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男の身体
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カミロは喉の渇きで目が覚めた。目を開けると部屋の壁しか見えない。背中の方がやけに熱い。寝転がったまま後ろを振り向くと、カミロの真横で仰向けに眠っているジャファーがいた。カミロは目をパチパチさせ、少しの間、思考を停止させた。カミロは起き上がってジャファーの顔を見下ろしながら、寝る前の記憶を思い浮かべた。ジャファーに魔術師街まで馬で送ってもらう代わりに夕食と酒に付き合ったのだった。何故、カミロのベッドでジャファーは寝ているのだろうか。カミロは首を傾げた。少し考えて、自分の家の中を見回して、他に寝る場所がないからだろうと結論づけた。
カミロが住む家は単身者用で、台所と風呂とトイレ以外は大きな1部屋しかない。当然ベッドは1つしかない。年末年始の休みにイアソンの家で過ごした時は、寝る時だけは隣の自宅で自分のベッドに寝ていた。
他人の体温をこんなに近くで感じるのは初めてだ。空調が入っていない室内は唯でさえ暑く、カミロは汗をかいていた。服は昨日着ていたもののままだ。カミロはとりあえずカーディガンを脱いだ。
身体の上にかかっていた薄いタオルケットを剥ぐためにタオルケットを掴むと、ふと、視界に不自然に盛り上がったものが見えた。位置的にジャファーの股間である。ジャファーは男だ。男には股間に『ちんこ』や『ペニス』と呼ばれる男性器がある。おそらく男性器がある場所が何故盛り上がっているのだろうか。不思議に思ってカミロがじっとそこを見ていると、ジャファーが目覚めた気配がした。ジャファーの股間から1度視線を外してジャファーの顔を見ると、ジャファーは大きく欠伸をした後、目を開けてカミロを見上げた。
「おはよ。アンタの家引く程物がない上に、ドン引きする程汚いな。まぁ別にいいけど」
「……おはよう」
カミロは仰向けに寝転がっているジャファーの股間を指差した。
「ここには『ちんこ』とやらがあるのだろう。何故こうなっている。昨日はこうなっていなかった」
「あ?あー。単なる朝勃ち」
「『朝勃ち』?」
「アンタもなるだろ?」
「ならない」
「ん?アンタ精通まだなの?それとも不能?」
「『精通』とは子種を体外に排出できるようになること。『不能』とは?」
「そう。不能はちんこが勃起しなくて射精できないこと」
「『勃起』とは子供をつくる為に必要な『セックス』と呼ばれる性行為というものをする為の状態に『ちんこ』がなること」
「そうだな」
「『射精』とは子種を含む液体を『ちんこ』から体外に排出すること」
「うん」
「『勃起』は『性的興奮』とかいうものを感じなければ、そうならないと聞いている」
「まぁ基本はそうだけど、朝に勝手に勃起してる時も普通にある」
「何故」
「あー……なんだったっけ?……あぁ。詳しいことは分かってないらしいけど、一説では膀胱におしっこが溜まって膨らんで前立腺を刺激するからとか」
「『おしっこ』は尿の別称」
「そう」
「『前立腺』?」
「男にはあるんだよ。俺も詳しくは知らない。つーか、アンタもちんこついてるだろ。マジで朝勃ちしねぇの?オナニーは?」
「ついてない」
「は?アンタ男だろ?」
「身体は女だ」
「ん?身体は?じゃあ心は?男?」
「心は『カミロ』という生き物だ」
「ん?ん?んー?……まぁ、いいか。あれ?でもアンタ高等学校じゃ男子寮に住んでただろ?何度か遠目に見かけたことがある」
カミロはカミロの事情をジャファーに説明した。ジャファーは仰向けに寝転がったままカミロの話を最後まで聞いた。ちなみにそれなりに長い説明が終わった時にチラッとジャファーの股間を見れば、まだジャファーの股間は盛り上がっていた。
「ふーん。なるほどね。なんとなく納得した」
「そうか」
「なぁ。自分以外の人間の裸を見たことねぇの?」
「ない。だがマーサ様が描いた絵は見たことがあるから基本形態は知っている」
「見てみるか?」
「何を」
「男の身体」
「何故」
「自分の身体との違いがハッキリするだろ」
「……まぁ」
「ちんこが勃起してる状態と普段の状態、どっちがいい?」
カミロは首を傾げて考えた。どうせ見るのならば、どちらも見ておいた方がいいような気がする。今後も研究所の温泉大浴場を利用する気はないので、多分自分以外の人間の裸の身体を見る機会はない。マーサ様が描いた人体図が間違っている訳がないだろうが、実際に見てみる価値はあるかもしれない。カミロは性教育の座学を受けたが、未だに男と女の身体の違いについて理解しきれていない。いい機会かもしれない。世間一般的には理解していなければならないことらしい。世間一般の常識は学ばなければならない。カミロはジャファーに向かって頷いた。
「両方」
「いいよ」
ジャファーが起き上がってベッドから降り、服を脱ぎ始めた。初めて見る男の裸は不思議なものだった。カミロの身体よりも腕も腰も足も太く、腹のあたりがボコボコしている。1番の違いは『ちんこ』の存在だろう。ジャファーの身体に垂直になっている。
ジャファーが自分の『ちんこ』を指差した。
「これがちんこな。まぁ、単なる朝勃ちだから完全にガチガチになってるわけじゃねぇけど。で、こっちが金たま。ここで子種が作られて、ちんこから出る。具体的にはここら辺からな。おしっこと同じで尿道を通って精液が出る」
「なるほど」
「トイレ借りるぞ」
「『射精』をするのか?」
「いや、おしっこ。朝勃ちだし、おしっこしたら普段の状態に戻る」
「なるほど」
裸のままジャファーがトイレに向かった。ベッドに座ったまま待っていると、すぐにトイレからジャファーが戻ってきた。ジャファーの股間を見ると、先程とはなんだか形も大きさも違う気がするし、垂直だった『ちんこ』はぶらんと垂れ下がるような状態だった。なんとも不思議な光景である。
「これが普段の状態」
「形と大きさが違う」
「こいつがもうちょい大きく固くなることを勃起するって言うんだよ」
「……なるほど」
「じゃあ、次はアンタな」
「何が」
「見せてよ。まんこ」
「何故」
「いや俺ちんこ見せたし。俺だけ見せるのはフェアじゃないだろ。俺まんこを生で見たことないし」
「ないのか」
「ないよ。童貞だもん」
「『童貞』とは?」
「セックスしたことがない男のこと。女の場合は処女っていう」
「『処女』とは『処女膜』とやらがある状態を指すのでは?」
「そうでもあるし、セックスをしたことがない女のことも指す。ていうか、セックスしないと処女膜なくならないし。絶対ではないらしいけど」
「なるほど」
「一応聞くけど、セックスについては知ってる?」
「『セックス』とは子供をつくるのに必要な『性行為』というものであり、『勃起』した『ちんこ』を、『まんこ』とも呼ばれる女性器に入れ、女の胎内の『膣』という器官に『射精』することにより子供が女の胎内にできる」
「正解です。というわけだから。まんこ見せて」
「……わかった」
『ちんこ』や『まんこ』といった性器は基本的に他人にむやみやたらに見せるものではないらしい。それを見せてもらったのだから、カミロも性器を見せるべきなのだろう。多分。
カミロは頷いて、ズボンとボクサーパンツをまとめて脱いだ。ついでにタンクトップも脱いで、完全に裸になる。他人に自分の裸を見せるのは記憶にある限り初めてな気がする。
カミロはベッドから降りて、素足のまま床に立った。
カミロが住む家は単身者用で、台所と風呂とトイレ以外は大きな1部屋しかない。当然ベッドは1つしかない。年末年始の休みにイアソンの家で過ごした時は、寝る時だけは隣の自宅で自分のベッドに寝ていた。
他人の体温をこんなに近くで感じるのは初めてだ。空調が入っていない室内は唯でさえ暑く、カミロは汗をかいていた。服は昨日着ていたもののままだ。カミロはとりあえずカーディガンを脱いだ。
身体の上にかかっていた薄いタオルケットを剥ぐためにタオルケットを掴むと、ふと、視界に不自然に盛り上がったものが見えた。位置的にジャファーの股間である。ジャファーは男だ。男には股間に『ちんこ』や『ペニス』と呼ばれる男性器がある。おそらく男性器がある場所が何故盛り上がっているのだろうか。不思議に思ってカミロがじっとそこを見ていると、ジャファーが目覚めた気配がした。ジャファーの股間から1度視線を外してジャファーの顔を見ると、ジャファーは大きく欠伸をした後、目を開けてカミロを見上げた。
「おはよ。アンタの家引く程物がない上に、ドン引きする程汚いな。まぁ別にいいけど」
「……おはよう」
カミロは仰向けに寝転がっているジャファーの股間を指差した。
「ここには『ちんこ』とやらがあるのだろう。何故こうなっている。昨日はこうなっていなかった」
「あ?あー。単なる朝勃ち」
「『朝勃ち』?」
「アンタもなるだろ?」
「ならない」
「ん?アンタ精通まだなの?それとも不能?」
「『精通』とは子種を体外に排出できるようになること。『不能』とは?」
「そう。不能はちんこが勃起しなくて射精できないこと」
「『勃起』とは子供をつくる為に必要な『セックス』と呼ばれる性行為というものをする為の状態に『ちんこ』がなること」
「そうだな」
「『射精』とは子種を含む液体を『ちんこ』から体外に排出すること」
「うん」
「『勃起』は『性的興奮』とかいうものを感じなければ、そうならないと聞いている」
「まぁ基本はそうだけど、朝に勝手に勃起してる時も普通にある」
「何故」
「あー……なんだったっけ?……あぁ。詳しいことは分かってないらしいけど、一説では膀胱におしっこが溜まって膨らんで前立腺を刺激するからとか」
「『おしっこ』は尿の別称」
「そう」
「『前立腺』?」
「男にはあるんだよ。俺も詳しくは知らない。つーか、アンタもちんこついてるだろ。マジで朝勃ちしねぇの?オナニーは?」
「ついてない」
「は?アンタ男だろ?」
「身体は女だ」
「ん?身体は?じゃあ心は?男?」
「心は『カミロ』という生き物だ」
「ん?ん?んー?……まぁ、いいか。あれ?でもアンタ高等学校じゃ男子寮に住んでただろ?何度か遠目に見かけたことがある」
カミロはカミロの事情をジャファーに説明した。ジャファーは仰向けに寝転がったままカミロの話を最後まで聞いた。ちなみにそれなりに長い説明が終わった時にチラッとジャファーの股間を見れば、まだジャファーの股間は盛り上がっていた。
「ふーん。なるほどね。なんとなく納得した」
「そうか」
「なぁ。自分以外の人間の裸を見たことねぇの?」
「ない。だがマーサ様が描いた絵は見たことがあるから基本形態は知っている」
「見てみるか?」
「何を」
「男の身体」
「何故」
「自分の身体との違いがハッキリするだろ」
「……まぁ」
「ちんこが勃起してる状態と普段の状態、どっちがいい?」
カミロは首を傾げて考えた。どうせ見るのならば、どちらも見ておいた方がいいような気がする。今後も研究所の温泉大浴場を利用する気はないので、多分自分以外の人間の裸の身体を見る機会はない。マーサ様が描いた人体図が間違っている訳がないだろうが、実際に見てみる価値はあるかもしれない。カミロは性教育の座学を受けたが、未だに男と女の身体の違いについて理解しきれていない。いい機会かもしれない。世間一般的には理解していなければならないことらしい。世間一般の常識は学ばなければならない。カミロはジャファーに向かって頷いた。
「両方」
「いいよ」
ジャファーが起き上がってベッドから降り、服を脱ぎ始めた。初めて見る男の裸は不思議なものだった。カミロの身体よりも腕も腰も足も太く、腹のあたりがボコボコしている。1番の違いは『ちんこ』の存在だろう。ジャファーの身体に垂直になっている。
ジャファーが自分の『ちんこ』を指差した。
「これがちんこな。まぁ、単なる朝勃ちだから完全にガチガチになってるわけじゃねぇけど。で、こっちが金たま。ここで子種が作られて、ちんこから出る。具体的にはここら辺からな。おしっこと同じで尿道を通って精液が出る」
「なるほど」
「トイレ借りるぞ」
「『射精』をするのか?」
「いや、おしっこ。朝勃ちだし、おしっこしたら普段の状態に戻る」
「なるほど」
裸のままジャファーがトイレに向かった。ベッドに座ったまま待っていると、すぐにトイレからジャファーが戻ってきた。ジャファーの股間を見ると、先程とはなんだか形も大きさも違う気がするし、垂直だった『ちんこ』はぶらんと垂れ下がるような状態だった。なんとも不思議な光景である。
「これが普段の状態」
「形と大きさが違う」
「こいつがもうちょい大きく固くなることを勃起するって言うんだよ」
「……なるほど」
「じゃあ、次はアンタな」
「何が」
「見せてよ。まんこ」
「何故」
「いや俺ちんこ見せたし。俺だけ見せるのはフェアじゃないだろ。俺まんこを生で見たことないし」
「ないのか」
「ないよ。童貞だもん」
「『童貞』とは?」
「セックスしたことがない男のこと。女の場合は処女っていう」
「『処女』とは『処女膜』とやらがある状態を指すのでは?」
「そうでもあるし、セックスをしたことがない女のことも指す。ていうか、セックスしないと処女膜なくならないし。絶対ではないらしいけど」
「なるほど」
「一応聞くけど、セックスについては知ってる?」
「『セックス』とは子供をつくるのに必要な『性行為』というものであり、『勃起』した『ちんこ』を、『まんこ』とも呼ばれる女性器に入れ、女の胎内の『膣』という器官に『射精』することにより子供が女の胎内にできる」
「正解です。というわけだから。まんこ見せて」
「……わかった」
『ちんこ』や『まんこ』といった性器は基本的に他人にむやみやたらに見せるものではないらしい。それを見せてもらったのだから、カミロも性器を見せるべきなのだろう。多分。
カミロは頷いて、ズボンとボクサーパンツをまとめて脱いだ。ついでにタンクトップも脱いで、完全に裸になる。他人に自分の裸を見せるのは記憶にある限り初めてな気がする。
カミロはベッドから降りて、素足のまま床に立った。
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