異世界転生目立ちたく無いから冒険者を目指します

第121話 王宮からの呼び出し 後編

その後相談が進む
「後継ぎ夫妻は、事故死として発表する。アルゼデンスも今回の件とその他いくつかの脅迫紛いの事をしていた為、病死とする」
公爵が内容を示した書類を見せて言う
「問題は、後継ぎだな」
バウルトリアが公爵を見ている
「後継ぎは若いが、亡くなった息子の…孫を男爵家に預けている。 呼び戻して継がせます」
公爵が詳しく説明する
「公爵そのようにせよ」
王太子が公爵を見て言うと、公爵がイールスを見ている
「イールス殿、今回の件お詫び代わりに、分家を貰わないか？」
公爵が考えながら言う
「え！ 冒険者になるので、爵位等必要有りません、 下賤な身の半人前に務まりません」
イールスが慌てて頭を下げると、全員がイールスを見ている
「それなら、イールス殿に口止め料代わりに、少ないが金貨３０００枚を与えるが、他に何か無いか？」
公爵がヘルクドールを見て言うと、ヘルクドールが考えながらイールスを見ている
「恐れながら申し上げます。 実はビーレルバウム男爵家の復興をさせる為に商隊を作りますが、通り道の各家に邪魔されない様に、伝えて貰えますか？ 通行料等を要求されても面倒ですので…」
イールスが考えながら、計画を説明している
「そのぐらいなら、簡単だが…」
公爵が考えている
「ありがとうございます。 商隊がスムーズに進めば、かなりの利益が出ます。 それに各町も潤います」
イールスが笑顔で言う
「そう言う事か？ 容易い事だ」
公爵が笑顔で言う
「それなら成功したら、商隊を増やしてくれ、強欲商人より頼もしいからな！ 協力するぞ」
ブライドルが笑顔で言う
「ブライドル様ありがとうございます。 実はレズムード伯爵家から王都までの通り道に侯爵家に近い家柄有りますので口添えをお願いします」
イールスが説明をすると、ブライドルが頷いている
「あの領地か？ 解った！ 物分りが良いから大丈夫だろう」
ブライドルが笑顔で言う
「これで通り道の安全が確保出来ました。 魔法研究院の研究者達も安全に調査に向かえます」
イールスが笑顔で言う
「イールス、ここで言うのですか？」
セーレンが頭を押さえながら言う
「容赦無いな…公爵家の派閥を潰しておいて、その理由を公爵殿に伝えるとは…」
バウルトリアが苦笑いしている
「まさか！！ 王宮薬師の一件は…」
公爵が青ざめている
「イールスが不正に気付き潰した、それも薬草の群生地の研究の邪魔されない為に軽くだ！ 公爵とブライドルは知っておいた方が良いぞ！ イールスの恐ろしすぎるからな」
バウルトリアが苦笑いして説明している
「イールス本当なのか？ 」
ブライドルが苦笑いしてイールスを見ている
「資金は受け取ってませんでしたので、後の事はバウルトリア師が調査してくれました。 １日だけ山に入った人に研究の邪魔されたくないですから」
イールスが笑顔で言う
「研究の邪魔だから…潰されたのか…８家取り潰され、利権も失ったのは、イールス殿の一言なのか？ 」
公爵が落ち込んでいる
「イールスは恐ろしいですよ、ビーレルバウム男爵家を屈服させる為にアールスレルバウム子爵家をルーゼント伯爵家に寝返らせて、公爵家を孤立させているのですから、あのメサリアとシンシリアを黙らせられる人はイールスしかいません」
セーレンが呆れ気味に言う
「は！ あの件は…イールスの策略か？ シンシリアの策略ではなかったのか…」
公爵が青ざめている
「イールス本当にすごいな」
ブライドルが笑っている
「メサリア様の御助言のお陰です。 たまたまです」
イールスが頭を下げている
「理解できた様だな、イールス一人に潰されたのか…想定外は同盟国の件だがな…」
バウルトリアが公爵を見ていると、公爵が同意している

「最後にアルゼデンスの妹のリシリアの件なのだが…ここに書類を持参した…バウルトリア師、王太子殿下お願いします」
公爵が書類をバウルトリアに渡すとバウルトリアが驚いてイールスを見ている
「正気か？」
バウルトリアが公爵を見て言うと、王太子に書類を手渡している
「公爵家の名前も分家に養女として送り込む事も不可能です。爵位を失えば生きていけません。 孫に爵位を譲り次第責任を取り、自害するつもりでおります」
公爵が頭を下げながら言うと、ブライドルとセーレンとヘルクドールが驚いて公爵を見ている
「公爵家が再建出来なければ、王国は崩壊の危機に瀕するぞ！ 大公家も無いのだから…」
バウルトリアが必死に説得を始めているが公爵は引き下がらない

「公爵様、非才の未熟者ですが、申し上げたいと思います。 公爵様は非常に優秀な方です。 国家の危機に逃げるのですか？ 」
イールスが公爵とバウルトリアの話しに割っては入る
「イールス殿、責任は取る必要が有る」
「逃げるのですか？ 公爵家が弱体化したのも、後継ぎ様の暴走を許したのも、アルゼデンス様が暴走していたのも、公爵様の責任です。 今国家危機を宣言されている中で逃げるなら、２度と公爵家の権威は戻りません」
イールスが公爵を見ながら言う
「言う通りだな…公爵よ」
王太子が公爵を見て呟く
「責任を取るなら、逃げずに後継ぎ様の為に権威を取り戻したらどうですか？ 公爵様の威厳には傷は付いてません…今譲れば統制が取れなくなります。 色々後始末を終わらせて、後継ぎ様が立派に統治出来るまで、盾役になって下さい！ それが責任の取り方です。 王国最高位の貴族なのですから」
イールスが淡々と話している
「ん！ …………それでは…」
公爵が考え込んでいる
「その通りだ！ 国を支えるのが貴族の役目だ」
バウルトリアが公爵を見ている
「イールス殿…代わりにリシリアの養育を頼む」
公爵が笑みを浮かべて言う
「え！ リシリアの養育を…何故でしょうか？」
イールスが驚いている
「冒険者等に隷属か…」
バウルトリアが苦笑いする
「頼んだぞ、説得したのだから責任を取って欲しい！ 家の名前も失い、何が有っても家は継げない者に生きていける場所は無いからな」
公爵が笑みを浮かべて言うと、王太子が笑っている
「はぁ…イールスが反撃を食らいましたね」
セーレンが苦笑いしている
「ヘルクドール殿、イールスの始めての負けだな…責任は必要だ！ 頼んだぞ」
バウルトリアが笑いながら書類を見せている
「隷属魔法の使用申請…最初からイールスに押し付ける目的か…」
ヘルクドールが苦笑いしている
「このぐらいしないと、気が済まない！ 逃げ道は無くなったぞ！！ リシリアを頼んだぞ」
公爵が笑みを浮かべて言う
「え！ どうにか………」
イールスが考えている
「領地を受け取るか、リシリアを受け取るか、国を滅ぼすか…何を選ぶか？ イールスの性格なら決まっていたな」
バウルトリアが笑っている

え！選ぶ事が出来ない………予定外の反撃を…どうしたら…断ったら動乱に…領地を受け取ったら、それに冒険者も成れない…この為に冒険者になる事を宣言させたのか…どうする事も思い浮かばない…

イールスが諦めて了承すると、バウルトリアがリシリアを呼び出して、隷属魔法を使い、イールスに隷属させる