31 / 70
31:Let's Go! 脱毛サロン!
しおりを挟む
数日前まで寒かったのに、急に暑くなってきた。祥平の誕生日まで、あと7日になった。その日は、ダンテの家で、誕生日パーティーを行う予定である。少し気恥ずかしいが、ダンテやドーラ達とわちゃわちゃ一緒に準備をして美味しいものを食べるのは楽しいので、年甲斐もなくワクワクしている。
今日は、ダンテは休みである。寝癖でボサボサの頭のまま朝食をもりもり食べていたダンテが、ボソッと呟いた。
「髭、脱毛しようかなぁ」
「急にどうしたんです?」
「いや、毎日剃るのも面倒で。貴族の男性は髭も脱毛する人が多いし」
「ダンテさんって、体毛無いじゃないですか。脱毛してるんですか?」
「うん。貴族は、基本的に体毛は脱毛するね。私も毛が生え揃った18の時に脱毛したよ。竜騎士も皆、貴族の出だから、全員脱毛してるね」
「へぇー」
「任務の時は、毎日髭を剃れない時もあるし、髭が伸びると、やっぱりだらしないよねぇ」
「そんなもんですか。俺は何がなんでも髭は死守します」
「髭が無いショーヘイもいいと思うけど」
「若く見え過ぎるから嫌なんですよ」
「そっかぁ。……うん。髭、脱毛しよう。あ、ショーヘイも一緒に脱毛サロンに行ってみる? 魔法でやるから、痛くないし、すぐに終わるよ」
「え? どこを脱毛するんです?」
「髭以外? 毛が無い方が意外と楽だよ」
「……風呂場の排水口に溜まる俺のチン毛が無くなるのは、若干魅力的……毛が無いと長く見えるっていうしなぁ。えー。どうしよう」
「何が長く見えるの?」
「ナニ?」
「なに?」
「あれです。男の一生の相棒です」
「あ、あ、あーー。あ、はい」
「一回で済むんですか?」
「うん。一回やっとけば、それからは生えてこないよ」
「脱毛……脱毛かぁ……老後のことを考えたら、ケツ毛は無い方がいい気もするし……介護が必要になった時とか……うん。髭以外は脱毛してみます」
「じゃあ、一緒に行こうか。あ、貴族街にサロンがあるから、今日は貴族の服で行こうね」
「あーー。あのアオザイもどき。まさか、また着ることになるとは……」
「髪は私が弄るよ。あ、帰って着替えたら、床屋にも行く? ショーヘイの髪、結構伸びてきたし、私もそろそろ切りたいから」
「はい。じゃあ、ちゃちゃっと家事を終わらせます」
「私も手伝うよ」
「ありがとうございます」
こうして、祥平は、脱毛サロンへ行くことになった。
ダンテに以前買ってもらった貴族の服を着て、ダンテと腕を組んで歩いて、貴族街にあるという脱毛サロンを目指す。腕を組むと暑いが、対外的には恋人ということにしているので、防御力アップの為である。貴族の情報網はすごいらしく、特に貴族街では、恋人っぽくしておいた方が無難らしい。
いつも通り肩に乗っているピエリーを時折撫でながら、祥平は、落ち着いた店構えの脱毛サロンへと入った。
脱毛サロンの中は、落ち着いた雰囲気の病院みたいな感じだった。アロマオイル的なものを焚いているのか、なんか柔らかいいい匂いがする。店内には、今は祥平達しかいない。
すぐに店員がやって来た。落ち着いた柔らかい物腰の店員に、ダンテが、自分の髭の脱毛と、祥平の体毛の脱毛を頼むと、すぐに店内の奥へと案内された。
其々、個室に別れて入ると、優しそうな初老の男が、祥平に声をかけてきた。
「全身の脱毛でよろしかったですか?」
「髭以外で、お願いします」
「かしこまりました。それでは、服を脱いでいただいてもよろしいでしょうか」
「あ、はい」
祥平は、初老の店員に手伝ってもらって、貴族のアオザイっぽい服を脱いだ。
全裸になると、椅子に座り、初老の店員が、なにかを唱えはじめた。多分、魔法の呪文だろう。初老の店員が、呪文を唱えながら、祥平の腕から撫で下ろし始めた。初老の店員が撫でた部分の毛が、つるりと無くなっている。全然、痛くない。
「おぉー。すごい」
両腕や脇が終われば、臍の周りや下腹部、足をして、最後に立ち上がって尻を撫でられた。指の毛まで、まるっとキレイに無くなっている。自分の腕を触ってみれば、なんかつるつるしていた。ちょっと新鮮である。日本の女子がこの魔法を知ったら、羨ましすぎて発狂するんじゃないだろうか。元カノの、微妙に剃り残しがあった脇とか諸々を思い出して、祥平は、なんとなく可笑しくなって、小さく笑った。
初老の店員に手伝ってもらって、服を着て、個室を出ると、ダンテが廊下で待っていた。ダンテの口周りを見れば、つるっとしている。
「ダンテさん。ダンテさん。見て見て。つるつるー」
「ははっ。痛くなかったし、早かったでしょ?」
「はい。なんか新鮮です」
「終わったし、帰ろうか。この服着てると、肩が凝るんだよねぇ」
「はーい」
ダンテがお会計をしてから、祥平は、ダンテと腕を組んで、脱毛サロンを出た。自分のつるつるすべすべの腕の感触が、地味に楽しい。もしかしたら、一番暑い頃でも、チン毛が無い分、下着の中がむれむれになりにくくなるのではないだろうか。
家に帰って、普段着に着替えると、今度は床屋へ向かう。ダンテがいつも行っている床屋は、庶民向けの所なので、祥平も気軽に行ける。
「暑くなるから、バッサリ切ろうかなぁ」
「前髪も短くしてもらったら? ショーヘイは、おでこが出てる方がいいよ」
「そうですか? じゃあ、本当にバッサリ短くしてもらおう」
「私もバッサリいこうかなぁ。短い方が楽だし」
なんとなくダンテを見上げれば、ダンテが祥平を見下ろして、おっとりと笑った。祥平は、なんとなく、へらっと笑って、すりすり頬擦りしてくるピエリーを撫でた。
床屋に着くと、顔馴染みになってきた禿げた店主に、早速髪を切ってもらった。バッサリ短く! とお願いしたので、本当にバッサリ短く切ってもらった。前髪がかなり短くなって、おでこが殆ど出ている。サイドや後ろを刈り上げてもらったので、頭が随分と軽くなった。隣で店主の息子に髪を切ってもらっていたダンテも、似たような髪型になっていた。こちらの世界でも、散髪したら髪を洗ってくれる。頭皮をマッサージするように洗ってくれる店主のテクニシャンっぷりが最高に気持ちよかった。
髪がサッパリすると、なんだか気分もサッパリ晴れやかになる。床屋から出ると、祥平は、ダンテの腕に腕を絡めて、ダンテを見上げた。
「ダンテさん。中央広場に行きません? いい感じにサッパリしたんで、美味いもの食いたいです」
「いいねぇ。美味しいものを食べに行こう」
「ピエリーちゃんも一緒に食べようね」
「ぴるるるっ!」
ピエリーが、祥平の肩から飛び上がって、頭の上に乗った。不思議とそんなに重くないので、祥平は、ピエリーを頭の上に乗せたまま、ダンテと一緒に歩き始めた。
ダンテが買った串焼きを一口貰い、もぐもぐ咀嚼しながら、何気なく周りを見れば、綿菓子っぽいものが目に入った。祥平は、ごくんと飲み込んでから、幸せオーラを纏いながら串焼きを食べているダンテに声をかけた。
「ダンテさん。あれ、なんですか?」
「どれ? あぁ。雲菓子だね。食べてみる? 甘くて美味しいよ」
「はい。俺の故郷にも、似たようなものがありました。綿菓子っていうんですけど」
「へぇー。味も似てるのかな?」
「さぁ?」
ダンテが買ってくれた雲菓子は、うっすらリーンの香りがして、口の中に入れると、ふわっと消えて無くなった。大学時代に付き合っていた彼女が、綿菓子が好きで、祭りに行くと、いつも買って、一緒に食べていた。どこか懐かしい味に、祥平は目を細めた。
「んまいです」
「うん。美味しいね。次は何を食べようか」
「魚系がいいです」
「いいねぇ。今の時期に美味しいのは、アリャンテかなぁ。ミーミルの実を振って焼いたのが一番美味しいよ」
「それで!」
「うん。じゃあ、買いに行こう」
祥平は、満腹になるまで、のんびりとダンテと買い食いを楽しんだ。ダンテは美味しいものをいっぱい知っている。ダンテと一緒に食べると、美味しいし、楽しい。
満腹になったら、2人で市場に寄り、今夜の夕食の材料を買ってから、家に帰った。
今日は、ダンテは休みである。寝癖でボサボサの頭のまま朝食をもりもり食べていたダンテが、ボソッと呟いた。
「髭、脱毛しようかなぁ」
「急にどうしたんです?」
「いや、毎日剃るのも面倒で。貴族の男性は髭も脱毛する人が多いし」
「ダンテさんって、体毛無いじゃないですか。脱毛してるんですか?」
「うん。貴族は、基本的に体毛は脱毛するね。私も毛が生え揃った18の時に脱毛したよ。竜騎士も皆、貴族の出だから、全員脱毛してるね」
「へぇー」
「任務の時は、毎日髭を剃れない時もあるし、髭が伸びると、やっぱりだらしないよねぇ」
「そんなもんですか。俺は何がなんでも髭は死守します」
「髭が無いショーヘイもいいと思うけど」
「若く見え過ぎるから嫌なんですよ」
「そっかぁ。……うん。髭、脱毛しよう。あ、ショーヘイも一緒に脱毛サロンに行ってみる? 魔法でやるから、痛くないし、すぐに終わるよ」
「え? どこを脱毛するんです?」
「髭以外? 毛が無い方が意外と楽だよ」
「……風呂場の排水口に溜まる俺のチン毛が無くなるのは、若干魅力的……毛が無いと長く見えるっていうしなぁ。えー。どうしよう」
「何が長く見えるの?」
「ナニ?」
「なに?」
「あれです。男の一生の相棒です」
「あ、あ、あーー。あ、はい」
「一回で済むんですか?」
「うん。一回やっとけば、それからは生えてこないよ」
「脱毛……脱毛かぁ……老後のことを考えたら、ケツ毛は無い方がいい気もするし……介護が必要になった時とか……うん。髭以外は脱毛してみます」
「じゃあ、一緒に行こうか。あ、貴族街にサロンがあるから、今日は貴族の服で行こうね」
「あーー。あのアオザイもどき。まさか、また着ることになるとは……」
「髪は私が弄るよ。あ、帰って着替えたら、床屋にも行く? ショーヘイの髪、結構伸びてきたし、私もそろそろ切りたいから」
「はい。じゃあ、ちゃちゃっと家事を終わらせます」
「私も手伝うよ」
「ありがとうございます」
こうして、祥平は、脱毛サロンへ行くことになった。
ダンテに以前買ってもらった貴族の服を着て、ダンテと腕を組んで歩いて、貴族街にあるという脱毛サロンを目指す。腕を組むと暑いが、対外的には恋人ということにしているので、防御力アップの為である。貴族の情報網はすごいらしく、特に貴族街では、恋人っぽくしておいた方が無難らしい。
いつも通り肩に乗っているピエリーを時折撫でながら、祥平は、落ち着いた店構えの脱毛サロンへと入った。
脱毛サロンの中は、落ち着いた雰囲気の病院みたいな感じだった。アロマオイル的なものを焚いているのか、なんか柔らかいいい匂いがする。店内には、今は祥平達しかいない。
すぐに店員がやって来た。落ち着いた柔らかい物腰の店員に、ダンテが、自分の髭の脱毛と、祥平の体毛の脱毛を頼むと、すぐに店内の奥へと案内された。
其々、個室に別れて入ると、優しそうな初老の男が、祥平に声をかけてきた。
「全身の脱毛でよろしかったですか?」
「髭以外で、お願いします」
「かしこまりました。それでは、服を脱いでいただいてもよろしいでしょうか」
「あ、はい」
祥平は、初老の店員に手伝ってもらって、貴族のアオザイっぽい服を脱いだ。
全裸になると、椅子に座り、初老の店員が、なにかを唱えはじめた。多分、魔法の呪文だろう。初老の店員が、呪文を唱えながら、祥平の腕から撫で下ろし始めた。初老の店員が撫でた部分の毛が、つるりと無くなっている。全然、痛くない。
「おぉー。すごい」
両腕や脇が終われば、臍の周りや下腹部、足をして、最後に立ち上がって尻を撫でられた。指の毛まで、まるっとキレイに無くなっている。自分の腕を触ってみれば、なんかつるつるしていた。ちょっと新鮮である。日本の女子がこの魔法を知ったら、羨ましすぎて発狂するんじゃないだろうか。元カノの、微妙に剃り残しがあった脇とか諸々を思い出して、祥平は、なんとなく可笑しくなって、小さく笑った。
初老の店員に手伝ってもらって、服を着て、個室を出ると、ダンテが廊下で待っていた。ダンテの口周りを見れば、つるっとしている。
「ダンテさん。ダンテさん。見て見て。つるつるー」
「ははっ。痛くなかったし、早かったでしょ?」
「はい。なんか新鮮です」
「終わったし、帰ろうか。この服着てると、肩が凝るんだよねぇ」
「はーい」
ダンテがお会計をしてから、祥平は、ダンテと腕を組んで、脱毛サロンを出た。自分のつるつるすべすべの腕の感触が、地味に楽しい。もしかしたら、一番暑い頃でも、チン毛が無い分、下着の中がむれむれになりにくくなるのではないだろうか。
家に帰って、普段着に着替えると、今度は床屋へ向かう。ダンテがいつも行っている床屋は、庶民向けの所なので、祥平も気軽に行ける。
「暑くなるから、バッサリ切ろうかなぁ」
「前髪も短くしてもらったら? ショーヘイは、おでこが出てる方がいいよ」
「そうですか? じゃあ、本当にバッサリ短くしてもらおう」
「私もバッサリいこうかなぁ。短い方が楽だし」
なんとなくダンテを見上げれば、ダンテが祥平を見下ろして、おっとりと笑った。祥平は、なんとなく、へらっと笑って、すりすり頬擦りしてくるピエリーを撫でた。
床屋に着くと、顔馴染みになってきた禿げた店主に、早速髪を切ってもらった。バッサリ短く! とお願いしたので、本当にバッサリ短く切ってもらった。前髪がかなり短くなって、おでこが殆ど出ている。サイドや後ろを刈り上げてもらったので、頭が随分と軽くなった。隣で店主の息子に髪を切ってもらっていたダンテも、似たような髪型になっていた。こちらの世界でも、散髪したら髪を洗ってくれる。頭皮をマッサージするように洗ってくれる店主のテクニシャンっぷりが最高に気持ちよかった。
髪がサッパリすると、なんだか気分もサッパリ晴れやかになる。床屋から出ると、祥平は、ダンテの腕に腕を絡めて、ダンテを見上げた。
「ダンテさん。中央広場に行きません? いい感じにサッパリしたんで、美味いもの食いたいです」
「いいねぇ。美味しいものを食べに行こう」
「ピエリーちゃんも一緒に食べようね」
「ぴるるるっ!」
ピエリーが、祥平の肩から飛び上がって、頭の上に乗った。不思議とそんなに重くないので、祥平は、ピエリーを頭の上に乗せたまま、ダンテと一緒に歩き始めた。
ダンテが買った串焼きを一口貰い、もぐもぐ咀嚼しながら、何気なく周りを見れば、綿菓子っぽいものが目に入った。祥平は、ごくんと飲み込んでから、幸せオーラを纏いながら串焼きを食べているダンテに声をかけた。
「ダンテさん。あれ、なんですか?」
「どれ? あぁ。雲菓子だね。食べてみる? 甘くて美味しいよ」
「はい。俺の故郷にも、似たようなものがありました。綿菓子っていうんですけど」
「へぇー。味も似てるのかな?」
「さぁ?」
ダンテが買ってくれた雲菓子は、うっすらリーンの香りがして、口の中に入れると、ふわっと消えて無くなった。大学時代に付き合っていた彼女が、綿菓子が好きで、祭りに行くと、いつも買って、一緒に食べていた。どこか懐かしい味に、祥平は目を細めた。
「んまいです」
「うん。美味しいね。次は何を食べようか」
「魚系がいいです」
「いいねぇ。今の時期に美味しいのは、アリャンテかなぁ。ミーミルの実を振って焼いたのが一番美味しいよ」
「それで!」
「うん。じゃあ、買いに行こう」
祥平は、満腹になるまで、のんびりとダンテと買い食いを楽しんだ。ダンテは美味しいものをいっぱい知っている。ダンテと一緒に食べると、美味しいし、楽しい。
満腹になったら、2人で市場に寄り、今夜の夕食の材料を買ってから、家に帰った。
応援ありがとうございます!
109
お気に入りに追加
655
1 / 5
この作品を読んでいる人はこんな作品も読んでいます!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる