異世界転生目立ちたく無いから冒険者を目指します

第100話 ビーレルバウム男爵領へ

数日後、イールスは出発の為の荷物を魔法の鞄にしまっている
「イールス御兄様、先程、王宮の薬師様から明日の朝、南門で待っていると使いが来ました。 メデル様より研究者２名も王宮の薬師様と一緒に待っていると使者が来ました」
ロイホールが笑顔で部屋に入ってきて言う
「ロイホール様、御伝言感謝申し上げます。ロイホール様も準備は終わりましたか？」
イールスがロイホールを見て聞く
「はい！イールス御兄様、少し不安は有りますが、楽しみにしていました」
「男爵領も家臣がどうなっているか、解らないので護衛から離れない様にしてください」
「はい！ イールス御兄様、男爵家の御令嬢シリカローレン様からも先に領地に戻り、調査や護衛の編成をすると言ってましたので、気を付ける様にします」
ロイホールが男爵家からの連絡の内容を詳しく説明をしてくれる
「もしもの時の為に、このポーションを持っていて下さい」
イールスが２本のポーションを差し出している
「このポーションを？ 色が・・・青いのは何故ですか？ こちらも」
ロイホールがポーションを受け取りじっくり見ている
「中級ポーションと毒消し用のポーションです。もしもの備えです」
「え！ 中級ポーション！！ そんな高価な物を？」
ロイホールが驚いてイールスを見ると、イールスが使い方と効能を詳しく説明している。ロイホールが真剣な目付きで聞いている
（イールス御兄様・・・凄く詳しく説明してくれても、理解が追い付きません・・・こんなに知識を持っているなんて、尊敬しますけど・・・）

翌朝早く、イールスとロイホールが護衛達が用意した馬車に侍女２人と執事が荷物を乗せている。ヘルクドールとアーセリオドールとメサリアとシスラーザが見送る為に玄関に集まって来る
「ロイホール、無理はしないようにしなさいね」
メサリアがロイホールに声をかけて、心配そうに色々確認をしている
「メサリア御姉様、何か有ったらイールス御兄様に相談します」
「ロイホール、ゆっくり他領を見学してくると良いが、混乱もしているから、気を付ける様に」
アーセリオドールがロイホールに色々話していると、ロイホールが真剣な目付きで聞いて返事をしている
「イールス、無茶はしないように………無茶より魔物を狩りすぎない様に」
ヘルクドールが考えながら言うと、アーセリオドールとメサリアが顔を見合せて苦笑いする
「ヘルクドール様、無理しないように致します。王立学院を休んで申し訳ないと思っています」
イールスが丁寧に頭を下げて言う
「男爵家で何か起きたら大変な事になるだろうからな…今後の為に領地の調査は絶対に必修だ！ 王立学院学院長も理解している…何故か凄く協力的だったが…」
ヘルクドールが苦笑いしている
「帰ってきたら、出席出来なかった分も合わせて、勉強を頑張ります」
イールスが頭を下げながら言うと、ロイホールとイールスが馬車に乗って出発する

「イールス、無茶より実力を見せ過ぎない様にしてくれ」
ヘルクドールが馬車を見送りながら呟く
「…後が怖いような…絶対に魔物を殲滅して、軽く未熟者と言いそうだからな…」
アーセリオドールが苦笑いしている
「はぁ……何か起きた時の為に準備をしておくか…絶対に面倒事になるからな」
ヘルクドールが呟くと、アーセリオドールが苦笑いしながらヘルクドールを見ている

王都の南門を出た所で、薬師と研究者と合流してから、ビーレルバウム男爵領に向かって出発する

いくつかの町を経由して、順調に進んでいると、森を出た所で馬車が止まる
「イールス様、出迎えの様です」
護衛が馬車の扉を開けて、イールスとロイホールが降りると、イールス達の馬車の前に兵士と馬車が止まっている
「イールス様、長旅お疲れと思いますが、お出迎えに参上しました。屋敷まで護衛致します」
男爵令嬢シリカローレンが深々と頭を下げている
「シリカローレン様、お出迎え感謝申し上げます。本日もお元気な顔を拝見出来て嬉しく思います」
イールスが丁寧に挨拶をすると、ロイホールも丁寧に挨拶をしている

「ここからが男爵領ですので、馬車で進みながら御説明します」
シリカローレンが笑顔で言う
「ありがとうございます。気遣い頂き本当に嬉しく思います」
イールスが深々を頭を下げていると、シリカローレンもイールス達の馬車に乗り込み、兵士の案内で馬車が進み始める。シリカローレンが領内の状況の説明をしてくれる

やっぱり、良く思わない者もいるのか？ それに収支も良くなさそうだな…先に少し資料を読まさせて貰ってから、山に向かった方が良いかな？

屋敷に到着すると、兵士達と執事や侍女が並んで待っている
「イールス様、ロイホール様御案内します」
シリカローレンが笑顔で言い、馬車を降りると、執事が頭を下げている
「ロイホール様執事長マルケフガードナーと申します。何か有れば何なりと申し付け下さい」
執事が深々と頭を下げながら言うと、執事と侍女が全員頭を下げている
「よろしくお願いいたします」
ロイホールが緊張しながら言うと、イールスも挨拶をしている

侍女の案内で部屋に向かい、護衛達も部屋の前で警備をしている。同行した執事と侍女が、屋敷の執事と侍女と話し合いに向かう
「イールス様、イールス様の事は侍女と執事に伝えてません…挨拶がロイホール様だけになってしまい申し訳ありません」
シリカローレンが深々と頭を下げている
「シリカローレン様、気遣い感謝申し上げます。それよりもロイホール様と先に領地の帳簿を確認させて下さい。お伝えした商人はどうでしたか？」
「商人達は明日来て貰います。 お会いして決めて下さい。帳簿は別室に用意してあります。早い対応感謝します」
シリカローレンが笑顔でイールスを見ている
「イールス御兄様、頑張って把握するようにします」
ロイホールが笑顔でイールスとシリカローレンを見ている。イールスとロイホールが帳簿の部屋に向かい、時々シリカローレンに質問しながら読んでいく