46 / 53
46:お引っ越し2
しおりを挟む
きっかり深夜3時に玄関の呼び鈴が鳴った。
既に起きて出られる準備を済ませていたので、毛布が入った鞄を片手に2人で玄関に向かう。玄関を開けるとマーサが1人で立っていた。
「はぁい。準備はいい?」
「はい」
「じゃあ、行くわよー」
「お願いします」
マーサがクリスとニーファの周囲に結界を張って、人気のない暗い道をマーサが持つカンテラと月明かりを頼りに歩く。移動するものに結界を張り、それを維持するのはかなり難しいのだが、マーサは涼しい顔でやっている。
外を歩くのは年越しの時以来だ。クリスと並んで歩いていると、片手がクリスの手にぶつかった。軽く謝ろうとしたら、クリスに手を掴まれた。そのまま手を繋ぐ。無言で手を繋いでくれたクリスにドキドキするし、なんだか少し気恥ずかしい。だって、目の前には先導するマーサがいるし。でもすごく嬉しい。
ご機嫌で歩いていると、目の前のマーサが立ち止まった。
「ここよ」
マーサがカンテラを高く持って、一軒の家を照らしてくれるが、カンテラの明かりだけじゃ家の様子は暗くてよく分からない。マーサが敷地内に入り、玄関の鍵を開けて、3人で中に入る。先に入ったマーサが灯りをつけると、家の中が明るくなった。新しい木の匂いがする新居内をマーサの案内で見て回る。家具はとりあえず在り合わせのものだが、全体的にすごく雰囲気がいい。機能的かつ、お洒落な感じである。2階の寝室も広めで、大きなベッドは寝心地が良さそうだ。1階のニーファの城となる台所も使い勝手が良さそうで、早く使ってみたくてウズウズしてしまう。
マーサは一通り家の中の説明をすると、手伝いがいる時は言ってねー、と言って帰っていった。壁掛けの時計を見ると、もうそろそろ日が昇る頃だ。運び込んだ荷物の片付けをするには少し早い。ニーファはクリスと共に寝室に上がり、一先ず少し寝ることにした。新しい家にワクワクして寝つけないニーファの頭をクリスが優しく撫でた。ニーファは落ち着くその手の温もりに次第に気持ちも落ち着いて、結局2人で昼頃まで眠っていた。
ーーーーーー
引っ越し2日目の夕方には粗方片付けが終わった。
大量にある本類は本棚が来てから整理するので、書斎に箱に詰めたまま置いてある。
ニーファがとりあえず本を詰めた箱をクリスのものとニーファのものと分別していると、その中に一つ見覚えのない箱を見つけた。薄いピンク色の、そこそこ大きな箱だ。
(こんなのあったっけ?)
不思議に思いながら箱を開けると、中には張り型など所謂大人の玩具と呼ばれるいかがわしいものがぎっしりと詰まっていた。
「………………」
ニーファは暫し固まった後、ぼんっと顔が真っ赤になった。この箱を用意したであろう人物がすぐに頭に浮かぶ。ニーファは思わず額に青筋を浮かべて叫んだ。
「かぁさまぁぁぁぁぁぁぁ!!!」
ーーーーーー
2階の物置部屋で荷物を整理していると、1階からニーファの叫ぶ声が聞こえた。クリスは慌てて部屋を飛び出し、階段を駆け降りて書斎へと入った。
「ニーファ君っ!?」
部屋を見回すと、なにやらニーファが蹲って頭を抱えている。慌ててニーファに駆け寄り、ニーファの肩を掴むと、振り返ったニーファは顔が真っ赤だった。
「どうしたの!?」
「俺のじゃないですっ!俺のじゃないですっ!」
「?」
慌てた様子で自分の背後を隠そうとするニーファを訝しく思い、ちょっと無理矢理ニーファの背後を覗き見た。
そこには張り型その他いかがわしいものが、びっしり詰まったピンク色の箱があった。思わず目をパチクリさせる。あわあわしているニーファを落ち着かせるように、とりあえずニーファの頭を優しく撫でながら考える。
これを置いた犯人は間違いなくマーサだ。大方、性的なことに疎い上にちょっと初なニーファをからかうつもりだったのだろう。マーサは割と下ネタが好きだ。実際、ニーファはあわあわしている。マーサの目論みは成功している。今頃、ニヤニヤ笑っているのではないだろうか。
「それマーサ様?」
「間違いなく!」
「あー」
「す、捨てましょう!今すぐっ!今すぐにっ!!」
真っ赤な顔で捨てると主張するニーファの頭を落ち着かせるように撫で回す。捨てると言うが、こんなに大量のいかがわしい物体を普通のゴミと一緒に捨てるのは如何なものか。クリスは少し考えて、とりあえず物置部屋に放り込むことに決めた。
一応ゴミとして捨てにくいことをニーファに説明してから、ニーファの額にキスをしてピンク色の箱を抱えあげた。そのまま書斎を出て階段を上がり、物置部屋へと入る。
物置部屋の隅にピンク色の箱を置くと、念のため部屋のドアを閉めてから箱に向き直る。
クリスも男なので人並みにスケベである。話には聞いたことがあるが、実際に見たことはない大人の玩具に正直好奇心が疼く。
そこそこ大きい箱の中には、様々な形の張り型や所謂オナホールと呼ばれるもの、用途がいまいちよく分からないものまで色んな種類のものが詰まっていた。箱の底の方には何本もローションのボトルが入っている。一通り箱の中のものを出して床に並べる。ニーファに張り型を使うのは、ちょっと抵抗がある。けれど、オナホールくらいは使ってみてもいいんじゃないかと思う。オナホールで自慰をするニーファは少し見てみたい。ローションも全部種類が違っていて、香りつきのものや温かくなるもの等色々ある。今は性的興奮したらニーファは濡れるので必要ないが、ローションにはいつかお世話になる時がくるかもしれない。
クリスはニーファの目につかない所にピンク色の箱を保管することにした。箱に出したものを片付けてから、他の荷物に紛れ込ませて隠すと、クリスは物置部屋から出て1階に降りた。
そろそろ夕食の支度をニーファが始める頃だろう。クリスが手伝った方が早く出来上がるし、なにより一緒に作業するとニーファが喜ぶ。
クリスは未だに書斎で真っ赤な顔をしてお山座りしていたニーファに声をかけて、一緒に台所へと向かった。一緒に晩ご飯の支度を始めたらニーファが漸く落ち着いてきたので、こっそり笑った。
2人で作った美味しい夕食を食べて、一緒に片付けをしてから風呂に入る。新居の風呂は、昔クリスが結婚していた頃に住んでいた時よりもだいぶ広くなっている。檜の香りが心地よい。ニーファと互いに身体や髪を洗いあってから湯船に浸かる。自宅で毎日温泉に浸かれるなんて、すごく贅沢だ。ニーファを後ろから抱き締めて、お湯に浸からないように長い黒髪を結い上げたニーファのうなじに、なんとなくキスをする。クリスは、そのままニーファの裸の肩に顎をのせた。日中はずっと作業をしていたから、そこそこ疲れている。クリスは小さく欠伸をして、自宅の温泉を楽しんだ。
既に起きて出られる準備を済ませていたので、毛布が入った鞄を片手に2人で玄関に向かう。玄関を開けるとマーサが1人で立っていた。
「はぁい。準備はいい?」
「はい」
「じゃあ、行くわよー」
「お願いします」
マーサがクリスとニーファの周囲に結界を張って、人気のない暗い道をマーサが持つカンテラと月明かりを頼りに歩く。移動するものに結界を張り、それを維持するのはかなり難しいのだが、マーサは涼しい顔でやっている。
外を歩くのは年越しの時以来だ。クリスと並んで歩いていると、片手がクリスの手にぶつかった。軽く謝ろうとしたら、クリスに手を掴まれた。そのまま手を繋ぐ。無言で手を繋いでくれたクリスにドキドキするし、なんだか少し気恥ずかしい。だって、目の前には先導するマーサがいるし。でもすごく嬉しい。
ご機嫌で歩いていると、目の前のマーサが立ち止まった。
「ここよ」
マーサがカンテラを高く持って、一軒の家を照らしてくれるが、カンテラの明かりだけじゃ家の様子は暗くてよく分からない。マーサが敷地内に入り、玄関の鍵を開けて、3人で中に入る。先に入ったマーサが灯りをつけると、家の中が明るくなった。新しい木の匂いがする新居内をマーサの案内で見て回る。家具はとりあえず在り合わせのものだが、全体的にすごく雰囲気がいい。機能的かつ、お洒落な感じである。2階の寝室も広めで、大きなベッドは寝心地が良さそうだ。1階のニーファの城となる台所も使い勝手が良さそうで、早く使ってみたくてウズウズしてしまう。
マーサは一通り家の中の説明をすると、手伝いがいる時は言ってねー、と言って帰っていった。壁掛けの時計を見ると、もうそろそろ日が昇る頃だ。運び込んだ荷物の片付けをするには少し早い。ニーファはクリスと共に寝室に上がり、一先ず少し寝ることにした。新しい家にワクワクして寝つけないニーファの頭をクリスが優しく撫でた。ニーファは落ち着くその手の温もりに次第に気持ちも落ち着いて、結局2人で昼頃まで眠っていた。
ーーーーーー
引っ越し2日目の夕方には粗方片付けが終わった。
大量にある本類は本棚が来てから整理するので、書斎に箱に詰めたまま置いてある。
ニーファがとりあえず本を詰めた箱をクリスのものとニーファのものと分別していると、その中に一つ見覚えのない箱を見つけた。薄いピンク色の、そこそこ大きな箱だ。
(こんなのあったっけ?)
不思議に思いながら箱を開けると、中には張り型など所謂大人の玩具と呼ばれるいかがわしいものがぎっしりと詰まっていた。
「………………」
ニーファは暫し固まった後、ぼんっと顔が真っ赤になった。この箱を用意したであろう人物がすぐに頭に浮かぶ。ニーファは思わず額に青筋を浮かべて叫んだ。
「かぁさまぁぁぁぁぁぁぁ!!!」
ーーーーーー
2階の物置部屋で荷物を整理していると、1階からニーファの叫ぶ声が聞こえた。クリスは慌てて部屋を飛び出し、階段を駆け降りて書斎へと入った。
「ニーファ君っ!?」
部屋を見回すと、なにやらニーファが蹲って頭を抱えている。慌ててニーファに駆け寄り、ニーファの肩を掴むと、振り返ったニーファは顔が真っ赤だった。
「どうしたの!?」
「俺のじゃないですっ!俺のじゃないですっ!」
「?」
慌てた様子で自分の背後を隠そうとするニーファを訝しく思い、ちょっと無理矢理ニーファの背後を覗き見た。
そこには張り型その他いかがわしいものが、びっしり詰まったピンク色の箱があった。思わず目をパチクリさせる。あわあわしているニーファを落ち着かせるように、とりあえずニーファの頭を優しく撫でながら考える。
これを置いた犯人は間違いなくマーサだ。大方、性的なことに疎い上にちょっと初なニーファをからかうつもりだったのだろう。マーサは割と下ネタが好きだ。実際、ニーファはあわあわしている。マーサの目論みは成功している。今頃、ニヤニヤ笑っているのではないだろうか。
「それマーサ様?」
「間違いなく!」
「あー」
「す、捨てましょう!今すぐっ!今すぐにっ!!」
真っ赤な顔で捨てると主張するニーファの頭を落ち着かせるように撫で回す。捨てると言うが、こんなに大量のいかがわしい物体を普通のゴミと一緒に捨てるのは如何なものか。クリスは少し考えて、とりあえず物置部屋に放り込むことに決めた。
一応ゴミとして捨てにくいことをニーファに説明してから、ニーファの額にキスをしてピンク色の箱を抱えあげた。そのまま書斎を出て階段を上がり、物置部屋へと入る。
物置部屋の隅にピンク色の箱を置くと、念のため部屋のドアを閉めてから箱に向き直る。
クリスも男なので人並みにスケベである。話には聞いたことがあるが、実際に見たことはない大人の玩具に正直好奇心が疼く。
そこそこ大きい箱の中には、様々な形の張り型や所謂オナホールと呼ばれるもの、用途がいまいちよく分からないものまで色んな種類のものが詰まっていた。箱の底の方には何本もローションのボトルが入っている。一通り箱の中のものを出して床に並べる。ニーファに張り型を使うのは、ちょっと抵抗がある。けれど、オナホールくらいは使ってみてもいいんじゃないかと思う。オナホールで自慰をするニーファは少し見てみたい。ローションも全部種類が違っていて、香りつきのものや温かくなるもの等色々ある。今は性的興奮したらニーファは濡れるので必要ないが、ローションにはいつかお世話になる時がくるかもしれない。
クリスはニーファの目につかない所にピンク色の箱を保管することにした。箱に出したものを片付けてから、他の荷物に紛れ込ませて隠すと、クリスは物置部屋から出て1階に降りた。
そろそろ夕食の支度をニーファが始める頃だろう。クリスが手伝った方が早く出来上がるし、なにより一緒に作業するとニーファが喜ぶ。
クリスは未だに書斎で真っ赤な顔をしてお山座りしていたニーファに声をかけて、一緒に台所へと向かった。一緒に晩ご飯の支度を始めたらニーファが漸く落ち着いてきたので、こっそり笑った。
2人で作った美味しい夕食を食べて、一緒に片付けをしてから風呂に入る。新居の風呂は、昔クリスが結婚していた頃に住んでいた時よりもだいぶ広くなっている。檜の香りが心地よい。ニーファと互いに身体や髪を洗いあってから湯船に浸かる。自宅で毎日温泉に浸かれるなんて、すごく贅沢だ。ニーファを後ろから抱き締めて、お湯に浸からないように長い黒髪を結い上げたニーファのうなじに、なんとなくキスをする。クリスは、そのままニーファの裸の肩に顎をのせた。日中はずっと作業をしていたから、そこそこ疲れている。クリスは小さく欠伸をして、自宅の温泉を楽しんだ。
21
あなたにおすすめの小説
やっと退場できるはずだったβの悪役令息。ワンナイトしたらΩになりました。
毒島醜女
BL
目が覚めると、妻であるヒロインを虐げた挙句に彼女の運命の番である皇帝に断罪される最低最低なモラハラDV常習犯の悪役夫、イライ・ロザリンドに転生した。
そんな最期は絶対に避けたいイライはヒーローとヒロインの仲を結ばせつつ、ヒロインと円満に別れる為に策を練った。
彼の努力は実り、主人公たちは結ばれ、イライはお役御免となった。
「これでやっと安心して退場できる」
これまでの自分の努力を労うように酒場で飲んでいたイライは、いい薫りを漂わせる男と意気投合し、彼と一夜を共にしてしまう。
目が覚めると罪悪感に襲われ、すぐさま宿を去っていく。
「これじゃあ原作のイライと変わらないじゃん!」
その後体調不良を訴え、医師に診てもらうととんでもない事を言われたのだった。
「あなた……Ωになっていますよ」
「へ?」
そしてワンナイトをした男がまさかの国の英雄で、まさかまさか求愛し公開プロポーズまでして来て――
オメガバースの世界で運命に導かれる、強引な俺様α×頑張り屋な元悪役令息の元βのΩのラブストーリー。
伝説のS級おじさん、俺の「匂い」がないと発狂して国を滅ぼすらしいい
マンスーン
BL
ギルドの事務職員・三上薫は、ある日、ギルドロビーで発作を起こしかけていた英雄ガルド・ベルンシュタインから抱きしめられ、首筋を猛烈に吸引。「見つけた……俺の酸素……!」と叫び、離れなくなってしまう。
最強おじさん(変態)×ギルドの事務職員(平凡)
世界観が現代日本、異世界ごちゃ混ぜ設定になっております。
臣下が王の乳首を吸って服従の意を示す儀式の話
八億児
BL
架空の国と儀式の、真面目騎士×どスケベビッチ王。
古代アイルランドには臣下が王の乳首を吸って服従の意を示す儀式があったそうで、それはよいものだと思いましたので古代アイルランドとは特に関係なく王の乳首を吸ってもらいました。
乙女ゲームのサポートメガネキャラに転生しました
西楓
BL
乙女ゲームのサポートキャラとして転生した俺は、ヒロインと攻略対象を無事くっつけることが出来るだろうか。どうやらヒロインの様子が違うような。距離の近いヒロインに徐々に不信感を抱く攻略対象。何故か攻略対象が接近してきて…
ほのほのです。
※有難いことに別サイトでその後の話をご希望されました(嬉しい😆)ので追加いたしました。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる