異世界転生目立ちたく無いから冒険者を目指します

第157話 帰宅

セルメリア侯爵家に到着すると、執事と侍女達が並び待っている。ブライドルとフィーネリーゼが馬車を降りる
「ブライドル様、フィーネリーゼ様お帰りなさいませ」
執事が満面の笑顔でフィーネリーゼを見ている
「御父様に報告に行くが、イールス、どうするか？」
ブライドルが馬車から降りないイールスを見て聞く
「ブライドル様、大変申し訳ないのですが、本日は帰らせて貰います」
イールスが頭を下げながら言う
「友よ、また遊びに来てくれ」
ブライドルが笑顔で言う
「イールス君、色々ありがとうございました」
フィーネリーゼが頭を下げながら言う
「男爵の後始末が終わりましたら、もう一度御相談させて貰います」
イールスが頭を下げて言う
「イールス任せたぞ」
ブライドルが笑顔で言うと、イールスが帰っていくのをブライドルとフィーネリーゼが見送っている

イールスが屋敷に戻り、リビングに向かうと、メサリアとアーセリオドールとアーメリアが待っている
「メサリア様、アーセリオドール様、アーメリア様、ただいま帰りました」
イールスが頭を下げて丁寧に挨拶をしている
「イールスどうでしたの？」
メサリアが笑顔でイールスを見ている
「ブライゼルス様の言葉によりブライドル様がフィーネリーゼ様に………」
イールスがブライドルとフィーネリーゼの事を説明している

「ブライドルが言いましたのーーーイールスが仲を持ちましたのーーーー」
メサリアが嬉しそうに叫んでいる
「セルメリア侯爵家は安泰ですね」
アーメリアが微笑んでいる
「イールス、王宮はどうであった？」
アーセリオドールが心配そうに聞く
「フィーネリーゼ様は魔法研究院の温室研究員になる為の勅命を受けました。 これで男爵家の借金も返済が始められます」
「それなら良いが…他に何か問題は無いのか？」
アーセリオドールがイールスを見ながら不安そうにしている
「子爵家と商会長を捕らえに向かったみたいですが…子爵は処分は出来ますが、商会長は逃げられる可能性が有ります」
イールスが説明をしている
「何故だ？」
「盗まれたものを買っただけと、逃げると思います。 暗殺未遂も男爵の依頼を仕方なく受けたと逃げると思われます」
「そうなのか…追求は不可能なのか？」
「何か考えます」
イールスが考えながら頭を下げている
「イールス考えなくて良い！！」
アーセリオドールが慌てて言う
「アーセリオドール！！ 言っても無駄ですわ！！ イールスですから！ 楽しみにしてますわ」
メサリアがアーセリオドールを見て言う
「イールスの恐ろしさを知って貰いましょう」
アーメリアが微笑みながらアーセリオドールを見ている
「後始末はしたくない…」
アーセリオドールが苦笑いしている
「頑張りなさいですわ！！ 可愛い弟の為の後始末ですわ」
メサリアが笑顔で言う
「はぁ…イールスの後始末は事が大きくなるな…ロイホールは、外に出なくて問題は無いが…社交性をもっともって欲しい」
アーセリオドールが考えながら呟く
「イールスが居ないとパーティーでも人気がありませんわ…４０点止まりですわ」
メサリアがアーセリオドールを見ながら残念そうにしている

ロイホール、パーティーで余り話せないのか…今は一緒に行けないから仕方ないかな？ 頑張って話せる様になって貰わないと…

部屋に戻ると、サメーリアが笑顔で待っている
「イールス様お帰りなさい、リシリアさんは、部屋で魔力制御…と魔導書を読んで過ごしていました」
「サメーリア、部屋の掃除ありがとう」
イールスが部屋を見てからサメーリアを見ている
「女性からの恋文ぐらい隠してあると探したのですが…見付かりませんでした」
「え！ サメーリア！ 隠してないから」
イールスが驚きながら叫ぶ
「パーティーの招待状は物凄い数なのにですか？ 恋人は何人も候補が居ると聞いてましたが…」
「サメーリア！！」
「イールス様、侍女長さまから、少しは遊びも覚えて欲しいそうです。 イールス様は優しくて真面目過ぎます。女性に少しなれて下さい。侍女に手を出しても問題にならないのですから」
サメーリアが笑顔で言うと、イールスが少し赤くなっている

侍女長も余計な事を言わなくて良いのに！ サメーリアぐらいかな？ 面と向かって冗談を言ってくれるのは…

イールスがリシリアの部屋に向かうと、リシリアがイールスに気が付いて、魔力制御を止めてイールスの方にくる
「兄様、お帰りなさい」
リシリアが満面の笑顔でイールスを見ている
「リシリア、熱はもう出てないかな？」
「はい、兄様」
「魔力制御、一緒にしようか？」
イールスが笑顔で言うと、部屋に入り、リシリアが魔力制御をしているのを見ている

「リシリア、手に集めた魔力をゆっくりで良いから、反対の手に移動できるかな？」
イールスがリシリアを見ながら言うと、イールスが魔力制御をして手本を見せている
「え？ 魔力制御で魔力を動かせるのですか？ やってみます」
リシリアが驚きながら、イールスの真似をしようとする。リシリアは、中々うまくいかず、必死に魔力を動かしている

「兄様、まだまだできません」
リシリアが泣きそうな顔でイールスを見ている
「毎日努力したら出来るよ、こんな事も出来るから」
イールスが魔力を手から足に動かして、次に頭に移動して再び手に移動させている
「兄様の様に出来るように頑張ります」
リシリアがイールスの魔力制御を見てから必死に真似ようと集中している