異世界転生目立ちたく無いから冒険者を目指します

第169話 ランクスルバウム男爵家の後始末 後編

馬車で暴れている男爵をしばらく見てから、商人を部屋に案内する
「これで宜しいでしょうか？」
商人がイールスに頭を下げている。女性達がイールスと商人を見て驚いている
「鉱山で生かさず殺さず働かせて下さい」
イールスが笑顔で言うと、女性達の顔が引き攣っている
（商人に指示をしていたのですか？ さっきのは演技だったのですか！！ 安心して良いのですか？）
「鉱山でしっかり働かせます。男爵家の借金の件ですが…金貨１２３枚程になってます。 個人分としては金貨２０枚程あれば一生出て来れないでしょう」
商人が説明を始めると、女性が驚いたように見ている
「男爵家の名前で借りていますから、仕方無いですね…利息はどうなってますか？」
「利息は年間１割程になってます」
商人が書類を出して見せている。女性とサビーネリーゼが書類を見て青ざめている
「予想よりも少ないですね、この程度ならそんなに掛からずに返済も出来るでしょう」
イールスが微笑みながら言う
「イールス様、いくら何でも年間金貨１２枚分の利息だと、かなりきついと思います」
サビーネリーゼが慌てて言うと、ロンドルホークがイールスを見ている
「フィーネリーゼ様次第です。 そろそろ到着かな？」
イールスがセーレンを見ている
「御姉様次第？ まさか！！ 御姉様の結納金で返済させるのですか！！ 御姉様を不幸にさせるのですか！！ イールス様！！」
サビーネリーゼが慌てて叫ぶ
「サビーネ、聞いてないのですか？ フィーネリーゼの婚約の事を…」
女性が驚いたようにサビーネリーゼを見ている
「御姉様の婚約！！ 相手は！！」
サビーネリーゼが驚いていると、商人が驚いたようにイールスを見ている

侍女が慌てた様に入ってくる
「フィーネリーゼ様が戻られました」
侍女が笑顔で言うと、フィーネリーゼとブライドルが入ってくる
「御姉様！！ えーーーーーーブライドル様！！」
サビーネリーゼがブライドルを見て叫ぶ
「元気でしたか？ そんなに叫ぶ事ですか？はしたないですよ」
フィーネリーゼが声に驚いていると、商人がブライドルを見て苦笑いしている
（セルメリア侯爵家が出てくるのか…この借金すぐに返済されそうだな…安心も出来る）

サビーネリーゼが落ち着くのを待ちながら、イールスが丁寧に挨拶をしている
「イールス君、借金の件はどうでしたか？ 御父様の件も…」
フィーネリーゼが不安そうに商人を見てからイールスを見て聞く
「男爵様は商人様の好意で鉱山送りにして貰いました。売られる気持ちと監禁される気分を知って欲しいと思います。借金は金貨１２３枚ですので、予想よりも少ないと思います」
イールスが笑顔で説明をしている
「必要なら全額立て替えるぞ」
ブライドルが笑顔で言う
「ブライ様、私が返済します。 給金が月に金貨３枚貰えますから…それとこれで当面の分の返済をお願いします。何年か掛かりますけど…楽しい仕事ですから楽しみにしています」
フィーネリーゼが笑顔で言うと、袋を置いている
「この紋章は…王家の紋章…え？ …中を確認してないのでしょうか？」
商人が青ざめながら袋の中を見ている
「金貨でしょ？ 何言っているのですか？」
フィーネリーゼが不思議そうに言うと、商人がイールスに助けを求めるようにしている

袋の中身を出して、テーブルに並べると、手紙も入っている。セーレンが頭を押さえている
（宝石も入れておいたのですか？ 王太子妃様らしいですが…借金が返せる様に仕組んでますね…）
「この紋章は…何だろう？」
イールスがメダルを見て言う
「王家が後ろ楯の証拠ですね…実質脅しになりますね」
セーレンが苦笑いしてメダルを手に取り名前を読んでから、フィーネリーゼに手渡している
「フムフム、この手が有ったか…借金ごときどうでも良いな…商人どうする？」
ブライドルが笑顔で聞くと、手紙をフィーネリーゼが手に取り読んで苦笑いしてから、イールスに手渡している

フィーネリーゼ、命の恩人として、何時でも王宮に遊びに来てくださいね、それとイールスに伝えて下さい、何時でも子爵位を受取りに来てくださいと…褒美を受け取らないイールスに代わり、宝石で借金返済をしてください。 褒美も爵位も受け取らないイールスの代理で沢山受け取る様に、最後に温室もイールスの受け取らない褒美で作られます。 魔法研究院の予算よりも多くの資金を持っているのですから、沢山使わせる事を考えて下さい

イールスが手紙を読んでから苦笑いしている
「この手紙…当て付けなのか？」
イールスが呟くと、セーレンが手紙を見て爆笑している
「事実だけに文句が言えないですね」
セーレンが笑っている
「イールス君どう言う事ですか？」
フィーネリーゼがイールスを見ていると、ブライドルが笑っている
「建設費は、メデル様に好きに使って良いと伝えてますけど…全部利用されたの？ 少し悔しいな…」
イールスが苦笑いしている
「流石王太子妃殿下ですわ！！ 良い方法でフィーネリーゼ様に伝えましたわ！！ イールスの負けですわ！！ それもフィーネリーゼ様もワザワザここで見せるなんて、商人に良い脅しをしてますわ！！」
セーレンが笑っていると、女性とサビーネリーゼとロンドルホークが挙動不審になっている
（え？ 何を？ 手紙の内容が気になりますが…王太子妃様の名前まで…メダルも王家の紋章です…何が起きているのですか？）

「宝石で返済は終わりますが…余った分は後程金貨で持ってきます。鉱山送りはどうしますか？」
商人が苦笑いしている
「鉱山に売られる気持ち軟禁される気持ちを叩き込んでおいて下さい！！ 計画が全部潰されたのだから！！ 折角良い罰だと思っていたのに！！ 」
イールスが不機嫌そうに言うと、ブライドルとセーレンが爆笑している

商人が帰っていくと、イールスが考え込んでいる

「サビーネ、ロン、どうしたのですか？ 相当疲れていますか？」
フィーネリーゼが少し心配そうに見ている
「御姉様…疲れました…頭の整理に時間を下さい」
サビーネリーゼが頭を抱えて考えている
「御姉様、婚約したと聞いたのですが…」
ロンドルホークがブライドルを見ている
「弟か？ ブライドルだ！ 仲良くしよう」
ブライドルが笑顔で言う
「イールス様は何者でしょうか？ 理解できません」
ロンドルホークがイールスを見ている
「下賤な身の未熟者です」
イールスがロンドルホークを見ている
「国家機密ですが…約束は守れますか？ イールスの身元をバラしたら、社交界で生きていけません、騎士団も宮廷魔術師も敵に回します。王家も国家機密を守れない人として、取り締まりされます」
セーレンが微笑みながら説明していると、サビーネリーゼがセーレンを見ている
（知りたいです！！ 落とし子ですか？ 知りたいです！！）

全員が約束する
「イールス君は…イールス様は、レズムード伯爵家次男だそうです」
フィーネリーゼが微笑みながら言う
「え！！ レズムード伯爵家！！ 御父様はレズムード伯爵家の人を暗殺をしようとしたのですか！！」
サビーネリーゼが大声で叫ぶ
「サビーネリーゼ様、庶子ですからそんなに驚かなくても良いです。 それよりもロンドルホーク様にお願いがあります」
イールスが笑顔でロンドルホークを見ている
「何でしょうか？ イールス様」
ロンドルホークがイールスを見ている
「同い年の弟がいます。 友達が居なくて、パーティーでも中々自分から話せません…友達として仲良くして貰えますか？」
イールスが笑顔でロイホールの事を説明している
「友達ですか？ 良いですが…従者の間違いでは無いのですか？」
「友達です。友達も居なくて王立学院に通う時面倒になりそうなので…お願いします」
イールスが頭を下げている
「え！ 頭をあげて下さい！！ 御紹介をお願いします！！ 伯爵家との繋がりは大変光栄です！！」
ロンドルホークが慌てて叫ぶと、女性が微笑みながらロンドルホークを見ている
「策は潰されたけど、最低限のロイホールの友達は作れそうだな」
イールスが笑顔で呟くと、セーレンが笑っている
（最後まで予想外の事を頼みますね…ロイホールも驚くでしょう…イールスあの様子悔しかったのですね…王太子妃様に何か仕掛けるのですか？ イールス何をするつもりですか？）