教授と助手の楽しい性活

丸井まー(旧:まー)

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17:ぶっちゃけトーク

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 慌ただしい日々をなんとか乗り越え、20日間の冬季休暇に入った。マチューは、魔術理論学会で、なんとか無事に発表を終えた。他の教授や研究者達からも、『面白い研究だ』と言ってもらえた。俄然、やる気が出るというものである。
 マチューは、冬季休暇前の試験の準備をするアベルを手伝ったり、試験後の採点を手伝ったりしながら、こつこつと個人研究を進めていた。来年あたりには、ちゃんとした形になるといい。

 マチューとアベルは、未だに恋人(お試しコース)のままだ。休みの日はデートに行くし、手を繋いだり、おやすみのちゅーくらいはしている。が、それだけだ。
 アベルは、本当に、お互いに愛が育まれないと、セックスをする気がないらしい。マチューとしては、たまにアベルを見ていると、ムラッとすることもあるし、アベルのことは大好きだし、別にセックスをしてもいいかなぁと思っている。
 マチューは、アベルが大好きだ。細かいことにまで気を配ってくれて、いつだって、マチューを手助けして、応援してくれている。本格的に寒くなってくると、夜に、アベルが温かいミルクを差し入れしてくれるようになった。『根を詰め過ぎちゃ駄目だよー』と、穏やかに笑って、頭を優しく撫でてくれる。少し気恥ずかしくて、かなり嬉しい。
 最近では、アベルがいない生活を、上手く想像できなくなってきた。それくらい、アベルが一緒にいてくれるのが当たり前になっている。このまま、ずっと一緒に暮らしたいし、アベルの老後の面倒もみる気満々である。これは、もはや愛といってもいいのではないだろうか。
 そもそも、『愛』ってなんだ。『愛』が、大事に慈しみたいものに対する思いであるのなら、マチューがアベルに対して抱いているのは、恐らく愛である。ついでに、アベルに性的魅力も感じている。ちょっと弛んだ小さめの尻とか、正直かなりグッとくるものがある。
 マチューは、数日悩んで、自分はアベルを愛していると結論付けた。
 アベルは、マチューのことをどう思っているのだろうか。好かれてはいると思う。だが、それがマチューと同じ『好き』なのかは分からない。
 マチューは、アベルと腹を割って話そうと決めた。

 冬季休暇3日目の夜。
 マチューは、風呂から上がった後に、アベルに爪をやすりで削ってもらっていた。アベルが、『爪伸びてるから、おいでー』と言って、爪削り用のヤスリを取り出してきた。マチューは、照れくさかったが、同時に嬉しかったので、アベルに爪削りをお願いした。
 シャッ、シャッ、と微かに爪を削る音が静かな室内に響いている。ぶっちゃけ話をするならば、今ではないだろうか。
 マチューは、アベルに爪を削ってもらながら、小さく深呼吸をして、口を開いた。


「教授」

「んー? 痛い?」

「いえ、大丈夫です。えっと、その……ぶっちゃけ話をしませんか?」

「え? 何をぶっちゃけるの? 君の性癖?」

「僕の性癖はどうでもいいです。そうじゃなくて……その……あの……僕は教授が好きです」

「僕もマチュー君が好きだよ」

「その、えっと、れっ! 恋愛感情の意味で、教授が好きです!」


 ピタッとアベルが固まり、驚いたような顔で、マチューを見た。顔がどんどん熱くなっていく感覚がする。マチューが、じっとアベルの穏やかな色合いの茶色の瞳を見つめていると、じわじわとアベルの皺がある目尻が淡く赤く染まり始めた。


「君、僕が好きなの?」

「はい」

「僕とセックスしたいの?」

「めちゃくちゃしたいです」

「マジか」

「マジです」

「僕みたいな尻軽野郎のおっさんのどこがいいのさ」

「教授は優しくて、側にいると温かくて、一緒に何かをするのが、すごく楽しいです。もう、教授と一緒じゃない生活が想像できないくらい、教授は僕の中にいます」

「そ、そう……」


 アベルが、じわじわと顔全体を赤く染めて、目を泳がせた。暫しの沈黙の後で、アベルがボソッと呟いた。


「僕も君がいるのが当たり前になってるよ。セックス無しでも、君といると楽しくて温かい。いや、セックスはめちゃくちゃしたいんだけど。ぶっちゃけ、今もムラムラしてるし」

「教授。僕、頑張って教授を満足させます。だから、僕以外とセックスしちゃ嫌です。僕以外とセックスしたら、本気泣きします」

「……君を泣かせる訳にはいかないなぁ。僕ぁ、筋金入りのド淫乱だよ。それでもいいのかい?」

「はい。そこも含めて、教授なんで。僕はまだ殆ど童貞ですけど、頑張って教授を満足させます。だから、その……教授を見送る日まで、ずっと教授の側にいたいです」

「今更だけど、年の差がエグいよね。僕達。本当にいいのかい?」

「はい。老後のお世話は任せてください」

「僕はこれから、皺くちゃの爺になるだけだよ?」

「皺くちゃのお爺ちゃんになっても、教授は可愛くて格好いいままな気がします」

「そ、そうかな?」

「そうです。教授」

「う、うん」

「腹を括ってください。僕は教授を逃してやる気はないです。多分、最初で最後の恋なんです」

「重いなっ!?」

「出会った時から、ずっと教授のことが好きでした。今の『好き』とは違う『好き』でしたけど、教授がいてくれたから、今の僕があるんです。そりゃあ、重くもなりますよ。だって、好きなんですもん。筋金入りの教授好きですよ。僕」

「年季入ってるなぁ……うーん……よし。僕も男だ。惚れさせちゃった責任はきっちりとろうじゃないか。……と言いつつ、まぁ、僕も君のことが好きなんだけどね。だって、しょうがないじゃないか。君はいつだって真っ直ぐで、一生懸命で、可愛くて、思わず応援したくなっちゃうんだもの」

「教授。頑張って、1日でも早く、研究者として教授の隣に立てるようになるので、一緒に残りの人生を歩んでください」

「そんなに急いで頑張らなくてもいいよ。僕の人生は君のものだ。君の人生は僕のものだ。……あ、でも、一つだけ約束してくれないかな」

「約束?」

「僕は必ず君を置いて逝く。だから、僕が逝った後は、必ず誰かに恋をしてよ。そして、その人と一緒にいて。一人っきりで寂しい思いをしないでよ。君の隣は僕の居場所だけど、反対側は別の誰かにあげる」

「……その約束、あんまりしたくないです」

「約束してくれなきゃ、本当の恋人にはならないよ」

「……ずるいですよ」

「大人って、ずるい生き物なんだよ」

「……分かりました。約束、します。でも、教授を見送るその日までは、ずっと教授だけを見ています。長生きさせるんで、教授も頑張ってください」

「うん。頑張って長生きして、笑って君に見送ってもらうよ」

「はい。……あの、キスしてもいいですか?」

「勿論」


 マチューは、目尻や頬が赤いアベルの顔に顔を寄せ、アベルの唇に触れるだけのキスをした。こつんと額をくっつけて、至近距離で目を合わせると、アベルの瞳が優しい色を浮かべた。


「君のことを全力で愛そう。僕がふらふらしてたら、全力でお尻を叩いていいからね」

「はい。全力でぶっ叩きます」

「あ、ごめん。訂正。できたら、優しくお尻ぺんぺんで」

「布団叩きを使って全力お尻ぺんぺんしますね」

「それ絶対痛いやつじゃない!」

「僕だけを見てくれてたら、いいだけの話ですよ」

「それもそうか。マチュー君」

「はい」

「ムラムラしてます」

「僕もムラムラしてます」

「……ベッド行く?」

「はい。教授。いやらしいこと、教えてください」

「グッとくる台詞だなぁ。ヤバい。ちんこ勃っちゃった」

「あはっ! 僕も勃ちそうです」


 マチューは、アベルと目を合わせて、同時に吹き出した。
 もう一度、触れるだけのキスをして、マチューはアベルと手を繋いで、ソファーから立ち上がった。

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