いつか、木漏れ日の中でキスを

丸井まー(旧:まー)

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2:吐きそうな程苦しくて愛おしい

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 エーベルハルトは、後ろ手に両手をつき、ゆっくりと身体全体で上下に動き始めた。腸壁でヘルマンのペニスを揉みこむようなイメージで腰をくねらせれば、腹の中のヘルマンのペニスが、微かにピクッと震えた。
 ヘルマンの顔を見れば、ぐっすり眠っている。ヘルマンに愛されている訳ではないのに、こうして腹の中にヘルマンの大きな硬いペニスを咥えこんでいると、まるでヘルマンに愛してもらえているかのように錯覚してしまう。そんな自分が気持ち悪くて、ヘルマンの意思を無視してヘルマンを犯している自分が吐きそうな程、嫌いだ。

 エーベルハルトは、徐々に腰の動きを速めていき、腹の奥深く、当たると強烈な痛みと快感に襲われるところに、ヘルマンのペニスの先っぽを強く当てていった。身体の中を暴れまわっている快感と興奮が、今にも弾け飛びそうだ。
 エーベルハルトは、片手で自分の身体を支えながら、自分のペニスに手を伸ばした。
 ヘルマンのペニスをアナルで締めつけ、扱きながら、自分のペニスをめちゃくちゃに扱く。


「~~~~っ! ぅ、ぁ……」


 エーベルハルトは、声を出さないように、下唇を噛み締めて、きゅっとキツくアナルでヘルマンのペニスを締めつけながら、思いっきり精液を飛ばした。エーベルハルトの精液が、ヘルマンの身体を汚していく。その様が、酷くいやらしくて、酷く汚らわしい。エーベルハルトの腹の中で、ヘルマンのペニスが微かにピクピクと震えている。ヘルマンがエーベルハルトの中で射精している。そのことに、薄暗い歓喜を覚える。

 エーベルハルトは、ぶるっと身体を震わせて、ゆるゆると腰を揺すって、ヘルマンのペニスから精液を搾り取った。ゆっくりと腰を上げ、ヘルマンの萎えたペニスを引き抜くと、ヘルマンの精液を漏らさないように、きゅっとアナルに力を込める。
 そのまま、ヘルマンの腹や下腹部についた自分の精液を舐め取って、キレイにする。エーベルハルトは、ベッドから下りて、紙袋の中から、濡れタオルを取り出した。ヘルマンの身体をキレイに拭い、掛け布団をかけてやる。ヘルマンの顔を見下ろせば、ヘルマンは、まだぐっすり眠っている。急速に込み上げてくる吐き気を堪えながら、エーベルハルトは、ヘルマンの頬にキスをして、服を着て、静かに部屋を出た。

 針金を使って、ヘルマンの部屋の鍵をかけると、足早に自分の部屋へと戻る。自分の部屋に着いた途端、エーベルハルトは、トイレに駆け込んだ。便器に向かって吐瀉物を吐き散らかしながら、エーベルハルトは、ズボンと下着をずり下げ、自分のアナルに指を突っ込み、アナルの中を掻き回した。ずるぅっと自分のアナルから指を引き抜き、指についた白いヘルマンの精液をじっと見つめる。ヘルマンに中出しされたという事実だけで、エーベルハルトのペニスは、また勃起した。

 ヘルマンの精液を自分のペニスに塗り込むように、めちゃくちゃに自分のペニスを扱き始める。すぐに限界がきて、エーベルハルトは便器に向かって射精した。
 はぁ、はぁ、と荒い息を吐きながら、また込み上げてきた吐き気に抗うことなく、げぇげぇと胃液を吐き出す。いつもこうだ。実際に吐いてしまう程、酷く罪悪感を覚えながらも、ヘルマンを犯すことをやめられない。

 エーベルハルトは、口元を手で拭いながら、ぼたぼたと涙を零した。ヘルマンのことが好きで好きで堪らない。「好き」だということを免罪符に、頻繁にヘルマンを犯している。そんな自分が大嫌いだが、一度、ヘルマンの熱と硬さを知ってしまったら、やめることができなくなった。ヘルマンの精液を腹の中で受け止めると、まるでヘルマンに愛されているような気になる。そんな訳ないのに。
 エーベルハルトは、トイレの水を流し、のろのろと立ち上がった。シャワー室に行き、冷たい水を頭から浴びる。熱をもったままのアナルに指を突っ込んで、ヘルマンの精液を全て掻き出す。自分が女だったらよかったのに。そうしたら、きっと今頃、ヘルマンの子供を孕んで、ひっそりとヘルマンの近くから去ることができただろうに。ただ、ヘルマンを犯した思い出だけでは、ヘルマンから離れて生きるには辛すぎる。かといって、このまま、ヘルマンを無理矢理犯すことを続ける訳にもいかない。今回でやめなければ……そう思うのに、いつまで経ってもやめることができない。
 エーベルハルトは、罪悪感と後悔でしくしく痛む胃のあたりを擦りながら、冷えきった身体でシャワー室を出た。きっと今夜も眠れない。ヘルマンの熱を感じた身体が更に疼く。ヘルマンに愛されたい。ヘルマンと手を繋いで、キスをして、熱を分け合えたら、どんなに幸せだろう。エーベルハルトは、裸のままベッドに上がり、眠れない夜を過ごした。



ーーーーーー
 エーベルハルトは、田舎の小さな町で生まれ育った。自分が男にしか興味が持てないと自覚したのは、十代前半の頃である。男友達と近くの森で川遊びをする時は、友達の裸にドキドキしたし、連れションする時も、友達のペニスを見て、ムラムラした。友達が女の子の話をしたり、春画本をこっそり持って見せてきても、なんの興味も起きなかった。春画本の中身よりも、春画本を眺めて股間を膨らませている友達の方が、余程いやらしいと感じた。

 男同士で恋人になるなんて、聞いたことがない。自分はどこかおかしいのだと、エーベルハルトは思った。都会に行けば、もしかしたら、自分と同じような男がいるかもしれないと期待を抱いて、エーベルハルトは両親の反対を押し切り、軍に入った。軍に入った後、数は少ないけれど、男同士で性欲を発散させたり、男同士で恋人になったりする者がいると耳にした。しかし、実際にそういう者達と会ったことはない。周りの者は皆、女と恋人になったり、結婚したりしている。独り身の者も、娼館に行って女を買っている。
 エーベルハルトも、仲がいい同期や部下から、一緒に娼館に遊びに行こうと誘われるが、行ったことは一度も無い。娼館に行ったところで、エーベルハルトは女には勃起しないから、何の意味もない。

 ヘルマンのことを好きだと自覚したのは、3年前だ。最初は、単なる憧れだった。ヘルマンは人一倍格好良くて、厳しいけど、部下のことをしっかり見ていてくれて、カラッとした性格で冗談も分かる、男が憧れる男という感じだった。エーベルハルトは、上官として、ヘルマンのことを慕っていた。
 それが性欲も伴う恋情になったのは、いつなのかは自分でも分からない。ただ、気づいたら、ヘルマンのことが好きになっていた。自覚したのは、ヘルマンの夢をみて、夢精したからだ。夢の中で、ヘルマンはエーベルハルトのことを愛してくれた。2人で淫らなことをする夢をみて、夢精して、エーベルハルトは、そういう意味でヘルマンのことが好きなのだと自覚した。

 初めてヘルマンを犯したのは、1年前のことだ。気紛れに入った古本屋で、男同士でセックスをする方法が載っている本を見つけた。エーベルハルトは、他のカムフラージュ用の本と共に、その本を買った。帰ってから、その本を熟読して、勢いのままに、花街にあると聞いていたいかがわしいものが売っているという店に行き、ローションと自分でアナルを開発する為の張り型を買った。トイレでちらっと見たことがあるヘルマンのペニスは、萎えていても大きかったから、3ヶ月程かけて、自分のアナルを拡張した。睡眠薬は、街の薬屋で、不眠に悩んでいるという口実で手に入れた。
 初めてヘルマンを犯した日は、愛されているみたいで嬉しくて、そんな自分が気持ち悪くて、ヘルマンに申し訳なくて、帰ってから、朝までずっとトイレに篭って、吐きながら泣いた。

 もういっそのこと、ヘルマンにバレて、断罪して欲しい。そうしないと、いつまで経っても、ヘルマンを犯すことをやめられない。ヘルマンの側から去ることができない。
 エーベルハルトは、眠れぬ夜を過ごしてから、今日も何食わぬ顔で出勤した。

 
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