障王

泉出康一

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第1章『チハーヤ編〜ポヤウェスト編』

第14障『やってきました!インキャーン!』

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魔王城にて…

タケシ達が亀甲縛りの状態で帰ってきた。そこにはガイが居て、縛られたタケシ達の格好を見ていた。

「…楽しそうですね。」
「楽しい訳あるかい!!」

サブリミが反論した。
ちょうどそこへ、レイパーTもやってきた。

「おまんらも負けたんか!ん~!もうええ!ワシが行く!」

レイパーTがこの場から立ち去ろうとしたその時、何か巨大なものにぶつかった。

「いでッ!なんやなん…や…⁈」

なんと、レイパーTがぶつかったそれは3mを超える大男だった。

「(デカい!コイツ誰や!)」

その大男はレイパーTに手を差し伸べた。

「ダイジョーブ?」
「何や何や!何なんや!おまん!」
「イッイッイッイッイッ!オデ、ニシキサマ。ヨロジグ。」

ニシキサマの後ろにはマイアンがいた。

「そいつはオッチャンの隊の新しい大魔障やねん…あーん!!!」
「コイツがオチクビサマの…」

レイパーTはニシキサマを見上げた。

「イッイッイッイッイッ!」

ニシキサマは不気味に笑っている。
その時、レイパーTはタケシ達の方を向いた。

「アイツらはインキャーンに向かったんやな?」
「おそらく。」

それを聞くと、レイパーTは不気味に微笑んだ。

「そろそろ本気で潰すか…おい!マイアン!チハーヤ以来の共闘作戦や!」
「それ、ええねん!」

ガイは考え耽っていた。

「(インキャーンか…)」

インキャーン王国周辺にて…

ナツカ達は地図を見ながら、インキャーン王国を目指していた。

「全然見当たんねぇな。」
「えっちゃ、ホンマにこの辺なん?」

辺りは平原で、建造物の一つでさえ見当たらなかった。

「空気読まれへん地図読まれへんやな。」

カメッセッセが茶々を入れる。

「うっせぇし。」

その時、ニキは耳を澄ました。

「いや、おそらくこの辺りでさぁ。近くから大勢の人の声が聞こえやす。」
「さすがアニキ!」

エッチャはニキの顔を見た。
ニキの顔のほとんどは包帯で覆われており、右目は完全に失明していた。

「(俺のせいで…)」

エッチャは負い目を感じていた。

「風が呼んでいる…ア~ハ~ハ~ハ~ハ~!!!」

ジャックはフラフラと何処かへ歩き出した。

「アイツ、ドピュっと大丈夫か…?」
「大丈夫な訳ねぇダろ。もう手遅れダ。」

その時、ジャックが叫んだ。

「おい!こっちだ!こっちに来い!」

勿論、誰も行かない。

「来いゆ~てんね~ん!!!」

ナツカ達は渋々、ジャックの方へ歩いた。

「何ダよバカ。しょーもねぇ事ダったらぶっ飛ばすぞ。」
「コレを見ろ。」

ジャックは地面に落ちていた縦横1mぐらいの石板を指差した。
そこには『ようこそ!インキャーンへ!』と、とても小さな文字で書かれていた。

「えっちゃ、何これ?」

エッチャは石板を見ている。

「なるほど。そういう事でさぁ。」

ニキは1人頷いた。

「どういう事ダよ?」
「声は地面の下から聞こえてたんでさぁ。」
「下ぁ?」

ナツカは地面を見た。

「ドピュっと聞いた事がある。確か、インキャーンは地下に国を作っているとか…」
「でも何で地下に?」

その時、カメッセッセが叫んだ。

「すぉんなんどーでもええねん!ケモテイかどうか聞いてんねん!」
「うっせ黙れ。」

ナツカは石板を動かした。
すると、その下から階段が現れた。
ナツカ達は階段を降りていった。

階段の先、インキャーン王国にて…

ナツカ達は階段を降り、インキャーン王国へ入った。

「うわっ!暗ッ!」
「えっちゃ、目ぇ悪なるわぁ!!!」

インキャーンは地下に造られた国。当然、日の光は届かず、明かりは松明のみで物凄く暗かった。

「これじゃあ、何処に城があるのか、ドピュっと分からないな…」
「街の人に聞いてみるでヤンス。」

その時、1人の男性がナツカ達の近くを通りかかった。

「すぃますぇ~ん。」

カメッセッセはその男性の肩を掴み、話しかけた。

「あッ…えッ…!!!」

しかし、その男性は早々に何処かへ走り去った。

「何だ、アイツ?」

愛想の一つもない行動にニキは怪訝な顔をしていた。

「ふっ。俺様にビビったか…ア~ハ~ハ~ハ~ハ~!!!」
「えっちゃ、ただの人選ミスやろ。声かける側の。」
「そダよ。ココはワシみてぇな常識人の出番でい。」

ナツカは、近くで話をしていた2人の町人に話しかけた。

「なぁ、そこのオメェら。ちょっと聞きてぇ事あんダけどよ…」

しかし、その町人達は何も言わずに走り去った。

「キレそう…」
「お前が臭いからや。」
「黙れ加齢臭。」
「オレのフェロモンにケチつけんな。」

雷尿は次の町人がいないからキョロキョロしている。

「じゃあ次はドピュっと俺が…」
「えっちゃ、雷尿はアカンて。イカ臭いから。」

自身ありげだった雷尿はいきなりの批判に肩を落とした。

「誰か臭くねぇ常識人は居ねぇのか?」

ナツカがそう言うと、ニキに白羽の矢が立った。

「そいじゃまぁ、行ってきやす。」

ニキは酒場に入っていった。
数十分後、ニキは酒場から出てきた。

「どうやら、城はこの道を真っ直ぐ進んだ先にあるようでさぁ。」
「ドピュっと時間かかったな。」
「えぇ。どうやらこの国、国民の約9割が極度の人見知りらしいですぜ。酒場のマスターが1割で助かりやした。」
「それでみんなドピュっと逃げていったのか。」

雷尿は納得したと言った感じだった。

「えっちゃ、臭いから逃げられてた訳ちゃうねんな。良かったやんけ、ナツカ。」
「それでも腹立つ。ワシこの国嫌い。」

次の瞬間、カメッセッセが叫んだ。

「うっすぁい!喋んな!早よ城行くぞ!!!」

ナツカとエッチャはカメッセッセに冷たい視線を向けた。

「えっちゃ、お前が喋んな。」
「次いきなりデケぇ声出したらぶっ殺すからな。」

カメッセッセは何故か頬を染めた。

「ケモテイ…♡」

一方その頃、インキャーン城内にて…

少女が風呂に入っている。
それをコッソリ見ている前髪の長い少年がいた。

「ハァハァ…♡ルイぃ~ルイぃ~…♡」

次の瞬間、少女は少年の気配に気づき、少年に向けて石鹸を投げつけた。

「ふぁあ⁈」

石鹸は少年の右目に直撃した。

「ホハホハホハホハッ!!!?!?!」

少年は目を押さえて、もがき苦しんでいる。

「また覗きやがったな!!!この変態生ごみドMロリコンIQ皆無うんこ野郎!!!」
「ハァ~ン!!!ごめんなさぁ~い!!!」
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