラス半分飲みきり、ハルファが席を立った。2人で台所に移動すると、ハルファがキョロキョロと台所を見回した。
「すごい。キレイにしてるんだね」
「基本的には俺しか使わないしな。坊っちゃんが台所に入る時はおんぶだし、旦那様は立ち入り禁止にしてる。ガーディナはキレイ好きだから、使った後は俺よりキレイに掃除するぜ」
「弟君と一緒に暮らせるようになって、本当によかったね」
「おう。旦那様には返しきれねぇくらいの恩ができちまった。スープは卵スープと、野菜とベーコンのスープ、どっちがいい?」
「じゃあ、野菜とベーコン」
「りょーかい」
アイディーは魔導冷蔵庫から材料を取り出し、ハルファと2人で野菜を刻み始めた。ハルファの包丁捌きは中々のものである。慣れているのが一目で分かるので、安心して任せられる。
「……今日来たのはさ」
「おう」
「話を聞いてもらいたくて……」
「最後までちゃんと聞くから、そこのベーコンも切ってもらっていいか?」
「うん。短冊切り?細切り?」
「短冊切りで」
「うん。……仕事が見つかったんだ。小さな出版社の雑用係。給料は安いけど、1人だったら生活はできるくらいは貰えるんだ」
「お。マジか。よかったな」
「ありがとう。家も、ボロいとこだけど集合住宅で入れそうな所があって、そこに引っ越すつもり」
「手がいる時はいつでも声をかけてくれよ」
「うん。その時は甘えさせてもらうよ。ありがとう」
「おう」
「……あのさ」
「おう」
「……ロバート、最近どう?」
「あ?旦那様か?ガーディナしごきまくってる」
「そのガーディナって子のこと、どう思ってそうな感じ?」
「弟子。弟子をもつの、憧れてたらしいぜ。職場じゃ『新人潰し』って呼ばれて後輩の指導もさせてもらえないんだと。毎日すげぇ楽しそうにガーディナに無茶振りかましてる。ガーディナはひぃひぃ言ってっけど、旦那様にちゃんとついてってるから、すげぇ楽しいみてぇだわ」
「……そう」
ベーコンを切り終えたハルファからベーコンを受け取り、火にかけていた水と固形コンソメを入れた鍋に野菜と一緒に放り込む。
包丁を洗いながら、ハルファが口を開いた。
「……僕、今からものすっごく恥知らずなこと言うよ」
「おう」
「……ロバートがさ、好きなんだ」
「ん?それのどこが恥知らずなんだよ」
「恥知らずでしょ。ロバートからもミケーネからも逃げておいて、今更好きとか言うなんて」
「別に旦那様が嫌いになったから離婚した訳じゃねぇじゃん」
「……そうだけど……君に嫉妬してるんだ。僕。君のお陰でミケーネが元気で笑顔でいてくれるし、ロバートだって生き生きとしてるのに。僕って本当に醜い。君にとっては仕事なのかもしれないけど、君がロバートに抱かれているのも羨ましいというか、妬ましい」
「…………」
「……僕も君に救われてるとこがあるのにね。酷いでしょ」
「別に酷かねぇだろ」
「酷いよ。本当なら君がいる場所に僕がいたのにって思っちゃうんだ。……最低でしょ。僕は僕が嫌いだ」
自嘲するように顔を歪めたハルファに、アイディーを少し首を傾げた。
ハルファは未だにロバートが好きらしい。ミケーネのことだって愛している。本来ならハルファがいたかもしれない立ち位置に、今はアイディーがいるのも事実だ。自分がいたかもしれない場所にいるアイディーを妬ましく思うのは普通のことなのではないだろうか。アイディーだって、高等学校時代の友達のことを未だに妬ましく思う時がある。軍人として、ヨザックと共に働くことを夢みることだってある。
アイディーは手を洗って、俯いたハルファの肩を指先でちょんちょんとつつき、顔を上げたハルファの額にデコピンをした。ビシッと痛そうな音がする。
「いっっったぁぁ!?え?いたい?なに?何でデコピン?いた、本当痛いぃぃ」
「アンタさぁ、ごちゃごちゃ後ろ向きに考えすぎなんじゃね?」
「え……」
「旦那様が好きならよぉ、また旦那様に好きって言えばいいじゃねぇか。今は家事も子育ても、アンタが1人で頑張る必要ねぇし。俺がいるからよぉ」
「で、でも……僕は逃げたんだよ」
「逃げたんじゃねぇ。単なる戦略的撤退だ。自分の心と身体を守る為によ。親がぶっ倒れたら、小せぇ子供はどうしようもねぇじゃん。自分の世話すらできねぇんだぞ。子供を守って育てようと思ったら、まずは親自身を守らなきゃいけねぇだろ。そりゃ子供の為に身を削る親もいるんだろうけどよ。皆が皆そうじゃねぇし」
「で、でも……」
「細けぇことは気にすんなよ」
「……全然細かくないよ?」
「細けぇよ。旦那様が好き。坊っちゃんが大事。旦那様と寝てる俺に焼き餅焼いてる。それならそれでいいじゃねぇか」
「え、いやいやいやいや」
「次の休み、坊っちゃんとガーディナつれてピクニックに行ってくるから、旦那様と話せよ」
「え!?次の休み!?」
「ちゃんと自分の気持ちを伝えて、どうしたいか話し合え」
「で、でも……ロバートはもう僕のことなんか……」
アイディーはまた俯きそうになったハルファの額にデコピンをした。
「いったぁ!?ちょっ、本気で痛い!本気で痛い!」
「そんなに自分を卑下して苛めてやんなよ」
「……でも……」
「『でも』もなしだ。男なら腹くくれ」
「う、はい……」
「当たって砕けたら、そんときゃ慰めてやっからよ。……アンタが俺に言ってくれた言葉のお陰で、俺はヨザックが好きだって認められた。借金返すまで、色恋なんざしたらいけねぇって思ってた」
「…………」
「アンタのお陰で俺は恋ができた。旦那様のお陰でド変態向けの娼館で兄弟共々身体を売らなくてすむようになった。俺は旦那様にもアンタにも恩がある。アンタ方が上手くいって、坊っちゃんも一緒に家族として暮らせる日がくればいいって思ってる」
「アイディー……」
「旦那様は優しいけど、色々アレだろ?アンタが側にいた方がいいんじゃねぇの?俺は家事と坊っちゃんのお世話で精一杯で、旦那様まで手ぇ回んねぇし」
「……もし、もしロバートがまた僕を選んでくれたら、一緒に頑張ってくれる?」
「おう。俺、家政夫兼子守だしな」
「……たまに愚痴ったりしてもいい?」
「風呂掃除しながらでいいなら聞くぜ。愚痴も汚れと一緒にキレイに流しちまえばいいんだよ」
「は、はは……アイディー」
「あ?」
「君って最高にいい男だよね」
「だろ?」
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