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55:のんびりお話し合い

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 祥平は、ミミーナが帰っていくのをダンテと一緒に見送ると、すりすりと頬に擦りついてくるピエリーを優しく撫でた。すぐ隣に立つダンテを見上げて、祥平は、問いかけた。


「ダンテさん。晩飯、どうします? まだちょっと早いですよね」

「んー。でも、やっぱり出来たてが一番美味しいよね。お腹空いたし、今日は早めに食べない?」

「いいですよー。時間に余裕があるから、今日はお風呂も早めにして、のんびりお茶でも飲みながら、今後の話でもしますか」

「うん」

「あ、ダンテさん」

「ん?」

「一緒にお風呂に入ります?」


 祥平が、にまーっと笑ってそう言うと、ダンテの顔がぼっと真っ赤になり、高速で首を横に振った。ちょっと残念である。セックス本番は、まだまだ先だが、昨夜のようなイチャイチャは、どれだけしても構わない。初なチェリーボーイは可愛いが、ちょっとお堅い。そこも可愛いと思うのだが。なんだか、いきなり自分の脳みそが、恋愛モードになっちゃってる気がする。じわじわと時間をかけて築き上げた信頼関係が根幹にあるので、これはこれでよしとする。

 祥平は、肩に乗っていたピエリーを頭に乗せると、ダンテと手を繋いで、台所に向かった。

 ミミーナから習いながら一緒に作った夕食は、今日も大変美味しかった。2人とも風呂に入った後。今は、ラーリオ茶を淹れて、居間のソファーに座り、まったりとしている。ダンテの家の居間には、結構大きなソファーが二つある。ソファーの間にはローテーブルもある。普段は、洗濯物を畳む時にしか使っていない。食事もおやつも他に何かする時も、いつもテーブルの椅子に座ってやっている。

 初めて、2人並んでくっついてソファーに座ると、なんとなく気恥ずかしくて、ちょっと落ち着かない。祥平は、太腿の上でごろりんちょしているピエリーをやんわり撫で回しながら、温かいラーリオ茶を口に含んだ。


「ショーヘイ。婚約記念パーティーと、結婚式はいつ頃しようか。先にそっちを決めておかないと、他の事の日程が決められないから」

「そうですねぇ。うーん。次の任務っていつ頃ですか?」

「予定通りなら、一ヶ月後に20日くらいの任務に出るね」

「じゃあ、婚約記念パーティーは、ダンテさんの任務前にしません? 気楽な身内だけの楽しいパーティーですし。結婚式は、準備もあるし……三ヶ月後くらい? あ、でも、それだと年越しの日が近いから、バタバタになるかな」

「年越しの日の前には結婚したいから、二ヶ月半先はどうかな?」

「あぁ。それなら、ちょっと余裕もありますね。結婚式の衣装はどうします? 一応、ちゃんとしたお互いの色のものは持ってますけど」

「ん? 一から作らせるよ? だって、一生に一度の事だし」

「マジっすか」

「うん。格好いいショーヘイが見たいから。ショーヘイ。結婚式まで、ちょっと髪を伸ばさない? 前髪を後ろに撫でつけた方が格好いいよ」

「めっちゃ伸ばします」

「やった。婚約記念パーティーの時の服は、この休みの間に一緒に買いに行こうか。気張りすぎない程度に、ちょっとお洒落しようよ」

「いいですねー。ミミーナさん達と、パーティーの料理を考えなきゃですね。あ、結婚式って神殿でやる感じですよね。パーティーの料理はどうします?」

「離れの料理長達に頼むよ。料理長の料理は、飛び切り美味しいから」

「確かに。お祖父ちゃん達の結婚式の時の料理、最高過ぎましたからね。……ご両親とかご兄弟も結婚式に呼びます? 一応」

「呼ばなくていいんじゃない? 面倒な事は早めに済ませよう。遅くとも、結婚記念パーティーまでには、私の実家に行って、縁を切る宣言をしちゃおうか」

「それがいいですね。ごちゃごちゃ口を出されても面倒ですし。俺的には、ダンテさんがいてくれたら、それで十分ですから。お祖父ちゃん達やドーラちゃん達もいますしね。俺達の結婚を素直に喜んでくれる人だけを招待しましょうか」

「うん。それがいいと思う。あ、私の職場の人達は呼ばないとマズいなぁ。少なくとも、お世話になってる上司と部下達は呼ばなきゃ」

「それはそうですね。現役で働いてますし。職場の人を誰も呼ばないのは常識的に駄目駄目です。身内だけの結婚式ーって感じにしてもいいけど、俺も一応、挨拶くらいはしときたいんで。だって、いつも背中を預けあってる仲間なんでしょ?」

「うん。ありがとう。説明しなくても理解してもらえて助かるよ」

「いえいえ。推測が殆どですけど。えーと、今のところを整理すると、その一、この連休中に婚約記念パーティーの服を買いに行く。その二、婚約記念パーティー前に、ダンテさんのご両親に絶縁宣言をする。その三、一ヶ月後に婚約記念パーティーをする。その四、二ヶ月半後に結婚式。こんな感じですかね」

「連休中に、結婚式用の衣装を注文しに行こうか。早めの方がいいから」

「なるほど。じゃあ、明日にでも行きます? 明日は、午前中のうちに、皆に日程予定を知らせて、午後から、あの別世界高級服飾店に行くのはどうです?」

「いいんじゃないかな。離れの料理長には、連休中に手紙を書いておくよ。あとはー、私の両親に、具体的にいつ会いに行くかだね」

「んー。まぁ、方向性というか、作戦は決まってるので、俺は、いつでも大丈夫ですよ。ダンテさんの連休って、今回は何日です?」

「7日だね」

「明日は予定ができたから……明後日くらいはどうです? 明日のうちに手紙でも出しとけば大丈夫なんじゃないですか? もっとゆとりをもたせた方がいいです?」

「サクッと終わらせたいから、明後日で大丈夫。今夜のうちに手紙を書いて、明日の朝一で郵便屋に頼んでくるよ」

「じゃあ、お願いします。奇襲じみてるけど、向こうが変に対策する前に勝負をつけたいですし、ちょうどいいですね」

「うん。見世物になるのは絶対に嫌だしね」

「それは嫌ですねー。社交界に出るとか、心臓と胃がいくつあっても足りないですよ」

「あ、明日、結婚式の服を注文しに行くついでに、招待状用の便箋と封筒も買わないと。呼ぶ人は割と少ないけど、早めに始めないと、招待客側の準備もあるし」

「あ、ですね。……俺の字、今すぐキレイにならないかな……」

「あはは。まぁ、ちょっと癖があるくらいが、ショーヘイの字って分かりやすくていいじゃない」

「フォローありがとうございます。あと、今の時点で決めておくことってあります?」

「えー? 特に思いつかないなぁ。……というか、小腹が空いてきた」

「ありゃま。今食べたら太りますよ」

「だーよーねー。うぅ……我慢します……」

「美味しくないものなら飲んでも大丈夫ですよ」

「美味しくないもの?」

「はっはっは。とりあえず今後の方針が決まったじゃないですか」

「うん」

「ということで、イチャイチャしましょう。イチャイチャ」

「今日もするの!?」

「俺はしたいです! だって、楽しいし!」

「で、でも、あの、まだ、結婚前だし……」

「めちゃくちゃ今更じゃないですか。昨日もいっぱいイチャイチャしたし」

「そ、そうだけどね……?」

「……あ。ある意味、一番大事なやらなきゃいけないこと忘れてました」

「え? 他に何かあった?」

「俺の尻の拡張」

「か、かくちょう」

「ダンテさんのちんちん、デカ過ぎて、間違いなく入らないですし。ちんちんっていうか、もはや棍棒じゃないですか。竜騎士って、股間にも武器を装備しないといけない感じなんです?」

「……違います。……その、私の、その、アレは、どちらかと言えば、その、あの、ち、小さい方なんだけど……」
 
「うっそ。マジか。こっちの世界の人やべぇ。こっわ!!」

「……そもそも、私と祥平は体格差が大きいので……その、大きく感じるだけかと……」

「へぇー。棍棒くらいでよかったです。これが大剣レベルだったら、間違いなくセックスしないですもん」

「あ、はい」

「ダンテさん。ダンテさん。俺としては、結婚するなら、セックスもしたいんですよ。受け入れる側の負担が大きいらしいので、俺じゃダンテさんのお世話は難しいから、抱かれて、ダンテさんにお世話される気満々なんですけど、ダンテさんはどうしたいです?」

「……そ、その、あの、で、できたら……ショーヘイを、あの、抱きたい……です……」

「ダンテさん。顔が赤過ぎてやべぇですよ。大丈夫ですか。とりあえずお茶を飲んで、ちょっと落ち着いてください」

「あ、うん。うぅ……恥ずかしいというか、情けないというか……」

「そんなダンテさんも可愛いから、俺的には問題無いですね」

「ありがとう?」


 祥平は、真っ赤な顔でお茶を飲むダンテの手を握った。ダンテも、手を握り返してくれる。指を絡めて、祥平は、ちょっと照れくさくて、誤魔化すように、ダンテを見つめながら、へらっと笑った。


「お茶、飲み終わったら、まずはイチャイチャしましょうか」

「う、うん」

「拡張に関しては、ダンテさんのご両親との闘いが終わった後でということで。憂いを無くしてスッキリした状態で、2人で頑張りましょ」

「うん。ショーヘイ」

「はい?」

「格好いいね」

「ふはっ! 照れます!」


 ダンテが飲み終わったマグカップをローテーブルの上に置いたので、祥平は、ダンテの名前を呼んで、こちらを向いたダンテの唇に触れるだけのキスをした。

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