好きだからセックスはしたくない

丸井まー(旧:まー)

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17:作戦ねりねり

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 授業が終わると、フィガロはいそいそと帰り支度をして、アンジェリーナと一緒に小学校を出た。

 秋も終わりが近づいている。
 フィガロの家に向かって並んで歩きながら、フィガロはアンジェリーナの方を見て、口を開いた。


「アンジー」

「なぁに? フィガロ」

「父さんの誕生日が近い」

「あら! お祝いしなきゃね!」

「何かしたい」

「何する? 具体的にはいつなの?」

「10日後」

「む。平日ね。あ、その週の休日はうちのお店がお休みの日なの。誕生日当日はフィガロがお祝いして、休日にうちのお店で誕生日パーティーしましょうよ。フレディおじいちゃん達に頼んでみるわ」

「悪い。助かる」

「いいのよ。私もガイナおじさんの誕生日をお祝いしたいもの」

「何か作って、プレゼントとしてあげたい」

「んー。あ、体験教室は? 色々あるのよ。行ったことはある?」

「中央の街に居た時に何回か」

「バーバラにもあるの。1日や半日のものもあるから、調べてみましょうよ。小学校の掲示板か春に貰ったプリントに載ってるわ。今から掲示板見に戻る?」

「プリントは全部とってある」

「あら。じゃあ急いでフィガロの部屋に行きましょ」

「ん」


 フィガロはアンジェリーナと一緒に小走りで家へと帰った。途中でラウトとニーズと遭遇した。走っていた理由を聞かれたので、フィガロは素直に答えた。そして現在、フィガロの部屋にはアンジェリーナとニーズ、ラウトがいる。

 フィガロはプリント用の棚の引き出しを探って、春に貰った体験教室のプリントを引っ張り出した。このプリントには1年間で行われる体験教室の案内が全部載っている。プリント三枚ある。

 床にプリントを置いて、皆で円になってしゃがみ、プリントを眺めて良さそうなものを探す。


「あ、マグカップ作りですって。一度おじいちゃん達としたことがあるわ。あー。でも体験教室自体は半日だけど、完成品の受取は結構後だったのよねぇ」

「それは陶器のマグカップかな? こっちの木のマグカップなら1日で持って帰れるみたいだよ」

「あら。そうなの? ラウトおじさん」

「ほら。ここに載っている」

「あ。本当ね。フィガロは何か良さげなの見つけた?」

「んー。これは? 木工細工。本棚作るんだと」

「あら。いいわねぇ。ガイナおじさんも本が好きなの?」

「全然。仕事で必要なもの以外読んでるとこ見たことがない。俺に絵本を読んでくれてたくらい」

「どうせなら使ってもらえるものにしましょうよ」

「ん。んーーーー」

「あ。フィガロ君。木工細工がいいなら、これはどうだい? 木の食器だって。お皿を作るみたいだ。1日でできるし、日程もいいんじゃないかな」

「皿……俺にできるかな」

「教えてくれる先生がいるから大丈夫よ。こっちの手芸教室もいいなぁ。エプロンを作るんですって。ガイナおじさん、家じゃ殆どエプロンしてるわよね」

「皿かエプロンだな。どっちにしよう」

「エプロンは年齢制限があるわね。小学生以上じゃないと駄目みたい」

「僕もおじちゃんに作りたいー!」

「ん? ニーズも作ってくれるのか?」

「うん!!」

「木の皿の方は保護者同伴って条件付きだけど、5歳以上なら大丈夫みたいだね。僕は付き添いができるよ。最近仕事が落ち着いているからね。……明後日締切のものをなんとかすればだけど」

「先生。目の下の隈すごいわよ」

「ちゃんと寝てんの?」

「いやー。はははっ」

「パパ。僕、おじちゃんにお皿作りたい」

「えーと、日程は……あ、次の休みもやってるね。皆で行ってみる? 申し込みは3日前までなら大丈夫みたいだから、まだ間に合うし」

「次の休みは父さん仕事だから、内緒にできる」

「ビックリさせるのね!」

「うん」

「ははっ。じゃあガイナには内緒でやろうね。ニーズも言っちゃダメだよ」

「うん! ふふっ! なーいしょ! なーいしょ!」

「小学校でも申し込みができるから、明日申し込んでくるわ。えーと、フィガロと私とニーズと先生の4人でいいでしょ?」

「ん。あ、先生」

「なんだい?フィガロ君」

「父さんの誕生日は平日だから、休みの日にアンジーの家で誕生パーティーしたい。手伝ってよ」

「その日は喫茶店がお休みなの。普段は稼ぎ時だから世間一般の休日は店を開けるけど、月に一度だけ休日にも店を閉めて休むのよ」

「なるほど。勿論手伝うよ」

「ふふっ。お店の飾り付けしなきゃ。ニーズも手伝ってね。色紙で輪っかを作ったり、お花を作ったりしましょうよ」

「やるー!!」

「俺もやる。料理はどうする?」

「シュルツおじいちゃんに頼むわ。料理上手だもの。あと、フレディおじいちゃんにサンドイッチを作ってもらおうかしら」

「料理の代金は僕が出すよ。折角の誕生日パーティーだしね」

「いいのか?先生」

「うん。あー……その、あのね、あー……聞いてるかもしれないけど、ガイナと、その、こ、恋人になりまして……」

「「知ってる」」

「あ、はい」

「フィガロから聞いたわ。聞く前から気づいてたけど」

「俺は父さんに聞いた。聞く前から気づいてたけど」

「あー……ははは……そのぉ、僕にとっては初めての恋人の誕生日パーティーだし、皆で楽しみたいなぁと思うのです。なので、パーティーにかかる費用は僕持ちがいいなぁと」

「出してもらえるなら、ありがたいわ。体験教室も一応参加費がいるみたいだしね」

「先生。頼んでいいか?」

「勿論!! 飾り付けに使う色紙とかも買わなきゃね」

「ガイナおじさんに知られないよう、皆でこっそり頑張るわよ! こっそりね!」

「「「おー」」」


 フィガロは燃えていた。ガイナの誕生日パーティーを最高のものにして、ガイナをめちゃくちゃ喜ばせたい。ガイナを笑顔にしたい。

 フィガロ達はガイナが帰宅するまで、誕生日パーティーの飾り付けや料理、その他諸々をずっと真剣に話し合っていた。

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