パンストおじさん、異世界でどっぴゅん☆

丸井まー(旧:まー)

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10:『勇者』パンストおじさん

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騎竜で往路よりもゆっくりめに空を飛び、第一王子達は王都へと戻った。魔王を浄化したからだろう。途中で魔物を見かけることはなく、物資補給の為に立ち寄った街や村では、人々の安心したような笑顔で満ち溢れていた。

今日は王城にて魔王討伐の祝賀パーティーが行われる。第一王子は将軍と共に、パンストおじさんが暮らしている離宮へと向かった。
パンストおじさんは王家が管理する1番上等な離宮で過ごしている。魔王討伐から帰還して2週間。漸く事後処理に多少の目処が立った。魔物の襲撃により被害を受けた所の復旧や亡くなった多くの者達の遺族への対応など、やらなければならないことは山積みである。無事に第一王子が帰還したこともあり、父王はこれを機に引退し、第一王子に王位を譲ることを決めた。約半年後には戴冠式が行われる。帰還して早々忙殺される日々を送っていた第一王子は、久しぶりにパンストおじさんと会うことになる。
魔術師長が2日に1度は必ずパンストおじさんに会いに行っているので、報告は毎回聞いている。パンストおじさんは、今は読み書きの練習に精を出しているそうだ。パンストおじさんを元の世界へ戻してやることはできない。元の世界へ戻すだけならなんとかなるかもしれないが、時間軸までこちらで指定して送り返すことは現段階では不可能らしい。その事はパンストおじさんには召喚してすぐに魔術師長が伝えてある。勇者として無事に使命を果たした今、パンストおじさんがこの世界でどう生きていきたいか、聞かねばならない。第一王子はパンストおじさんを召喚した責任がある。どんな生き方を希望するにしても、可能な限り支援し、出来得る限りパンストおじさんの要望に応えるつもりである。

第一王子は将軍と共に離宮の入口に立った。将軍が離宮の入口の扉を開けた。そして静かに閉めた。

「「…………」」


第一王子は目頭を強く押さえた。将軍はガシガシと髪を短く刈っている頭を強く掻いた。


「……殿下」

「我々は何も見なかった」

「そうですね。パンストおじさんと魔術師長が玄関ホールでがっつりヤッてるところなんて見てませんよ。えぇ、見ていませんとも」

「……妖精さんが変態の森に消えてしまった……」

「さらば妖精さん。……あれだけの巨根です。きっと妖精さんも色々悩んでいたのでしょう。歴戦の玄人の女でも厳しい大きさでしたから」

「そうだな……どんな魔物の一物でも受け入れられる変態だ。いや、もしかして私は結果として妖精さんの性癖を歪めてしまったのだろうか……」

「微妙なところですな」


扉に背を向け、ボソボソと将軍と話していると、背後で扉が開く音がした。


「あ、やっぱり第一王子と将軍じゃない。どゅふ!交ざる?今から交ざる?」

「「交ざらない!」」


頭部にパンストのみを着用している全裸のパンストおじさんが、どゅふどゅふと楽しそうに笑っていた。ちなみに、少々ささやかな大きさのパンストおじさんのペニスはがっつり勃起していた。誰だ。読み書きに精を出していると言った奴は。違う精しか出していないだろう。
パンストおじさんの背後から、わたわたと慌てた様子の着衣が乱れた魔術師長が顔を出した。真っ赤な顔で、今にも泣きそうな様子である。


「服っ!とりあえず服を着てくださいっ!」

「どゅふ。いやん!あ、折角だからここで続きしよー。観客もいるしぃ。どゅふふふふっ」

「えっ!」


パンストおじさんが魔術師長にピッタリくっつき、腰を抱いて、いやらしい手つきで魔術師長の股間を撫で回し始めた。顔は真っ赤に染まっているが、明らかに満更でもない様子の魔術師長である。何だこれ。何がどうしてこうなった。
現実逃避も兼ねて第一王子が遠くを見つめていると、将軍がわざとらしく咳払いをした。


「んっんんっ。……その、お2人の関係はどのようなものなのでしょうか」

「こっ!こここここここ恋人ですっ!!」

「「マジか」」

「どゅふふ~!おじさん、照れちゃう!」


恥ずかしそうにもじもじくねくねしながらも、未だに魔術師長の股間をいやらしく撫で回しているパンストおじさん。恥ずかしそうだが、どこか喜んでいるような雰囲気の魔術師長。マジか。
第一王子は死んだ魚とお友達になれそうな濁った目で将軍の方を見た。将軍も目が泳いでいる。あんなに初だった魔術師長は、本当に変態の森へと入り込んでしまったらしい。パンストおじさんが魔術師長のズボンとパンツをずり下ろし、現れたヤバいレベルの魔術師長の巨根を、パンストを鼻のところまでずり上げて口に含んでも、うっとりとした溜め息を吐いて、パンストおじさんの耳のようなパンストの足の部分を指先で弄っているだけである。じゅぼじゅぼと品のない音を立てて、パンストおじさんが魔術師長の勃起したエゲツない巨根を口で愛撫している。第一王子達が目の前にいるのに。いや、むしろ第一王子達がいるからこそ盛り上がっているような雰囲気である。マジか。魔術師長のごん太棍棒を夢中でしゃぶりながら、パンストおじさんが自分でアナルを指で弄っている。
第一王子は自分より少しだけ背が高い将軍をチラッと見上げ、目だけで会話した。

『帰るか』

『帰りましょう』

ここは変態の住処と化している。ここにいるだけで変態が移りそうで怖い。現に、離宮の門や玄関先を護衛している軍人達がパンストおじさんと魔術師長のイチャイチャ?をガン見している。股間が盛り上がっていたり、しれっと勃起したペニスをしこっている者までいる。
第一王子は痛みだした頭を片手で押さえ、低く唸った。キッツい。パンストおじさんの気持ちが悪い変態っぷりには慣れたつもりだったが、これはキツい。
じゅぽっと一際派手な音を立てて、パンストおじさんが魔術師長の勃起ペニスから口を離した。魔術師長のペニスを両手で器用に弄りながら、パンストおじさんが首をひねって顔だけで振り返った。魔術師長は第一王子達を眼中に入れず、愛おしいものでも見るような目で真っ直ぐにパンストおじさんを見下ろして、はぁはぁと荒い息を吐き、時折我慢し切れないかのように小さく喘いでいる。


「改めて久しぶり~。元気してた~?おじさんは見ての通り元気よーん」

「……そのようだな。今日は魔王討伐の祝賀パーティーだ。迎えに来た。それと今後の話をしに来たんだが……」

「あぁ。今ね、おじさん読み書きの練習してるのよ。ちゃんと不自由なく読み書きできるようになったらダーリンの助手をやる予定だよ」

「『ダーリン』?」

「ダーリン」


パンストおじさんが片手を離し、心底嬉しそうな魔術師長を指さした。魔王討伐の旅の間も食事の時しかずらさなかったパンストから覗くパンストおじさんの唇は、楽しそうに弧を描いている。口元に僅かに笑い皺がある。パンストおじさんが魔術師長のペニスの先っぽを指の腹でぐりぐりしながら、どゅふっと小さく微笑んだ。


「おじさんね、元の世界じゃ単なるしがないサラリーマンだったのよ。生きる為に働いているのか、働く為に生きているのかも分かんなくて。たまーに家で1人でパンスト被ったり、アナニーして楽しんでたけどさ。家族とも疎遠になってたし、このまま歳だけとって死ぬんだなって思ってたのよ」

「…………」

「この世界は優しいね。おじさんみたいなのでも、必要としてくれたんだもの」

「パンストおじさん……」

「おじさんを好きだって言ってくれる物好きもここにいるしね。第一王子」

「なんだ」

「ありがとね。おじさんを『勇者』にしてくれて」

「……礼を言うのはこちらの方だろう。パンストおじさん」

「ん?」

「世界を、私達を救ってくれてありがとう。貴方がいなければ皆絶望のまま死んでいた」

「……どゅふっ。なんか照れちゃうね」

「……パンストおじさん」

「んー?」

「頼むから真面目な話をするなら魔術師長のナニを弄るのを止めてくれ。ちょっといい雰囲気が完全に台無しだ」

「どゅふふ……可愛いでしょー!おじさんのダーリン!!優しくてー!気遣いが素敵でー!ちょー優しくてー!その上デカちん!アーンド長持ち!アーンド絶倫!という三拍子揃ったちんぽだし!何よりも!野外で人に見られながらヤルのが1番興奮しちゃうという!可愛いよね!!」

「気持ちが悪い」

「あっ、はっ、ハニーッ!出ちゃ、出ちゃいますっ」

「うんうん。第一王子達に見られて気持ちいいねー。おじさんの口に精液ぴゅっぴゅしよーねー。んむっ」

「はうぁぁぁ!」


魔術師長が自分のペニスを再び口に咥えたパンストおじさんのパンストで覆われた後頭部を両手で押さえ、腰を小刻みに振り、ビクビクッと身体を震わせた。じゅるじゅると啜るような音がする。どうやら魔術師長が射精したようである。本当に魔術師長の性癖は歪んでしまっているみたいだ。

色々台無しである。正直キッツい。第一王子は生涯をかけてパンストおじさんへ恩返ししようと心に決めていた。その決意が揺らぎそうな程、変態共の変態っぷりが気持ちが悪い。
再び目が死んだ第一王子に、将軍が小さく耳打ちしてきた。


「殿下。これはこれで、割れ鍋に綴じ蓋で良い関係なのかと思います」

「……そうだな……本人達が幸せならそれでいいか……」

「はい」


たった今射精した筈なのにまだ勃起しているペニスをパンストおじさんのアナルに突っ込んで腰を振っている魔術師長と、エッグい勃起ペニスを四つん這いになってアナルで受け入れ気持ちよさそうに喘いでいるパンストおじさんを眺めながら、第一王子は思った。

こいつら気持ちが悪い。

心底気持ちが悪いが、2人が楽しそうで幸せそうなので、何も言わないことにした。第一王子が彼らの為にできることは、愛を育む彼らを見守り、いらぬちょっかいをかけようとする輩をこっそり潰し、彼らを出来る限り守ることだ。

魔王が消えても、世界は完全に平和な訳ではない。人間同士の争いなど腐る程ある。
世界を守った『勇者』を守るのは自分の役目だ。
パンストおじさんとは、きっと長い付き合いになる。苦労もあるだろうが、パンストおじさんのブレない変態っぷりに逆に救われることも多いだろう。
第一王子は小さく笑みを浮かべた。


「あんあんっ!!いいっ!さいっこぉぉぉ!イッチゃうぅぅぅん!!みてぇ!!イクとこみてぇぇぇぇ!!」

「はぁはぁはぁ!イキますっ!イキますっ!はずかしいとこ見られてるぅぅぅぅ!!」

「気持ちが悪い」


勇者パンストおじさんは、異世界にて小さな幸せを掴みましたとさ。



(おしまい)


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感想 2

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みんなの感想(2件)

ぼっさん
2023.03.22 ぼっさん

変態だー!!変態だー!!
面白い!!
めっちゃ笑いました!!
妖精さんが汚れちゃったけど、面白い笑

2023.03.24 丸井まー(旧:まー)

感想をありがとうございますっ!!
本当に嬉しいです!!

変態でーす!!
私が書いた作品の中で、一位二位を争うレベルの変態です!(笑)
ツイッターで交流している方が考案されたキャラクターをお借りして、書いております。
パンストおじさん……破壊力があり過ぎて、ものすごく楽しく執筆いたしました!
お楽しみいただけたのでしたら、本当に嬉しいです!!
全力で!ありがとうございます!!

お読みくださり、本当にありがとうございました!!

解除
みあ子
2021.08.17 みあ子

いつも読ませて頂いてます!
パンストおじさんと妖精さんがめちゃくちゃキャラが好きです!
新作楽しみにしております!

2021.08.18 丸井まー(旧:まー)

感想をありがとうございますっ!!
本当に嬉しいです!!

嬉しいお言葉を本当にありがとうございます!!
全力で楽しんだ作品ですので、読んでくださった方に楽しんでいただけることが1番嬉しいです。
連載中のものをチマチマ書きつつ、色んなものに楽しく挑戦していこうと思います!

お読みくださり、本当にありがとうございました!

解除

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